『G』の日記   作:アゴン

54 / 266
ここ二日ほど緊急事態に追われて更新出来ませんでした。

申し訳ありません。



その47

神根島。自分が辿り着いたそんな名称の無人島から脱出し、取り敢えず色々世界を見て回ろうという話になり、現在自分達は各国の観光名所を巡っております。

 

ZEXISにも戻れず、ブリタニアからも追われる身となっている自分達。けれどシュナイゼルの指示なのかルルーシュ君の顔は割れてはおらず、今の所は比較的平和な時間を過ごせている。

 

けれど油断してはいけない。相手はあのシュナイゼル殿下だ。どこで伏兵を忍ばせているか分からない以上、気を抜く訳にはいかない。

 

スザク君もナイトオブセブンだっただけに顔は世界中の人に知られている為、迂闊に外を出歩く訳にはいかない。

 

そこで自分はC.C.さんの協力の下、二人にある変装術を施した。世界を、そしてシュナイゼルの目を誤魔化すのに必要なもの、それは……。

 

「……おい、シュウジ=シラカワ」

 

「ん? どうしたのルルちゃん」

「その呼び方は止めろ! ……こんな風にアチコチ俺達を連れ回して、一体何を考えている」

 

「え? 別に何も?」

 

「何も!? ブリタニアとエリア11を除いて様々な国を渡り歩いて何も考えていないというのか!? 有り得ない……今まで俺はアナタを底の知れないトンでもない化け物かと思っていたが、とんだ思い違いのようだ」

 

「言葉遣いが戻っているぞルルーシュ、今のお前は“女”なんだ。ちゃんとそれらしく振る舞え」

 

「黙れ魔女!」

 

そう、C.C.さんの言うとおり今ルルーシュ君には女装をしてもらっている。あのゼロが、ブリタニア皇族の一人がまさか女装をしているとは流石に思えまい。そんな普通は信じられない落とし穴だが、それだけではシュナイゼルの目を誤魔化しきれないかもしれない。そこで……。

 

「ルルーシュ、恥を忍んでいるのは君だけじゃない。俺も……私だって耐えているのよ」

 

仄かに頬を朱に染めて恥を堪えているスザク君。言葉遣いは女性を演じられているが、体格と態度の所為でキワモノの域を出れないでいる。

 

ナイトオブセブンですらも女装、流石にこれは読めないと思うが此方の裏を読むことに長けているのがシュナイゼルという男だ。どれだけ「これなら!」と確信しても不安を覚えてしまう。そこで更に自分は一計を案じた。

 

「二人とも、今は恥を捨てなさい。恥と常識を投げ飛ばしてこそ、人はより高みへと昇れるのよ」

 

「そんな高みなど私が消し飛ばしてやる! というかその言葉遣いを止めろぉ! 気色悪い!!」

 

二人だけ女装させてはインパクトに欠ける。そこでこの俺自ら女装する事で今度こそシュナイゼルの目から抜け出す事に成功する。

 

だが、まだ足りない。確かにこれでならシュナイゼルの目から逃れる事は可能だろう。しかし彼の側にはカノンという文官がいる事を忘れてはならない。一度しか面識の無い間柄だが、シュナイゼルという人物の側近を勤めている人だ。しかもあの人の特性上自分達の変装が看破される可能性が極めて高い。故に、ここは保険としてもう一つ策を投入。

 

「しかし、私にも男装をさせるとはな……ルルーシュはコイツをバカと言うが、私は一周回って天才的に思えてきたぞ」

 

「C.C.さん、そこは“私”ではなく“俺”もしくは“オラ”と言って頂かなくては困りますわ」

 

「何と戦っているんだアナタは……」

 

男を女、女を男に入れ替えて相手の思惑を混乱させる。これぞ対シュナイゼルに自分が案じた“男女逆転の計”である。……多少やりすぎな感は否めないがそうでないと戦えないのがシュナイゼルという男である。

 

因みにスザク君には活発な女性のイメージを、ルルーシュ君は清楚なお嬢様を、自分はビン底眼鏡のがり勉女、そしてC.C.さんにはチョイ悪風な青年の格好をそれぞれしてもらっている。髪とかはウィッグなるモノを活用し、C.C.さんはカツラを使って髪型を変えているし、彼女のメイクテクによって益々自分達はソレらしくなっている。

 

……というか、ルルーシュ君の格好が似合いすぎて困る。性別間違えて生まれてきたんじゃないかと疑ってしまうくらい似合っている為、顔を合わせた時チョッピリ引いた。や、勿論良い意味でだよ?

