『G』の日記   作:アゴン

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今回、遂にあのボスと邂逅!?


その90

 

“アークグレン”大グレン団が保有する超弩級スペースダイガン。搭乗者最大30万人とされるこの宇宙船は、現在地球圏に迫り来るとされているインベーダー討伐の為、限られた戦闘員と共に予測されている出現ポイントに向かっていた。

 

「では、あなた方も不動さんに言われてここへ来たと?」

 

「えぇ、いきなり現れてインベーダーが迫ってくると聞いたときは驚いたけど、ウチの螺旋王ちゃんもその事を感知したらしくてね。Z-BLUEが行方不明となっている今、マトモに連中と戦えるのは私達しかいないと判断したロシウが、不動ちゃんから言い渡された座標に赴く決定を下したの」

 

アークグレンのブリッジ、そこではアークグレンの副艦長兼メカニック長を担当しているリーロンが蒼のカリスマに対し、ここに至るまでの経緯を話していた。

 

既に大グレン団にまで声をかけていた不動ZENの周到さに、蒼のカリスマはその仮面の奥で呆れの混じった驚嘆の溜息を漏らす。とはいえ、自分一人で片付けるつもりでいただけに、この助勢は正直有り難い。

 

ネオ・ジオンの協力が得られそうにない今、蒼のカリスマはこの際細かいことは気にしない事にした。

 

「しかし、まさかここでお前と合流するとはな。正直驚いたぞ、これならあの宇宙の破壊魔が相手でも何とかなりそうだ」

 

アークグレンの艦長ダヤッカの言うように、大グレン団にとって蒼のカリスマの参戦は思いがけない戦力となった。再世戦争の時にインベーダーの大軍勢を相手した時も、彼とグランゾンの力は当時の戦況に大きく影響し、ZEXISも後の戦いに余裕を持つことが出来たのだから、彼等の蒼のカリスマに対する期待感は大きい。

 

「ご謙遜を、このアークグレンにも見た限り相当な防衛、迎撃システムが組み込まれていると聞いています。私がいなくともあなた方だけでどうにか出来そうなものですが……」

 

「あら、聡いわね。流石は蒼のカリスマって所かしら? 再世戦争の時はそんなに出してないはずのこの艦を見抜くなんて」

 

「そんな珍しい技能でもないですよ。整備関係に携わっていればそれなりに得られる能力です。……さて、そろそろ目的の座標に到着します。作戦の概要の説明を行いたいのですが……」

 

「作戦も何も、俺達のやるべき事は変わんないだろうが。な~にカッコつけてんだテメェはよ」

 

アークグレンのブリッジの扉が開かれて乗り込んでくる複数の男女、先頭を歩く金髪の男性の不敵な笑みを浮かべての登場に、蒼のカリスマもその仮面の奥で頬を弛める。

 

「そうは言いましてもキタンさん。相手は無尽蔵に等しい戦力を有していたインベーダーです。慎重すぎるというのはないと思いますよ」

 

「俺達大グレン団はどんな相手だろうと、真っ正面からブッ叩けば良いんだよ」

 

あくまで敵対する者とは正面から叩きのめす。キタンの変わらない真っ直ぐな性格に蒼のカリスマ───いや、シュウジは仮面の奥で苦笑いを浮かべる。けれど、確かに今回はキタンが言うように真っ正面から戦うのが正しい。

 

相手が罠や搦め手を使ってくる異星人や知性のある敵ならキタンの正直すぎる戦いは危険だが、今回の手は理性も無ければ知性も無い、破壊する事しか考えない化け物だ。そう言った輩には下手な小細工など通用せず、圧倒的物量で迫ってくる。言葉も交わせず、考えることも出来ない破壊魔が相手なら、こちらも真っ正面から相手した方が良いだろう。

 

幸い此方には突破力に優れた大グレン団が味方に付いている。戦力こそは少ないが、そこら辺は自分とグランゾンで補えばいい。そう判断したシュウジは僅かな思考の海から抜け出して二、三回程頷き、キタンに向き直る。

