話の流れ、展開等を忘れてしまった皆さんは本作品を一からの読み直し&スーパーロボット大戦Zの破界篇からのプレイし直しをオススメします(ゲス顔
α月Δ日
サイデリアルのトップ、次元将ヴィルダークとの激闘から数日、現在自分はこれ迄世話になった人達に礼を言うために世界を巡る巡礼の旅をしている。
本当ならシオさん達と一緒にリモネシアでゆっくり戦いの傷を癒すべきなんだろうけど、次に始まる戦いはこれ迄で最大規模………つまり、全宇宙の命運を懸けた戦いになる。これは次元力に詳しいおキツネ博士ことトライア博士と彼女が作った次元力航行艦“ソーラリアン”による観測で得られた情報、信用は十二分にあるだろう。
近い内にインベーダーや宇宙怪獣を始めとした根源的災厄が銀河の中心部から地球圏に押し寄せてくる。奴等は宇宙に存在する全ての生命体を駆逐する終末装置、奴等が本格的に動くという事は即ち、宇宙の終焉を意味している。
そしてその原因となっているのが、クソッタレテンシこと哀しみのサクリファイ。これは自分の勘だが、インベーダー達が動き出したのは奴の行動による連鎖的なモノだと思える。
奴は既にこの宇宙に未練はない。そもそもアドヴェント達を吸収した時点で奴の自我は殆ど破綻している。あの女に宇宙の存亡に関する興味は微塵も存在していないと思った方がいいだろうし、何なら終わらせるつもりでいる。
それが何の為なのかは知りたくもないが、奴が地球圏から去ったのと同時期に根源的災厄が動き出した事から、恐らくこの推測はあながち間違いではないのだろう。火星で奴が寄越してきた宇宙怪獣達も多分其処からやって来ただろうし。
宇宙の終焉が近い。しかし、それでも自分達がする事は変わりない。サクリファイと決着の準備をする為、自分達は自分達に出来ることをやるだけだ。
他のZ-BLUEの面々はそうしているし、戦いに備えて英気を養っている者もいる。自分が世界中を回ろうとしているのもそれに似たものだしね。決戦の時は近付いている。でも、その時まで気を張り詰めているのも疲れるだけだ。
今の内にやりたいこと、やっておきたいこと、人類に待ち受ける史上最大の試練を乗り越えるため、自分はこれ迄世話になった人達への巡礼の旅をすることにした。
まず最初に訪れたのは自分がまだこの世界に来て間もない頃、整備のいろはを教えてくれたゴウトさんの所だった。ゴウトさんはこの世界に来たばかりで右も左も良く分からない俺を、その面倒見の良さで世話してくれた恩人の一人。
今にして思えば、身なりからして学生気分で彼方からしたら胡散臭い俺を良く面倒見ようと思ったものだ。そんな懐の深いゴウトさんに恩返しのつもりでここ二日間整備のお手伝いをしたのだけど……。
いやー、変わってなくて安心した。初めて会ったキリで碌に顔を合わせていないし、あれから色々あったしで不安だったけど、当時と変わらず元気なゴウトさんに俺も何だか嬉しくなった。向こうも俺のこと覚えてくれていたみたいだし、顔を見ると否や手伝えと来たものだ。
相変わらずバトリングの興行やらに精を出しているが、整備の腕前も衰えてはいないようだ。俺もあれから色々機械弄りをしてきたから多少は知識量も増えたし、ゴウトさんと色々話をすることもできた。
一番嬉しかったのは整備の腕を褒められた事、様々な機械に手を入れた事で俺の手はもう一人前の整備士の手だとゴウトさんに褒められた。
その後もバニラ君やココナちゃん、キリコさんやフィアナさんと談笑しながら仕事を手伝い。今日、ゴウトさんの所を後にした。
本当なら蒼のカリスマの事も話しておくつもりだったのだけど、俺達の話で盛り上がった所にそんな話を投げ込むのも気が引けた。何より、ゴウトさんが蒼のカリスマの正体に興味が無いのなら、変にその事を伝えるのも野暮というものだろう。
キリコさん達も話すつもりはないし、蒼のカリスマの件についてはゴウトさんに告げる必要はないだろう。最後に、初めてキリコさんと会った時の台詞を口にして、俺はアンダーグラウンドを後にした。
◇
「ったく、相変わらずおかしな奴だったな。なんだよ“むせる”って」
「まぁ、ここは硝煙の臭いとか凄いしね。噎せるのも仕方ないんじゃない」
「しっかし懐かしいな。確かアイツ、キリコに初めて会った時も同じこと言ってなかったっけ?」
去り行くシュウジを見送り、店へと戻るゴウト達。その会話に寂しさによる哀愁の色はなく、その顔は懐かしい者に会った嬉しさで満ちていた。
「……………」
「どうキリコ。今の彼、初めて会ったときと何処か変わった?」
