こう、強くてニューゲーム的な。
ダメか
Δ月ω日
どうも、先日“マジで死ぬかと思ったランキング”トップ3に入る体験をした者、シュウジです。
カレンちゃんとヨーコちゃん、阿修羅を越えたナニかとなった紅い二人からの折檻をどうにか生き残った自分は、現在救援を要請された月に向かっているZ-BLUEと行動を共にしている。
助けを求めてきたのはムーンレイスと呼ばれる月に住まう人々、その代表であるディアナ=ソレル嬢かららしく、話を聞くとサイデリアルの幹部らしき者が艦隊を引き連れて一方的にムーンレイスの街を占領したのだとか、迎撃しようにも街には地球と同様、多くの人々で溢れている。
彼等を守護する者としてその様な状況になるのは承服しかねる。しかしこのまま彼等を月に居座らせる訳にも行かない、そんな訳でZ-BLUEに救援を要請したのが事の顛末だ。
自分もサイデリアルと戦うのは別に構わないし久し振りの───本当に久し振りの団体戦だ。誰かと協力して戦うというのはこう、熱くなる所があるよね色々と。
そんな訳でZ-BLUEと一緒に自分も月へ向かうことになった。ヒビキ君もすっかり快復したし、あの様子なら激しい戦闘も乗り越えられるだろう。
そうそう、先日アドヴェントのクソ野郎に一時期心が壊れかけていたヒビキ君だが、先の翠の地球から出て行こうとした時に遭遇した戦いの中で、無事に完全復活を遂げた。
経緯を語ると、心を破壊されて昏睡状態だった彼を、Z-BLUEの自称マスコットAGとクロウさんの二人が動けないヒビキ君を無理矢理ジェニオンに乗せて戦場に送り出したのだ。
当然Z-BLUEはこれに猛反発、宗介君を筆頭にヒビキ君と親しかった同世代の子達は、AGに激しい怒りを募らせた。
その後、刹那君はGNドライヴ搭載型機体ダブルオークアンタによるクアンタムバーストでヒビキ君の意識領域を拡大、タケル君も超能力でヒビキ君の深層意識へ向かい、Z-BLUEの皆と共にヒビキ君を起こしに行った。
その間自分はと言うと、襲ってきたズール皇帝と宇宙魔王、並びにサイデリアルの準幹部となってしまったスズネ先生の相手をしていた。元々歪曲フィールドでGN粒子を防いでいた訳だし、ヒビキ君を起こしている間の皆の機体は無防備を晒してしまう。自分以外にもシャア大佐────あれこれ悩んだが結局この呼び方に落ち着いた────他にもクロウさんといったスフィア組も、ヒビキ君達が戻ってくる間の迎撃に勤めていたけど、相手はZ-BLUEの事を良く知るスズネ先生に、タケル君や鉄人を苦しめたズール皇帝と宇宙魔王なのだ。
特に後者の二名は時獄戦役で随分と貸しを作ってしまっていた。あの時の無様を払拭する為にも、彼等は自分が相手をする事にした。
ネオ・グランゾン。ヒビキ君の復活の予兆にちょいとばかりテンション高くなった自分は久し振りにマハーカーラを解放。ネオとして力を振るい、連中をその取り巻きごと潰した自分は、ここで一つあることに気付く。
ネオ・グランゾン、前より力増してね? て言うか有り余ってね? 具体的には
いやね、グランゾンの得意分野である重力操作がさ、割りと洒落にならない事になってるのよ。宇宙魔王の使うブラックホールさ、消しちゃったんだよ。こう、黒い絵の具を大量の水で溶かし消すみたいにサッといった具合に。
確か、以前宇宙魔王がブラックホールを放ってきた時は、自分もBHCで対抗したんだよな。ブラックホールというのは極端に言えば重力の回転、その極致といえる事象だ。一方通行の重力に逆方向の重力をぶつけて相殺させる、前回はそうやって対処したのに、今回は腕の一振りで消してしまった。
────もしかしてグランゾン、結構ヤバい事になってる? 俺が思っていた以上に。少しは相棒の事を理解したつもりだけど、まだまだ人機一体には遠いな。なんて、そんな間の抜けた事を考えている内にヒビキ君は完全復活を遂げた。
更には機体を真化させる事に成功。ジェニオンをジェニオン・ガイ、そして新たな姿ジェミニオン・レイへと変容させた。ヒビキ君は己の心の内にある絶望を乗り越え、希望すら超えてジェニオンを自身のモノへと変質させたのだ。
