『G』の日記   作:アゴン

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今回はほのぼの編


その83

 

 

/月β日

 

Z-BLUEでお世話になって二日、仮メンバーとして彼等と行動を共にしている自分は、今日も彼等と同じ所で時間を過ごしていた。

 

シュナイゼルの伝手からトールギスⅡの部品を受け取り、機体整備及び調整をすることで、トールギスⅡは以前と同じ姿を取り戻し、無事戦闘にも復帰出来るようになった。地球至上主義を掲げる連中の目もあっただろうに……それでもシュナイゼルの変わらない手回しの早さには、最早感心を通り越して呆れるばかりである。まぁ、感謝はしてるけどね。

 

その後、トールギスⅡの完全復活を果たした自分は整備施設を貸してくれたZ-BLUEに報いる為にアレコレ手伝ったりしていた。

 

例えば生活班の皆さんの手伝い、カレンちゃんやアムロさん達戦闘員を生活で支えるには中々大変で、毎日栄養面に気を遣っていなければならない。更に言えば万年人手不足であるこの部隊は常に生活面では脆い部分があり、時には戦闘員である彼等まで手伝う事がある。

 

戦いと生活、そのどちらも大変な事でありどちらも疎かには出来ない重要な部分だ。中には食べ盛りであるワッ太君や正太郎君もいる。そんな彼等を少しでも支える為に自分はあらゆる所から手助けをする事にした。

 

まずは料理に関する事だ。食事というモノは生活の基本となる所、食材を無駄に余す事なく決して手を抜いてはいけないとオードリーちゃんやクェスちゃんに簡単な料理を教えたりしていた。

 

二人とも最初はぎこちなかったけれど、徐々に慣れてきたのか最後の方は割と楽しそうにしていた。今回は簡単な味噌汁を教えたけれど、次回からはもう少し難易度を上げてもいいかもしれない。

 

次にワッ太君や正太郎君と言った学生組にも勉強を見ていたりした。正太郎君は優等生と言われていただけに勉強も出来て宿題もあっという間に終わらせる事が出来たが、問題はワッ太君の方だった。

 

彼は社長であると同時に遊びたい盛りの小学生だ。勉強に対する意気込みが足りないと周囲の大人から注意を受けたりしていたが、ぶっちゃけそれは間違いである。

 

勉強したくないというのは即ち勉強に興味が持てていないという事、勉強に興味を持てないという事は即ち教える側に問題があるという事。教師というのは何もただ教える事だけが仕事ではないのだ。

 

今日は取り敢えずワッ太君には、知るという楽しさを知って貰う事にした。彼の興味を引くもの、それらを題材にした勉強会は我ながら上手くやれたと思う。

 

その後、勉強に対して面白さを見出したワッ太君は、自分やスズネ先生に教えて貰いながら問題を解いていき、時間こそは掛かったモノのワッ太君は遂に一人で宿題をやり遂げる事に成功した。

 

この時ワッ太君の会社の専務である梅麻呂さんにお礼を言われたけれど、こちらにとっても楽しい時間だった為、その必要はないと返した。

 

この時に一緒だったシンジ君とも一緒の時間を過ごした事で少し仲良くなれたと思う。未だ自分には挙動不審な所があるけれど、次の機会ではもっと打ち解けていると思う。……時折、彼の保護者であるミサトさんからの視線がキツかったけど、まぁ仮面を被っている奴が教師の真似事をしても警戒心を煽るだけだろう。

 

その理由もあってか高校生組───というより、新メンバーの子達とは全くと言って良いほど親身に慣れなかった。勉強自体は話を聞いてくれたけどエレメントの子達はサザンカちゃん以外全然相手にしてくれなかったし、相良君に至っては近付いただけで銃を向けられてしまった。この時は周りに子供達がいたので無力化させて貰ったが、それが原因で更に警戒心を抱かれてしまった。

 

けど、ユノハちゃんとは少しばかりお話が出来た事から決して無駄な時間ではなかった筈だ。彼女は姿を消していた自分に気付かれた事を酷く驚いていたが、姿を消すだけで見つからないという結果に繋がると思うのは早計だと教えてあげた。

 

カレンちゃんも学校には通えていても再世戦争の頃は殆ど勉強はしていなかったみたいだし、コレを機に単位を取り戻せる様にしてほしい所である。

 

中々有意義な時間を過ごせて自分も満足していたのだが、何故かスズネ先生は最初の時の様な元気さはなくなり、勉強会が終わる頃には隅でうずくまっていた。

 

具合でも悪いのだろうか? 声を掛けようにも何故かカレンちゃんやアルト君達からはやめておけと止められてしまった。今も部屋で引きこもっているみたいだし……スズネ先生、大丈夫だろうか?