小さくなっていくシュウジの背中を最後まで見送るつもりでいるキリコに、フィアナが声を掛ける。少し茶目っ気を見せる笑顔を振り撒いてくる彼女を愛おしく思い、キリコの表情も僅かに弛む。
「確かに、これ迄の戦いと経験は奴を成長させたのだろう。しかし、その本質は変わっていないようだ」
「ねぇ、今の彼を相手にしても貴方なら勝てる?」
言われて思い浮かぶのは時獄戦役の時に相対した魔神とシュウジ、当時の彼等は確かに強かった。けれど、その裏でアドヴェントに支配され、そうせざるを得なかった彼が本当の………いや、本心から本気だったかと言われれば首を傾げるだろう。
故に、キリコの返答は決まっていて。
「…………奴を相手にするのは、二度とゴメンだ」
◇
α月γ日
ゴウトさんの所から出立して二日目の今日、現在自分は新大陸で世話になった人達に会いに行くべく、新大陸行きの船に乗っている最中である。
本当ならグランゾンで一瞬で行けば済む話だが、これはこれ迄世話になった人達への感謝を伝える巡礼の旅、自分の足で巡ってこそ意味があると、途中で出会ったアレルヤ君やマリーちゃんも言ってた。
まぁ、確かにそんなに急ぎの旅路でもないし宇宙怪獣達が押し寄せてくる迄の時間もまだ残されている。それにいざとなれば走ればいいし、そうなったらそれこそグランゾン無しでも数時間もしない内に目的地に辿り着けるだろう。
と言うか、実際走ったし。自分と同様旅に出ていたアレルヤ君とマリーちゃん達と出会した際に、列車に乗り遅れて途方に暮れていた所を自分がグランゾンで送った後、駆け足で戻り確認すると時間は然程遅れていなかったしね。
咄嗟に相棒を使ってしまった訳だけど………知り合いを送るくらい別にいいよね。帰りは自らの脚を使って戻ったし、ヘーキヘーキ。別れ際の二人の表情が引きつっていた気もしないかもしれないけど、気にしない方向で前向きにいこう。
そんな訳で順調に旅を進めていたのだけど………妙な事になった。いざと言う時の為の連絡用に持っていた通信端末から呼び出しの音が鳴り響き、手にとって見ればあら不思議、連絡してきた相手はシュナイゼルの奴だった。
現在国連の建て直しにナナリーちゃん達と一緒に忙しい思いをしているアイツが、何故俺の連絡先を知っているのか、気にはなるが………なんか怖いから止めておいた。
で、そんな奴から頼みたい事があると言うから渋々聞いてみると、何でも現在新大陸では一風変わった新興宗教が一大勢力を築き上げているのだとか。
その新興宗教の名は《蒼神教》偉大なる蒼のカリスマと彼の魔神グランゾンを崇め奉るという過去に類を見ない宗教組織だとか。
………うん、突っ込んでいいかな?どうしてそうなった?
何で俺が崇められてんのさ? 何で俺が奉られてんのさ?? そんな風にされる覚えは俺に一切無いよ? 何でそんな訳分かんない事になってんのさ?
理由を聞いてもシュナイゼルは分からないの一点張り、つうかそう連絡してくるときのあの野郎、絶対笑ってやがったぞ。時々吹き出してたし、何だってそんな宗教が出来始めてんのさ。
て言うか、俺テロリスト。正体こそ明らかにされてないけど、蒼のカリスマは未だにこの星じゃなまはげ級の厄ネタだからね?何で国連はそんな宗教の設立を見逃してんのさ。………て、先も述べたが今の国連はサイデリアルの戦いでの損耗を補填するために忙しいんだったか。
しかもその宗教、どうやら結構規模が大きいらしく新大陸では人種問わずに勧誘していて、その上宗教内容が良いのか熱心な信仰者が多いという。何故に?
それでここからが本題なのだが、その宗教はちょっとした暴走状態にあるらしく、現在カミナシティでは信仰者とそうでない人達による衝突で小規模ながらちょくちょく暴力事件を起こしているらしい。
いや、人の名前使って何してんのよ? しかもよりにもよって世話になった人達と街に迷惑掛けるとか、俺からすれば洒落処では済まない話である。
そんな訳で現在国連もZ-BLUEも満足に動くことが出来ないから、代わりに俺へと話が回ってきたわけである。まぁ実際他人事じゃないし、そう言うことなら受けない訳にはいかないので、俺はシュナイゼルからの頼みを受けることにした。
その際にあの島での予定をすり合わせをした後、何回か会話を交わして通信を切った。取り敢えず、元気そうで何よりだ。
………そういえばシュナイゼルの奴、念のために助っ人を何人か送ると言ってたけど、一体誰を送ってくる気だ? もしかしてルルーシュ君達?
