『G』の日記   作:アゴン

203 / 266
ボッチとビッチ、似てるようで似ていない。
そんな二人。


その175

 

 

 

♪月♪日

 

久し振りのガモンさんとの組手、短いながらも濃密で濃厚なその経験は確かに自分の体に刻まれ、染み込んでいった。

 

最後はガモンさんの一撃によって意識を断たれその日1日はずっと眠ってしまった自分だが、それに反し体の調子は良好、どうやら自分は無意識の内に身体に疲れを溜めていたらしい。

 

その事を踏まえた上でガモンさんは自分に組手を誘ってくれたらしいのだ。相変わらず面倒見が良いガモンさん、自分の体調くらいキチンと管理しろと怒られてしまったし、これでまた当分頭が上がらなくなった。

 

頭が上がらないと言えばマリーちゃんもだ。どうやらガモンさんとの組手の際に気絶してしまった自分を甲斐甲斐しく看ていてくれていたのだとか。適当に寝かせておけば良いのに、トレーズさんの友人だからと言って、自分が目を覚ますまで付きっきりでいたらしい。

 

本当、良い娘に育ってくれているよ彼女は。こんな娘がいつかは何処ぞと分からない馬の骨に嫁がなければならないなんて……そんな風に考えるとその馬の骨に殺意が沸いて仕方ない。まぁ、自分がそんな事口にするのは筋違いである事は自覚しているけどね。

 

レディさんもマリーちゃんに付き合って看病してくれたみたいだし、いつかこの二人にはキチンと礼をしなくてはいけないな。

 

本当はその場でしなくてはならないが、この時ブロッケンから急な話を耳にした為現在現場に急行中、グランゾンを出してワームホールで移動した方が速いが、それだと相手に悟られてしまう可能性がある為、徒歩で移動している。

 

どうやらアマルガムの連中、ヤムスク11なる場所で何かしらの実験を行うつもりらしく、そこには奴等に捕らえられた千鳥かなめちゃんの姿もあったらしいのだ。

 

情報の出所は吹き荒ぶ忠義の嵐の体現者、ジェレミア卿からで、どうやら彼もシュナイゼルの命令でサイデリアル以外の敵対組織の動向を見て回っているらしいのだ。

 

その情報を受け取る際に、マーティアル教団がキリコさんの手によって今度こそ壊滅し、その裏で暗躍していたワイズマンを打ち倒してフィアナさんを助け出したと言う嬉しい情報も手に入れた。

 

そんな彼等が次に向かうのはヤムスク11なる地、どうやらそこにはウィスパードにまつわる何らかの出来事が隠されているらしく、アマルガムの奴等はその秘密を元に何かしらの実験を行おうとしている様なのだ。

 

シュナイゼルが得られた情報はそこまでで、それ以上の事は分かっていないが、個人的にはぶっちゃけどうでもいい。奴等の手には千鳥ちゃんの命運が握られている。彼女には自分が陣代高校で事務員として働いていた頃に何かと世話になった事がある。

 

ウィスパードだろうと何だろうと、彼女が連中に捕まっているなら助ける理由としてなら充分、直ぐに自分も現場に向かい、先に待っているジェレミアさんと合流し、千鳥ちゃんを助けることに全力を尽くす事にしよう。

 

本当なら大貫さんにも手伝って欲しい所だが、彼にはマリーちゃんとレディさんを守るのに手一杯らしく、千鳥ちゃん達の事は自分に任せると丸投げされてしまった。

 

少々納得が行かない話だが、ガモンさん曰く自分達はあくまでこの戦乱に於けるオマケの様なもの、この時代の混乱は当時の若者が収めるべきであって自分達老人がでしゃばる事ではない───と、言うことらしいのだ。

 

そんな事を言ってる場合じゃないと思う一方でガモンさん達の言い分にも一理あると判断した自分はそれ以上大貫さんに頼み込む様な真似はせず、気が向いたら手助けして下さいとだけ言い残し、その場を後にした。

 

確かにガモンさん達に頼み込めば大概の困難は乗り越えられるだろう。しかしそれではこれから待ち受ける戦いに、自分の力だけしか奮えない状況に陥った時、誰かに甘えてしまう可能性が出てきてしまう。

 

ガモンさん達はそんな“甘え”を持つ人間になって欲しくない為に敢えて自分を突き放したのだろう。だったら乗り越えるしかない、そう思いながら自分はヤムスク11に向かう事にした。

 

 

 

♪月滅日

 

失敗した。ヤムスク11という研究都市にまで辿り着いたのは良かったが、其処で待ち構えていた奴に阻まれ、Z-BLUEと合流出来ずに終わり、みすみす千鳥ちゃんを奴等の手に渡してしまった。

 

言い訳だとは思うが、その失敗した事に対する原因を簡潔に纏めると………奴、サクリファイの奴がかの研究都市で自分を待ち構えていやがったのだ。

 

久し振りの邂逅、しかし奴の力は余りにも増していた。………いや、増していたなんて生温いモノじゃない。文字通り違っていた。

 

あの女、俺が始末するべきだったアドヴェントの野郎を喰ってやがった。道理で見覚えのある金髪の筈だよ、最初見たとき「あれ? こんな奴でも髪とか染めるんだ」なんて一瞬でも呑気に考えてしまった自分がアホみたいだ。

 

そしてアドヴェントを吸収したサクリファイの力は尋常じゃなく、あのガモンさんを引き合いに出しても強敵と思わせる程に強くなっていた。つーかあの女、俺が使っている空手の技をそっくりそのまま返して来やがったのだ。

 

