『G』の日記   作:アゴン

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今回は日記メインです。

原作で言うところの第38話に相当。

今後、少し話のテンポを上げるかもしれません。


その35

 

 

K月×日

 

なんだかここ最近あんまり日記を書いていない気がするが、一度止めてしまうと怠け癖が付いてしまいそうなので、暫くは日記を綴る日々を送りたいと思う。

 

さて、アフリカタワーでの悲劇は起きた災害の規模の割には被害はそれほど大きくならず、負傷者はいても死傷者はゼロと、人的被害は最小限に留まったという奇跡が起きた。

 

タワーからパージされ、落下してくる無数のピラーもほぼ全てが地上には落ちず、自治体が上手く立ち回れば、早くて一週間程で住める環境にまで整えられるという。

 

グランゾンで頑張って良かった。今まで住んでいた場所が無くなるというのは精神的に大きくダメージを受けるモノだから、ピラーを全て破壊出来た事は本当に良かったと思う。

 

ただ例の如く、地球連邦は今回の事件の全てを自分こと“蒼のカリスマ”に擦り付けて、市民からの非難を避ける小賢しい手を使っていたりする。

 

別に分かっていた事だし、今更その程度で怒る気もしないけど、いい加減そろそろ別のやり方を模索しないとこれまでの嘘が一気にバレる気がするのは自分の気の所為だろうか?

 

まぁ、その時の政府の対応を楽しみにする事にして、次の話に移ろう。内容はズバリ、蒼のカリスマに対する世間の反応だ。

 

今まで自分なりに必死に行動していたけれど、あまり省みる事はなかった為、アフリカタワーの一件から落ち着いた今日、思い切って調べてみたのだ。

 

何だか気恥ずかしいと思いながら近くのネカフェで蒼のカリスマをググッてみると……なんと1000件を超える蒼のカリスマの記事が掲載されていたのだ。

 

しかも中には破界事変の頃から自分を追っている人もいるらしく、中には“ダンクーガは戦場に必要か?”の著書で知られるイザベル=クロンカイト女氏の名前もあるからビックリ、俺ってこんな有名だったのねと今更ながらな感想を抱いていた。

 

他にも黒の騎士団の総帥ゼロとは兄弟の間柄とか、地球連邦の影の支配者説とか、様々な噂が飛び交う中、一際気になる話が出て来た。

 

記事の内容は歴代の賞金首について、ここ数年で巨額の賞金が掛けられた犯罪者がリストアップされている所謂裏の記事と言える話なのだが……なんと、多くの賞金が掛けられた賞金首の中で蒼のカリスマが単独トップを貫いていた。

 

賞金の額は5000億。国家予算並の賞金に自分は笑えばいいのか泣けばいいのか分からなくなり、それを最後にネカフェで蒼のカリスマに関する情報を探すのは止めにした。

 

因みにゼロは自分と少し間を開けての二位、ZEXISに協力しているからという理由で危険性は低めに設定してあるらしい。

 

つーか、ここでもボッチな俺って……しょーもない情報に踊らされている自覚はあるが、やはりこういうのは中々ショックだ。せめて眠る事で今日の日記は終わる事にする。

 

言い忘れていた。今回の本来の首謀者であるパング=ハーキュリーさんを初めとするテログループの人達は、蒼のカリスマに脅されて仕方なく共謀したという事になっており、軍を辞職させる事で責任を取らせる形となった。

 

しかもその後行方を眩ましてどこかの反政府勢力に身を隠しているなんて噂を耳にしている。世界の統一に忙しいのも分かるけどさ、こういった面が今の地球連邦の脆さを露わにしているみたいだ。

 

最近では女王リリーナも頑張っているみたいだし、意外と早く現政府の政権は変わるんじゃないかなと楽観視してみる。

 

 

 

K月G日

 

……今日、久し振りにいけ好かない奴と遭遇した。“ガイオウ”破界の王と恐れられていた奴と街中を歩いていた最中に遭遇、ホットドックを片手にニコニコ笑いながら声を掛けて来やがった。

