クーゲル中佐の愛機さんとの絡みが今から楽しみです。(ゲス顔
√月(・┰・)日
久し振りの日記、そして久し振りの
あの奇妙な宇宙空間から脱出した自分を待ち構えていたのは木星、地球から凡そ7~10億km程離れた場所に自分はいた。
何で木星? と疑問に思っていたこの時、銀色の奇妙な物体と遭遇。明らかに地球外の存在とされる物体の登場に、自分はこの時思わず変な声を上げた。
もしかしてコイツらも
で、地球改め蒼の地球に向けてグランゾンを飛ばしたのだけれど…………いやぁ、速くなったねグランゾン。試運転のつもりで木星から全力で飛ばして来たんだけど、地球圏に到達するまで10分も掛からなかったんだけど。
確か、光で観測した時の木星って認識するまでに要する時間が30分から50分程掛かるって聞いたけど…………え? なに? グランゾン、光を追い越しちゃった? そりゃ確かにグランゾンは重力を操って重力干渉による速度減少を取っ払う事も出来るけど…………え? マジで?
─────いや、止めておこう。あの戦いの直後で少し疲れたし、多分自分の勘違いだ。そう、きっと時差ボケ的なモノがあってグランゾンがいつもより速く感じたんだ。トールギスも取り込んだ事で出力も上がったみたいだけどきっと気の所為だな、うん。この話は一度置いておこう、幸いにも加減すれば普通の移動速度で動けるし。通常の移動や戦闘に於いては何の支障もない。
───そうだと無理矢理にでも納得しないと、本気で動けばそれだけで地球に大ダメージを与えかねない事になっちゃう。
と、ともあれトールギスという今までの相棒を取り込んだ事によりグランゾンは完全復活、破損箇所も真化融合を果たした事で修復され、調子はバッチリ元通り。…………まぁ、確かにそれ以上になった感はあるけど。
そんな訳で想像以上に早く蒼の地球に辿り着いた自分はそのまま地上へ降下、途中大気圏外に展開されていた皇国の艦隊を適当に蹴散らしつつ落ちていく自分が次に耳にしたのは、皇国とアマルガムの連合に追い詰められたパトリックさんの魂の叫びだった。
どうやら機体の調子が悪いらしく、満足に身動きの取れないパトリックさん、幸いにも彼の通信を耳にした自分は通り過ぎがてら武力介入、皇国軍の無人機とアマルガムの戦力を迎撃し、これを撃破した。
ただ、肩慣らしのつもりで何割か手を抜いた攻撃をしてしまったが為、アマルガムの隊長格らしい男は逃がしてしまった。アマルガムの赤いAS…………確かコダールだったか? モミアゲがどうとかやっぱり俺も不死身だとか喚きながら逃げていく様は何だかシュールだった。
その後も単機で突貫し、死に場所を求めていたらしいセルゲイ=スミルノフさんも無事に回収、機体は随分無理をさせてしまった様でボロボロだったけど、身体に傷らしい傷はなかった。
厄介なのは寧ろパトリックさん。やはり彼の機体も以前から相当ガタが来ていたのか、機体の方はスクラップと化している。よくこの状態で戦ってこれたものだと、今更ながら彼の技量の高さに驚きを隠せない。
だけど、そんなパトリックさんも遂に負傷してしまった。どうやら先のコダールが奇襲を仕掛けてきた際に負った傷らしいのだ。負傷した箇所は右腕、赤黒く腫れ上がった腕は見ているだけで痛々しく、速やかに治療を受けることを勧めた。
けれどパトリックさんは備え付けの痛み止めを打つだけに止まり、皇国軍の攻撃で住居を失い、難民となった地元住民達の避難誘導をしなければと止まろうとしなかった。任務に忠実でどんなに負傷しても市民を守ろうとするパトリックさんは、正に軍人の鏡と言えるだろう。というか、この人以上に出来た人間なんて俺はまだ見たことがない。トレーズさんとはまた別方向で尊敬できる人物だ。
だが、だからといって重傷者を放っておく訳にもいかない。少々強引だが難民の人達はセルゲイさんとその息子のアンドレイ君に任せ、自分はパトリックさんの応急処置を行った。
テロリストである蒼のカリスマの自分が軍人を治療するのは如何なものかと思うが、今はそんな事を言っている場合じゃない。痛み止めを打った箇所を刺激しないよう処置し、添え木で腕をガッチリ固定しておいた。
当分はこれで持つだろうし、レジスタンスの拠点にいけば薬もある。そこでちゃんとした治療を受けられれば腕の方も良くなるだろう。それまで自分はパトリックさんに絶対安静を言い渡し、荒熊親子に後を任せる事にした。
自分はこの後、皇国軍の拠点を叩きに行こうと思う。連中を潰し、そこをレジスタンスの人達が有効活用すれば、難民の人達の新たな受け入れ先にもなるし、そこに貯まった物資を使えば、パトリックさんの戦線復帰の後押しにもなる。
パトリックさんは今後の戦いでも必ず力になってくれる人だ。セルゲイさんやアンドレイ君共々Z-BLUEの一員になればそれこそ鬼に金棒。きっと皇国軍の幹部連中とだって渡り合える筈だ。
そんな訳でこれから皇国軍の拠点に攻め入るのだが…………正直、ちょっと不安です。
いやだって、さっきからグランゾンの機体のあちこちからスゲェ鼓動? みたいな駆動音が聞こえてくるんだよ。どうやら自分の相棒はまだまだ暴れ足りないらしい。
大丈夫かなコレ、拠点を叩きに行くとは言ったけど攻略という意味だからね? 物理的に潰す意味合いじゃないからね?
