『G』の日記   作:アゴン

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今回はあまり話がすすみません。

そして短い。


その84

 

 

 

@月o(`ω´*)o日

 

Z-BLUEの下から離れて数日、取り敢えず宇宙で情報収集を試みようとした俺は、トールギスⅡでネオ・ジオンの動きを探るべく、 衛星型コロニーのパラオに潜入していた。

 

本当ならネオ・ジオンの総帥たるシャアに直接情報を聞き出したかったが、相手は組織のトップ。蒼のカリスマである自分が近付いてはネオ・ジオンに余計な刺激を与える事になってしまう為、断念せざるを得なかった。

 

デキム=バートンが自決した今、クロノに関する情報を自分が知る中で一番持っていそうな人物がシャアなのだが、今述べた通りシャアの周りには護衛で固められており、以前の様に待ち構えていた形で会わないと話をする事すら困難の様だ。

 

しかも、彼の隣には必ずと言っていいほどハマーンさんがいるしね。新世時空振動の直後、何かの雑誌や記事で見たことがあるんだけど、いやぁ凄いね。女帝という言葉があそこまで似合うのは彼女位のモノではないだろうか? 覇気の強さもコーネリア元皇女殿下以上だし、真っ正面から向き合ったら胃がキリキリしてきそうである。

 

そんな彼女が常にシャアの隣にいるのではシャアに会いに行くことは叶わない。つーか、彼女に出会したら話し合い処ではなくなりそうだ。つまり、この蒼のカリスマはハマーンという女性に対して非常に苦手意識を持っているのだ。ビビっているともいう。

 

いやだってさ、彼女の目つきメッチャ怖いんだもの。そこらのチンピラでも震え上がりそうな眼だし、常に彼女の視線を受けているシャアの事を考えると……ちょっと同情してしまう。

 

そんな訳で直接シャアに訊ねる事はせず、地道にネオ・ジオンの勢力下であるここパラオでそれとなく地道に情報収集を行っていたのだが、やはりここの人達の殆どが緊張と不安でピリピリしていた。

 

無理もない。自分達のトップが地球連邦に宣戦布告をした以上、パラオにいる彼等だっていつ連邦から攻撃を受けるのか分からないのだ。加えてコロニーは生活するには過酷な環境だ。ミサイル一つで甚大な被害を受けてしまう可能性だってある彼等からすれば、シャアが宣戦布告したその日から戦場のど真ん中にいるような心境なのだろう。

 

そんな、誰もが緊張に包まれる状態では満足な情報なんて得られる筈もなく、訊ねた彼等に自分が連邦政府の人間では無い事をアピールするだけで精一杯だった。

 

何とか自分は無関係という事に納得してくれたが、ここに長居する事は出来なくなりそうだ。これ以上余計な疑問疑惑を生まない為にも、今からこのパラオから出て行こうと思う。

 

……それにしても、ジオンという光か。自分はUCWの人間でも宇宙移民の人間でもないから分からないけど、きっとここにいる人達にとってジオンはとても大事なモノなのだろう。助け合い、譲り合い、分かち合う、そうする事で生きてきた宇宙移民の人達にとってジオンは掛け替えの無い存在なのだろうな。

 

そんな彼等にとって連邦の地球至上主義の連中は天敵、シャアが連邦に対して敵対姿勢を取ったのも何となく理解出来る気がする。そこら辺の事情を考慮したからアムロさんはあの場ですぐに答えを出さなかったのだろう。

 

嘗て一緒に戦った戦友。その想いがあるからこそ信じてみたい彼の気持ちがあるような気がするから……。

 

アムロさんとシャア、この二人に待っている結末には果たしてどんな未来が待ち受けているのだろう。

 

 

 

@月*日

 

宇宙側での情報はひとまず置いて、取り敢えず地球に戻る事にした自分だが……この日、奇妙な連中と遭遇した。蝙蝠を模した自律兵器とミイラみたいな人型の無人兵器、後から調べて最近世間を賑わせていた“UG”なる連中と遭遇した自分は、向こうから仕掛けてきた事から応戦、撃退した。