 

しかも街中で「蒼いの!」なんて呼ぶものだから思わず奴にハイキックをかましてやった。尤も、奴はてんで効いた様子はなかったけど……つーか、蹴った足の方がダメージが大きかったってどゆこと? 次元獣の王だけあってその体は鋼という訳か。

 

何度無視しても話し掛けてくる奴に仕方なく対応していると、今度は意外な人物が声を掛けてきた。

 

“カルロス=アクシオン=Jr.”嘗てリモネシアに資金や物資を支援してくれた恩人で、その人がガイオウとつるんでいるのを目の当たりにした自分は相当驚いた事だと思う。

 

しかも向こうは自分が蒼のカリスマだと言うことは知っていたらしく、一緒に食事でもどうかと誘ってきたのだ。しかも来ないと色々バラすという素敵な脅し文句も一緒に……。

 

此方も色々話を聞きたかった為に誘いを受けたのだが、カルロスさんは此方の話をてんで聞こうとしなかった。

 

折角これまで援助していてくれたのにリモネシアを焼かれてしまい申し訳ない。と、謝罪しても空気を読めの一言で一蹴されてしまった。カルロスさんは旅をしていた自分の話にしか興味が無かったようで、蒼のカリスマ時の自分の話を聞いて終始ニヤニヤしているのが印象的だった。

 

結局その後、連れられた料理店ではそれらしい話はなく、もっぱら談笑ばかり。ガイオウはバクバクと出された料理を食べるだけでちっとも会話に参加してこない。……別に話すことなど何もないのだけれど。

 

ただ、別れ際にこれからどこ行くのか訊ねられてこれから行く場所を教えると、カルロスさんは笑顔で「頑張ってね」と応援してきた。

 

あの笑顔にはどんな意味があるのだろう。そして、あの二人はなんの為に行動を共にしているのだろう。結局その辺りは聞き出す事は出来ず、二人が人混みの中に消えていくのを見送る事しか出来なかった。

 

因みにカルロスさんが自分の事を知っていた理由だが、やはりガイオウの奴が口を滑らせていたらしい。ピザ二つで買収されるとか、懸賞金5000億の自分の立場が形無しである。

 

金持ちのカルロスさんに口止め料とか払える訳もなく、その時の自分は酷く焦った。けれどカルロスさんは自分に脅しをしてくる事などなく、「あの蒼のカリスマを驚かせた事、それだけで満足した」とだけ言って、それ以降自分に関する話をする事はなかった。

 

本当なら釘を刺しとく意味で言い含めておく必要があると思うが、何故かあの二人はそんな真似をするとは思えず、自分もそれ以上話す事はなかった。

 

……カルロス氏は兎も角ガイオウにすら抱く奇妙な信頼感。嘗て戦った敵を相手に何をバカなと否定しながら、今日の所は終了する事にする。

 

明日向かうのはエリア11。色々気を付けながら寝ることにする。

 

 

 

K月W日

 

──今日、少し不思議な出来事が起こった。なんと蒼のカリスマである自分に、お願いと称して依頼を出してくるお嬢ちゃんと遭遇したのだ。

 

事の発端はお昼過ぎ、何らかの情報がないかとエリア11の裏の顔、ゲットーにまで足を運んだのだが、そこで黒の騎士団とブリタニア軍の戦闘に巻き込まれてしまった。

 

何故ZEXISの面々ではなく黒の騎士団がエリア11に来ていたのかは分からないが、彼等が単独で動いている以上ZEXISの権限は通用せず、ブリタニアは容赦なく襲ってきたというのが今回の戦闘の切っ掛けだろう。

 

しかも戦場にはナイトオブラウンズの10の機体も見え、戦場はより苛烈となった。クロウさんのブラスタや他のZEXISの面々が駆けつけるまで押されていた黒の騎士団。しかも戦闘の中伏兵だったもう一人のラウンズ、枢木スザク君のランスロットが乱入してきて横腹を突かれた形で攻撃されたカレンちゃんの紅蓮は不覚を取られ戦闘不能、ブリタニア軍に連れ去られてしまった。

