『G』の日記   作:アゴン

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次回かその次回辺りで再世篇に入ろうかと思います。
また、今回はあるキャラが参戦。スポット枠として今後ちょくちょく話に絡ませる予定です。


幕間その2

 

 

α月G日

 

 “破界事変”そう呼ばれる戦いが終わり数ヶ月、ソレスタルビーイングの崩壊や黒の騎士団の壊滅、そしてゼロの死を始めとした大きな出来事もひとまず収束し始め、世界は表向きには平和な毎日を送っていた。

 

そんな時代が激しく揺れ動いている最中、自分はリモネシアで復興作業の手伝いをしている。建物を始めとした土木関係の仕事、使える電気製品の整備や老人達に対する福祉設備の調整。やるべき仕事が多すぎて連日てんてこ舞いの日々である。

 

子供達も老人達も、皆率先して手伝ってくれるのは有り難い。特に女性の皆さんには朝昼晩といつも食事の方を任せて貰っているから力仕事を担当する男性陣達は大助かり、子供達も自分等が出来ることを自ら探して手伝ってくれるから、結構助けて貰ったりしている。

 

そんな毎日があるため、黒の騎士団とソレスタルビーイングの危機に助けに行ける筈もなく、結局はどちらの組織も壊滅という結果に幕を閉じた。

 

まぁ彼等の事はあまり心配していない。ゼロに対してもそうだが、ソレスタルビーイングの面々はそう簡単にやられはしないと確信できる。新型に囲まれたといっても彼等もZEXISのメンバーだ。仮にそこでやられたとしても、再び起つ機会をゆっくり待っている事だろう。

 

黒の騎士団に関してもそうだ。今の所主だったメンバーは捕まっているが、ゼロの右腕として知られるカレンちゃんが捕まったという話は聞いていない。噂では何処かの紛争地域に隠れ、今もゼロ復活の機会を狙っているとか。

 

そして暗黒大陸。インペリウム討伐後、螺旋王が亡くなった後に地下に追い込まれた村人達と獣人達の今後をどうするか検討すべく、グレン団とゲッターチームは暗黒大陸に赴いたのだが、そこで意外な奴が現れた。

 

真ドラゴン。早乙女研究所に現れたあの怪物がインベーダーを引き連れて暗黒大陸に姿を現したのだ。当然グレン団とゲッターチームはこれに対抗し激闘を繰り広げるのだが、真ドラゴンの力を恐れて地球連邦政府は暗黒大陸に強力な重陽子ミサイルを発射、真ドラゴンを暗黒大陸ごと消し飛ばそうとしたのだ。

 

だがその時に時空震動が発生。重陽子ミサイルは消滅し暗黒大陸は無事だったが、その時の時空震動が原因で大陸周囲の次元境界線は歪曲し、暗黒大陸は再び外界から接触を拒む地となってしまった。

 

どれもこれも世界情勢を揺るがす騒動だが、破界事変の後にまるで予め用意されていた様に事は進んでいった。

 

まず三つの大国を始めとした数々の国が地球連邦の名の下に統一、先程も述べた通り表向きは平和な世界となりつつあった。

 

が、実際の所は単なる地球連邦は看板に過ぎず、各国の行政は今も変わることなく歪なものとなっている。ブリタニアに支配された植民地エリア、地球圏に言われるがままのスペースコロニー達。

 

破界事変を教訓にと謳ってはいるが、結局は何も知らない市民達に対する誤魔化しに過ぎない……と、不動さんが言ってた。 

 

やけに詳しいなと思った? 残念、全ては不動さんがソースだったのさ! 

 

いやだって自分は世界情勢に目を向ける余裕ないし、不動さん時々遊び来るし、子供達の遊び相手になってくれているから悪いこと言えないし、仕方ないじゃない。

 

しかも、世界が統一とか言ってる割には地球連邦からのお誘いの言葉が一向に来ないし。や、別に良いんだけどね。地球連邦は色々きな臭いし、変な奴らの企みに巻き込まれるのは困るし。

 

あ、けどあのグレイスにはいつか相応の報いは受けさせます。これ決定事項ですのであしからず。

 

その為にグランゾンの整備やら調整やら夜中にしているんだけど……うん。まだそういう訳にはいかないよね。

 

まだまだ普通に生活するには障害が多いし、自分がこの国から発つにはその辺りをもう少し整えてからの方がいい。

 

不動さんも暇があれば手伝ってくれると言ってるし、焦らずこつこつとやっていこうと思う。

 

 

 

α月V日

 

そうそう、言い忘れていたけどシオニーさんの事は皆受け入れてもらえる様になりました。

 

最初こそは国を滅茶苦茶にした事で殺される事も厭わなかったシオニーさんだったが、いざ謝罪と同時に頭を下げると、皆さほど怒った様子はなく彼女を迎え入れてくれた。

 

