『G』の日記   作:アゴン

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遂に我がカルデアにも沖田さんが来てくれた!
やったぜ。


その143

 

 

 

ネオ・アルカトラズ。ユーラシア大陸の北部近郊に存在する、犯罪者を収容する事を目的に建てられた難攻不落の刑務所。しかしサイデリアルに占領され、刑務所だったこの建物は捕虜達を投獄する収容所と化しており、様々な人間が囚われている。

 

唯でさえ難攻不落とされた監獄がサイデリアルの技術によって更に凶悪に変貌、収容された人達の多くは脱出不可能とされたこの監獄で絶望に打ちのめされながら、収容部屋にある窓から外の様子を眺めていた。

 

しかし、そんな状況に陥りながら尚希望を捨てていない者がいた。シェリル=ノーム、銀河の妖精としてその名を広く知らしめ、その美しい歌声で数多の戦場でZ-BLUEを支えた人物の一人。薄暗い監獄の中、不衛生この上ない部屋で所狭しに歌詞を書き続ける彼女の瞳には、未だ陰りのない強い光が宿っている。

 

自分達は負けていないのだと、地球はまだサイデリアルに完全に屈してはいないのだと、そう自分に言い聞かせながら歌詞を綴る彼女の姿はさながら、戦士達を導く戦乙女の様だった。

 

そんな彼女とは対照的に、シェリルと同じく歌姫と称されるランカ=リーの表情は暗かった。大人しく控え目で、悪く言えばやや引込み思案な彼女にとって、今の状況はかなりのストレスになっているのだろう。

 

同じ歌い手でありながらも自分よりも年下なランカが項垂れているのは親友であり、恋敵でもあるシェリルにとって看過できないモノであった。だから自分なりのやり方で彼女を勇気付けてやろうと声を掛けようとした時、彼が現れた。

 

「シェリル! ランカ! 無事か!?」

 

「アルト君!?」

 

「アルト!?」

 

突然、見回りの兵士を叩きながら現れるアルトの登場に、二人の歌姫の顔色が一気に明るくなる。どうしてここにと訊ねるが、彼の後から聞こえてくる足音がアルトを焦らせる。移動しながら説明すると二人の手を引きながら、アルトはここに至る迄の経緯を簡潔ながら説明した。

 

蒼の地球と翠の地球、二つの地球に別れて戦力を集めたZ-BLUEは、サイデリアルに反撃を仕掛けるために奴等の本陣であるラース・バビロンの攻略作戦を計画しており、ある意外な人物からの情報によって歌姫二人の居場所を入手、ラース・バビロン攻略の前哨戦としてネオ・アルカトラズの攻略を敢行。

 

Z-BLUEの全員が願った今回の作戦、歌姫二人を取り戻す事を目標にした彼等は、みんながシェリルとランカが帰ってくることを願っている事をアルトは伝える。その説明に加えて、勿論自分自身もそれを望んでいると告げるアルトの言葉に、二人の歌姫は嬉しそうに微笑んだ。

 

そんな彼等の前にキメラ兵士達が現れる。陽動部隊である竜馬達が討ち漏らしたと思しき連中の待ち伏せにアルトは舌を打つ。だが、これは陽動部隊の失態ではない。此方の予想していたよりも多くのキメラ兵士が配置されていた事が原因だ。しかしここの支配者たるギルター=ベローネは短慮で姑息な人間、此方の意図を読み切る事は無い筈。

 

「てことはバルビエルの仕業か!」

 

バルビエル。サイデリアルとの戦いで幾度となく苦渋を飲ませてきた皇国軍の幹部、憎悪を司るスフィアリアクターでZ-BLUEを何度も追い詰めてきた凶人。

 

こんな所でも奴の毒牙が迫ってくる。背後にいる二人を守りながら、如何にしてこの窮地を脱するか。懐にしまっていた銃を取り出すのと同時にキメラ兵士が此方の間合いを詰めてきた時、ソイツは現れた。

 

「ふもォラァッ!」

 

突然キメラ兵士の横にあった壁が爆散し、鼠色の何かがキメラ兵士達を蹂躙する。砕けて瓦礫と化した外壁も巻き上がる砂塵も吹き飛び、残ったのは肉片となったキメラ兵士だったモノ。一体何なのだと混乱するアルトが壁の向こうから這い出るナニかに銃口を向け…………。

 

「────はぁ?」

 

思わず間抜けな声が漏れてしまった。背後にいる二人もアルトと同様に、困惑の表情で目の前に現れたソレを目にしている。

 

「ふもっふ!」

 

三人の前に現れたのは────ボン太くんだった。とあるアトラクション遊園地にてマスコットキャラとして知られるボン太くん。何故彼がここにいるのかと混乱するアルト達だが、状況が彼等をここに留まらせる事を許さない。未だ近付いてくる敵兵士の足音、ここで立ち止まる訳には行かない。アルトは目の前のボン太くんに通してくれと声を掛ける。

 

するとその願いが通じたのか、ボン太くんは道を譲るように道端に避ける。ふもふもと相変わらず何を言っているのかは分からないが、それでも敵でないと分かっただけで今は充分。手短に礼だけを告げて三人はボン太くんの横を通り過ぎる。

 

「─────え?」

 

その間際、ランカはその声に何処か聞き覚えがある気がした。そんな筈はない、だって彼はあの戦いで死んだ筈なのだからと思い込み、それでもどこか後ろ髪を引かれる思いでランカはボン太くんの背中を眺め続けていた。

 

『あなたの歌、楽しみにしてますよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~、色々あったけど何とかなって良かったよ」

 

人気の無くなったネオ・アルカトラズ跡。Z-BLUEの強襲とグレンラガンの登場、そしてトドメとばかりに現れたガンバスターのお陰で、ネオ・アルカトラズに囚われていたランカちゃんとシェリルちゃんは無事に救出成功。他にも多くの捕虜達も解放されて、今頃は各レジスタンスの拠点に向かっている頃だろう。

 

これでZ-BLUEも勢いが付いた事だろうし、この勢いでラース・バビロンの方も何とかして貰いたい所だけど………多分、厳しいと思う。

 

翠の地球で戦力を集めてきたみたいだけど、サイデリアルの力は未だ底がしれない。ガンバスターという火力特化の機体の参入で何とか対抗出来たとしても、スフィアリアクターである連中に勝つには今一歩足りないモノがある。

 

本当なら自分も協力したいが、今の自分では足手まといになる可能性が高い。トールギスは確かに凄い機体だし、単純な戦闘ではそうそう負ける事は無いが、決定打が足りていない。やはり奴等を全面的に相手取るにはグランゾンの力が必要か…………。

 

ともあれ、ここでの自分の目的は終えた。今後はグランゾンの本格的な修復を目的に行動を続けていこう。そう思いネオ・アルカトラズを後にしようと踵を返したとき──────彼女がいた。

 

「…………やはり、お前だったか」

 

C.C.さん。綺麗な翡翠の髪を揺らしながら微笑みを浮かべる彼女に、自分は一瞬言葉を失った。

 

 




FGOとこのすば、一度でいいからコラボしてくれないかな。
題して“究極愉快特異点このすば!”みたいな感じで。
ないか


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