『G』の日記   作:アゴン

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今回主人公新技出します。




その40

日本、富士周辺。

 

インベーダーの襲来、それに伴って出現する真ドラゴン。異形の者達を従える様にそびえ立つ真ドラゴンに世界中の人間達が恐怖する。

 

終末を呼ぶ邪神。富士の山頂付近で佇む真ドラゴンを人々はそう呼んだ。世界の終わりだと、地球の終焉だと、人々が口ずさむ中、ある地球連邦の部隊が現場で戦っていた。

 

その部隊こそがZEXIS、混迷する地球に唯一残された希望である。連邦政府の情報統制に伴ってその存在は政府直轄の部隊の一つとして片付けられるが、その部隊に結集された力は既に国家を凌駕している。

 

そんな彼等は誰に頼まれたわけではなく、自分自身の意志で戦う事を選んだ。大切な人や故郷を、愛する人を守る為に戦う姿は正しく鋼の勇者だ。

 

しかし、そんな彼等を追い詰めるべく更なる勢力が介入してきた。先日人類に対し絶滅システムなるプログラムが起動した事を告げた“アンチスパイラル”そのメッセンジャーとして選ばれたニアが、ムガンと呼ばれる兵器を大群で率いてZEXISに攻撃を仕掛けてきた。

 

『クッ、止めるんだニア! 今がどれだけ危険な状況なのか分かっているのか!』

 

『全ては我々アンチスパイラルが定めた事によるもの、その決定が覆る事はありません』

 

『ホンット、嫌な女になったものね! ニア!』

 

ムガンと大グレン団達による激闘、倒しても倒してもキリがないアンチスパイラルの軍勢。しかも、唯でさえ厄介な状況だというのに……。

 

『ふはははは! いよいよ世界最後の日が訪れようとしている。竜馬、隼人、弁慶! 貴様等も我が真ドラゴンに葬られミチルと同じくあの世に逝くがよい!』

 

『ジジイ! あんまり調子に乗ってるんじゃねぇぞ!』

 

『だが、このままでは此方の方が不利になる。早いところケリを付けねば拙いことになるぞ!』

 

『だが、こんな八方塞がりの中で一体どうすりゃあ……!』

 

凶悪なインベーダーと戦いながら真ドラゴンを牽制、更にはムガンとの戦いにも意識を割かなくてはならない中、ZEXISは徐々に追い詰められていった。

 

戦いの最中、ゲッターチームが有していた移動要塞タワーは真ドラゴンにぶつけた際に大破。そのお陰か真ドラゴンの活動を停止させる事は出来たが、最後までタワーに残っていた敷島博士はタワー爆発と共に消え、機能が停止した筈の真ドラゴンからは、早乙女博士を始めとした初代ゲッターチームがゲッタードラゴンに乗り込んで襲いかかってきた。

 

真ゲッターに乗り込んで応戦する竜馬達だが、如何せん相手は一人ではない。ゲッタードラゴンに加え多くのインベーダーに襲われる中、彼等は現状を維持するだけで精一杯だった。

 

前門のインベーダーとゲッタードラゴン、後門にはアンチスパイラルの尖兵ムガンという挟まれた状況の中、アクエリオンのパイロットであるアポロの様子が豹変する。

 

『……来る』

 

『あ、アポロ?』

 

『一体何が来るというのだ。こんな時に!』

 

『重力の魔神よ、お前もこの戦いに参戦するのか……』

 

豹変し、意味深な言葉を口にするアポロにシルヴィアとシリウスが唖然とする中、突如、アンチスパイラル側のムガンの軍勢が光の槍にて貫かれ、一斉に爆散し消え失せる。

 

突然の出来事に敵味方問わず全員が言葉を失う中、ZEXISだけは彼の登場を予見した次の瞬間、予想通り重力の魔神グランゾンが、遙か上空から姿を現した。

 

『蒼のカリスマだと!? 何故テメェが……』

 

『随分と苦戦しているようなので加勢しに来たのですが……お邪魔でしたかな?』

 

相も変わらずいきなりの登場で戦場をひっかき回す蒼のカリスマ。普段はここでZEXIS達から不満の声が上がる所なのだが、今回の彼等の態度は意外な程に大人しかった。

 

『本当に来てくれるとはな。だが、今の局面で来てくれるのは有り難い』

 

『アテにさせてもらいますよ。シュウジさん』

 

『カミーユ君、今の私は蒼のカリスマとしてここに来ています。本名の方は控えめにお願いしますよ』

 

『了解です』

 