皆もシオニーさんばかりに責務を負わせた事に負い目があったようで、彼女にとやかく言う者はいなかった。ただ、大統領さん(名前忘れた)は土下座する勢いで謝ってきたことが少し……うざかった。

 

いや、別に悪いことじゃないよ? 大統領も大統領なりに反省していたし、シオニーさんもそれを受け入れたし、……たださ、鼻水を擦り付けるように膝に抱きつくのはどうかと思う。シオニーさんスゲー顔引きつってたもん。

 

え? お前も鼻水垂らして泣いてただろうって? そんなログ俺の所にはないなぁ。

 

と、まぁそんなこんながあって、今彼女は“シオ”としてここリモネシアで一から頑張っている。外務大臣という立場から解放されて肉体労働に勤しんでいる彼女は、四苦八苦しながらも輝いていた。

 

 

 

α月J日

 

今日は幾つか報告する事がある。まず一つ目は資金だ。リモネシアには既に国庫というものは存在せず、日々その日その日で調達したものでやりくりしているのだが……ここへ来て支援するなどと言い出す人間が出てきたのだ。

 

その名も“カルロス=アクシオン=Jr.”今はない世界最大企業のアクシオン財団の総裁で元インペリウム帝国の一員だった男だ。

 

金にモノを言わせて好き勝手する人間だと聞いてきたが、そんな人間が一体何故リモネシアの資金援助に名乗りを上げたのか。

 

理由を聞いてみれば何でも当時インペリウム帝国の一員だった彼がある日問答無用にシオさんから死刑判決を言い渡されたのだとか。その後の戦いでドサクサに紛れてインペリウムから抜け出したのだが、処刑どころか追っ手の一つも寄越さず、当時のカルロスは唖然としたのだとか。

 

『ボクを騙すなんてシオニーちゃんの癖に生意気だ!』そう彼は吐き捨てその時の“仕返し”という事でリモネシアを個人的に援助する結論に至ったとか……。

 

なんとも面ど……もとい、ひねくれた人だなぁと思いつつ援助を承諾。その後彼は定期的に物資をリモネシアに秘密裏に搬送する様になった。何故秘密裏なのかは地球連邦から目を付けられれば面倒だからだという。まぁ、元とはいえインペリウムの一人がリモネシアに援助していると知れれば確かに問題だろうと思うから別にいいんだけどね。

 

あ、それと援助を承諾したのは自分ではありません。自分はあくまで相談者の一人であるからそういった決定権はないのである。

 

今リモネシアで立場のある人物を仮として担っていてくれているのが、老人達の中でも冷静に物事を見てくれる“ガモン”さんである。

 

厳つい顔付きで威厳もあるし、誰を相手にしても堂々としている姿勢は仮とはいえ充分人の上に立てるカリスマ性を持っていた。

 

シオさんもそんなガモンさんを見本としている部分があるらしく、良く人前で緊張しない方法を教えて貰っているとか。

 

そしてもう一つ報告すべき事があるのだが……正直、自分は戸惑っている。今日、ここリモネシアで生活したいとある人物が外からやってきたのだ。

 

その人の名は“フィカーツィア=ラトロワ”さん。元人革連の軍人さんで階級は中佐、とある部隊を任されたお偉いさんであり。

 

………店長の、奥さんだった人だ。

 

元々店長はラトロワさんと一緒に人革連の軍人だったのだが、ある時息子をテロで無くし、それが原因で軍から離れ、ここリモネシアで酒場を始めたのだという。

 

そして、ラトロワさんが言うには自分はどこか息子と似ているという。

 

……正直、戸惑った。だから店長は俺に何かと世話を焼いてくれたのか? 息子に似ているからと、そんな理由を付けて。

 

真相は分からない。けど、これだけは言える。俺はあの人の息子でもないし、赤の他人でしかない。

 

けど、あの頃の自分をなんの疑いもしないで雇ってくれた事、自分の我が侭を受け入れてくれた事、その事実は変わらないし、店長には本当に感謝していると。

 

そう言葉にすると、ラトロワさんは唯一言、ありがとうとだけ言ってその場を後にした。

 

……その時の後ろ姿は女性特有の細さが現れているが、何処かあの時の店長と重なって見えた。

 

 

 

α月M日

 

ラトロワさんという新たな仲間が加わり、リモネシアは一層活気に溢れた。老人達だけじゃなく子供達にまで人気なのは……偏に彼女が軍人だった割に気さくな人格者だという事が大きいだろう。

 

ま、まぁ凄い美人さんだし。ロシア人だけあって肌は白いし、スタイルも抜群で面倒見も良いと来ている。子供達も懐いている事だし、軍人で凄腕のMSのパイロットとは思えない御人である。

 

そんな人気者の彼女なのだが一つ問題があったりする。それは……シオさんとの衝突だ。

 

度々仕事場で顔を合わせればやれひ弱だの、軟弱だのと挑発の言葉を投げ掛ける。

 

