『G』の日記   作:アゴン

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今回も日常回、割りとほのぼのです。


その169

 

 

 

♯月*日

 

───いつ以来だろう、こんなにも穏やかな気分で日記を書けるのは。いつ以来だろう、こんなにも清々しく日々を満喫出来るのは。

 

Z-BLUEと合流して数日、現在の自分の状態は頗る良好である。あの喜び野郎にも一応ある程度殴れたから気分も良いし、ヒビキ君を初めとしたZ-BLUEの面々とも和解することが出来たし、そのお陰でZ-BLUEでの自分の生活は充実の一言に尽きた。………まぁ、そこに至る過程で二人の紅い修羅から死ぬほどの折檻を受けたけどね。完全な自業自得でしたし、別にいいけどね。

 

─────リア充。そう、今の自分は正しくリア充だ。アムロさんやシャア大佐といった年長組からカミーユ君やバナージ君、キラ君達青少年組、ワッ太君等小学生組とも仲良く話をする仲という、以前の自分とは想像も出来ない輪が出来ている。

 

ヨーコちゃんカレンちゃんもあの日の一件も許してくれたし、今では一緒にシミュレーションで特訓をする位には仲良くなっている。ヒビキ君も己の愛機であるジェニオンとスフィアを新しい段階に進めたお陰で調子が良さそうだし、自分との組み手でも見違える程強く、そして上手くなっていた。

 

そんなこんながあってZ-BLUE内では自由に行動させて貰っているし、先の事情説明で彼等との蟠りは殆ど払拭出来たと言って良い。本当、正直に話せて良かったよ。

 

そんなZ-BLUEの面々の大部分とは仲良くなれたと自負する自分だが、実は数人ほど自分に敵意を向けてくる人がいる。カイエン君は………まぁ、仕方ないのかなぁ、最初会った時にちょっと脅かすつもりで背後から声かけただけなんだけど、まさかあそこまでムキになるとは思わなかった。

 

いやさ、いきなり背後から声を掛けるのは失礼だと思うよ? でもカイエン君やアマタ君、ミコノちゃん達エレメントの皆はあの不動さんとこの生徒達みたいじゃん。不動さんという出鱈目人間を知ってるなら自分くらいいいよねーと、軽いノリでやってしまったのがいけなかったのかなぁ。

 

次に相良宗介君だけど………うん、これは言い訳できねぇや。完全に自分が悪いもの、親友であるヒビキ君が精神的に追い詰められている中、事情があったとは言えその頃の自分はヒビキ君の為に何かしてやれた事は何一つ無かった。宗介君からすれば自分はヒビキ君を追い詰めた張本人、彼が自分の事を未だに敵視しているのも無理はない。

 

他にも刹那君。彼の場合は敵視というより困惑と言った方が正しいかな、時獄戦役の時、隔絶宇宙での最終決戦………つまり自分との戦いにちょっと色々ぶっちゃけたから、その事についてまだ彼の心に痼が残っているのかもしれない。彼とは何れ話をする必要がありそうだ。

 

後は………そうだな、理由なく何故か一方的に敵視してくる人がいる。名前はニコラス=バセロン君、元々はフラタニティと呼ばれる組織に所属していたバスターマシンのパイロットで、トップレスと呼ばれる超能力保有者だという。

 

超能力と聞いて同じ超能力者である明神タケル君と仲が良いのかなー、なんて思っていたけれど、どうやら彼は気障な性格らしく、それが原因なのか皆とは少し離れた距離を置いているらしい。

 

そんな彼が何故自分を敵視しているのか、幾ら考えても全く心当たりは思い浮かばない。もしかしたら何処かで何らかの因縁があったかもしれないが、思い出せない内は下手に彼を問い質すのは止めておこう。最悪、余計に拗れてしまうかもしれない。

 

そして最後にノノちゃんと呼ばれるアンドロイドの少女なのだが、こちらはニコラス君以上に理由が分からない。以前一緒に出撃する時は割りと仲が良かった。人を指差しでラスボス呼ばわりされる程度には………だけど。

 

そしてその後帰艦してお疲れーな感じで話し掛けたら話し掛けないで下さいと怒鳴られた。何故? 疑問に思っても心当たりは当然無い自分は彼女と一番親しいラルクちゃんに訊ねたがこれまた知るもんかと一蹴され、救いは無いのかと同じトップレスであるチコちゃんに縋っても興味無いわねと両断。あれ? 俺トップレスの子達とは総じて仲悪い?