アムロとカミーユ、二人が参戦を受け入れてくれた事を皮切りに、他のZEXISの面々は特に言うこともなくグランゾンの参戦を迎え入れた。

 

『さて、人の惑星に土足で暴れ回る無礼者と湧き出てくる害虫達には早急にご退場を願うことにしましょう。───ワームスマッシャー!』

 

再び降り注がれる無数の光の槍、魔神の盛大な援護射撃を切っ掛けにZEXISはこの勢いに乗って一気に攻勢に移りインベーダーとアンチスパイラルを撃退、インベーダーに寄生されていた早乙女博士を介錯する事で解放し、地球に迫っていた脅威は取り敢えず拭う事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インベーダーとアンチスパイラル、二つの脅威をZEXISと共に振り払うことで取り敢えず勝利を獲得した自分は……素直に勝利を喜べないでいた。

 

真ドラゴンも機能を停止した事で取り敢えず危険性はないが、その後のZEXISからの通信で俺の心境に余裕は無くなりつつあった。

 

───リモネシアにZONEが設置された。その事実だけでも腸が煮えくり返る思いなのに、そこにインサラウムの軍勢が大群で陣を敷いているというのだから、本当に頭に来る思いだ。

 

そんな自分は現在リモネシアに向けて急行中。途中でヨーコちゃんやキタンさん、カレンちゃん達に呼び止められたが、その言葉に耳も貸さずにあの戦場から飛び出してしまっていた。

 

一体、奴らは何度リモネシアを破壊すれば気が済むのか。頭の中が爆発しそうな怒りに駆られたまま、俺はリモネシアに向けてグランゾンを走らせる。

 

────見えてきた! リモネシアの島が見え、変わらず残っていた島に俺はその時は安堵したが……次の瞬間に見えたZONEと我が物顔でそこに居座るインサラウムと次元獣の姿に、俺は頭の中でプッツンと音がしたのが聞こえた。

 

ワームスマッシャー。誰一人逃がしはしないつもりで放った光の槍は、インサラウムの機動兵器と次元獣達を諸共貫き、爆散して消え散って逝く。

 

突然の事態に相手は驚いた様子だったが、そんな事はお構いなしに俺はグランワームソードを取り出し、いつぞや見かけた黒い奴に向けて剣を振り下ろした。

 

『やっぱりアンタね! 殿下の邪魔はさせないよん!』

 

自分の強襲を予め予見していたのか、自分の姿を捉えた黒い奴の行動は早かった。振り下ろされた自分の攻撃を、両脇に携えたコマの様な武器を回転させて防いでみせたのだ。

 

『ここにZONEを設置すればアンタも自ずと出てくるっていうアンブローンお婆ちゃんの読みは正しかったみたいねん。さぁ、覚悟なさい!』

 

成る程、やはり何度か同じ相手と戦うと此方の行動もある程度予想されるものか。と、そんな事を呑気に考えていた瞬間、突然機体に衝撃が襲った。

 

何だと思い辺りを見渡すが辺りの次元獣達は何も攻撃してきた様子はない。一体どこからの攻撃だと思った時、ZONEの近くに今まで見たことのない巨大な次元獣が鎮座していた。

 

『アッハハ♪ どう? アンブローンお婆ちゃんの自信作ルーク・アダモンの次元過重弾のお味は? とってもエキセントリックで衝撃的でしょ?』

 

目の前の黒い奴が高々と笑いながらあのデカ物の事を話してくる。“次元過重弾”その名称からして、次元力に関わった事で生み出された新たな攻撃方法なのだろう。攻撃してきた素振りやモーションを見せなかった事から、恐らくは従来の兵器とは全く別物の武器と考えた方がいいのだろう。

 

グランゾンのモニターからは僅かに検証された時空震動のみ、本当にささやかな程度の情報だが、先の黒い奴の話のお陰で大体のカラクリは理解出来た。

 

要するにあのデカ物は極小の時空震動を発生させる事によって見えない弾丸、即ち次元過重弾を撃ち出しているのだろう。見えもしないし攻撃するモーションも必要ないから、攻撃の出所が分からない。成る程、確かに単なるカラクリとしては良く考えている。分かっていながら避ける事が出来ない攻撃というのは例外なく厄介なモノなのだから。

 

だが、それでも考えが足りない。分かっていてもどうする事が出来ない攻撃が可能なのは何も自分達に限っての話ではない。この俺とグランゾンもまたそれに似た“どうしようもない攻撃”を繰り出す事が可能なのだから。

 

見えない攻撃がそんなにも厄介というのなら、此方も見えない攻撃をすればいい。例えば……そう、重力だって目に見えないだろう?