 

戦っている最中に向こうの指揮官らしき機体が新たに出てきたけど……まさか、女性が出てくるとは思わなかった。音声通信のみでの会話だったし、直接顔を合わせた訳ではないからなんとも言えないけど、声の高さからいって女性で間違いないと思う。

 

女性と戦う事に一瞬戸惑ってしまうけども、戦いはその一瞬で命を落とす事もあるから一切の容赦を捨ててその指揮官機と戦ったのだけれども、途中から現れた宇宙魔王軍の乱入により戦場は掻き乱され、UGとの戦いは中断、魔王軍の相手を自分に放り投げるや否やそそくさと去っていってしまった。

 

その後の宇宙魔王軍との戦いも何とか退け、どうにか生き残る事に成功したけれど、指揮官の男が撤退際に不穏な事を口にしていた。

 

『次は宇宙魔王自らが相手になる』連中の親玉がそろそろ出張ってくるという情報に憂鬱になるが、相手がその気になっているのなら相手をするしかない。名前からして相当ヤバい相手だろうし、そうなったらトールギスⅡでは少々荷が重くなるだろう。

 

今回の戦いでもかなりの弾薬とかエネルギー、その他諸々激しく消費させてしまったし、オーバーホールを兼ねてそろそろこの機体もシュナイゼルに預け返した方が良いかもしれない。折角アムロさんのアドバイスで機体の扱い方を学んだと言うのに、まるで活かしていない自分の未熟が恨めしい。

 

勿論、もっと一緒にこの機体で戦っていきたい気持ちもある。だけどグランゾンとは違いこの機体は自己修復機能なんて搭載されていないのだ。自分の無茶で破壊する訳にはいかないし、何よりこの機体はトレーズさんの愛機だ。借り物の機体を自分の我が侭に付き合わせる訳にはいかない。地球に帰ったらすぐにシュナイゼルに預ける事にしようと思う。

 

そうなったらシャアの奴が色々思い悩みそうだけど……まぁ、そこら辺はどうだっていいだろう。そもそも奴の思惑に乗る必要は無いのだ。自分は自分のやりたいように動くことにしようと思う。

 

尤も、地球至上主義の連中とクロノ、これらの関係性がハッキリするまであまり無鉄砲な行動は出来ないけどね。

 

サイデリアルに関する情報もいい加減集めたい所だし、さっきのUGや宇宙魔王の事も頭に置いておく必要もある。……つーか、何故その宇宙魔王というのは自分の事を狙ってくるのだろうか? もしかして、以前螺旋王の時のようにグランゾンに興味を持っているとか?

 

俺の自意識過剰な考え……とかじゃないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある洋風居酒屋店、所謂バーと呼ばれるその店に二人の男女が席を並べていた。洒落た店、それなのに二人しか客のいない店、けれど二人はそんな事など気にも留めずに報告らしい会話を続けていた。

 

「そうか、奴と戦ったのか」

 

「あぁ、本来の機体ではないのに凄まじい強さだった。単騎で我らと、そして宇宙の魔王の手先を相手に奮闘するなど、噂に違わない実力者だったよ」

 

「おっかないねぇ。ま、だからといって俺達が負ける事はないんだけどな」

 

女性と同じ、軍人の格好をしていながら、酒に溺れる男はグラスを傾けて酒気に酔う。頬は朱く染まり、目尻はトロンと下がっているのにその瞳の奥にある感情は色濃く残っていた。

 

「魔と恐れられる怪物は天によって滅ぼされる。それは決して覆られない運命の様なモノだ」

 

空になったグラスを見つめ、男はその口元を厭らしく歪め、不敵に笑みを漏らすのだった。

 

 

 





時期的にはバナージ君がパラオに連れて行かれる前の話、もしパラオに留まり続けたら某赤い彗星とか、マリーダさんに遭遇出来たかもしれない。

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