 

い、いや違うもんね。同じトップレスのカシオ氏とはそれとなく話をする間柄だからまだまだ仲が悪いとは断定出来ないもんね。そのカシオ氏も、何故か自分と話をする時は絶対に目を合わせないようにしているけど………。

 

あれ? そう言えば俺他にも何人か目を合わせないように話をする人が何人か心当たりがあるぞ? ミスリルの女艦長のテスタロッサ大佐とか、ネェル・アーガマの通信士のミヒロさんなんか、俺を見るなり小さく悲鳴を上げてた様な………。

 

い、いやいやいや。違うし、嫌われてるとかそんなんじゃないし。アレだよ、ちょっといきなり仮面の男が現れたから吃驚させちゃっただけだし。

 

そうだよね。いきなり仮面を被った男が出てくれば驚くよ。一応声は掛けたけど、人間何かに集中してると近くの人の声も届かない事とか良くあるし、別に怯えられた訳じゃないし。次からは仮面取るし。

 

つーか仮に、万が一自分が嫌われているのだとしても自分と仲良くしてくれる人は結構いるし、21世紀警備保障の皆さんとか、特に生活班の女性陣とは料理教えたりと割りとフレンドリーだし。

 

特に黒ギャルな谷川さんとか「蒼のカリスマさんマジパネェー、ウチに入社しちゃいません?」なんて冗談を言われる位親しいから。……………その直後に青山さんから会社乗っ取られそうだから止めろと言われたけど、別にそんな事しねーし!

 

寧ろ貢献するし、警備会社を世界有数処か宇宙に進出する一大企業に成長させる勢いで貢献するし。俺ってばアレだから、一度尽くすと決めた相手にはトコトン尽くす人間だから!

 

………………何をカミングアウトしてるんだ俺?

 

と、ともあれ、色々問題点はあるけれどZ-BLUE内に置ける自分の生活は極めて良好、その問題も改善する余地があるならば適応に対処し、集団生活を円滑に満喫出来るよう頑張っていこうと思う。

 

そろそろ月に到達する時間も近い。今日の所は一先ずこれで終わりにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラース・バビロン。新地球皇国の総本山にして、現在の蒼の地球の支配を象徴とするサイデリアルの主力拠点。

 

その戦力はサイデリアルの中でも随一の精鋭達が属しており、ここからかの幹部達が皇帝の命により出立していく。強固にして堅牢、正しく難攻不落を具現化した宮殿要塞である。

 

その宮殿要塞の内部、まるで来賓の為に誂えられた豪華な一室に彼女はいた。

 

シオ───嘗てはシオニー=レジスと呼ばれていた女性、その身には自身と同じ純白なドレスを身に纏い、首もとには散りばめられた宝石で出来たネックレスが掛けられている。その有り様はまるで、城に幽閉された囚われのお姫様だ。

 

「………………」

 

ここへ連れてこられて早幾月、皇帝アウストラリスの温情により身の安全を保障されている彼女は、ただただ無意味に時間を浪費し続けていた。

 

「やれやれ、相変わらず湿気た顔をしてるわね。笑顔とまではいかないけど、もう少し明るく振る舞えないのかい?」

 

「………こんな所にずっと飼い殺されて明るく振る舞えるのは、よっぽどの無神経か頭の可笑しい人間だけよ」

 

「ま、それもそうか」

 

そんなシオの空間にノックも無しに侵入してくる者が現れた。フィカーツィア=ラトロワ、シオに遅れてこのラース・バビロンに幽閉されたジャール大隊の隊長である。

 

既に再会を果たしていた二人、言葉は交わしても視線は向けようとしないシオに呆れつつも、ラトロワは備えられたソファーに座り部屋の辺りを見渡す。

 

