『G』の日記   作:アゴン

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今回ダンボール魔人にご期待して下さった皆さん。

申し訳ありません。今回はダンボールは欠片も出てきません。

本当にごめんなさい(_ _)


その42

────マクロス・クォーター住居区。マルグリット=ピステールの情報提供と案内の下、ZEXISはエウレカとエスターの奪還を果たす為、聖王都インサラウムへ向かう事になり、避難民として回収した僅か百人足らずのリモネシアの住民に今後の行動を伝える為、伝令係となったヨーコとカレンが彼等の代表達に話を通しに来ていた。

 

「───と、以上で私達はこれより聖王都インサラウムへ向かいます。戦闘になると思いますので皆さんは部屋で待機していて下さい」

 

「了解した。……けれど済まないね。度重なる戦闘で疲れているのにワザワザこっちにまで気を遣わせてしまって」

 

「気にしないで下さい。私達もラトロワさんを始めとしたリモネシアの人達には生活面で支えられていますし、私達の戦いに巻き込んでしまった事もありますし……」

 

「それこそ気にしないでほしい話だ。今の世界に完全に安全な場所など存在しない。寧ろ地球圏最強の部隊と名高いZEXISに保護してもらった事が私達にとって最大の幸運さ」

 

戦いに巻き込んでしまって申し訳ない。そんなカレンの思いをラトロワは笑い飛ばして気にするなと言う。そんな彼女の豪快さに気持ちを軽くさせてもらった一方、ヨーコはラトロワの隣にいるある人物に声を掛ける。

 

「えっと、そちらのシオさんの方は大丈夫ですか? 未だに顔の包帯が取れないようですし、火傷が酷いなら医務室に連れて行きますけど?」

 

顔を包帯で覆ったシオと呼ばれる女性。リモネシアから脱出する際に顔に火傷を負ったとされる彼女は、顔にこれでもかと包帯を巻いて素顔を隠してしまっている。

 

余程顔が酷い事になっているのだろうか、それともリモネシアが焼かれて心理的ショックが原因なのか、未だにシオは包帯を解こうとしない。それを気遣ってヨーコは刺激しない程度に声を掛けるが、当の本人は声を掛けられた事に大袈裟に反応し、首と手を振ってヨーコの申し出を断った。

 

「あぁ、コイツは人見知りも激しくてな。怪我の方は大分よくなってきたが、如何せん故郷が二度焼かれた光景を目の当たりにしたんだ。もう少しそっとしてやってくれないか」

 

「ご、ごめんなさい。無神経な事を聞いて……」

 

「いや、助けてもらっておいて勝手な事を言う私達こそ失礼した。此方も出来る限り協力する。なにかあったら言ってくれ」

 

「分かりました。では、これで……」

 

失礼します。そういってその場を後にする二人を見送ってラトロワとシオも部屋へと戻る。後で他の皆にも今回の事を伝えようと部屋の通信機を借りようとした時、今まで黙していたシオがラトロワに掴み掛かってきた。

 

「アンタ! 何だってあんな事言ったのよ!? あれじゃあ私は心に病を抱えた痛い奴と思われるじゃない!」

 

「何をそんなに怒る? お前が彼等に顔を見せる事が出来ないというから手伝ってやっただけだろう」

 

「だからって、もう少しまともに言えなかったの!?」

 

「落ち着け、ひとまずこれでお前のその姿についてとやかく言われる事はないだろ。あの一件で人見知りが悪化したと言えば暫くはお前に声を掛けてきたりする奴はいなくなる。その間に何か新しい言い訳でも考えておくんだな」

 

「ぐぅ……」

 

ラトロワの言葉にぐぅの音ぐらいしか出なくなったシオは渋々と引き下がる。嘗てインペリウムの大臣として世界を敵に回してきた自分が、何の因果かZEXISの世話になる事になってしまった。

 

素顔を隠すために包帯で顔を隠し、様々な理由で誤魔化してきたが、その度に良心は痛み、今回も善意からの申し出を嘘で断った事で、シオの良心と胃は追い詰められていった。

 

今回で暫くは大丈夫だと思うが、その間にまた言い訳を考えなければならない。良心と胃の痛みに苛まされながらシオはぐったりとした様子で、備え付けのベッドに座り込む。

 

早いところ戦いが終わってリモネシアに帰りたい。アロウズ達の所為で町は滅茶苦茶になってはいるが、それでも生まれ故郷で眠りたい。そう願った時、頭の中である光景が思い浮かぶ。

 

天から降り注ぐ光を魔神が押し留める光景、まるでリモネシアを守っているようなその光景を、ボートの上でシオはただ呆然と眺めていた。

 

何故世界に畏れられている魔神がリモネシアを守ろうとしているのか……いや、問題はそれだけじゃない。破界事変の頃、陰月でZEXISとの戦いで敗れた時も魔神は自分を守ってくれた。