 

『グラビトロンカノン、発射』

 

グランゾンの放つ高重力の雨、それにより次元獣や騎士気取りの機動兵器、多くの無人機や小型艦船は圧壊し、悲鳴を上げる間もなく粉砕される。ただし、この時自分は敢えて黒い奴にだけは当てないようにしている。

 

ただペシャンコにされただけで終わらせる程、俺の怒りは安くはない。光の槍で串刺しにして何処にも影響のない所にまで運んだ後、事象の彼方へ消してやる。

 

そう思い一歩歩き出した瞬間、再び機体に衝撃が襲う。どうやら重力の雨に耐えたルーク・アダモンが、グランゾンに次元過重弾を当ててきたのだろう。

 

見た目同様耐久力のある奴だ。今グランゾンが受けた攻撃はそんな自分の見通しの甘さによるところだ。怒りに我を忘れ、視界の狭まった自分を内心で叱咤し、冷静を取り戻す。

 

(済まないグランゾン、余計な攻撃を受けさせた)

 

歪曲フィールドで防いではいるが、それでも攻撃を受けたことには変わりない。あのシュウ博士からグランゾンを渡されている以上、生半可な戦いは許されない。

 

それに、一度自分は思い知った筈だ。我を忘れた事により自分は、前のリモネシア事件で気を失う大失態をやらかしていることを。

 

二度も博士が助けてくれるとは限らない。自分一人で戦いを続けている以上、下手な慢心は己の首を締め上げる事になる。

 

冷えた頭でルーク・アダモンを見据える。どうやら向こうはまだ次元過重弾の発射体勢には入っていない様子。ならばと自分はグランゾンのブースターに火を灯す。

 

『ルーク・アダモンちゃんの所にはいかせないわよん!』

 

だが、そんな自分の行く手を遮る様に黒い奴が前に立つ。既にグランゾンは動き出している。このままでは奴とぶつかりルーク・アダモンに攻撃の隙を与える事になってしまう。

 

……と、普通はそう思うだろう。だが、グランゾンの移動手段は何もブースターによる超加速だけではない。

 

『なっ!? バカな、消えただと!?』

 

“ワームホール”剣やワームスマッシャーで攻撃する際に使う時空間の穴。それは何も攻撃の為だけに使うモノではない。

 

破界事変の頃にも自分はガイオウに似たような攻撃を与えた事がある。今の自分ならあの時繰り出した技よりもより精度が上がっている筈。

 

黒い奴が自分を見失っている間、俺はルーク・アダモンの背後に回り込み剣による一撃をお見舞いする。続いて第二第三と攻撃を繰り出しているが、実はここで前とは少し違う出来事が起きる。

 

破界事変の時、サンクキングダムでガイオウに放ったこの技、実はまだ未完成な状態なのだ。攻撃と移動の合間を無くしての連続攻撃だが、本来は連続ではなく“同時”に近付ける事がこの技の本質である。

 

攻撃した次の瞬間には既に別の攻撃を相手に当てている。1秒から0.1秒、0.1から0.01、0.01から0.001と限りなく同時に近付け、やがては……。

 

『ウソ……でしょう?』

 

見ているモノからすれば複数のグランゾンが同時攻撃している光景を見せつけられる事になるだろう。そして、この時に忘れてはいけないのが───。

 

『ワームスマッシャー、発射!』

 

ワームスマッシャーにより包囲を敷き、相手に僅かな逃げ道も残さない徹底した攻撃、差し詰め“グランゾン・乱舞の太刀”とでも命名しておこう。

 

爆散するルーク・アダモン。自分の開発していた技が完成した事に喜びたい所だが、今はインサラウムの連中を叩き出すのが先決だ。残った黒い奴を倒そうと改めて奴と向き直る。向こうも腹を括ったのか、前とは違い逃げ出そうとはしない。

 

いい度胸だとグランゾンを前に進めた時、横から近付いてきている機影に俺はグランゾンを向けると。

 

『そこまでだ魔神よ! 次は余が──ユーサー=インサラウムが相手になる!』

 

白と王冠が特徴的な機体、インサラウムの皇子様が自分の前に立ちはだかった。

 

 




ユーサー『次は余が相手だ!』ガクブル

主人公『ほぅ、いい度胸だ』

カルロス『ヤベェ、出遅れた』


端から見れば完全に主人公が悪役という罠


次回からはインサラウム篇の為、少し長くなります。

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