『G』の日記   作:アゴン

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今回と次回は日記要素がありません。

ご了承下さい。





その10

 

 

“サンクキングダム”その昔、ヒイロ=ユイの思想を元に完全平和主義を謳った王国。平和を愛し、世界の繁栄を願った国は世界のエゴによって押し潰され、その国の存在は歴史から抹消された。

 

だが、そんな国に再び危機が迫ろうとしていた。インペリウム帝国の猛威に晒され、この国は地球上からの消滅の危機にあった。

 

国連は動かない。何故ならどの国も世界中に撒き散らされた次元獣の対処の為にそれ処ではないと言うが、実際は存在しない国に自国の戦力を無駄に浪費するのを嫌がった為だ。

 

そしてインペリウム帝国の後始末はとある部隊に一任する事になる。“ZEXIS”ソレスタルビーイングや黒の騎士団というテロリスト集団を始めとしたスーパーロボット軍団。

 

別世界の“ZEUTH”という特殊部隊を新たに戦力を加えた事により、各世界の重鎮達は彼等にインペリウム帝国の対処を命じた。

 

各国の重鎮達の思惑を理解しながらも、彼等は敢えてそれに乗る。利用される為ではない、全ては世界をより平和に近付ける為に彼等は戦う。

 

自分の意志で、自身の決意と共に……一行はサンクキングダムへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

「クロウ!」

 

サンクキングダム。そこでインペリウム帝国と激闘を繰り広げていたZEXISだったが、アークセイバーの一人であるシュバル=レプテールが駆るエメラルダンの猛攻によって、ZEXISの勢いは押され気味にあった。

 

しかもその最中、部隊の要の一つであるブラスタが大破。新種の次元獣と二機のアークセイバーの猛威により、ZEXISは徐々に窮地へと追い込まれていた。

 

「チィッ、これじゃ埒があかねぇ。シモン! 俺達のドリルで一気に風穴空けるぞ!」

 

「分かったよ兄貴!」

 

「グレンラガンだけ任せるわけにもいかねぇ、斗牙! 俺達も行くぜ!」

 

「分かった!」

 

「キラ、俺達で突破口を開くぞ!」

 

「うん、アスラン!」

 

追い込まれながらも士気を高め続ける彼等は流石歴戦の勇士と言えた。新種の次元獣の猛攻を凌ぎ、避け、隙を付いての反撃。これまでの戦いを経てZEXISとZEUTH、共に成長し、進化していった。

 

「いいねぇこの感じ、熱くなって来たじゃない!」

 

「スザク、YF-505ポイント目掛けて撃て! カレン! 次元獣をその隙に輻射波動で討て!」

 

「了解!」

 

「分かってる!」

 

「ヒイロ=ユイ! 私の後に奴を撃て!」

 

「……了解」

 

敵対していた者達が一時的に手を取り合い、強大な敵に立ち向かう為に共に戦う姿は……皮肉にもサンクキングダムが理想としていた世界の姿でもあった。

 

ほんの僅かな合間の共闘、互いに思うところはあるものの、今は目の前の敵を倒すために互いに協力しあう。

 

世界の枠を越えても尚繋がるモノ、それは確かに存在するものだとクォーターの艦長、ジェフリーは確信する。

 

この調子ならインペリウム帝国の打倒も近い。ガイオウの力は未だ未知数だが、やれない事はないと誰もが思った時。

 

「───っ! 新たな機影を確認! これは……ぐ、グランゾンです!」

 

マクロス・クォーターのオペレーターからの報告と同時に、上空から現れる蒼き魔神の出現により戦場は凍り付いた。

 

深い蒼、魔神と呼ぶに相応しい風貌と力を有した第三者の介入によりZEXISとZEUTH、インペリウム帝国も彼の者の登場に視線が釘付けとなっていた。

 

「グランゾン、この戦場に介入するつもりか! リモネシアの時といい、奴は何を考えている!」

 

蒼き魔神──グランゾンを駆る蒼のカリスマの事を思い出すジェフリーは苦々しく呟いた。

 

砂漠で連合軍を無力化させた事といい、リモネシアでガイオウ一人に危機に陥った時といい、奴の行動は不確かなものばかりだ。

 

「……まさか、我々に味方をしているつもりなの?」

 

唯一可能性がありそうな答えに、スメラギはそんなバカなと否定しながらもその言葉を口にする。

 

最初はボートマン……エルガン=ローディックからの使者かと思った。彼は国連に身を置きながら未だ謎の多い人物だ。グランゾンの様な隠し玉があると言われても不思議ではない。

 

だが、その可能性をエルガン自身が否定したのだ。あんな機体は知らないと、冷静で物事に対して堂々している彼が、珍しく目を丸くして知らないと言ったのだ。

 

───嘘も言っている様子はなかった。なら一体目の前の魔神は何なのか、一向に答えの出ない難問に頭を悩ませている合間、グランゾンはサンクキングダムの大地に降りたった。

 

『おのれぇ、また出会したな魔神! 今度こそ貴様を打ち倒し、ガイオウ様への手土産にしてくれる!』

 

シュバルの駆るエメラルダンが標的をグランゾンに絞る。双槍を携え、背中からのバーニアを噴かせて飛び出してくる。その突進力と破壊力は凶暴な闘牛を思わせる。

 

