『G』の日記   作:アゴン

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クロスアンジュtr.楽しみやでぇ。


その85

 

 

@月ν日

 

サイガス准将の横槍から逃れる為に少し早いけどZ-BLUEと別れ、地球に降りる事になった俺は、シュナイゼルにトールギスⅡを預ける為、彼が指定した座標地点まで向かった。先日UGと宇宙魔王の軍団と戦ったばかりでそんなに時間も経っていないのに、此方が要請した途端瞬く間に受け取り準備を済ませて、合流地点まで用意するという手際の良さは流石と言える事だろう。

 

最初は自分の報告に対して余りにも返答が早かった為に戸惑ったのだが、どうやらこの時既にナナリーちゃんの周辺警護について編成の見直しを行い、トールギスⅡの回収準備を進めていたというのだ。

 

どうやら奴は自分がトールギスⅡに無理をさせる事を予め予想していたらしく、通信で顔を合わせた際にそろそろ来る頃合いだったと口にしていた。

 

ナナリーちゃんとリリーナちゃんの誘拐、及びデキム=バートンの起こした騒動に関しても自分やZ-BLUEなら必ず片を付けると思っていたようで、戦闘が終了したのを見計らって一気に片付けてしまったのだという。そう語るアイツの表情は終始ドヤ顔のままだった。

 

で、その後シュナイゼルが指定してきた座標に向かった。場所は亜熱帯にあるとある無人島、リモネシア及びオーブに距離的に近いその場所で待ちかまえていたのは例の如くジェレミアさんで、クソ暑い所だというのに直立不動で自分の到着を待っていてくれていた。

 

相変わらずの忠義っぷりに感動する思いだが、彼から告げられる「今後こうした手助けは出来なくなるかもしれない」という言葉に、俺は少なからず衝撃を受けた。

 

どうやら地球至上主義、即ちサイガス准将の奴がシュナイゼルの自分に対する援助に何かしら気付き始めているらしく、最近は監視の目が厳しい為、こう言った手助けがし辛くなっているという。

 

直接会った訳ではないから何とも言えないが、サイガス准将というのはそこまで有能な人間なのだろうか。こう言ってはなんだが、シュナイゼルは相手に自分の意図を気付かせない事に関しては誰よりも長けている人間だ。アイツが下手を打つとも思えないし、やっぱりサイガス准将の……いや、地球至上主義の後ろには、アマルガムと同様クロノの連中が控えているのかもしれない。

 

そんな自分の推測に対しジェレミアさんはその考えは間違っていないと肯定してくれた。どうやらシュナイゼルも独自にクロノに付いて調べているらしく、色々動いているようだ。相変わらず行動力のある友人に頼もしさを感じるが、相手は未だその全貌を明らかにしていない未知なる連中だ。あまり無茶はしないで欲しいというのが自分の本音である。

 

尤も、そんなヘマをするような人間じゃないからそんなに心配していないんだけどね、アイツの事だから、きっとクロノに関する重要な情報を集めて自分を驚かせてくれるのだろう。

 

そんな訳で、ジェレミアさんからシュナイゼルに関する近況を聞いてトールギスⅡを預けた自分は再びグランゾンに乗り込み、情報収集の為に世界を巡る事にするのだった。

 

そろそろ手持ちの情報では考えが纏まり辛くなってきた。以前遭遇したUGやら宇宙魔王の情報を得たいし、何か切っ掛けが欲しい所である。

 

……所で、どうでもいい話なのだけれど、トールギスⅡをジェレミアさんに渡す際、どうして彼は自分の身体データが欲しいと言ったのだろうか? 何でもロイドさんを始めとした博士号を持つ人達が欲しがっているとの事だけど、正直嫌な予感しかしない。

 

悪い人達ではないんだけど、皆アクが強い人たちだからなぁ。変な事にならなきゃいいけど。

 

 

 

@月μ日

 

地球至上主義とクロノ、取り敢えずこの二つは間違いなく繋がっている。先のジェレミアさんとの会話でこの確信を得られた自分は、再びグランゾンと共に世界の諸国を巡って旅をしていた。

 