 

「確かに、キタンさんの言うことも正しい戦法でしょう。ならば私は後方に下がり、支援砲撃で皆さんのサポートに徹します。数少ない戦力で皆さんには負担を掛ける事になりますが……」

 

「なぁに、そんな事気にする間柄でもねぇ。お前がケツ持ってくれるなら、俺は遠慮なく暴れられるってもんだ」

 

「まぁ、確かに貴方なら私達全員のフォローをしてくれるとは思うけど……シュウジ、本当にいいの?」

 

「いいの……と、言いますと?」

 

「ほら、アンタってこういう戦いの時は率先して前に出てたじゃない。破界事変や再世戦争の時も結構一人で無茶していたみたいだし」

 

それは率先して戦っていたのではなく、その時は自分しか戦える人間からいなかっただけである。等と反論したかったシュウジだが、それだと自らボッチである事を自白するようなものなので、シュウジはヨーコの問いに答える事はせずに誤魔化す様に咳払いをすると、それを察したリーロンがこれ見よがしに話を逸らすのだった。

 

「あら~? どうしてヨーコがそんな事を知ってるのかしら? もしかして彼の事が気になって調べてたりしてたの?」

 

「は、はぁっ!? そんな訳ないでしょ! ただ当時のコイツの話を取り上げられていた情報誌を偶々目にしただけであって別にそんな気にしているとか……」

 

「あぁ、そういやあの頃は世界中から敵視されてたんだっけ。……ヤバい、思い出したらなんだか鬱になってきた」

 

「あの蒼のカリスマが落ち込んでいる!?」

 

「意外とメンドクサい人なのね」

 

横からヒソヒソと話しているギミーとダリーの二人の会話に胸を穿たれるシュウジ、そんな彼等を見かねたキタンが声を上げて場の空気を引き締める。

 

「オラ、いい加減持ち場に戻るぞお前等! シュウジ、テメェもいつまでも落ち込んでんじゃねぇ! 」

 

キタンの喝ある言葉に気を引き締める大グレン団。そんな彼等に吊られてシュウジも立ち直り、彼等と共にブリッジを後にする。

 

その後、彼等はインベーダーだけでなく宇宙魔王軍ともやり合う事態に陥るのだが、久し振りに暴れるグランゾンの力によりこれらを撃退し、見事地球圏の防衛に成功するのだった。

 

尚、さらにその後に蒼のカリスマがヨーコのパイロットスーツを指摘した事によりひと波乱が起こる事になるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○月◎日

 

アークグレンと大グレン団、キタンさん達の協力のお陰で無事にインベーダーを退けた自分達は、現在地球に帰還すべく進路を地球に向けて航路を続けている。

 

本来なら連中を片付けた後、ネオ・ジオンの動向を調べるべくいち早く地球圏に戻りたかったのだが、インベーダーとの戦闘の最中に起こった幾つものトラブルの為にそれは叶わなくなった。

 

その原因の一つとして挙げられるのが宇宙魔王の軍勢だ。どうやら連中もあの宙域に用があったらしく、自分達とはち合わせると、連中はインベーダー諸共自分達に攻撃を仕掛けて来やがったのだ。

 

流石に数が多すぎてキタンさんだけでは負担が大きくなり始めた頃、終始後衛に務めるつもりだった自分が前線に加わろうとした時───奴が現れた。

 

“宇宙魔王”名前でしか知られていなかった奴等の親玉が遂に自分の前に現れたのだ。ブラックホールと融合する事によって一万二千年前の終末を乗り切ったと語る奴の力は、確かに魔王と名乗るに相応しい力の持ち主だった。

 

しかも奴はどうやら自分とグランゾンに興味を持っていたらしく、戦闘中自分はずっと奴の相手をする事になり、キタンさん達の援護に行けなくなってしまっていた。ブラックホールと融合した事によりマイナスのオリジン・ローそのものとなっている宇宙魔王との戦いは中々苦戦を強いられ、自分は奴の発するブラックホールに飲み込まれないようにしながら戦うだけで精一杯だった。

