『G』の日記   作:アゴン

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今回はやや短め。
そして、再びあの方がちょびっとだけログインします。




その16

 

 

 

γ月J日

 

ハロー、皆さんお元気ですか? あれから一日が経過した今日、現在自分はとうとう地球圏から離脱してグランゾンと共に宇宙にいます。

 

昨夜、いきなりダンディーなおじさんが押し掛けてきたと思いあわや警察に通報するかと思ったけど、冷静に話してみればなんとダンディーおじさんことサンドマンさんはあの不動さんのお友達なんだとか。

 

やっぱ渋いおじさんにはこういうダンディーおじさんが友人同士だったりするのねとか、妙な事を考えたりもしたが、それはさておきと自分はこのままじゃ色々気まずいと思い、蒼のカリスマの姿へと着替えてサンドマンさんを部屋に招き入れた。

 

都内のビジネスホテルにダンディーなおじさんと仮面を被った不審者な蒼のカリスマ(笑)が面と向かって座っている様は、かなりシュールな光景だったろう。

 

何も出さないのはアレなのでインスタントコーヒーを出してみた。見た感じ高貴な出の人っぽいからこういうのは飲まないのかと思ったけど、意外にも彼はこれを戴き、飲み干しただけでなく美味しかったとお世辞まで言ってくれた。

 

単なるインスタントコーヒーなのになんという紳士、律儀に礼を言ってくる目の前の紳士おじさんに、これが大人の余裕という奴なのかと一人で衝撃を受けてました。

 

さて、その後チョロッとだけ話をした後、サンドマンさんは手にしたスーツケースを自分の目の前に置き、開かれた中身を見て……俺は驚きが隠せなかった。

 

そこにはもう一着の蒼のカリスマの変装一式が詰め込まれていた。若干デザインが違ってたりするが、仮面に施された深い蒼を強調としたデザインと赤いラインが刻まれたソレは、どこかグランゾンを連想させる。

 

しかもサンドマンさんが言うにはこれは宇宙だけじゃなく深海やマグマ、防弾や防塵対応等々、あらゆる環境と状況に対応できる優れモノだとか。

 

オマケに素材は特殊な物質で出来ている為に羽の様に軽いときた。

 

あまりの高性能な宇宙服に驚きを隠しながらこれはなんだと訊ねて見ると、何でもこれは不動さんからのプレゼントなのだとか。これを聞いた時、最近色々頑張っている自分に対するご褒美なのだと、自分は勝手ながらそう解釈した。

 

不動さん。前から思ってたけどホンマええ人や。以前は余計なお世話とか日記に書いてたりその年で不思議キャラとかどうよ? とか思ってたりしたけれど、この場を借りて謝罪&感謝を示したいと思う。

 

不動さんありがとう! そして失礼な事言ってゴメンナサイ!

 

その後、自分に渡すものだけ渡したサンドマンさんは自分が新たな変装一式を受け取るのを確認すると、にこやかに微笑みながら部屋を後にした。

 

彼が出て行ったのを確認した後、自分はそれとなく渡された変装服を着てみると……うん、着心地や格好は兎も角、サイズまでピッタリだった事にビックリしたわ。

 

まぁフリーサイズとか言ってたし、自分の体に合わせてスーツが変異したのだろう。この世界ってそういう機能が発達してそうだし。

 

というか、サンドマンさんは自分の正体を知ってたりするのだろうか? そこら辺だけハッキリさせなかったから少し不安だが……まぁ、不動さんの友人だって言うし心配はいらないだろう。

 

何故不動さんの友達なら安心だって? だってあの人口堅そうじゃん。話したとしても絶対核心な所は上手い具合に誤魔化すでしょ。

 

もし不動さんが自分の事を言いふらす様な人だったら、自分は今頃世界から標的にされて地球で安心して暮らせなくなっていた所だ。

 

後でスーツを調べてみたけど、発信器とか盗聴器の類は付けられてなかったし、やっぱり杞憂だと思う。

 

まぁ、今度不動さんに会ったらお礼の序でに聞いておこう。こういうのはやっぱり直接聞いた方が手っ取り早いしね。

 

さて、慣れない宇宙に慣れる為にも少し移動しようと思う。近くにはフロンティア船団やコロニーがあるし、見つかる前に退散するとしよう。

 

追記として書くが、旧蒼のカリスマの変装一式は別に捨ててはいない。ワームホールの中で大切に保管しています。

 

勿論、通常時ではあの格好で宇宙ではこの格好と使い分けて着ようとも思っている。この時の自分はそんな最新の服装を前にテンションがやや上がっており、いつもより少し夜更かししてしまった。 

 

……けど、冷静に考えてみたら変装の服で喜んだりするのはもしかして自分だけだったりする? と、何故か虚しくなって落ち込んでしまったりする。

 

 

 

γ月I日

 

宇宙というのは常に暗闇だから時間という感覚が曖昧になってくるよね。あと無重力。重力が無いというのは何とも不思議な感覚で、地球に降りたったジオン軍が体が重いとか色々言ってた事を思い出す。

 

さて、今日は何が起きたのかというと……なんと、バジュラとかいう甲殻の虫を連想させる地球外生命体との戦闘でした。

 

