『G』の日記   作:アゴン

59 / 266
次回からまた日記要素がなくなる模様。

再世篇に入ったから日記要素が激減する気がする。

だって、書きたい事が多すぎるんだもの。仕方ないじゃない。




その51

F月R日

 

先の人類の存亡を懸けた戦いから数日、陰月も無くなりインベーダー等の侵略者達を退けた事で世界中の人達は大きな盛り上がりを見せていた。地球も助かり、人類も救われた事で安堵した人々は皆それぞれ生きる事の大切さを学んだ事だと思う。

 

その時の戦いでZEXISの事も知られており、彼等が来てから戦況が大きく変わったのだと知った市民達は彼等を英雄と讃え、賞賛した。

 

生憎自分達の事は欠片も触れられなかったが……まぁ、自分はあの戦場で急に行方を眩ませていたから仕方がない。寧ろ卑怯者扱いされなかった事だけでも良しとしよう。

 

事情があったとはいえ、自分はあの時あの戦場にいなかった。自分が抜けた事で被害が大きくなったのだと思うと……やるせなくなる。

 

けど、今はウジウジ悩むのは止めておく。ルルーシュ君にも先程その事で怒られたし、このアヴァロンの中では四番目の年長者だ。もっとしっかりして彼等の保護者として頑張ろうと思う。

 

あ、年長者といっても艦の中では自分は比較的若い方だ。セシルさんの前で年の話をすると怒られるから言わないがセシルさんが三番目でロイドさんが二番目の年長者なのだという。

 

そして一番の年長者は誰かと言うと───なんと、あのC.C.さんだった。外見の所為で分からなかったけど、彼女は不老不死の存在らしく、若い容姿とは裏腹に膨大な時間の中を生きてきたのだという。ルルーシュ君に怒られた時、序でとばかりに教えてくれた。

 

しかもその時、お前よりも数十倍は年上だとドヤ顔で言ってくるものだから、自分は思わず口にしてしまった。

 

『そんな歳で大丈夫ですか? C.C.お婆ちゃん』と、その後に彼女をお年寄り扱いをしていたらルルーシュ君は爆笑し、艦内は笑いの渦に包まれた。自分としては善意のつもりで気遣っていただけなのだが、どうやら自分はC.C.さんの地雷を踏み抜いてしまったようだ。

 

その後もC.C.さんの事を思って部隊編成の見直しを真面目に検討していたら、C.C.さんは顔を真っ赤にして余計なお世話だと叫び、自室に戻っていった。

 

怒らせるつもりはなかったので悪い事をしてしまった。彼女は今も部屋の中で引きこもっているらしく、取り付く島が無い為、後日手作りピザを持って改めて謝りに行こうと思う。

 

セシルさんからも女性を年齢で弄るのは失礼だと怒られてしまったし、もう少しその辺の事を理解しようと思う。

 

ロイドさんはそこら辺の知識は概念として知っているようだし、彼から少し学んでみようと思う。……何故かセシルさんから止められたけど。

 

 ……だいぶ内容が逸れてしまったので話を戻すが、あの戦い──隔絶宇宙での死闘を経て、アンチスパイラルは取り敢えず地球圏から手を引いたと見なした自分は、ズール皇帝達との戦いの後、シモン君に通信でその事をそれとなく伝えておいた。

 

シモン君は自分もアンチスパイラルと戦っていた事に驚いていたが、自分の話を伝え終える頃にはいつもの勝ち気な笑みで『任せろ!』と頼もしく返してくれた。

 

あの気弱な少年がよくここまで成長したなと、感心しながら自分はシモン君にその事を伝え終えるとZEXISとは別れる事にした。彼等は今頃拠点に戻って機体の修復と整備作業に追われている頃だろう。

 

自分達がZEXISから離れる直前、少しの合間ルルーシュ君達と話し合ったのだが、やはり今更戻るのは抵抗がある為、彼等と共に戦う事はしなかった。けれど、未だこの世界には多くの戦火の種が存在する為、次の戦いがすぐ控えている。もしその戦場で出会えた時は敵対しないで出来るだけ協力しようとだけ告げて自分達はZEXISから離れていった。

 

その際、カレンちゃんとヨーコちゃんが通信で何か言っていたようだけど……怖かったので通信拒否しました。

 

その事を考えれば気が重くなるだろうけど、彼等は激戦の連続だったのでこれを機に少しは休んで欲しい所────(日記はここで途絶えている)

 

 

 

F月S日

 

昨夜、いつもの日記を書いている途中でアイツが……シュナイゼルの奴が全世界に向けて宣戦布告を宣言した。その全世界に向けた放送を聞いて自分は驚いている一方で、やっぱりこのタイミングで仕掛けてきたのかとどこか感心していた。

 

ルルーシュ君からも聞いたが、あの男は自分が絶対に負けない所で戦っているのだという。今回の宣戦布告も陰月との戦いでアロウズやホワイトファングの戦力が疲弊した所を突いてきた。こうも上手く漁夫の利を狙い、且つそれを各陣営に知られないよう立ち回る手腕は流石だと思いたい。

 

しかも、奴は自ら皇帝を名乗るのではなく、別の者を皇帝の座に就かせて自分は本来の役割に徹する気でいる。

 

シャルル=ジ=ブリタニアがいなくなり、新たな皇帝の座に就いたのは……ナナリー=ヴィ=ブリタニア。嘗てエリア11の総督として赴任してきた皇女であり、ルルーシュ君の実の妹だ。

 

何故彼女がブリタニアの皇帝となってしまっているのか、色々向こうも事情があるのだろうが恐らくはルルーシュ君───いや、ゼロに対する牽制と見た方がいいだろう。事実、ルルーシュ君はナナリー元総督の生存に酷く動揺していた。

 