真化融合を果たした事でグランゾンとはある程度の意志疎通みたいな事は出来るようになったけど、何かジャジャ馬を扱っている気分だ。
まぁ、悪いことではないから別に良いけどね。後は自分の匙加減次第だ。─────今日は色々あって流石に疲れた。拠点を制圧したらさっさと寝よ。
あ、因みにパトリックさんに自分が生きていた事についてどう思ってるのか訊ねてみたら「お前がそう簡単に死ぬわけないだろ」と一蹴されてしまった。
…………生きていたと信じていてくれた事に喜べばいいのか、死ぬはずがないと決め付けられた事に悲しめばいいのか、イマイチ判断しにくいです。
√月( ・ε・)日
先日、予定通り皇国の拠点を叩く事に成功した自分は、取りあえず落ち着いて今後の予定を立てる為に、久し振りに海の底で待機中。
さて、これまでの事を簡潔に言えばただ一つ。このままでは宇宙がヤバイという事だ。お狐博士────トライア博士の言うことが正しいのなら、自分達のいる宇宙を始めとした全ての並行世界を巻き込んでの大崩壊、終末と呼ばれる時がもうすぐそこまで迫ってきているという。
何とも途方もない話だが、残念ながら事実である。トライア博士も、これがただの昔の人達の戯れ言だったらどれだけ良かったかって嘆いてたっけ。
で、その宇宙の大崩壊をどう乗り越えようかというのが今後の自分達の目的で指針なのだが…………正直分からない。
いや、対抗策と言うのなら分かるんだ。何せ宇宙の大崩壊には根源的災厄─────宇宙怪獣やインベーダーの様なバアルがその大崩壊を加速させている。だから、それらを叩く事で僅かながら大崩壊の進行を緩める事が出来るのではないのか、というのが自分の見解だ。
尤も、緩めるだけで解決には程遠いから対症療法でしかないんだけどね。確りとした対策を立てるには、まだ情報が足りていない。
ただ、個人的な解釈を述べるのなら、この大崩壊を何とかするにはやはり、スフィアを持つヒビキ君達の力が必要不可欠になってくるのではないかと思っている。スフィアは次元力、即ち源理の力を引き出すトリガーの様なもの、無尽蔵のエネルギー抽出は理を操るための副作用の産物でしかない。
その源理の力を引き出すに当たって必要なのが…………恐らく、感情だ。傷だらけの獅子、悲しみの乙女、揺れる天秤、偽りの黒羊、そしていがみ合う双子。以前にも考えていたが、やはりそう考えた方が一番シックリ来るのではないかと自分は思う。
付け加えて言えば、かのスフィアにはそれぞれ相性があると自分は考えている。“偽りの黒羊”の力をアサキムが持つ“知りたがる山羊”の力で破って見せたように、他のスフィアにも得手不得手といった相性があると考える。
確か、クロウさんとインサラウムの王子のスフィアも互いに力を高め合う性質だったっけ。あの力で一時は次元獣だったエスターちゃんを、源理の力で戻したという実例が存在している。
ここまで繋がりがある以上、もしかしたらスフィアは元々は一つだったのではないかという仮説も出てくる。スフィアの力を出すには持ち主の感情が必要になり、感情とは様々な種類が存在している。
喜怒哀楽という四つの大きな感情から好奇心、虚栄心、嫉妬、欲望、勇気、といったその人の在り方の要素である人格、もしスフィアが元々は一つの存在なのだとしたら、恐らくスフィアの元となったモノは、そういう人間らしい自我を持った“ナニか”だったのではないだろうか?
