『G』の日記   作:アゴン

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遂に始まったFGO最終章、この戦いの果てにマロンはぐだ夫は、そしてマシュはどんな答えを得てどんな選択をするのか。

冠位時間神殿───ソロモン───
英雄たちとちっぽけな人間達の最後の冒険活劇を…………見逃すな!!

あ、本編もヨロシクです( `・∀・´)ノ



その131

 

 

 

サイデリアル。銀河を中心に存在する勢力の中で尤も強力な力を持つとされる彼等は、その過去に多くの星を征服し、或いは滅ぼしてきた。

 

水で出来た星があった。ガスやチリ、或いは鉱石のみで構成された星など、多くの星に存在する知的生命体は独自の文明を築き、繁栄していった。

 

それらを滅ぼしてきたサイデリアル、言い返せば多くの文明を目撃してきた彼等からすれば、辺境に位置する地球は大した事の無いように見えても仕方が無いのかもしれない。

 

しかし、そんな彼等にも理解出来ないモノがあった。多くの文明を、多くの星を見てきた彼等にさえ目の前にあるソレを理解するには知識が、知恵が足りなかった。

 

ウネウネと体をくねらせる者、細身でありながら確りとした体つき、薄地の服からアリアリと見える肢体は幾度の修羅場を潜り抜けた肉体が浮かび上がっている。恐らく目の前の存在は多くの戦場を潜り抜けてきた猛者なのだろう。

 

そんな存在が、明らかに異なった性別の衣服を着用し、媚びた声色で話し掛けてきている。

 

理解が追い付かない。思考が纏まらない。多くの文明を滅ぼしてきた彼等にとって、目の前にいるソレは予想も想像も出来ない未知のモノだった。

 

人が未知なるモノと遭遇した時、抱く感情は然程多くはない。知性が、感情がある限り少なからず反応してしまう、そんな彼等が抱いた感情は────。

 

「な、ななな何だ!? 何だ!? 何だきき貴様ぁっ!?」

 

「く、来るな来るな来るなァァァァッ!!」

 

恐怖。未知のモノ、理解の外側にあるソレと遭遇した彼等は自己防衛にも似た本能に従い、制限の効かない衝動を恐怖という感情で発露した。

 

「やぁんもう、こんなか弱い女の子に向かってぇ、そんなもの突き出すなんて野暮ったい人達ねぇ~。ダメよ、女の子にはもっと優しくしてあ・げ・な・い・と♪」

 

総毛立った。眼前に迫りウィンクを飛ばしてくる未確認生命体(UMA)に、兵士達は己の自我が崩壊するのを確かに感じた。

 

理解が出来ない、したくない、してはいけない。兵士達はアレは人が近付いていけない邪悪なるモノだと確信し、それに対抗する為に彼等は自ら心を捨て、死兵となる事で眼前の化生に対峙する決意をした。

 

感情の映らない瞳で銃口を向ける兵士、何時引き金を引いても可笑しくはない状況、しかしそれでも目の前のソレは動揺もせず妖しく頬笑む。

 

「ウフフ、逞しい人達。でも、そういうの…………嫌いじゃないわよ」

 

含みのある言い方、しかし最早我慢が限界だと兵士達の引き金に掛けた指に力が籠る。相手が化け物の類いだとしても所詮は生命体、撃てば殺せると信じて彼等は引き金を引こうとするが、背後から迫るモノに気付かずに…………。

 

「初めまして、ジェレ子です」

 

兵士達に覆い被さるように現れたソレに今度こそ兵士達は白目を剥く。理解の外側にいる化生、それも二体の出現に兵士達は遂に緊急事態の報せも、応援の救援も出すことなく……。

 

 

 

 

 

──────ピギャー。

 

 

 

 

「…………気絶、しましたか」

 

倒れ、意識を絶つ事で自我の崩壊を食い止めた二人の兵士、倒れ伏す彼等を見て二人のUMA(バカ)は意外そうに見下ろしていた。

 

「まさか声を掛けただけで気を失うとは、やはり異星人には地球のような文化は無かったようですね。少し分が悪かったですが、この賭けはどうやら私達の勝ちのようです」

 

「まさか女装をする事で敵の目を欺くとは、流石はシュナイゼル様が友と認めたお方だ。その慧眼ぶりには敬服を抱かざるを得ません」

 