 

お陰で周囲からはそんな怪しむ視線は感じられないし、寧ろルルーシュ君が防波堤の役割となって自分達にあまり視線が来なくなっている位だ。

 

「しかし、お前のやる事は突飛だな。幾らシュナイゼルや連邦の目から逃れる為とはいえ、グランゾンの跳躍で移動するとは……お前の前には常識という言葉はなさそうだ」

 

「常識とは投げ捨てるモノ、とある緑巫女さんも仰っていた言葉です。型にハマれば相手の思う壷、時には型を脱ぎ捨てる事もまた必要なのですよ」

 

「なに良い事言った風な雰囲気を出しているんだ。お陰で俺達は移動のたびにすし詰め状態となり、毎回酷い思いをしている。少しは遠慮という言葉を覚えて欲しいものだ」

 

「けれどルルーシュ、彼があの魔神を使ったお陰で見つかった事がないのも事実だ。ブリタニアも追っ手を出している様子はないし、今は大人しく従うしかないんじゃないか?」

 

自分の場を和ませるジョークも華麗にスルー。真面目な様子で話し合う二人に自分は恥ずかしさと虚しさを噛みしめながら再び歩き始める。

 

ブリタニア……いや、シュナイゼルは今の所此方に干渉している節はない。その理由に、グランゾンのワームホールを利用しながらの突発的な移動能力によって、行方を追いきれない事が一つとして挙げられる事だろう。

 

方向性も何もないただ気分だけで行き先を決める日々、もしシュナイゼルがルルーシュ君達を追っているのならば、その突発的な行動に少しは頭を悩ませてくれれば御の字、そのまま混乱してくれれば嬉しいが……精々時間稼ぎ位にしかならないと思う。

 

デメリットとしては自分こと蒼のカリスマとグランゾンがルルーシュ君の味方になっていると思われる事だが……まぁ、そこら辺は仕方ないと思えるし、放っておく事しか出来ないだろう。

 

それよりも気になる事がある。自分達で世界を巡って一週間近く経過しても、地球連邦政府の部隊であるZEXISの話が一向に耳に入ってこないのだ。大塚長官の作戦で世界に知られる事になったZEXISの存在、今や世界の誰もが知ることになる部隊なのに、一週間何も活躍していないのは少し変に思える。

 

ZEXISは地球を代表する最強の部隊だ。ゲッターやマジンガーを始めに多くのスーパーロボット、ガンダムに搭乗する選りすぐりのパイロット達。ムゲ=ゾルバトス以降名前を知られるようになった彼等は世界中にその行動を知られるようになっていった。

 

これまで戦ってきた彼等が忽然と姿を消す事も疑問に思うが、影の功労者であるZEXISの不在が世界に対し不安を抱かせている所も少しながらある。もし彼等がいない時にインベーダーやアンチスパイラルが攻めてきたら、地球連邦は戦えるのだろうか。リモネシアでの一件で大幅に削られた戦力は、未だ立て直せずにいると聞く。

 

勿論その時は自分もグランゾンと共に戦うつもりだが、自分だけでは限界がある。ルルーシュ君達にも協力を仰ぎたい所だが、その前にまず彼等の機体を何とかしなくてはならないのが、目下自分達が問題にしている課題だ。

 

ルルーシュ君の蜃気楼は環境さえ整えば自分が整備、修復させる事が出来るが、C.C.さんやスザク君の機体は……ちょっと直すのは難しいかもしれない。

 