それこそが、この宇宙大崩壊に関係する最大のキーワードではないかと自分は考えている。だってあのドクトリンとかテンプ何とかって二人組も怒りとか楽しみとか言ってたし、全くの無関係って訳じゃないだろ。
こうなってくるとあの喜びクソ野郎もこれ等に関わってくると考えた方がいいのか…………クソ、こうなるなら一時の感情であの二人を消すんじゃなかった。まぁ、反省はしているけど後悔はしていないから別にいいんだけどね。
となると皇国────サイデリアルの連中も、スフィアを集めるために地球にやって来たと見た方が良いかもしれないな。そして、奴等と例の感情四人組の関係も考えた方が良いのかもしれない。
スフィアがすべて集まれば元となったモノが復活する。それが目的なのか、それとも元となるモノの力が目的なのか、まだ考えの余地がある以上、下手な憶測はかえって危険かもしれない。
あー、こんな時博士が助言してくれたらなぁ。折角グランゾンや他のシステムも元に戻ったと言うのに真化融合を果たした時から、未だに博士からのリアクションはない。こっちから幾ら呼び掛けても、うんともすんとも言わない。
まぁ、返事がないという事は、余計な答えで自分を混乱させたくないっていう博士なりの配慮なのかもしれない。事実自分はまだ分かっていない所が多いし、スフィア関連にしても推測と憶測の塊でしかない。
博士は黙っている事が多いけど必要な時は必ず答えてくれる人だ。その時が来るまで自分は待っていようと思う。
とは言え、このままただ待つのも忍びない。折角蒼の地球に戻ってきてグランゾンと一緒にいるんだ。コレからは裏方だけではなく、堂々と表だって活躍して行こうと思う。…………Z-BLUEの皆さんが戻ってくる間ね。
それまでに…………そうだな。先ずはサイデリアル側から一つ、スフィアを頂くとしよう。具体的に言えば蠍の奴を。
キヤルちゃんを始め、奴の手によって酷い目に遭った人達は多い。その人達の仇討ちって訳ではないけど、このままやられっぱなしというのは少し腹が立つ。ボン太くんの着ぐるみで相手した時も結局は此方の敗走だったし、そろそろ奴にはキツい一撃を見舞う必要がある。もしそれが成功したらZ-BLUEの皆も活気付くだろうし、地球の人達の士気だって上がる事だろう。
だが、奴を相手にするに当たって一つだけ厄介な問題がある。そう、ギルター=ベローネだ。
奴は蠍野郎の部下の一人だと聞く。その悪辣さ、戦いにおける容赦のなさは敵味方問わず恐れられ、サイデリアルの畏怖の象徴とも呼べる男。
ここ最近は全く奴の噂を耳にしていないが、恐らくはZ-BLUEの様子を伺い機を待ち、絶好のチャンスが訪れるその時を餓えた野生の獣の如く待ち構えているのだろう。指揮官あるまじき剛胆さと歴戦の戦士の如き冷静さと観察眼を持つ、それが自分の抱くギルター=ベローネという男だ。
奴の狡猾さは自分がよく知っている。ブロッケンは考えすぎだと言うが、自分はそうは思わない。───何せ、敵である自分達処か味方であるはずの皇国軍すら奴の動向を把握してはいないのだ。先日、敵拠点を制圧した際に何人かの皇国の兵士達に奴の居所について吐かせようとしたが、その全てがスカだったのだ。
知らないと本気でそう口にする皇国の兵士達に嘘を言っている様子はなかった。恐らくは事実なのだろう、皇国という巨大勢力の中でも幹部クラスの側近、それが敵はおろか味方にすら感知されないなんて、そんなの単独で動かない限り無理な話だ。
幹部の側近が部下一人連れていないのは有り得ない。つまり、奴は自分の部隊を持ちながら、敵味方から感知されず姿を消したという事に他ならない。
正直、この考えに至った時は思わず身震いした。部隊を運用する難しさは素人な自分でも多少は理解できる。こんな事をやってのけるのは自分の知る中でシュナイゼル位しか思い浮かばない。
ギルター=ベローネ、恐らくは幹部の側近の中でもかなりの実力者だと自分は考えている。それこそ、下手をすればスフィアリアクターである蠍野郎以上の強敵になるかもしれない。
搦め手を使ってくる奴の恐ろしさは自分も思い知っている。もし奴がシュナイゼル以上の策士だとするのなら、グランゾンでも苦戦するかもしれない。
けれど上等、宇宙の大崩壊を前に奴と決着を付ける必要があるのならそうするべき。ギルター=ベローネ、グランゾン復活の初戦の相手─────相手にとって不足なし。
と、珍しく熱く決意する自分なのでした。
◇
─────さて、そんな訳で件の蠍野郎を探すために取り合えず大気圏外へ飛び出し、翠と蒼の地球の中間地点に赴いた自分なんですけど…………。
『ほう? まさかあの翅無しがまだ生きていたとは、流石は魔神の担い手、生命力はゴキブリ並と言うわけか』
『だが、そんな貴様の悪運もここまでだ。真戦を控え、力を蓄えてきた我等の力、存分に味わってから死んで逝けい!』
現在、
今自分は地球に影響の及ばない宇宙空間にいるわけだし、少し位────本気になってもいいかな? いいよね?
Q.ボッチがカオス・コスモスという隔絶宇宙で何をしたのか、知ってる人はいないのですか?
A.今の所一人しか知りません。その為、殆どの陣営(特にミケーネやミカゲと言った人外枠)は未だに弱体化したまま、もしくは不調気味だと思っている模様。
それでは次回も、また見てボッチノシ