 

一体何故? その疑問は全く解消される事なく今日という日を迎えている。何故魔神は自分を助け、リモネシアを守ろうとしたのか。

 

(ねぇシュウジ、アナタは今どこにいるの? アイムは生きていたけど、代わりにカルロスが死んだ。私、もう訳が分からないよ)

 

混乱する思考の中、リモネシアの為に奮闘した青年を思い出す。ここにはいない彼の事を思いながら、シオを乗せたマクロス・クォーターは聖王都インサラウムへと進路を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んだぁ? お前まぁだこの間俺が奪ったホットドッグの事根に持ってるのか? 意外としつこい奴だな」

 

「ちげぇよ、ビックリしてつい勢いで聞いちまっただけだよ。人を勝手にいやしんぼにするな」

 

相変わらずの神出鬼没なコイツについ変な事を聞いてしまった。コイツといい不動さんといい神出鬼没というスキルが流行っているのだろうか? いや、それはないと思いたい。

 

そんな事よりもまずは情報収集だ。コイツに構っていては時間があっという間に過ぎてしまう。ここには自分しかいないのか、それともZEXISも来ているのか分からないが、兎に角周辺を探索してみよう。

 

近くに置いてあるグランゾンに向けて歩き出した時、ホットドッグを食べ終わったガイオウが意味深な言葉で俺を引き留めた。

 

「……ここは、嘗て俺が破界した世界。インサラウムのいた世界だ」

 

「───何だと?」

 

その後、奴は淡々と語りだした。自分がこの世界に召喚され手当たり次第に破壊の限りを尽くした事、それに対抗したインサラウムと激しい戦いを繰り広げた事、皇子の父を殺した事、向かってきた騎士達を悉く次元獣と化し、手下にした事。

 

他にもインサラウムはZONEを使って最後に自滅した事など、破界事変の頃には知りもしなかった事実を淡々と告げられ、俺は暫く考えを纏めるのに脳を回転させていた。

 

「んじゃ何か? インサラウムの連中はお前にやられて次元力を引き出そうとした結果、世界ごと自分の居場所を無くしてまだ次元力に満ちている地球に侵略しに来たと? そういう事なのか?」

 

「まぁ、大体そんな所だな」

 

「ふざけんなよ。完全にこっちはとばっちりじゃねぇか。しかも原因の半分はお前とか、やっぱ疫病神だわお前」

 

「ハッ、破界の王を疫病神呼ばわりする奴もお前ぐらいだろうぜ」

 

ガハハと笑うガイオウを放置し、自分は再び思案に耽る。ガイオウの話を聞いた為か、事の成り立ちを何となく理解出来た。

 

ガイオウはインサラウムによる次元科学の実験の最中に召喚された。そしてアンブローン=ジウスに次元科学を勧めたのはアイム=ライアード、奴の誑かしによって次元科学は禁忌の領域に踏み込みガイオウを呼び出し、抵抗しようとアレコレやっていた内に、今度は自分達の手で故郷を滅亡に追い込んでしまったという事か。

 

……なんというか、色々巡りすぎて笑えない。誘惑に屈したアンブローンが悪いのか、それとも元凶たるアイムが悪いのか、少し頭が混乱する。

 

まぁ、要するにどっちも悪いのだ。そいつ等がどんな事情を抱えているのかは知らないが、その事でリモネシアを焼かれた事を許す理由にはならない。

 

今まで自分を利用したグレイス=オコナーにばかり気を向けていたが、今後は奴も俺の仕返しリストに載せる事にしよう。そもそも、リモネシアが焼かれた原因はアイムの野郎にあるらしいし、寧ろ奴に対する優先順位はグレイスより高くした方がいいのかもしれない。

 

そろそろ動こう。何やら向こうから大きな音が響いてくるし、もしかしたらZEXISが戦っているのかもしれない。

 

……けれど、一つだけ聞きたい事があった。俺はガイオウに向き直り、あの時───ZONEに向かっていったカルロスさんは幻だったのか、それだけはどうしても知りたくて俺はガイオウに訊ねた。

 

「……なぁ、ガイオウ。お前カルロスさんと一緒じゃなかったのか?」

 

「───カルロスの奴なら死んだよ。お前もその瞬間を見届けた筈だ」

 

「………そう、か」

 

それ以上は……何も言えなかった。リモネシアの復興に無償で手を貸してくれたカルロスさん。あの人がどういう人物だったのかは知らないけど、それでも自分はあの人に何も返す事が出来なかった。

 

リモネシアを焼かれた時も、俺は彼に対して謝る事も出来なかった。胸の内に広がる寂しさと後悔を押し込むように空を見上げるが……そこには青空はなく、気が滅入るほどの灰色の空が広がっていた。