三人の機体はそれぞれグランゾンと同じワームホールに収納しているが、C.C.さんの機体は戦闘のダメージが酷くて大破状態。スザク君のランスロットに至っては、良く形を保てているなと感心する程に酷い状態だ。ここまで来ると最早直すよりも、新しい機体に乗り換えた方がいいのかもしれない。

 

「……ねぇスザちゃん、アナタのランスロットってブリタニアの偉い技術者さんに作ってもらったのよねぇ?」

 

「え? え、えぇ、そうでございますですのことよ」

 

「スザク、言葉遣いが崩壊しているぞ。何語だそれは……」

 

スザク君の話によれば、ランスロットという機体は元々は“特派”と呼ばれるブリタニアの技術部───更に詳しく言えば、そこの開発主任であるロイド伯爵なる人物がランスロットを設計し、開発したと言われている。

 

現在ブリタニア本国には、そんなランスロットの発展型である第9世代のKMFがロールアウト間近なのだという。それを聞かされた時、自分はブリタニア本国から強奪しようかなと考えたが、流石にそれでは敵を作りすぎるので却下する事に……。

 

本音なら彼等にも手伝って欲しい所だけれど、シャーリー嬢との約束を守らなければならない以上無理を言うわけにもいかない。しかしZEXISが不在の今、インベーダーやアンチスパイラルと戦うにはグランゾンの力は必須。しかしルルーシュ君達を放って戦場に赴くのも気が引ける。

 

彼等の自由意志も尊重したいし、けれど約束の件もある。一人であーだこーだと悩んでいる内にふと自身の脳裏にある案を思いついた。……けれど、これって責任放棄にも繋がるのではないか? 後ろで騒いでいる三人をひとまず放置し、数分に渡って悩んだ末に自分が出した結論は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか君の方から連絡し、しかも頼ってくれるとは……嬉しいよ我が友よ」

 

「いえ、此方の急な呼び掛けに答えて下さりありがとうございます」

 

イギリスにある、とある郊外の屋敷。その人物は嫌な顔一つしないで自分達を招き入れてくれた。爽やかな笑顔で屋敷の中へと案内してくれる彼に、ルルーシュ君とスザク君は唖然とした表情で固まっている。唯一C.C.さんはいつも通りの態度だったけれど、時折自分を意外な風に見つめてくる視線は一体どういう意味なのだろう。

 

「今この屋敷には私に通ずる者達は誰一人いない。私も一個人として君と接している故、どうか君もいつも通りに接してくれたまえ」

 

「……イヤ、ホントすみません。こんな形でトレーズさんの所にお世話になるのは気が引けたんだけど、けれどどんなに考えても俺が頼れるのはトレーズさん位しかいないから」

 

「それこそ無用な心配と言うものだ。友に頼られるのは私にとっても至上の喜び、それがかの魔人と謡われている君からの頼みならば尚更だよ」

 

……今、俺はルルーシュ君達からは責任を放棄した嫌な人間と思われている事だろう。けれど、今はそれらを無視して敢えて言わせて頂きたい。

 

「……俺を対等な友人として扱ってくれるトレーズさんマジエレガント」

 

もうホント、この人以上に出来た人間と出会える機会は……もうないんじゃなかろうか?

 

「色々話を聞きたい所だが、まずは着替えを用意しよう。……取り敢えず男物と女物、どちらを用意させれば良いのかな?」

 

と、やはり爽やかな笑顔でそう言ってくる閣下に今更気付く。そういや自分達、今も女装したままでした。

 

 




今回再びエレガント閣下の登場。

閣下にとっては最期の晩餐みたいな日々になると思われます。




──オマケ──

エレガント「友の頼みとあらば即応えるのがエレガント流」

主人公「俺を友達扱いしてくれる閣下マジエレガント」

ルルーシュ「まさか奴が裏ではあのトレーズと関わっていたのか、やはり侮れない奴!」

スザク&C.C.「(もしかして友達いなかったのか?)」


次回もまた見てボッチ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。