『G』の日記   作:アゴン

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皆さん、今年のバレンタインは如何お過ごしでしたか?

自分は頼光ママや凄女マルタ、きよひーちゃん、オルタXちゃん等々から頂きました。

チョコ落とせよオラァン!?


その140

 

─────翠の星。先の大戦にて時の牢獄を破壊した際に次元の壁を破壊して現れたもう一つの地球。ネルフ本部で起きた時空振動によって蒼と翠、二つの地球の中間地点に跳ばされたZ-BLUEは、これからの皇国との戦いの為に部隊を二つに分け、二つの地球でそれぞれ新たな戦いを始める事となった。

 

そんな部隊の片割れ、翠の星へ向かったマクロスクォーターとトゥアハー・デ・ダナン。翠の地球に降り立つ際、サイデリアルの幹部のサルディアスに阻まれた一行は予定した北半球から大幅に逸れ、赤道付近にある“残されの海”へと降りる。

 

そこで遭遇した海賊やサイデリアルの部隊と戦う事になった一行は、途中から戦闘に参加したガロードのお陰で窮地を脱し、彼の仲介によって残されの海に存在する船団…………ガルガンティア号に案内され、そこに住む人々と交流していく事となった。

 

「いやー、それにしても良い所に来てくれたなガロード。お陰で助かったぜ」

 

「まぁ、そっちは連戦の続きで疲れていただろうしな。間に合って良かったぜ。さっきの部隊の中にギルターがいたら余計面倒な事になってたと思うしな」

 

「ギルター? 誰だそいつ?」

 

一行をガルガンティアの内部へ案内しながらこれまでの話をしていたガロードとアルト、その時耳にしたギルターという聞き慣れない人物の名前にアルトは何となく気になり、ガロードに聞き返した。

 

あぁ、ソイツはな────と、説明しようとしたガロードを遮り、アルトへと詰め寄る一人の少女。ハーイハーイ! とピョンピョン跳ねてアピールしてくるのは、ガルガンティアの一員であるメルティだった。

 

「ソイツの名前はギルター=ベローネ、自分の目的の為ならどんな手段も使ってくる典型的な小悪党だよ!」

 

「またえらくコテコテな奴だなぁ」

 

「あぁ、けど本当に嫌な奴でさ。ソイツの仕掛けてきた騙し討ちで一度はこの船団も奴に潰されそうになったんだ」

 

「ガロードがいたのにか?」

 

「うん、でも仕方がなかったんだ。あの時ガロードは外の連中を相手にするだけで精一杯で、とても私達を助ける余裕なんて無かった。髭の生えたアルアル言ってたオジさんも頑張って戦ってくれたけど、一人で奴等を相手にするのは大変だったみたいだし…………」

 

メルティの話す当時の状況、キメラという人工的に生み出された兵器を使い、基本的には非戦闘員で構成されたガルガンティア号を襲うギルター=ベローネという輩の卑劣さは、この時嫌と言う程彼等に伝わった。

 

「でも、その時ある人が私達を助けてくれたの! その人はサイデリアルの連中相手に丸腰で殴り飛ばし、次々と薙ぎ倒して行ったの!」

 

トリャー! と、当時の再現のつもりか拳を振るうメルティの様子を微笑ましく見つめながらも、その事を気になったアルトはどう言うことなのかガロードに訊ねた。

 

「メルティの言ってる事は本当だ。俺はその頃は哨戒任務に当たっていた時で当時の騒ぎも殆ど外にいたから詳しくは知らないんだが…………何でも、死んでた人間が生き返ったらしいんだ」

 

「何だって?」

 

「嘘みたいな話だけど本当の事だぜ。現にエイミーはその現場に居合わせたって聞くし、その甦った奴も船団に突入してきた兵士を全員ぶちのめした後はMSに乗って外の連中と戦ったしな」

 

「死んだ奴が生き返り、その上MSで戦闘したと、お前はそう言うのか?」

 

剰りにも出鱈目な話にこれ迄静観していた宗介も堪らず口を挟む。その場にいる誰もが同じ気持ちなのか、割り込む宗介に同意するように頷いている。

 

だが、その事を追求しても埒が明かない。死んだ人間が生き返ったという話は置いといて、MSという言葉が気になったアルトは、ガロードにその機体について話を聞く。

 

そして…………。

 

「機体が速すぎて型式番号とかは分からなかったけど…………あれは多分、トールギスだと思う。それも、再世戦争の時に俺達が戦ったトレーズ=クシュリナーダの」

 

その機体の名前を耳にした時、Z-BLUEの面々は驚愕に目を見開く事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たった一人の人間相手にスフィアリアクターが揃いも揃って何て様だよ」

 

ラース・バビロン。新地球皇国軍の最大拠点、玉座の間の更に奥深くに設けられた円卓の席で、それぞれのスフィアを持つサイデリアルの幹部達が、皇帝含め其処に座していた。

 

嘲笑の笑みを浮かべ、自分以外のスフィアリアクターに挑発するのは“怨嗟の魔蠍”のスフィアリアクター、バルビエル。しかし彼の煽りを受けても誰一人動じる事はなかった。

 

「何だよ、反論無しかよ。お前ら、あの人間に手痛くやられてすっかり怯えてしまったのかい?」

 

再度挑発するも、やはり誰も反論する者は居なかった。尸空も、全身を鎧で覆った彼の者も、皇帝でさえも目を瞑り黙しているだけだった。何の反応も示さない彼等に、バルビエルは面白くないと舌打ちをする。そんな時、彼等の中でも最も口数の少ない尸空が一言口にした。