取り敢えず、上陸に備えて今日は早く寝よ。ったく、折角の巡礼の旅だと言うのに面倒なことになったものだ。
◇
国連本部の数ある執務室の一室、積み上げられた書類を淡々にこなし、シュウジとの話し合いを終えたシュナイゼルは仕事が一区切り着いた事で首を鳴らし、その背中を背凭れに預ける。
「さて、これで一応は
「宜しかったのですか? 彼だけを向かわせて。相手は新興されたばかりの宗教ですが、どうもあの組織には裏がありそうです。“例の国”もありますし、念には念を入れるべきでは?」
「確かにそうかもね。全く、彼の知名度にも困ったものだよ。彼の強さは最早信仰の対象となってしまい、これ迄の彼の活躍が明るみに出ようとしている。全く、つくづく厄介な男だよ」
そう憎まれ口を叩いているが、何処か嬉しそうに、楽しそうに語るシュナイゼルに、従者であるカノンは人間らしくなった主を見て、微笑ましそうに笑みを浮かべる。
蒼のカリスマことシュウジ=シラカワは、嘗て世界最大にして最凶のテロリストとして名を知られていた。多くの外敵を滅ぼし、それ以上に国連を追い詰めた、Z-BLUEに単独でありながら匹敵する巨大戦力。
魔神激昂事件。嘗てリモネシアで起きた大事件、彼の魔神ことグランゾンとその操縦者である蒼のカリスマを討伐せんと送り込まれた、当時の世界の全戦力の半数を打ち倒した怪物、しかしその実態は何処までも人の味方をした善なる者。当時はアロウズに良いように情報操作された誤認の情報も、今は調べようと思えば誰もが真実を知ることが出来る。
喩え世界から疎まれても自分の道をひたすらに突き進む。端から見た蒼のカリスマの行いはそんな風にみえるのだろう。そんな聖人染みた善性も相まって、件の宗教が大きくなってしまった要因の一つになってしまっている。
「全く、大衆にも困ったものだよ。これ迄は悪の親玉の様に恐れていた癖に彼の本性に触れた途端これだ。これこそ熱い掌返しと言うのではないかね?」
「シュナイゼル様も相当毒されている様で何よりです。………何処の掲示板を覗いてきたんですか」
「蒼スマchさ、例の新興宗教もあって現在大炎上中でね、蒼のカリスマって呼び捨てにしたら“さんを付けろよデコ助野郎!!”って全方位から叩かれるってさ。因みに僕も叩いた」
「何をしてるんですか貴方は」
予想以上にはっちゃける様になった主にカノンは軽く目眩を覚えた。
「ま、流石に暴動を起こされた以上放っては置けないからね。彼には悪いが火消しを担って貰うとするよ」
「助っ人の方は如何します?」
「それについては問題ないよ────と、来たみたいだね」
扉越しから聞こえてくるノックの音、それが助っ人の到着だと察したシュナイゼルは姿勢を正し、どうぞと呼び掛ける。
執務室に訪れたのは国連に属する制服を身に纏う複数の男女、何れもブリタニア人と思われる年若い少年少女達だった。
「“グリンダ騎士団”、全員只今到着しました。シュナイゼルお兄様、ご用件は何でしょう?」
並び立つ少年達から一人の少女が一歩前に出る。その姿は何処までも可憐で、一見すれば凡そ騎士団の団長とは思えないか弱い少女。
しかし、その瞳の奥は何処までも強気だった。何処までも強く気高い騎士を思わせる少女、凛とした敬礼を見せる彼女に、シュナイゼルは満足そうに笑みを浮かべた。
◇
────新大陸、某所。
「オズ、本当にこの国に彼がいると?」
「あぁ、“魔女”からの確かな情報だ。この大陸の何処かに《蒼神教》の開祖、蒼のカリスマはいる」
「オズ、分かってはいるが………」
「安心しろズィー。流石の俺も奴にはいきなり手を出さないさ。ただ俺は………知りたいだけだ。何故奴は世界から敵視されても折れずにいられたのかを」
カミナシティのとあるホテルの一室、摩天楼から少年が見据えるのは部屋から見える街並みの遥か先、彼の世界最凶の魔人の背中だった。
長らく更新を開けてしまい、申し訳ありません。
今回はサイデリアルとの地球決戦の後のお話、Z-BLUEが一時の安らぎを得る合間の物語です。
巡礼編ならぬギアス祭り。偏ったキャラばかり出てきてしまいますがご容赦下さい。
Q.ボッチが蒼のカリスマだって言うのは世界的に知られてるの?
A.主人公が蒼のカリスマだと言うのはZ-BLUEの面々を除いて僅かしかいません。当然ながら、今回の話の後半に出てきた面々はシュナイゼルを除いて誰も知りません。
それでは次回もまた見てボッチノシ