と言っても、グランゾンを直接呼び出したりはせず、身の危険が迫ってくる時以外は主に自分一人で行動してるんだけどね。地球至上主義とクロノの繋がりがあると確信した自分は今度はクロノの目的を探ろうとしているのだけれど、相変わらずこれといった実のある情報は得られず、今日まで空振りの日々を送っていた。

 

個人的にはアマルガム辺りがクロノに繋がっていると思っているんだけど……なかなか尻尾は掴めていない。アマルガムという組織自体が主体性を持たない特殊な組織な為か、クロノ同様にその全貌は明らかにされていない。

 

変わりに……というのはおかしな話だが、この間妙な奴と遭遇し、済し崩し的に戦う事になった。

 

“ミカゲ”自らを愛の敗北者にして最後の堕天翅と自称するソイツは、自分を見かけるや否や、街中だというのに有無を言わさずいきなり襲いかかってきたのだ。水色の骸骨? みたいな機動兵器を使って攻撃してきたからグランゾンで迎撃してこれらを撃破したのだが、一体俺が何をしたというのか、無傷なグランゾンと自分を見て不機嫌さを露わにしていた。

 

いきなり攻撃してきておいていざ迎撃したら舌打ちしてくるとか、マジ自分勝手過ぎるだろ。堕天翅というのは皆ああいう連中なのだろうか? ……いや、あの様子だとどちらかと言えばグランゾンの方に敵意が向いていたな。深淵者とか、何それ怖い。確かにグランゾンはボス級の力と風貌を兼ね備えた機体だけど、深淵者なんて言われたのは初めてだぞ。

 

加えてこのグランゾンはシュウ博士から頂いたモノ、あまりそんな無碍にするような言い方は謹んで貰いたい所である。

 

そんな訳でグランゾンを久し振りに操縦した自分は、ブランクを感じる事なく堕天翅の軍勢を撃退した。しかもトールギスⅡやZ-BLUEで様々な機体に乗って操縦技術について色々学んだ所為か、今まで以上に上手く扱う事に成功した。

 

特にワームスマッシャーに関しては、殆どロスタイム無しに撃ち続ける事に成功した。これまでは一度撃ったら数秒時間を有していたのに、今では殆ど間を置かずに同時一斉射撃が連続して行える様になった。

 

同時なのに連続とかおかしい事を言っているかもしれないが、そうとしか表現出来ないのでコレで良しとする。おかげで巻き込まれた街に人的被害は出なかったし、街自体にも攻撃は殆ど通さずあの青髑髏を倒す事が出来た。

 

やはり、ドラグーン使いであるキラ君のデータを参考にして良かった。彼のお陰で街は守れたといっても過言ではない。まだZ-BLUEには合流していなかったけど、今度顔を合わせたらそれとなくお礼を言っておこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、こんな所か。時間も結構経ってるし、今日の所はコレで終わりにしとこうかな」

 

乾燥し、しょぼしょぼしてきた目を瞼越しに指で撫で、今日はコレで終わろうとシュウジは席から立つ。

 

今彼がいるのは人のいないビジネスホテル。低価格な料金の割には居心地が良く、自販機の種類も多い。久し振りに当たりを引いたと喜びながらシュウジはベッドに横になる。

 

明日も早い。早い所クロノやサイデリアルの情報を集めて今地球に降りかかろうとする呪いを解かなければならない。決意を新たにしてシュウジが眠りにつこうとした……その時、唐突に扉の方からノックの音が聞こえてきた。

 

こんな時間に一体誰が。心当たりのない者のノック音に瞬間的に警戒心を高めたシュウジは恐る恐る扉に近付き、扉の向こう側にいる人物を覗き穴越しで見つめると……。

 

 

「こんにちは、僕は渚カヲル。君がシュウジ=シラカワ君で間違いないかな?」

 

「出来れば早急にここを開けて欲しい。何分、けが人がいるものでな」

 

銀髪と赤目が特徴的な少年と恩人と同じ名字を持つ褐色肌のおっさんが、それぞれ不敵な微笑みを浮かべて佇んでいた。

 

 

 




ボッチ「こんな時間に誰だろ?」
ヅラ「やるなら今しかねぇヅ・ラ☆ やるなら今しかねぇヅ・ラ☆」
不☆動「攘夷がjoy、joyが攘夷☆」

 取り敢えず110を連打した。




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