「しっかし、相変わらず何も無い部屋ね。豪勢な作りの割に娯楽に興じれそうなものが一つとしてない。これじゃあ牢屋と何一つ変り無いさね」

 

「実際、ここは牢屋みたいなものよ。違いがあるのは出てくる料理が中々なのと囚人服が綺麗なのとトイレの清潔が行き届いている所だけ、それ以外は脱出不可能な………ただの牢獄よ」

 

「随分と豪華な牢獄があったものだ」

 

シオの口から漏れる皮肉にラトロワは小さく笑う。彼女達がこうして顔を会わせていられるのは偏に、アウストラリスの許しがあるという事だけ。

 

現在ラース・バビロンの居住区の一角はリモネシアの人々の生活ペースとなっている。親しい者達がある程度の自由を持って生活出来るのは素直に有り難いし、皇帝の勅命があるのかサイデリアルの連中が自分達に暴行を働くことはただの一度も無かった。

 

けれど、だからと言ってここでの生活を享受し続ける訳にはいかない。どんなに優遇されても自分達は蒼の地球側に取って………いや、“彼”にとっての人質だ。いざというときに備えて、脱出する算段は早いところ建てた方がいい。

 

しかし、そんな彼等の目論見は何一つ通らなかった。ジャール大隊という戦闘のスペシャリストが揃って脱出を企てたのに、その全てが失敗に終わった。それは監視されているとかの問題ではない。

 

結界。スフィアリアクターであるアウストラリスの能力なのか、それともラース・バビロンの特性なのか、現在シオ達は強大な結界に囚われていた。

 

目に見えず、されどその結界を突破することは許されない。ある境界から過ぎると必然的に居住区の中心まで戻されてしまうのだ。上も下も、あらゆる箇所を探索しても一定の距離を歩くと強制的に元の場所へ戻される。次元の牢獄、隔絶された空間へと追い込まれた彼等に、出来る事は何もなかった。

 

どんなに足掻いても逃げれない状況、しかしそんな状況でも彼女達が諦めないでいられたのは、親しい者達がいるお蔭なのと………彼が来てくれるのを信じているからだ。

 

そう、彼が………シュウジ=シラカワが来てくれる。彼があの蒼のカリスマだと知り、彼の人間性を知るリモネシアの多くの人々が、彼の到着を心待ちにしていた。

 

しかし、それを良く思わない女性が一人、それこそがシオであり、彼女が憂鬱となっている最大の原因だった。

 

「………ねぇ、ラトロワ。貴女はどう思う? もし彼が、シュウジの奴がここに来てくれたら、貴女はその事をどう思う?」

 

「────まぁ、普通に嬉しいんじゃないかい? 普段はヘタレで比較的大人しいアイツが実は噂の蒼のカリスマとか、話題になるには事欠かない話さ。現にウチの子達は最初こそは信じなかったが、今ではアイツに会うことを楽しみにしているよ」

 

因みにそれは私も同じと、そう付け加えるラトロワにシオは真っ向から否定する。

 

「それは………………とても残酷な話よ」

 

「シオ?」

 

「彼は、戦うべき人じゃない。争うべき人じゃない。彼が本当にいるべき場所は………この世界にはない。いいえ、あっちゃいけないのよ」

 

言葉が強くなる。目を見開いて呆然としているラトロワを前にシオは自分が熱くなっている事を自覚しつつも止める事は出来なかった。

 

「彼は………もう、立ち止まっていいの。戦いから身を引くべきなの」

 

思い返すのはあのノートに記されたシュウジ=シラカワ本人の感情の吐露、そこには自分達の知らないシュウジの本心が書かれていた。

 

故に、シオは願う。どうか彼の戦いが少しでも早く終わります様に。神などいないこの世界で、それでもシオは祈り続けた。

 

 

 

 

 

 

 




Q.ニコラス君ってどうしてボッチに敵意剥出しなの?
A.ヒントつ与えられた力

互いに与えられた力だとしてもそれを活かすか殺すか本人次第。

次回もまた見てボッチノシ
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