『G』の日記   作:アゴン

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今回は基本ほのぼの回です。

主人公だけですが……。


その12

 

 

×月&日

 

 今日も色々あったがこの間の件もあるので、眠気を押し殺しながら頑張って書こうと思う。

 

さて、まずは何故自分がZEXISに身を寄せているのかと言うと、簡単に言えばグランゾンの整備がしたかったのだ。

 

度重なる戦闘とBHCという切り札まで使った為、いい加減グランゾンにも休ませてやろうと思い、どこか整備環境が整った所はないかなとサンクキングダムから離脱後に人気の無い所をウロウロしていると、偶然ZEXISと鉢合わせた。

 

これも何かの縁と思い、以前よりも気を使いながら話し掛けてみると、幾分か時間が経過した頃、クォーターの艦長であるジェフリー艦長が自分達の所に来て良いと返事を貰った。

 

そしてそのままここクォーターにお世話になっているのだが、いやー凄いね。SMSって民間の会社が運営している部隊って聞いてたけど、中の設備を改めて見ると凄い綺麗にされていた。

 

以前は緊張でそれ処ではなかったから、何だか嬉しいものだ。スタッフさん達もグランゾンの整備を手伝うと言ってくれるし……ホント、この怪しさ全開の自分によくつき合ってくれるものだよ。その優しさに仮面越しから涙が流れそうだった。

 

けれど、整備の人達も疲れが溜まっていたのかグランゾンの整備に取り掛かろうとした時、倒れて眠ってしまったのだ。

 

イアンさんも眠りこけてしまうし……これが戦場が日常のZEXISか、パイロットだけでなくそのスタッフさん達も日々大変な思いをしているのだなと、この時改めて知った。

 

ひとまずイアンさん達を格納庫の側に寝かせ、自分はグランゾンの整備に向かった。ゴウトさんから整備のノウハウを教えて貰っていたし、後は自分のやり方でグランゾンに日々の感謝を込めて万全に仕上げてやるだけ。

 

そう意気込んでグランゾンの整備に取り掛かったのだが……何というか、変なのだ。

 

被弾した覚えは無いから傷らしいものが無いのは納得できるけど……どこも損傷した形跡がないのだ。

 

普通機械というのは使えば使うほど何処かしら減ったり磨耗したりするものだ。それはグランゾンといえど例外ではない筈。

 

なのに消耗した形跡が欠片もない。確かにグランゾンはエネルギーの回復や機体の修復機能が密かに備わっていると聞いた事があるけれど……完全な無傷の状態なんて事が有り得るのだろうか?

 

ここら辺はシュウ博士に直接聞かないと分からない。そう思って今日は機体箇所のチェックをしてグランゾンを綺麗に洗ってやる事にした。

 

流石に海やら荒野やらと色んな所に放置していただけに所々汚い箇所があった為、今日はグランゾンを徹底的に洗浄する事にした。

 

ツナギに着替えて(仮面はそのまま)グランゾンを洗っている最中、ザンボット3のパイロットである勝平君が自分の所にやってきた。

 

軽く挨拶をしてみるが、勝平君は驚いた様子で格納庫から逃げていくのは少しばかりショックだった。……まぁ、幾らロボット乗りとはいえ彼は子供なのだ。自分の様な不審者にいきなり声を掛けられればあんな態度もとると言うものだ。

 

その後、無事にグランゾンの洗浄と機体箇所のチェックも終わり、未だに寝ているイアンさんを起こして用意された居住区の一室に戻る。

 

その途中、引きつった顔のイアンさんの顔が印象的だったが、何か変なこと言ったかな?

 

体調の事を心配したつもりだったけど……もしかしてイアンさんは整備士としてのプロ意識で休むことを拒んでいるのだろうか?

 

それはいけない。何事も体が基本だ。イアンさんという腕の良い整備士が倒れたとあってはそれは部隊の損失に他ならない。近い内に何か元気の出る料理でも振る舞おうかと思う。

 

自分は居候の身だ。最低限のお手伝いを心掛けながら今日はお終いにしようと思う。

 

あ、因みにカミナさんからグレン団に入れと誘いが来ました。

 

凄い嬉しかったけどその場では返事を濁した。何せまだ自分はインペリウムと完全な決着を果たしていないのだ。少なくともそれが終わるまで何処かに付こうというつもりはない。

 

それに、まだ自分はリモネシアの皆との約束を果たしていないのだ。せめてそれが果たされるまで返事は保留という事にしておく。

 

……キタンさん達、元気かなぁ。

 

 

 

△月/日

 