新たな段階へと進んだヒビキ君と彼の相棒ジェミニオン・レイは襲い掛かるスズネ先生を一蹴、残りの無人機達を瞬く間に殲滅してみせた。ズール皇帝と宇宙魔王も「アイエエエ!? 太極!? 太極が二つ!? ナンデ!?!?」と言った風に酷く狼狽えながら後退、見事自分達は彼等との戦いを勝利で飾って見せた。
その後、目覚めたヒビキ君と格納庫で和解。泣きながら謝ってくる彼に自分も済まなかったと素直に謝罪した。何せ自分を兄貴分と慕うヒビキ君を、事情があるとは言えその手を汚させてしまったのだ。一、二発殴られるのは覚悟した。
けど、何故かヒビキ君は自分を殴ろうとせず、そのまま自分を許してくれた。許してくれるのは嬉しいが、どうしてこうもすんなりと上手く行くのか。疑問に思った自分が訊ねると、そんな顔した相手を殴ることなんて出来ませんと、何故か引き気味に言われた。
…………そういやこの時の俺、ヨーコちゃん達にシメられて顔がアンパ○マンとミイラ男が悪魔合体した様な顔してたわ。確かにそんな相手に手は出せんわな。
まあ、そんな訳で無事にヒビキ君は復活を遂げ、自分も和解する事に成功。その後Z-BLUEは月から救援を要請され、現在に至っているという訳だ。
スズネ先生は未だ敵対し、アドヴェントやサクヤ改めサクリファイスも以前として行方は知れず、宇宙の大崩壊は着実に進んでいる。現状はあまり良くないが、それでもZ-BLUEと自分は大きな一歩を踏み出せたと思う。
あ、因みにギルター=ベローネは現在ネェル・アーガマにてオットー艦長のアドバイザーとして働いている。彼処には他にもレイアム副長という優秀な女性が着いているが…………なに、優秀な人間は幾らいたって困るものじゃない。何かあれば自分に話が通る様にしてあるし、問題は何もない。
さぁ、次は月の女王様の助けになる時だ。今度はチームワークを大事にする事を第一に考え、努力していこうと思う。
────一方その頃、ネェル・アーガマのブリッジにて。
「………………」
「………………」
「………………」
「………ご、」
「っ!」
「ごめんなさい────」
行き場を無くし、血反吐を吐くように、或いは絞り出す様に静かに謝罪の言葉を口にするギルターに、オットー並びにオペレーターのクルー達は思う。
(あぁ、コイツ、苦労してたんだなぁ)
と、元敵ながら同情していた。
その後、ネェル・アーガマでのギルターの扱いは少し優しく………もとい緩くなったという。
◇
────蹂躙された。一方的に、成す術無く、容赦なく、彼の者は私を、私達を殴り倒した。
感情が渦巻く。怒りが、哀しみが、楽しめない自分の憤りが、渦巻いて、のたうち回って止まらない。
足りない。あの魔人に挑むには今の私達ではまだ足りない。ならば────。
「そうね。そうするしか無いわね」
足りないのなら、不満ならば、餓えるのならば、渇くのならば────足せばいい。満足するまで、満たされるまで、潤い、溢れるまで自らに注ぎ込めばいい。
幸い目の前にはそれを成せるモノが一つ、在る。
「あぁ、アドヴェント。同胞よ、我が分身よ。貴方の魂、心、記憶の一片まで余すことなく私に───頂戴」
「─────」
応えはない。当然だ。目の前に寝ているソレは未だ先の魔人によって刻まれた痛みから快復仕切ってはいない。しかし、構うことはない。何故なら元よりそうなる事が自分達の目的なのだから────。
咀嚼する。噛み締め、呑み込み、一体化するプロセスが組み込まれ、実行し、起動する。
そして生まれたのは────金色の輝きを放つ一頭の獣。鬣の如くその黄金の髪を靡かせ、女は一言口にする。
「これが───喜び」
歓喜した。誕生した自らを、これから訪れる苦難に、いずれ対立する彼の者達に………。
いや違う。喜びだけではない。怒りが、哀しみが、楽しみが、あらゆる感情が一つに融合し、純化していく。
嗚呼、そうなのか。ここに来て漸く我々は理解した。
「これが、これこそが────愛、なのですね」
深い深い奈落の其処で、愛を騙るケダモノが顕現した。
シュウジ=シラカワ
特殊技能:“ボッチの極意(兆し)”
効果
単独で出撃&気力140以上で発動。気力が上限突発状態となり毎ターン“熱血”“必中”“不屈”が発動する。
やり過ぎた。でも後悔は(ry
それでは次回もまた見てボッチノシ