 

ネオ・グランゾンになれば奴にも対等以上に戦えたのだが、そうなる前に事態は動き、自分達の危機はあっと言う間に覆される事になる。

 

なんと、先の再世戦争で眠りについた筈の真ドラゴン───號君達が自分達の助勢に駆けつけてきてくれたのだ。ゲッターロボの集合体で対インベーダーの切り札とされる彼等が来てくれたお陰で戦線は覆され、自分も宇宙魔王の相手に集中出来た事により連中を撃退する事に成功した。

 

まぁ、それでも危ない場面はあったんだけどね。途中アークグレンから、戦闘宙域の付近に巨大な氷塊が漂っていて、しかもその中に生体反応があると知った時は割とマジで焦った。しかもその時宇宙魔王の奴がブラックホールを発生させてインベーダー諸共自分達を始末しようとするのだからさぁ大変、その時は自分もBHC(ブラックホール・クラスター)で奴とは別ベクトルの重力の塊を放ち、ぶつける事によって相殺出来たのだが、僅かでもタイミングがズレれば二つのブラックホールが融合し……最悪、太陽系ごと消失させる所だった。

 

ともあれ、自分と宇宙魔王が派手にやり合った事により巻き添えを食ったインベーダー共は全滅、宇宙魔王の軍勢もその戦力の半数を失った事により撤退、例の生体反応を示していた氷塊もその氷塊ごと回収した事により事なきを得た。

 

氷塊は全長200メートルを超える巨大な代物であったが、アークグレン自体が巨大な格納庫を有していた為、そこら辺はさほど問題はなかった。

 

今は號君達とリーロンさん達が話をしているだろうが、自分はそれに混じらず格納庫で例の氷塊の中にあった巨大な人型機動兵器を調べている。本当なら自分も話に混ざるべきなのだろうが、グランゾンと宇宙魔王との戦いの余波によりヨーコちゃん達の機体は早くもボロボロになってしまっている。大グレン団の機体をあそこまで消耗させてしまった原因は自分にある為、自分はリーロンさんに頼み込み、彼等の機体を責任以て整備する事にした。

 

しかし、何故だろう。あの巨大ロボットを見ていると何だか頭の奥がモヤモヤする。知っているようで知らない、そんなもどかしさがあの機体を見る度に感じる様になる。

 

いや、多分あの機体のことを自分は知っていたのだろう。博士の因子を受け入れた事により、自分の記憶は限定的にだが虫食い状態となってしまっているのだから、恐らくあの機体へのもどかしさに関しても、その虫食い状態の記憶に起因するものなのだろう。

 

何とも言えないもどかしさはあるが、今は別にそれで良い。幸いパイロットの子は冷凍睡眠状態でいただけだったから命に別状もなく、時間を置けば直に目を覚ます事だろう。

 

────と、まぁ今回の所はこれで終わりだが、最後にもう一つ気掛かりな事が出来た。宇宙魔王との戦いの際、奴が俺に向けて言ったあの言葉。

 

“獣の血、水の交わり、風の行き先、火の文明、そして……太陽の輝き”一体この言葉を意味するのは一体なんなのだろう?

 

それに奴が言うには、既に俺は太陽の輝きに近づきつつあると言う。これも意味はよく分からないが、要するに自分は今後も宇宙魔王みたいな輩に絡まれる可能性が大いにあるという事だ。

 

……まぁ、再世戦争の終わり頃には自分も自覚してたから別にいいんだけどね。アンチスパイラルにも絡まれたし、ああいう手合いからは逃れられない、戦うしかないと分かってたしね!

 

 

 

 

 

 

 

────誰か、俺に安住の時間をくれ。

 

 

 




遂に出て来た宇宙魔王、さらっと出て来た太陽系消滅の危機。

実際、宇宙魔王とグランゾンがぶつかれば太陽系が軽く消滅しそうに思えるのは……自分だけ?


現在の主人公のライバル達

ガイオウ

アサキム

宇宙魔王←new!

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