 

さて、そんな訳で午前の部だけで中々濃かったが、午後はそれ以上に濃密な時間を過ごせた。

 

トールギスⅡの性能を完全に引き出す為にシミュレーターによる模擬戦闘を繰り返していたのだが、やはりグランゾンとは勝手が違う所為か、昨日から中々白星を挙げられずにいた。

 

相手はνガンダム、アムロさんを相手にしたデータ上の戦闘だが、いつも後一歩の所で逆転負けしてしまっている。アムロさんが言うには何でも自分の操縦が少しばかり問題で機体を振り回している節があるらしく、もう少し機体性能を把握して動かした方が良いというアドバイスを受けた。

 

振り回されているのではなく振り回している。やはりグランゾンばかりに頼っていた所為で操縦に変な癖でも付いてしまっているのだろうか? いや、グランゾンとトールギスⅡとはそもそも機体設計から違うから仕方がないと思うんだけどね。

 

とはいえ、言い訳ばかりしていても仕方ないし、折角アムロさんが貴重な時間を割いて自分にアドバイスをくれたのだから、コレを機に色々と試してみた。

 

機体性能を正確に把握するには、より機体を知る必要がある。整備員の視点からでは得られないパイロットとしての知識を身につける為に、自分はこの時から様々な機体に乗ってシミュレーターを開始した。

 

キリコさんが乗るATを始め、カレンちゃんの紅蓮、アルト君達のVFシリーズ、シン君やデュオ君達のガンダムといった風に本人達に無理を言って許可を貰い、シミュレーターで使わせて貰った。

 

特にミスリルのASに乗せて貰うのは苦労した。最新のASなだけあって自分の様な不審者に乗らせるのは気が引けるらしく、マオ曹長は頑なに頷いてくれなかった。まぁ、自分の事を考えれば仕方ないけどね。

 

けど、それも自分の事は機体内にある監視カメラで監視するという事とデータを取らせて貰うという条件で許可を得られた。流石にダンクーガやアクエリオン、ユニコーンを始めとした特殊な素質を必要とする機体、ヒビキ君のジェニオンといった専用機には乗れなかったけれど、大抵の機体にはこれで乗れたと思う。

 

後は竜馬さんのブラックゲッター位なんだけど……竜馬さん顔が怖いから中々声を掛けにくいんだよね。破界事変の時のトラウマが蘇って来そうでどうにも慣れない?

 

EVAに至ってはもうロボットかどうかすら分からない位だし……つか、あれ見る限りロボットじゃなくね? みんな気にしていない様だけど、何故か気になるんだよね。博士の因子が高まりそこら辺の記憶がどうもあやふやになっている。多分、前の頃の俺はEVAについて何かしら知っていたんだろう。

 

ともあれ、これだけの機体を操作した事により、メカニックに関してはかなり強くなれたのではないかと思う。特に、ゼクスさんのトールギスⅢに乗れた事で、トールギスⅡの癖もかなり掴めたと思う。

 

その所為でだいぶ負け越してしまったけど……まぁいいだろう。次は負けないよう精進していこうと思う。

 

 

 

/月Ω日

 

遂に、この時がやってきた。今日一日を振り返っての反応はまさにコレだった。

 

ネオ・ジオンの総帥、シャア=アズナブルが地球連邦に対し宣戦布告を行ったのだ。嘗ての仲間だった人からの戦争宣言に、アムロさんやカミーユ君は動揺を隠しきれずにいた。他の面々も戸惑っているが、長いつき合いだった二人にはかなり重い現実になる事だろう。

 

相変わらずシャアの思惑は計れないけれど、自分にああまで言ってグランゾンの使用を止めたのだ。きっと何かしらの深い事情があるのだろう。……尤も、ネオ・ジオンがリモネシアに攻撃を加える様な事をすれば、そんな約束は速攻破棄させて貰うけどね。

 

そんな訳でZ-BLUEはアムロさんの判断の下で行動する事になる。一年戦争の頃からシャアとの因縁が続くアムロさんが出した結論は、ネオ・ジオンの行動に注意しつつ慎重に行動しようという事だった。

 

どうやらアムロさんは自分の話を吟味した上でこの選択を取ったらしく、その表情も宣戦布告の時よりも幾分か晴れていた。恐らくはシャアの事を信じる気になっているのだろう。

 

そんなアムロさんの判断に基づき、地球で待機する事になったZ-BLUEだが、ここで自分はこの部隊とは別れる事を艦長達に伝えた。

 

今朝方、トールギスⅡにシュナイゼルから通信が届いて来たのだ。それも結構物騒な話らしく、どうやら地球至上主義の連中がZ-BLUEに余計なチャチャを入れようとしているのだとか。

 

確か、サイガス准将だったか? そいつが先のデキムが起こした争乱の報告で自分の姿を目撃し、Z-BLUEに合流したという情報を得ているらしく、今回も査察という名目の下、かなり強引な手段を用いてきたらしいのだ。

 

自分の存在が連中に知られればかなり面倒な事になる。それらの事をジェフリー艦長に伝えた自分は、明日の朝にでもこの部隊から去る事にした。状況からして何だか破界事変の時を思い出す。

 

ヒビキ君とはもっとちゃんと話をしておきたかったし、次に会うときは自分の素性を明かしてもいいのかもしれない。

 

 

 

 

 




Q次にボッチが主人公達と遭遇するのは何時?
A主人公が某酔っ払いと初めて出会う所辺りになる予定

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