どういう事だと不意に口ずさんでみると、愛の為せる業とよく分からない理屈を宣う始末、お陰で自分は終始奴の相手に必死になるばかりで肝心の千鳥ちゃん救出作戦に参加できなくなってしまった。

 

つーか何なんだよマジで、なんであの女俺やガモンさんの技をそっくりそのまま手に入れてんだよ。ガモンさんから教わった護身術の空手は一日二日で覚える程容易くは無いんだ。

 

けれど実際奴は俺と同じ構えで同じ技を打って来やがった。そこは変えようのない事実、問題はそのタネの方だが……そう言えばあの女、俺が拳を打ち込む度にもっと! と頬を紅潮させながら強請って来たっけ。

 

最初は単に奴が変態的な性癖を暴露して来たのかと思ったが、実は違う意味を含めていたのかもしれない。………受け入れている? 俺がガモンさんから教わった技を奴に打ち込む度に、サクリファイは俺の力と技をその身に刻み付けたと言うのか?

 

だとするなら奴が俺の攻撃を彼処まで受けていた意味も理解できる。アイツ、喜怒哀楽の力を手に入れて変質でもしてんのか、以前の奴とは余りにも違いが有りすぎる。いっそ別人と呼べる程に。

 

その後、アマルガムの連中がヤムスク11から離れると同時に奴もまた撤退した。今日の所はこの辺でと、最後まで熱を込めた瞳で見詰めてくる奴に自分は薄ら寒い感覚に襲われた。あの有り様は妖艶を通り越しておぞましくすらある。

 

まだまだ奴には聞きたいことがあったが、逃げられてしまった以上仕方がない。一先ずZ-BLUEに合流し情報を共有しておかないと───その時、やって来たジェレミアさんの口から告げられた情報に自分は直ぐ様ヤムスク11から経つ事となった。

 

ミケーネの神々がハーデスの手引きにより復活し、その際に竜馬さんが甲児君を庇い負傷。意識不明の重体となり、緊急の手当てとしてゲッター線を浴びせたが、それが原因で現在真ゲッターと共に絶賛暴走中。前者は兎も角後者は直ぐにでも解決しなければならない案件だ。

 

ミケーネの連中は………まぁぶっちゃけどうでも良い。確かに連中は連中で油断出来ない相手だが、既に幾度となく相手をしてきた者達だ。そのしぶとさと身体の頑強さは厄介であるが、自分としては然程気にする相手ではない。

 

本当にヤバイのは真ゲッター………もとい竜馬さんだ。D.O.M.E.で目の当たりにした巨大なゲッターロボの事を考えると、竜馬さんの沈静化はミケーネの神々を相手にする以上に重要だと自分は考えている。

 

竜馬さんとゲッターの力は底が知れない。向こうの面々の実力を疑う訳ではないが、彼等の力は絶大だ。竜馬さん達に対抗するには少しでも対応出来る機体が必要な筈。

 

グランゾンなら暴走するゲッターを相手にも通用する筈だ。重力を操るグランゾンの力で抑え込み、Z-BLUEと協力すれば被害は最小限に収まる筈。

 

希望的観測が多い内容だが、やらなければ竜馬さん達の身が危ない。今回はここまでにしておいて自分もグランゾンと共に現場へ急行する事にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤムスク11────地下下水道。過去の実験の影響により、人気は愚か生命の一つすら感じられない死の研究都市。

 

その地下深くで蠢くのは、艶やかな肢体を震わせて身悶えるサクリファイだった。

 

「あぁ、あぁ、素晴らしい。素晴らしいですわ! これが蒼のカリスマの拳、魔人の蹴り、シュウジ=シラカワの一撃!」

 

全身に刻まれた無数の打撃痕。それを慈しみ、愛でるように撫で回す彼女の瞳は潤んでいた。紅潮する頬、荒くなる吐息、痛みではなく歓喜で身を捩らせる彼女は先程に経験した出来事を思い浮かべる。

 

先のやり取りで一方的に打ちのめされた記憶、以前の彼女《達》からすれば屈辱でしかないその記憶は受け入れて糧とし、自らの血肉として受け入れた。力も速さも手に入れ、彼の者との実力はこれで拮抗した筈だった。

 

しかし、蓋を開けてみれば今回もまた一方的に殴られた。殴られ蹴られ、出来たのは精々彼にされた事をそのまま返す程度。

 

けれど、そのお陰で彼との時間はより濃厚なものとなった。仮面越しからでも分かる驚愕する魔人の様子には、その余りにも純情な反応に、下腹部から異様な熱を感じてしまう程にサクリファイは昂った。

 

「しかし、えぇ、まだその時ではありません。今の私では彼を受け入れる事は出来ません」

 

実力の差は未だ開けている。同じ手が何度も通用するほど甘い相手ではないだろうが、それでもサクリファイはこの関係を止める気など毛頭なかった。

 

次だ。次再び見えた時は今回同様何度も殴り合おう。それでも勝てなければ次、それでも敵わなければ敵う時まで何度も繰り返すだけ。

 

嗚呼、何という事だろう。これではまるで波打ち際で戯れる恋人達の様ではないか。

 

「ふふふ、次に会う時が楽しみですね」

 

薄暗い闇の底で愛を語るケダモノ()は静かにその時を待ち続けた。

 

 

 




Before
サクリファイ「よくも我が同胞を、許しません!」

After
サクリファイ「もっと、もっと激しく打ち込んで下さい!」

つまり、ボッチの天敵には某クルセイダーみたいなのが最適な可能性が微レ存?

それでは次回もまた見てボッチノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。