一言で言えば、今日は色々驚かせられた。何でもクロウさんの機体であるブラスタを修理する為にスコート・ラボに戻るというのだ。

 

天才科学者の一人と会える機会が来たと言うことで自分も同行、ラボに向かう道中でクロウさんから色々聞かされたりしたけど、ホント面白い人だわ。

 

自分も冗談のつもりである言葉を口にしたのだが……その所為でクロウさんのテンションはがた落ち、ラボに着くまでずっと無言だった。

 

流石に『近い将来、貴方の借金は倍になるでしょう』なんて発言は拙かったな。唯でさえ借金というものは憂鬱になるものだ。今後はもっと言葉を選ぶ事にしよう。

 

今度何かご馳走する事を約束し、何とかテンションを取り戻したクロウさん。たどり着いたラボの中で待ち受けていたのは、エスターと呼ばれる女の子と狐の仮面を持った着物の女性だった。

 

この着物の女性がスコートさん。若くして研究所の一つを丸々受け持った色々凄い人です。

 

早速話を聞かせて貰おうとしたが、生憎自分はクロウさんのついで、メインである彼を差し置いては失礼と思った自分はエスターちゃんに操縦の指導を行った。

 

何故そんな事になったのかは知らないが、今の自分はグランゾンを駆る蒼のカリスマだ。その腕を疑われた以上乗ってあげるのがパイロットとしての矜持というものだろう。

 

……内心ドキドキものでしたけどね! アクシオンとか乗った事のない機体の指導なんて出来る筈がないと思ってたけど、最初に見せた自分の手本が良かったのか、その後のエスターちゃんは割と素直に自分の指導を聞き入れてくれた。

 

つーか、シミュレーションとはいえ普通にグランゾン以外の機体を動かせた事にびっくりだわ。案外やれるものなのね。

 

そんなこんながあって漸く出てきたクロウさん。今度は自分の番だと彼がエスターちゃんと話している間に済ませようと博士の名前を出した時。空気も読まずに奴らが来た。

 

インペリウム、けれどシオニーさんがいるであろうグレートアクシオンの機影は確認できなかった。来たのは白い奴とアイムとかいう奴が乗るアリエティス、そして複数の次元獣達だった。

 

先日の仕返しに来たのか奴らは次元獣を引き連れて強襲、いきなりラボを攻撃してきやがった。

 

そしてエスターちゃんはインペリウム……いや、一緒に現れた白い次元獣に何らかの恨みがあるのかブラスタに乗り込んで単独で出撃、あわや撃墜の危機に瀕した。

 

流石にグランゾンを持ってきていない自分では無理だと、そう思っていたのだが……自分はあることについて思い出す。

 

確かシュウ博士とグランゾンって脳波システムで繋がってたりしたよね? 遠隔操作も出来たという事だし、ダメもとで呼んでみるが……来ちゃったよ。

 

そしてそのままブラスタを援護、クロウさんはすぐ様エスターちゃんと乗り換えて戦線に加わる。

 

自分が次元獣とアリエティス、クロウさんが白い奴と白い次元獣それぞれを相手してこれを撃退。どうにか乗り越える事ができ、白い次元獣に関しては撃破する事も出来た。

 

何でもあの次元獣はエスターちゃんの村の仇だったらしく、撃破した後エスターちゃんはクロウさんに抱きついていた。

 

そうそう、その時クロウさんの機体から奇妙なエネルギーを観測した。ZEUTHとかいう別世界の人達からの話によると、クロウさんの機体の動力源はスフィアなんじゃないかと言われている。

 

スフィア。確か俺を殺そうとしたアサキムもスフィアがどうとか言ってた気がする。あの時は意識も朧気だったからよく覚えてないけど……。

 

そして最後に……これは余談なのだが、クォーターに帰投する際に格納庫のハンガーが見えた。どうも自分が呼んだときに呼応してハンガーをこじ開けてしまったらしいのだ。

 

やべぇ、もしハンガーを壊した事への請求書とか来たらどうしよう。俺もクロウさんと同じように借金持ちになるのだろうか。

 

今の所そんな様子はないから良いが……もし請求書が送られてきたらロジャーさんに相談しようと思う。

 

あの人交渉人らしいし、何らかのアドバイスをしてくれるかもしれない。

 

借金の重責に震えながらも今日の所は終了する。

 

あ、そうそう。今更だけどスコートさんから話を聞くことが出来ました。

 

結果はそんな奴知らないの一言で終了。本格的に手掛かりがなくなって、ホントどうしようかなと思ったりしている。

 