最初はシオさんも言い返していたのだが、彼女が店長の奥さんだと知ると何も言い返す事は出来なかった。……原因は、やはりカラミティ・バースの件だろう。

 

最初は自分もフォローしていたのだが、シオさんは必要ないの一点張り。ラトロワさんも挑発を止めないものだから仕事場は時々険悪な雰囲気に包まれる。

 

まぁ確かにシオさんは力が強い方ではないし、時々ドジやったりするがやる気のある人だ。皆もそれを認めているから彼女を助けたりしている。

 

だが、ラトロワさんはそれを良しとせず、仕切に彼女を挑発している。流石に酷い言葉を口にする時は自分が止めに入るが、ラトロワさんはシオさんに対する挑発は止めなかった。

 

どうにかならないものかと大統領に相談してみるが、こればかりはどうにもならないと両手を上げてお手上げ侍と言ってきた。

 

それに苛立ち、感情任せに殴りつけなかった自分は少し大人になったのだと思う。

 

けど、いい加減何とかしないと。どうにかしてラトロワさんとシオさんを和解出来ないかとラトロワさんをジッと見ていると、何故かシオさんが落ち込んでいた。

 

……あれは何だったのだろう?

 

 

 

 

α月O日

 

今日、またまた仲間が増えた。なんとその人物もラトロワさんと同じく元人革連の軍人で、自分より年下の少年少女達である。

 

何でも人革連のジャール大隊とかいう部隊でラトロワさんはそのまとめ役。地球圏の軍隊が一つに統一される事に伴いコレを機に軍から抜けてラトロワさんを追って来たのだという。

 

懐かれてますねというと、ラトロワさんは頭を抱えて苦笑い。自分としては子供達の相手役として、何よりリモネシアが活気づいてきたから嬉しかったのだけれど……何故か、滅茶苦茶敵視されてます。

 

特にナスターシャちゃん。軍では若くして大尉という地位にいた女性なんだけど、仕事についてラトロワさんに近付いたらそれだけで人が殺せそうな程睨んでくる。何か用かとそれとなく聞いても別にとだけ返して取り付く島もない。

 

ラトロワさんから聞いた所によるとジャール大隊は紛争やテロ、次元獣によって両親を失った子供達ばかりで構成されており、ラトロワさんが実質の親代わりだったとの事。

 

しかも皆がなまじパイロットとして優秀なものだから周囲からの目は厳しく、喩え戦果を挙げたとしても中央の連中の手柄と横取りされた事が多かったのだとか。

 

ロシアの荒熊“セルゲイ=スミルノフ”や中には気を許せる大人もいたが、軍が統一される事に伴い思い切って軍を辞める事にしたのだとか。

 

スミルノフさんも子供が戦場に出ることには不満があったらしく彼等の脱退を承認、ラトロワさんを通じてリモネシアに向かう手助けをしてくれたのだとか。

 

ていうかラトロワさんも来て欲しかったんじゃないか。と、自分がそう口にすると照れ隠しに小突かれてしまった。

 

けど、これで分かった事がある。つまりナスターシャちゃんを初めとした彼等は親代わりだったラトロワさんが居なくなる事を恐れたのだ。

 

そしてそんな彼女に近付く自分をラトロワさんを自分達から奪った敵だと認識。なんとも微笑ましい限りである。

 

だが、原因が分かれば対策は出来る。可能な限りラトロワさんと一緒に仕事をさせればいいのだ。彼等だって元々は軍人だし、体力は老人組の皆と比べればかなりあるだろう。

 

これで少しはシオさんを初めとした女性組の負担が軽減出来る。自分も自身の仕事に専念できるし、良いことづくめである。

 

良し、今日は皆の歓迎を兼ねて久し振りに自分が料理をする事にしよう。美味いものを食べればきっとジャール組の子らも心を開いてくれる。

 

……と、思っていたのだが、何故か皆一口だけで撃沈。ナスターシャちゃんに至っては白目になって気絶していた。

 

ラトロワさんも悶絶していたし……何故だ? 今回の麻婆豆腐は自信作だったのに───他の皆? 平然と食べてますが何か?

 

あ、あと毎度の如く不動さんが遊びにきてました。ラトロワさんの背後に音もなく立ったりして脅かしたりするものだから、案外あの人も暇人なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回出てきたキャラ“ラトロワ”さん。

マブラヴTEを知っている人ならきっと知っているであろうおっぱい軍人さん。

ロシア人と言うことでロシアの荒熊ことセルゲイ=スミルノフさんと絡ませ易いかなぁという安易な考えで参戦、今後もちょくちょく出していこうかと思います。主に日常編で。

そして主人公の能力は……今の所まだ公開出来ませんので精神コマンドだけ表示します。


加速、必中、鉄壁、気合、魂、覚醒

と、自分は判断します。

加速がついているのは物語当初でよく逃げていたから(笑)

ではまた次回ノシ

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