 

「行くならとっとと行け。俺もそろそろ動かなくてはならんからな。お前ともここでお別れだ」

 

「うっせ、なに友達同士の別れみたいに振る舞ってんだよ。言われなくても行くってんだよ」

 

そう捨て台詞を吐き出しながら、今度こそ俺はグランゾンに乗り込む。その際にモニターに映る奴の顔は───いつか自分が見た黄昏ているモノだった。

 

結局、アイツの真意は聞き出せなかった。気にならないと言えば嘘になるが、今の自分にはやるべき事があるので、奴の事は気に留めず爆音のする方向へとグランゾンを走らせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「……今まで、友だと思った連中はみんな俺の前から消えていった。多くの同士、仲間、それらが戦場へ消えていく中、お前だけは俺の前からいなくならなかったな」

 

去っていくグランゾンを見つめながら、破界の王と呼ばれる男は寂しそうに……けれど、嬉しそうに頬を吊り上げて。

 

「じゃあな、俺の最期の“悪友”お前と一緒に喰った飯は……美味かったぜ」

 

その呟きは誰にも聞こえる事無く、ガイオウは一陣の風が吹いた瞬間、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W月Ω日

 

インサラウムの連中のいた世界をどうにか切り抜け、元の(?)世界に戻ってこれた自分は、報告を兼ねて日記を記す事にする。

 

……正直、あまり理解出来ていない。いや、理解したくないと言った方が正しいのかな。ZONEに呑み込まれていくインサラウムや最後のナイトオブナイツであるウェインの勇姿、他にもエスターちゃんが人間に戻れた事ややっぱりアイムの野郎が黒幕だった事やイマージュが助けてくれたなど、数多くの出来事があったのに───今の俺の頭にはガイオウのあの寂しそうな笑顔がチラついてくる。

 

アイツはインサラウムの皇子によって倒された。“尽きぬ水瓶”のスフィアの力を解放した聖王機の一撃がガイオウを倒したのだ。

 

別にあの程度でやられるような奴ではない事を俺は知っている。故にそのうち顔を出すと思うが……その時、アイツはまた俺の敵になる事だろう。

 

 アイツは破界の王だ。破界事変の頃は世界を滅茶苦茶にし、リモネシアを壊した悪魔だ。それは……それだけは変わらない。

 

けど、ふと思う時がある。もしかしてアイツは戦いとはもっと別の───別の何かを求めていたんじゃないだろうか。

 

ホットドッグを美味そうに食べたり、どうでもいい世間話で会話をしたり、カルロスさんと一緒にいた時のアイツは、破界事変の頃のような殺意や敵意など微塵も持ち合わせていなかった。

 

なぁ、ガイオウ。お前って利用されていただけなんじゃないか? アイムの野郎にいいように利用されて、頭にキてるんじゃないのか?

 

お前って───何の為に生まれてきたんだよ。

 

……ちょっと湿っぽくなった。明日も早いし、そろそろ扉の方も限界に差し掛かってきたので、今日はそろそろ終了しようと思う。

 

え? お前は今どこにいるのかだって? いやー……実はね、時空震動で転移しようとした時、イマージュさん達が気を利かしてくれたのか、自分をソレスタルビーイングの格納庫に転移させてくれたんですよ。

 

それでスメラギさんのお誘いもあって少しの合間お世話になろうかなぁって思って部屋をお借りしていたら───カレンちゃんとヨーコちゃんが押し掛けてきたのでござる。

 

鬼気迫る勢いでしたので俺は部屋に閉じこもり、部屋に特製のプログラムでロックをかけたのだけれど、二人とも今度は力ずくで押し通ろうとしております。

 

無理を通して道理を蹴っ飛ばす。成る程それは格言だと思うが、もう少しスマートに物事を解決できないモノか。

 

というかヨーコちゃん、君マクロス・クォーターにいた筈なのに何故ワザワザ此方にくる。アナタ教師なのだから少しは慎ましさを持ちなさい。

 

なんて言っても聞き入れて貰えず、扉は今も悲鳴を上げている。

 

そろそろ怖くなってきたのでどこかに隠れようかとおも(────日記はここで途切れている)

 

 

 

 

 

 

 

 




暫くの合間、再び主人公はZEXISと同行します。

果たして主人公はボッチ脱却となるか!?


──オマケ──

トップをねらえ!を見た影響


主人公「博士、アレをやります」

シュウ「えぇ、構いませんよ」


主人公「うわぁぁぁぁぁっ!! スーパー……!!」

シュウ「イナズマァァ……!!」

二人「キィィィィィック!!」


注)グランゾン及びネオ・グランゾンは用量用法を守り正しくお使い下さい。

また見てボッチ!
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