『G』の日記   作:アゴン

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FGO、cccとのコラボきたー!

気が高まるゥゥ……溢れるゥゥ……!


その145

 

 

 

√月β日

 

やっべー、昨日はマジでヤバかったわ。あの時咄嗟の機転が無かったら今頃自分は宗介君に連行されて、Z-BLUEから粛清という名のフルボッコを受ける所だったわー。いやー、マジ焦ったわー。

 

けれど事前にナミちゃんに話していた通り、時空振動に巻き込まれた影響で記憶を失ったという話のお陰で何とか事なきを得る事が出来た。宗介君は最後まで────今もだけど────自分に疑いの眼差しを向けてきていたが、取り敢えずその場は顔合わせだけという事もあり、それで終わりとなった。

 

で、その後はパイロットである宗介君に合わせてASを調整する事になり、その日はそれで終了となった。最初の出会いがアレだっただけにチームの空気は微妙な感じだったが、自分の説得で宗介君以外の皆をどうにか納得させる事が出来た。

 

皆の蟠りを解消させた事でチームを一丸とさせた自分は、次の試合を最後にチームから抜ける事をナミちゃんに告げた。前にも説明したが元々自分はアマルガムの行方を追うためにこの町に訪れただけの流れ者だ。本来ならもっと早くここから立ち去るつもりだったし、一刻も早くかなめちゃんを助け出す必要がある。

 

けれど、それとこれとは話が違う。世話になった手前、最後の別れはキチンとしようと自分はナミちゃんにチーム脱退の話をした。当然最初は驚かれたり行く当てはあるのかと心配されたが、元々そんなに長く留まるつもりはなかったと告げると、それ以降ナミちゃんは自分に何かを訊ねたりする事はなかった。

 

流石に自分勝手過ぎると思い、これまでの給料を返還しようとしたのだが、ナミちゃんはここで働いて貰った以上報酬を渡すのは当然と言い張り頑なに受け取ろうとはせず、申し訳ないと思うならいつかまたここに来た時に働いて返せと言われてしまった。

 

そう言われてしまえば従う他なく、自分はナミちゃんの好意に甘える形でチームを後にした。…………ナミちゃんかぁ、故郷を復興させるという強い意志の持つ女の子、それはどこかシオさんと似ている気がする。

 

どうか頑張って欲しい。無責任な事だがそう思わずにはいられない自分なのでした。

 

 

 

√月γ日

 

アマルガム、マジ許すマジ。幾ら自分達の目的とはいえ、無関係な人間を巻き込むとかテロリスト以外の何者でもないじゃねぇか。…………あ、そういや連中テロリストだったか。

 

事の発端は自分がナミちゃんのチーム“クロスボウ”から脱退し、荷物を纏めて町から出ようとした時の事だった。この時の自分は流石にチームから抜けた自分がナミちゃんの所にいるのは不味いと思い、前の日には彼女の所を後にしたのだが…………どうやら、今回はそれが仇となってしまった様だ。

 

すれ違いのタイミングで始まったアマルガムの攻撃は、町の人達を全て巻き込む形になってしまった。降伏しなければ町と女の安全は保障しない、そう宗介君に勧告してくる連中は自分達の勝利を信じて疑わなかった。

 

そんな連中を前に、ボン太くんを着込んで連中の所へ単身乗り込んだ自分は奴等にとって理解し難い存在に見えた事だろう。遊園地のマスコットが自分達の所に突っ込んでくるなんて流石に予想出来なかったらしく、自分の色んな意味での不意討ちにアマルガムの構成員は士気も隊列もバラバラになり、危なげなくナミちゃんを救出する事に成功、外に展開したAS部隊も後から現れたZ-BLUEの皆と彼等と合流した宗介君によって壊滅し、無事にナミちゃんと町を守る事が出来た。

 

その後、ナミちゃんをリックの所まで送った自分はZ-BLUEに見付からないようにまたもや密かに離脱。どうにか気付かれること無くナムサクから離れる事が出来た。

 

彼女の無事や町の被害を最小限に抑えられた事に嬉しさを覚える自分だが、それは同時に自分がアマルガムを追う情報を失った事も意味している。

 

何せ襲ってきた構成員は構成員とも呼べない下っ端の下っ端、ナミちゃんを助ける時に軽く問い詰めても役に立つ情報なんてまるでなかった。

 

これからどうするか、今後の方針について悩んでいると、トールギスを通して自分の所にある人物からの通信が送られてきた。

 

送り主はトライア=スコート博士、自分が乗るトールギスを改修したシュナイゼルの協力者の一人。そう言えば彼女は無事だったのかと思い通信を開いてみると、文面にこう記されてあった。

 

『話があるから来い』

 

やや強引に見えるが、トライア博士の呼び掛けに応じる以外どのみち他に選択肢も無いので、自分は考える間もなく応える事にした。

 

博士は超時空物理学とロボット工学に精通している人だ。きっと彼女も何らかの方法でサイデリアルに対抗するべく秘密兵器の一つや二つ開発しているのかもしれない。例えばA(アメイジング).トールギスの追加装備とか。…………まぁ、流石にそれは無いだろうが。

 

しかし、ここの所激戦の連続でトールギスに掛ける負担も大きくなってきている。今まで自分がこまめに整備して騙し騙し動かしてきたけど、そろそろ本格的な修理が必要になってきている。

 

今回のトライア博士の呼び掛けはちょうど良いタイミングだったのかもしれない。グランゾンの事についても博士なら何かしらの助言はしてくれるだろうし、もしかしたら修理を手伝ってくれるかもしれない。

 

そうと決まれば善は急げ、俺はトールギスとグランゾンの修理を急がせる為、北米大陸にあるスコート・ラボへと急行するのだった。

 

 

 

 

 

 

っておい、スコート・ラボにZ-BLUEも向かっていませんかコレ、しかもお前コレ…………ヒビキ君…………いますよね?