幼虫っぽい奴とかカブト虫みたいな甲殻を纏ったモノ、さらには蟷螂とクワガタを融合させた見るからに戦闘に特化した奴とか次から次へと押し寄せてきた時は流石にチョッピリ焦った。

 

何せ群を成して押し寄せてくるのだから通常の機体ではその軍勢に呑み込まれておしまいだろう。

 

だが、そこは流石のグランゾン。押し寄せてくるバジュラの群を“グラビトロンカノン”で纏めて圧壊させたり、“ワームスマッシャー”で残らず串刺しにしたりと、数の暴力を個の暴力でねじ伏せてました。

 

やっぱグランゾンやべぇなと、改めてこの機体を畏れたり、一緒に戦ってくれたりしてくれてありがとうと礼を言ったりしながら再び放浪。

畏れたり、一緒に戦ってくれたりしてくれてありがとうと礼を言ったりしながら再び放浪。

 

なんか時折月の方から奇妙なロボットが攻撃してきたりするけれど、これも問題なく撃破。だが、出てくるのはそんなバジュラや正体不明のロボット群ばかりで、肝心のインペリウムは一切出てこない。

 

次元獣すら出てこないし、これは外したかな? と思われた時、フロンティア船団の方角から一機のバルキリーが飛んできた。

 

機体名はVF-27γ“ルシファー”で操縦者はブレラ=スターンさん。何故自分に接触してきたのかと訊ねると彼の機体を介して別の人から通信が入ってきた。

 

その人はグレイス=オコナーさん。かのシェリル=ノームさんのマネージャーで、最近は売り出し始めたランカ=リーさんの育成を手掛けたりしていたりと、その筋では有名なやり手の人。

 

何でも自分に協力して欲しいという話で、その代わりそれなりの支援をしてくれるという事。

 

流石に色々嘘くさいなぁとは思う一方、食料などが尽きてきた為に一度地球に戻ろうかと検討していた所だったので、彼女の申し出は有り難かった。

 

その後、秘密のルートでフロンティア船団に入港(でいいのか?)した後グレイスさんと出会い、ひとまず話は明日と言うことで自分は高級感の漂うホテルのスイートルームに案内された。

 

話によれば隣はシェリルさんやランカさんもよく使う部屋があるらしく、芸能関係と無縁だった自分は緊張し、仮面越しでソワソワしていた。

 

まぁ、実際会うことはなかったんだけどね。そりゃそうだ。ワザワザ怪しさ全開である今の自分が有名歌手である彼女たちに会える道理はない。

 

……何だか虚しくなってきたので今日はこれで終わろうと思う。

 

そしてこれもどうでもいい話だが、ZEXISで蒼のカリスマ姿で過ごしていた所為か、仮面を付けたままでも熟睡出来るようになった。

 

いやぁ、人間慣れるとどうとでもなるものだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────今、俺は久方振りに怒りを覚えている。握り締めた操縦桿の手には鈍い痛みが広がり、耳には仮面越しからでも聞こえる歯を食いしばる音が聞こえてくる。

 

朝、目が覚めると自分はホテルのスイートルームではなく、どことも知らない地下にいた。周囲は強化を施された人間に囲まれており、一体どうしたと混乱する自分の前に現れたのは下卑た笑みを浮かべたグレイス=オコナー。

 

彼女の言い放った一言に俺は目の前が真っ白になった。「シェリル=ノームとランカ=リーを攫った誘拐犯になって貰う」と。

 

彼女がそう言いきると同時に強化人間……いや、サイボーグに抑えつけられ、身動きを封じられてしまう。

 

自分が大人しく捕まった事を確認したグレイスは通信で誰かと話した後、自分を誘拐犯に仕立て上げた後、インプラント化して傀儡とすると言った。

 

あぁ、やっぱりまだ俺には色々足りなかったのだろう。警戒心とか相手を疑う事とか、今まで平和な世界で過ごしていた為に培ってきた物が見事俺を窮地に陥れた。

 

その後、俺はグランゾンを呼び出し爆発と同時にフロンティア船団から離脱。途中ブレラさんと同じルシファー機が追いかけてきたが容赦なく撃墜。

 

爆散していく機体に目もくれず、俺はグランゾンを二人が誘拐されたとされる地点にまで走らせた。

 

そこはバジュラの巣とされる地点だが……関係ない。二人を回収した後はBHCで諸共消してやろうかと思い現地へと向かったのだが……。

 

───全て、遅かった。

 

『応えろ! 蒼のカリスマ! 貴様がランカを、シェリルを攫った張本人なのか!?』

 

向けられた多くの銃口。激闘があったであろうその地で、俺はZEXISと向かい合う。

 

ネット回線に繋げば、既に地球圏に自分の指名手配が施されている。……やられた。どうやらアイツ等は最初からこれが目当てで自分に接近してきたようだ。

 

頭の中が怒りという熱で沸騰しそうになる。けど、心の底まで冷え切った自分はZEXISというスーパーロボット軍団と向かい合い……。

 

『さて、アナタがそう思うのならそうなのでしょう。アナタの中ではね』

 

そう、挑発紛いな言葉を口にする。

 

グレイス=オコナー、そしてその裏で繋がる者よ。

 

いつか、お前達には報いを受けさせる。

 

 

 

───『私』とこのグランゾンを利用した報いを、必ず。

 

 

 




あと二回、多くて三回程で破界篇は終了します。

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