 

本当は自分も助けに向かいたかったけど、その頃の自分は別の所で動ける状態じゃなかったのだ。

 

一応ここエリア11では正式な手段で来ているが、ゲットーはブラックリベリオンの時もあり、観光客や普通の人間は立ち入り禁止の区画となっている。当然そのままの格好で人目に付けば怪しまれるので、「だったら最初から怪しい格好で入ればいいじゃん」という単純な考えで蒼のカリスマ状態でゲットーに侵入していた自分は、ある修羅場に出くわした。

 

ゲットーの中でも開けた場所、公園と思わしき場所に二人の男女が向かい合っていた。服装からして学生らしい二人なのだが、何やら物々しい雰囲気だった。

 

何やら「ルルを……!」とか「私も混ぜて!」とか、女の子の必死な言葉に男の子の方は何も言わず、いきなり銃口を女の子に突きつけたのだ。

 

痴情のもつれによる喧嘩にしては行きすぎると判断した自分は、二人の間に割って入る。その際に今にも発砲しそうだった少年の手に飛礫を当て、怯んだ隙に銃を蹴り飛ばした。

 

その後、自分の説得をどうにか聞き入れてもらった彼は渋々とゲットーから立ち去っていった。いやー、男女の間による痴情のもつれというのはこんなにもデンジャラスなものなのか。今まで生きてきた人生の中で彼女なんかいた試しのなかった自分は、青春も怖いものだなとシミジミ思いながらその場から去ろうとしたのだが……なんと、その時に助けた女性から助けてもらった事への感謝の後、私の大切な人を守って欲しいと言われたのだ。

 

イマイチ要領の得ない話だが、何でも黒の騎士団のゼロと、それに連なる人達を守って欲しいというのだ。何故そこでゼロが出てくるのかは分からないが、涙目で必死に訴えてくる少女の願いを無碍には出来ないので取り敢えず了承する事にし、女の子を租界の入り口まで送ってあげた。

 

───改めて思うけどゼロに連なる人達を守れって事は、要するに黒の騎士団を守れって事なのだろうか? つまりそれはブリタニア軍に連れ去られたカレンちゃんを助けてくれって事?

 

後で調べた情報によるとカレンちゃんは破界事変の頃、アッシュフォード学園という学校でレジスタンスと学生をしていたと言うし……もしかしてそれ関連?

 

だとしたら俺、今度はエリア11の政庁に侵入する事になるの? 確かカレンちゃんはそこに連れ去られたみたいだし。

 

まぁ、夜中に忍び込んだらいけなくもないけど……あそこって今ラウンズが最低一人いるよね? ラウンズって化け物みたいに身体能力高いって聞くけど、そいつらと生身で戦えって事?

 

今更ながら安請け合いした事を軽く後悔する。けれど涙目で頼み込んでくる女の子の願いを無碍にするのもどうかと思うし、取り敢えず頑張ってみようと思う。

 

ゲットーに入る前に目的の情報を入手しておいて良かったと思いながら、今日の所は終わりにしようと思う。

 

え? 何を調べていたんだって? トゥインクルプロジェクトのシェリル=ノームの今後の話。なんでも近い内、今まで休養していたシェリルがサンクキングダムで女王リリーナと共に来訪し、歌を披露する予定なのだとか。

 

そこには当然あの女もくる。シェリル=ノームのマネージャーにしてプロジェクトの責任者、グレイス=オコナーが。

 

標的の一人が漸く仕留められそうなのでその時を楽しみにしながら眠ることにする。

 

 

 

 

 

 




主人公の現精神コマンド。


加速、直感、鉄壁、気迫、魂、???


となっております。

破界篇よりもちょっぴり性能を上げました(テヘペロ

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