「なに、今回は彼等が地球とは違う別の星から来たという観点から模索した推察と推論が偶々合致しただけの事、本来なら危険な賭けだというのに、罵倒こそされても褒められる謂れは無いですよ」

 

「ですが、その賭けに挑んだのは他ならぬ貴方自身だ。シュウジ=シラカワ………いや、蒼のカリスマ殿、貴方は自分の行動にもう少し自信を持った方が良い」

 

「フッ、物好きですね貴方も。そうですね、忠義の塊とも言える貴方の言うことだ。ここは素直に受け取っておくとしよう」

 

フッと、互いに笑みを浮かべる二人。それはお互いに対する信頼の現れでもあり、これから挑む潜入に対する成功の確信でもあった。最早自分達に怖いものなどいない。後は速やかに基地内部へと潜入し、マリーメイアとシュナイゼルを助け出すだけだ。

 

検問所を越え、基地の内部へ潜入する。威風堂々と、自信に満ちた二人が一歩踏み出した時、シュウジ(女装)に一通の通信が入ってくる。

 

このタイミングで一体何だと、昂る気持ちに水を差されたシュウジは渋々とポケットにしまっていた通信端末を手にとって。

 

『潜入する前に着替えろバカ共! そんな格好で基地に潜入したら余計に怪しまれるだろうが!!』

 

基地の外れで此方の様子をMSのコックピットにある遠望カメラで様子見していたギュネイからの容赦ない罵声に、二人は渋々ながら元の格好に着替えるのだった。

 

「チェー」

 

『チェーじゃない!! あぁ、もう嫌だ。何でコイツに付いていこうと思ったんだ。…………俺のバカ』

 

作戦成功の為、基本的に通信は全員に行き渡る様になっている。そんな中、蒼のカリスマと行動を共にしているギュネイ=ガスは泣きたくなり、同じく一部始終を双眼鏡で見ていたレディ=アンは絶句し、彼等を挟んで聞いていたラウンズの三人は彼等に掛ける言葉が見付からず、苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────南米支部最上階、玉座の間。支配しつつある大地を見渡すように作られたその場所で、マリーメイアはいた。煌めくドレスを身に纏っている彼女は一国の姫君のよう。しかし実際はそうではなく、その空間の中央で両手を縛られ、跪く様に膝を着いている彼女は差し詰め、裁きを言い渡される罪人だった。

 

玉座に座るのはシュナイゼルやオデュッセウス、ギネヴィアと同じ嘗てはブリタニアの皇族として支配する側だった者。

 

カリーヌ・ネ・ブリタニア、曾てのブリタニア帝国の第5皇女。彼女は蔑みと憐れみの視線でマリーメイアを見下ろしている。

 

「今、ギネヴィアお姉様から連絡がありました。私達の兄であるシュナイゼル、並びにオデュッセウスは最後まで私達に従う意思は見せませんでした」

 

「…………」

 

「故に、お姉様は私にこう指示しました。“強情な愚弟から説得するのではなく、彼の親友の忘れ形見から従わせなさい” 流石のお姉様もシュナイゼルお兄様を従わせるのは無理だったみたいね。だから言ったのに、無駄だって」

 

ケラケラと笑うカリーヌ、その手に姉と同じ鞭を手に玉座から立ち上がった彼女は、ゆっくりとマリーメイアの下へ歩み寄る。

 

「シュナイゼルお兄様はトレーズや蒼のカリスマと出会ってから変わった。何事も執着出来なかったお兄様が初めて執着と呼ばれるものを得た。そんなお兄様を従わせるのはただひとつ、執着の元になっている貴女を利用すれば良いだけ。ギネヴィアお姉様は確かに怒ると怖いけど、その分視野が狭くなる。こんな簡単な事にも気付けないだなんて、お姉様ってばやっぱりちょっと抜けてるわ。ねぇ? あなたもそう思わない?」

 

ピシャンと鞭を打つ音が玉座の間に響く。マリーメイアの横で打たれた鞭は罅となって地面に亀裂を刻んでいる。カリーヌは熟知していた。人はいかにして恐怖するのか、どうやって絶望するのか、追い詰められた人間が最後はどんな行動を取るのか。

 

マリーメイアは自分達にとってシュナイゼルを従わせる為の餌でしかない。そしてカリーヌはその餌の重要性を理解していた。マリーメイアという餌が無くなれば、大人しかったシュナイゼルは牙をいつか自分達に向けてくる。それは自分達にとってどんなに危険な事なのか、カリーヌは重々承知していた。