 

…………もしかして俺、図られた?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本、ナムサクと二度に渡り戦いを繰り広げていたZ-BLUEは、これからの事を相談するためにメッセンジャーとして送られてきた桂木桂の案内の下、北米大陸にあるスコート・ラボに身を寄せようとした。

 

その道中、艦内で待機していた宗介は戦友であり親友であるヒビキにあることを告げていた。

 

「シュウジさんが…………生きてる?」

 

薄暗い部屋の中、明かりも付ける事無く暗闇の中で踞るヒビキに、宗介はナムサクの地で嘗て自分が出会った人物の名を告げた。

 

シュウジ=シラカワ。時獄戦役の最後、自らの手で殺したとされる人物が生きていた。宗介から聞かされるその話に、ヒビキは驚きと混乱で目を見開いていた。

 

「あぁ、そうだ。お前が勝手に殺していたと勘違いしていた奴はしぶとくも生きていたんだ。流石に無事とは言えず記憶の混濁が見えたが、それでも五体満足で生きている。生きていたんだ」

 

ナムサクの地で奴は自分の事など知らないと言った。ナミやクロスボウのチームの面々も、彼は何も覚えておらず、気が付いたらあの地にいたという話を聞かされていたらしく、それ以上の情報を得られる事はなかった。

 

しかし、宗介にとってシュウジの記憶の有無は関係がなかった。奴が生きている。その事実だけで充分だった。

 

今はZ-BLUEの誰にもこの事を話してはいない。いずれは艦長の誰かに相談する事になるだろうが、今は何よりも親友に自分の兄貴分の生存を伝えたかった。死んでいた奴が生きている。それは幾つもの戦場を生き抜いてきた宗介にとって然程珍しい話ではない。

 

だが、ヒビキにとって宗介から聞かされるその情報の内容は、彼にとって大きな意味をもたらす筈だ。宗介は自他共に認める嘘が下手な男、隠し事を最も不得手とする人間だ。その男が意味もなくこんな話をする事がないのは、目の前で燻るヒビキにも分かること。

 

自分には励ましや情けの言葉を捻り出すだけの知能は持っていない。あるとすれば、自分の出来事をそのまま相手に伝える事だけだ。

 

これで親友も立ち直れるかもしれない。その一心でヒビキだけに告げた今回の話、軍規違反は覚悟の上、粛清を受ける事になっても宗介はヒビキを立ち直らせる事を優先し、選択した。

 

「…………ありがとうな。宗介」

 

「ヒビキ?」

 

「俺がいつまでも腐っていた所為で、お前にまで心配を掛けさせてしまった。…………そうだよな、かなめさんが拐われて一番辛いのはお前なのにいつまでも俺が落ち込んでいる訳にもいかないよな」

 

「待てヒビキ、何を言っている。俺の話を聞いて────」

 

「ゴメンな、でもありがとう。お陰で俺ももう少し頑張れるよ。…………シミュレーションに行ってくる。こんな俺でも少しでも皆の役に立ちたいからな」

 

立ち上がり、フラフラと覚束無い足取りで通路を往くヒビキ。まるで自分の言葉が届いていない彼に宗介は苛立ちと悪態をぶちまけながら壁を叩いた。

 

「─────クソッ!」

 

最早ヒビキを言葉で立ち直らせることは不可能だった。どんなにシュウジが生きていると告げても、ヒビキはそれを自分の思い込んだ幻想だと認識してしまう。

 

(やはり、あの時に無理矢理にでも連れてくるべきだったか!)

 

自分の選択の過ちに宗介は後悔し、悔しさに歯を食い縛る。このままでは本当にヒビキは壊れてしまう。そんな最悪な事態となる前に何とかしなくては────。

 

「随分と荒々しいな。まるで想い人に振られた様だぞ」

 

「…………C.C.か、悪いがお前の軽口に付き合ってやる余裕は無いぞ」

 

背後から現れる少女、C.C.。クスクスと笑うその様はまるで人を弄ぶ魔女の様、この手の女性には関わらない事がベストだと知る宗介は、そのままC.C.に構う事無くその場を去ろうとする。

 

今のZ-BLUEは陣代高校でレナードによって引き起こされた時空振動で部隊が三つに分かたれている。今後地球で行われる作戦は現状の少ない戦力で対応するしかない。

 

直ぐ様自分の持ち場に戻ろうとする宗介、だが次に聞かされるC.C.の言葉により、その足は嫌でも止まる事になる。

 

「シュウジ=シラカワの事は今はまだ誰にも話すな」

 

「…………なんだと?」

 

何故、彼女から奴の名前が出てくる。思いもしなかった人物から出てきたシュウジの名前に、宗介は驚愕を隠しきれなかった。

 

「悪いが、詳しくは話せん。だが、近い内に全てが明るみになるだろう。そうなった時に備えて…………精々、ヒビキを支えてやるといい」

 

言いたいことだけを残して去っていくC.C.、その後ろ姿を宗介はただ呆然と眺める事しか出来なかった。

 

 




???「シラカワシステム再起動マデ…………アト2」

次回モマタ見テボッチノシ

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