まだインペリウムの連中とは決着を付けられていないままだし、焦らずに頑張ろうと思う。

 

 

 

△月*日

 

今日は近頃地球に侵攻しているギシン星人達と戦闘した。何でもタケル君はスンゴい超能力の持ち主らしいが、同時にズール皇帝と深い関係にあるらしいのだ。

 

人の出生なんて人それぞれなんだし、そもそも蒼のカリスマなんて名乗っている自分が人を怪しむ道理などないのでそれは置いておく。

 

で、重要なのはここからなのだが、どうやら相手側の指揮官機にタケル君のお兄さんが乗っているという事なのだ。

 

どうもズール皇帝に洗脳されているらしく、説得を試みるから助けて欲しいと頼んできたのだ。

 

お兄さんを助ける為と自分も参加する事にした。そもそもグランゾンは対異星人用に開発された機体だ。ここぞとばかりに自分は出撃したのだが……。

 

だ~れも来ない。敵どころか味方さえも自分に近付こうとしなかった。え? もしかして俺無視されてる?

 

 ……べ、別に寂しくなんかないんだからね! 通信ではカミナの兄貴が時折声掛けてくれたし、全然寂しくなんかないんだから!

 

まぁ、お陰で自分には殆どやることがなく、偶に此方にやってくる敵機を撃ち落とすだけで、特に変わった事はしていない。

 

その後、タケル君はお兄さんと話をしたけど、良いところで逃げられる。落ち込むタケル君を自分なりに励ましながら今日はそれで終わりとなった。

 

……それにしてもタケル君か、どこぞの恋愛原子核とかじゃないだろうな?

 

 

 

△月Σ日

 

最近、ルウちゃんにカウンセリングを受けようか本気で悩む俺がいる。

 

あ、ルウちゃんというのはDチームの専属カウンセラーで、心に不安や問題を抱える負担を心理的に軽くしてあげる役目を担ってくれている。

 

そこで何故自分が出てくるのかというと……最近、自分が部隊から浮いている気がするのだ。

 

そりゃハンガーを壊したり問題もあるように思えるさ、けどさ、もっと皆フランクになっても良いと思うんだ。

 

ゼロを見てみ! 俺と対して変わらない格好してるのに皆それなりに柔らかい態度で接してるんだよ! なのにそこへ俺が行くと途端に場の空気が悪くなるんだよ?

 

訳が分からないよ!(───以下、ボッチ喚き散らし中)

 

 

 

……まぁいいよ。別に親しくしてくれるのはカミナの兄貴だけじゃないし。赤木さんとかクロウさんとか、レントン君とか他にもスザク君とか?……えーと、色々いるし!

 

もう俺の中ではマブ達だもんね! ズッ友だもんね! 一人じゃないもんね! 寂しくないもんね! やーいやーい!

 

(───以下ボッチの幼児退行につき省く)

 

 

 

……さて、色々発散した事で話を進めよう。今、ZEXISは暗黒大陸に向けて移動している。

 

何でも暗黒大陸を統べるロージェノムが螺旋四天王の一人を国外に向けて進軍させているという。

 

これを退治すべくZEXISは暗黒大陸に向かうという。……暗黒大陸かぁ、懐かしいな。

 

キタンさん達無事かな。今度はちゃんと謝りに行きたいな。

 

さて、明日も早いから今日はこれで眠るとします。おやすみなさい。

 

……そう言えば、あのエルガンっておっさん。話の最中やたらこっち見てた気がするけど……一体何だったんだろう?

 

もしかして俺の仮面が欲しいとか? ……まさかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───マクロス・クォーター ブリッジ。

 

 

「……彼は、もう眠ったのかね?」

 

「はい、変わりなく、いつものように仮面を付けたまま熟睡しています」

 

「……彼を監視して暫く経つが、中々尻尾を掴ませんな」

 

「ソレスタルビーイング、ヒイロ達、そしてゼロもそれとなくアプローチしていますが、今の所はなんの成果も上げられていないようです」

 

「赤木はそんな奴には思えないと言っていますが、ZEUTHの懸念もあります。彼らの不安が払拭するまで監視は怠らない方が良いかと思います」

 

「うむ、なら今後も監視は順次交代を繰り返しながら行うとしよう」

 

 

 

 

 

 




◇ツナギ姿の蒼のカリスマ。

夜も遅く、誰もいなかった為その時勝平が見たものは幻となっている。

だが、暫くの間勝平はツナギのウホッなカリスマに公園で出会す夢を見ることになる。

知らず知らずの内に子供にトラウマを植え付けた蒼のカリスマだった。

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