だが、目の前の魔神は華麗に闘牛を捌くマタドールではない。建築物を破壊しながら突っ込んでくるエメラルダンを、グランゾンは凶悪な剣を異空間から取り出し、真っ向から受け止めたのだ。

 

『っ、何だと!』

 

機体の大きさはエメラルダンの方が上だ。それ故に超重量級の重さを誇り、そこから繰り出される一撃は先のブラスタと同じで並の機体ならそれだけで粉砕される一撃だった。

 

『こ奴、まさかここまでの力を有していたとは……っ! 以前あの島国で戦った時とはまるで別人ではないか!』

 

『そういう貴方は前より迫力が欠けているな?』

 

『っ!』

 

『隙あり、だな』

 

魔神からの音声通信にほんの僅か動揺してしまうシュバル。近接戦闘において一瞬の油断も命取りであることを知る彼はすぐさま回避しようと機体を動かすが……。

 

それよりも速く、魔神の一撃がエメラルダンを切り裂いた。背中に収容されていた武装ごと片腕を切り落とされ、駆動部にも損害が出た事により、エメラルダンは事実上戦闘不能。

 

エメラルダンのコックピットの中で、シュバルは苦々しくコンソールを叩く。

 

……戦場が静まりかえる。理性の無い筈の次元獣達ですら、目の前のスーパーロボット達にではなく魔神を警戒している。

 

アークセイバーの一角が呆気なく崩された事実にZEXISとインペリウム、そのどちらもが目を剥いて言葉を失っていた。

 

ただ一人、破界の王とされるガイオウだけは愉快に口元を歪めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………やっべー、マジどうしよう。サンクキングダムを探すためにアチコチ飛び回っていたらすっかり遅くなってしまった。

 

そして漸く見つけたと思ったら、噂のZEXISとインペリウムが先に戦ってたし、これじゃ俺が乱入者じゃん。

 

一人で戦うつもりだったからこれはこれで嬉しいけど、これでは空気の読めない奴みたいじゃん。ZEXISの皆引いてるじゃん、完全に色々ぶち壊しだよ俺。

 

しかもこの間のデカい奴も勢いに乗って倒しちゃったし……つーか、今の人何気に手を抜いたよね? リモネシアで戦った時とはまるで攻撃に鋭さがなかったからビックリした。

 

 ……さて、後は残っているのは次元獣共と白い奴、そしてガイオウだったな。

 

あのデカい戦艦は敵性標的から排除。あそこにはシオニーさんも乗っているのだから流れ弾が当たらないよう気を付けねば……。

 

残りの次元獣は他のスーパーロボット達が相手をすることにして……。俺はここで仮面を被りオープンチャンネルと映像回線を開いてスーパーロボット軍団の皆に伝える。

 

『敵はまだ残ってます。ご助力しますよZEXIS』

 

『蒼のカリスマ……貴殿は何の為にここに来た?』

 

何の為か、そう言えばこれまでそういうものを抱いた事はなかったな。当時の慌ててばかりの自分を思い出し、自然と笑みが零れる。

 

『ククク……、以前も言った筈ですよ。私は自由を求めると。彼等がいると私も色々困るのでね』

 

早いところリモネシアに帰って復興のお手伝いをせねば、あと子供達にお菓子を買ってあげなきゃいけないし……。

 

少しばかりの沈黙。悩んだ様子を見せるジェフリー艦長は一度だけ頷くと、共闘の了承を伝えてきた。

 

『……了解した。貴殿が此方に危害を加えない限り、敵対しないことを約束しよう』

 

少し言葉に刺がある気もするが……まぁ仕方ないだろう。怪しさMAXの自分がいきなり参戦しようというのだ。部隊を指揮する身としては当然だよね。

 

ただ、ジェフリー艦長の判断が気に入らないのか、部隊の人達の何人かが滅茶苦茶ブーイングしてきた。竜馬さん辺りなのかなと思って其方に視線を向ければ、新顔らしきロボットの数体が此方に警戒と敵意を向けている。

 

え? なんでそんな怒ってるの? この間の砂漠での出来事まだ怒ってるの? いやでもあの時はキミ達いなかったよね?

 

何故ここまで自分が敵視されてるのか、自分自身でも理解出来ないまま呆然としていると、インペリウム帝国の母艦である巨大戦艦から……奴が現れた。

 

『ハーッハッハッハ! まさかテメェの方から来てくれるとはなぁ、歓迎するぜぇ? グランゾン!』

 

『───ガイオウ』

 

自身を巨人に姿を変え、玉座の様な次元獣を呼び出して腰を下ろすガイオウ。

 

ここがターニングポイントだ。目の前の脅威を叩き潰すことで前に進むことを決めた俺は、グランゾンのバーニアを点火させ、破界の王に向かって突撃する。

 

……さぁ、いい加減腹を括るとするか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フフフ、その調子で頼むぞグランゾン。オリジン・ローへの道を開く為に』

 

 

 

 




次回、いよいよアレを出します。

追記

時獄篇の時の牢獄ですが、アレってグランゾンなら壊せそうに思えるのは自分だけ?

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