 

承知して尚、彼女には余裕があった。何せ彼女にとってマリーメイアは取るに足りない小娘でしかない。頼れる者も、縋る者もない今、彼女にあるのは孤独と絶望しかない。そこへ自分が飴と鞭を用意してやれば容易く目の前の小娘は御せる。

 

そうすればシュナイゼルは此方に従うしかなくなり、サイデリアルも彼を従えた自分を無視できなくなる。そうすれば自分の地位は約束されたモノとなり、最早己を脅かすモノは居なくなる。

 

漸く得られるのだ。何者にも、どんな奴にも脅かされない安寧とした生活が。それを夢見て今まで泥を啜る思いをしてきたカリーヌは、これからの自分に期待を持ちながら目の前のマリーメイアを見下ろした。

 

最初の鞭の脅しでマリーメイアの心は挫いた。後は甘く囁くだけで自分の目的は達成される。そう思った彼女に…………。

 

「可哀想な人ですね」

 

「…………はぁ?」

 

微塵も屈していない、力強い意思を宿したマリーメイアの瞳がカリーヌを射抜いていた。

 

「貴女は、以前の私と同じです。いいように利用され、担がれて、騙されて、唯の旗でしかなかったあの時の私と」

 

「…………なんですって?」

 

「何も知らなかった。何も考えなかった。ただ言われた通りに、人形でしかなかったあの時の私。でも、リリーナ様が教えてくれた」

 

マリーメイアは語る。時獄戦役の時の自分の事を、デキム=バートンに操られ、ただそうあるよう振る舞う都合の良い人形だった頃の自分を。

 

自分の所為で、多くの人間を犠牲にした。なすがままだった自分の所為で沢山の人間の運命を狂わせてしまった。それはもう幼いからと言う理由で許されるモノではなく、マリーメイアは今後その為の罪滅ぼしに追われる人生になるだろう。

 

しかし、そんな自分に手を差し伸べてくれた人がいる。リリーナやナナリー、レディ=アン、自分を支えてくれる人が、自分を助けてくれる人が、こんな自分を守ってくれた人がいる。

 

目を閉じて、瞼の裏に甦るのは白いコートを翻したあの人の後ろ姿。自分の為に、親友の娘という理由の為だけに一つの軍隊を丸々敵に回したあの人。

 

「貴女にどんな事情があるのか、どのような経緯でそこにいるのかは存じません。ですが、私は貴女の思惑程度に負ける訳には参りません」

 

会いたい。私はあの人に会いたい。その為にも私はここで終わるわけにはいかない。止まる訳にはいかない。

 

あの人が死んだ? そんな訳がない。父が信じたあの人が、父が友と呼んだあの人が、そう簡単に死ぬなんて思えない。

 

「私はマリーメイア=クシュリナーダ、私の為に戦ってくれている人のため、私を信じてくれている人の為、徹底的に抗わせて貰います」

 

これが私の戦いだと、そう暗に告げるマリーメイア。地に膝を着いて罪人の様に扱われても尚翳らない彼女の眼に、カリーヌはどうしようもない苛立ちに駆られる。

 

「そう、なら…………精々耐えてみせなさいよ!」

 

振り抜かれた鞭、勢いよく振り抜かれた鞭はそのままマリーメイアの顔に向けて振り下ろされ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、そういう強情な所はお父さんと変わらないな」

 

しかし、届くことはなかった。

 

カリーヌが振り抜かれた鞭はマリーメイアの顔に届く直前に止められていた。その背中に、その姿にマリーメイアはあの時の姿を思い出し。

 

「蒼のカリスマ……シュウジの、おじ様!」

 

その表情に驚愕と喜びの笑みを浮かべた。

 

そんな彼女に蒼のカリスマは仮面越しに笑みを浮かべると、カリーヌの方に向き直り。

 

「さて、諸々言いたい事はあるが、取り敢えず一言で終らせるとしよう。─────マリーメイアちゃんに手を出して、ただで済むと思うなよ?」

 

静かに、怒りの感情を発露させるのだった。

 

 




ボッチは女性相手にもグーで殴れる。

次回は多分来年になるかも。出来れば異世界漂流日記の方で特別編を載せたいと思います。

主にボッチのもとの世界での生活の一部とか。

それでは次回もまた見てボッチノシ
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