 

「────事実だからな」

 

「あぁ?」

 

「バルビエル、お前の言うことは九割方正しい。俺は奴の侵入に全く気付かず、挙げ句の果てに意識を一時的に奪われた。奴がその気なら今頃俺は奴によって滅ぼされていただろう」

 

“沈黙の巨蟹”のスフィアリアクターである尸空にしては珍しい饒舌振りに面食らうバルビエル、しかし口数は少ないからこそその口から発せられる言葉はどれも真実味を帯びており、その意味はとてつもなく重い。

 

スフィアリアクターが屠られる。ただの人間と思われていた存在が次元力を持つ自分達を脅かしている。スフィアを持つ者、特に己を強く特別視しているバルビエルにとって、それは認められない話だった。

 

なんだそれはと、否定しようとするバルビエルを、皇帝であるアウストラリスが手を出して席を立つバルビエルを制する。

 

「お前も何か言いたそうだな。ストラウス」

 

「──────」

 

「構わん。今この場でのみ、お前の姿を晒すことを許そう」

 

皇帝に許しを得て静かに頷くストラウスは、自身の顔を覆ったフルフェイスのマスクだけを外す。カチャリと金属音と共に外気に晒されたのは、肩に掛かるほどに伸びた小麦色に輝くブロンドヘアーと、女性の顔だった。

 

「ふぅ、やっぱこの鎧暑苦しいわ。もう少し何とかならなかったの? アウストラリス」

 

「仕方あるまい。お前の拘束具代わりになるようなモノがそれくらいしかないのだ。その鎧が砕けるまで我慢しろ」

 

アウストラリスの強制とも言える言い方に、ストラウスだった女性はヘーイと気の抜けた返事で返す。しかし、次の瞬間にはその気の抜けた雰囲気は一切無くなり、彼女の顔に荒々しい闘牛の様な凶暴な笑みが張り付いていた。

 

「蒼のカリスマ…………いや、シュウジ=シラカワだったかい? ありゃあ良い、最高だ。こんな立場にいなけりゃ今すぐにでもあの続きをしたいもんさね」

 

女性の名はエルーナルーナ=バーンストラウス。“欲深な金牛”のスフィアリアクターである彼女は以前ソレスタルビーイング号で行われた僅かな戦闘を思い出し、その肢体を興奮で奮わせる。

 

「アイツが魔人と呼ばれる理由が分かった気がするよ。あれは頭のネジが二、三本外れたとかそんな話じゃない。下手すれば何処までも突っ切っちまう、アレはそう言う類いの化け物だ」

 

ソレスタルビーイング号での戦いの時は向こうは逃げるだけ、戦闘と呼ばれる行為も数える程度しかなく、それだけで相手の器を計る事は出来ない。が、あの時エルーナルーナは確かに感じた。奴の機体が刀を振るった時の事を……。

 

アレは求道の一太刀だった。自分の一撃はこんなものではないと、自分の知るこの一太刀はもっと凄いぞと、何処までも追い求めるその一振りは、エルーナルーナの瞳には一種の芸術に映った。

 

気付いた時には、側に控えていた戦艦が一隻両断されていた。圧倒的サイズ差にも関わらず斬り捨てて見せたあの一振りは、今でも彼女の瞼の裏に貼り付いて離れない。

 

唯でさえ怪物なあの男が、今はまだ万全な状態ではない(グランゾンを使っていない)のだ。本来の機体に乗ったらどれだけの力になるのだろう。その事を思うと、エルーナルーナの乙女に似た思考は止まることはない。

 

以前、バルビエルの部下に自分の部下を預けた事を思い出し、エルーナルーナは羨む。あんな奴とサシで戦えた部下が羨ましくて仕方がない。生粋の戦闘民族である彼女にとって、強者との戦いは三大欲求にも優る至玉の一時なのだから。

 

ウットリとあの時の事を思い出して悦に入るエルーナルーナ、そんな彼女に呆れながらバルビエルは、アウストラリスにある提案を出した。

 

「というかさ、ここに奴の身内がいるんだろ? だったらマトモにやり合わずソイツ等を使って始末すれば良いだけの話だろ?」

 

「それはダメだ」

 

「それは何故?」

 

「奴等はシュウジ=シラカワを呼び寄せる撒き餌だ。俺の許しが無い以上、手を出すことは許さん」

 

「撒き餌は撒いてこそ意味があるモノだと思うけど?」

 

「………………」

 

バルビエルとアウストラリス、双方が睨み合う一触即発の空気。張り詰めた空気が円卓とその空間を軋ませると、先に折れたバルビエルがやれやれと肩を竦める。

 

「まぁ、別に良いさ。僕にはまだやり残した事があるからね。それが片付くまで好きにやらせてもらうさ」

 

円卓の席を立ち、その場を後にするバルビエル。彼に釣られて尸空も立ち、エルーナルーナもマスクを被りその場を後にする。残されたアウストラリスは瞑目し…………。

 

「───順調に力を付けてきているようだな。いや、そうでなくては困る。奴を、ヴァイシュラバを倒した貴様にここで立ち止まって貰われては困る」

 

目を開き、天を見上げる彼の瞳に映るのは一体何か…………それは、本人にしか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な~る。彼処がラース・バビロンね。把握」

 

 

 

 




ボッチ視点
「トレーズさんの剣はこんなモノじゃねー!」
エルーナ視点
「疾く死ねい!」


因みにこの頃のヒビキ君は引きこもりになってますのでまだ色々知りません。


見たいな温度差

次回もまた見てボッチノシ

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