最愛の妹が生きていた事、けれどその妹が世界に対して大きな敵となってしまった事、複雑に絡み合うルルーシュ君の心境は自分程度では計り知れない。

 

シュナイゼルの奴はナナリー元総督を皇帝に仕立て上げるだけじゃなく、自分達が保有する戦力を世界中に見せつける事で各勢力の戦意をへし折っていった。

 

空を埋め尽くそうと広がるKMFとモビルドールの軍勢。しかもその中にはナイトオブラウンズの全員が参戦していた。ジノ君やアーニャちゃんも部隊の隊長格として参戦。二人が前線に出て来ることを知り、今度はスザク君が表情を曇らせていた。

 

モビルドールとは最近アロウズでも主力となりつつある、人が乗る必要のない無人機の事で、戦いによる恐怖もなければ感情もないスペシャルなシステムとして知られる代物だが、トレーズさんはコレを、戦いの実態を人々に伝えられなくなると言って酷く毛嫌いしていた。

 

しかもそのモビルドールはデストロイと呼ばれる戦略兵器級の力を有するトンでもない機体が主で、それが大群で押し寄せてくるのだ。その圧倒的な戦力に世界の人々は再び不安に包まれた日々を送っている。

 

しかも、そんな人々に止めを刺すような報告が周囲を索敵警戒をしていたセシルさんから告げられる。なんでも大部隊の後方には巨大飛行要塞が浮かんでおり、ゆっくりとエリア11に向かっているようなのだ。まるで誰かの挑戦を待っているように……。

 

恐らくはZEXISに対して挑発しているのだろう。ZEXISの中には黒の騎士団も入っており、彼等はエリア11を故郷にしている者達だ。自分達の故郷にそんな大軍が押し寄せてきていると知れば、すぐにでも駆け付けたいと思うだろう。

 

だが、ZEXISは度重なる連戦で疲労しており、また機体の損傷も大きい。万全な状態になってエリア11に向かうにはどうしても時間が足りない。ならば自分達が向かうしかないと思ったのだが、ルルーシュ君とスザク君は未だ自分の気持ちを立て直してはいなかった。表向きでは強がっているけれど、彼等の瞳からはいつも宿っていた強い意志が失われていた。

 

しかも、シュナイゼルはあの巨大飛行要塞にフレイヤ弾頭を搭載させているのか、桜色の爆発を蓬莱島付近で観測したという話も出てきた。今は脅しのつもりのようだが、いつまた向こうがフレイヤ弾頭を打ち込んでくるか分からない以上、早い内に何とかしなくてはならないだろう。

 

やはり自分一人でも行くしかないか。相手がシュナイゼルだからどんな手段を使って来るか分からない以上、単独での行動は危険だが戦意の無い彼等を無理に連れて行くわけにもいかない。というか、シャーリー嬢との約束の為には彼等を戦場に連れて行く事自体間違っているのだけどね。

 

だけど、今回は陰月での戦いとは違い、世界の命運は賭けていても存亡の危機には至っていない。戦いに大小の区別を付けるつもりはないが、少なくとも今回は彼等にとって戦いの意味が違う。実の妹と今まで共に戦ってきた仲間を相手に戦うのでは、ルルーシュ君達の感じる重みが違う。

 

彼等が迷っている時、此方に合流したいという酔狂な者が現れた。その人は嘗てオレンジと呼ばれていたブリタニア人ことジェレミア=ゴットバルトさん。先の陰月での戦闘でルルーシュ君の生存を確認した彼は生身のまま海底に潜り、自分達の居場所を自力で突き止めたのだと言う。彼はコレを“忠義の力”と呼んでいたけれど、だからといって深海を泳いで来るとか……溢れすぎだろ忠義パワー。本人は半分は機械で出来ていると言っていたけれど、それでも無茶過ぎるだろ忠義パワー。しかも半分は機械って、それ要するにサイボーグって事やないかい。しかも防水加工は既に施されているとか自慢気に話されても、コッチは戸惑ってばかりだっての忠義パワー。

 

彼はブリタニア皇族……しかも憧れだった人の息子という事でルルーシュ君に忠誠を誓っており、本来は仕えるのはブリタニア軍だと言うのに、彼はルルーシュ君に付いていくとばかり言っている。いや、別に構わないけどね。

 

そんなジェレミアさんはナナリーちゃんについて大まかな事情を説明してくれた。情報源である咲世子さんが言うには、エリア11で発見したナナリーちゃんは影武者で、本物は別ルートで既にシュナイゼルが逃がしていたと言うのだ。

 

やはりシュナイゼルはそこら辺も策を講じていたか、相変わらずの用意周到振りに自分は呆れるばかりだった。

 

………というか、今までスルーしていたから気付かなかったけど、ナナリーちゃんってば自分と同じように他の人達から死んでいたと思われていたのね。驚いているルルーシュ君達を見て逆に自分の方がえっ? と驚いてしまったよ。

 

だってあの時の戦場ではシュナイゼルの奴もいたって聞くし、アイツの事だからナナリーちゃんの事は事前に何とかしているものだとばかり思っていた。

 

まぁその後色々あってそんな可能性が頭の中から消えていたというのなら話は分かるし、自分もナナリーちゃんの姿をこの目で見るまではその事を忘れていたので、この件に関してはこれまでにしておく。

 

そんな貴重な情報を持ってきてくれたジェレミアさん。彼が言うには情報を提供してくれた咲世子さんはその時に負った怪我が未だ完治しておらず、無理をさせる訳にもいかないという事で、中華連邦の星刻さんの部下に預かってもらっているのだという。

 

ジェレミアさんからの話を聞いて暫くルルーシュ君は悩んでいたが、先に立ち直ったスザク君が叱責して彼を無理矢理にでも立ち直らせた。

 

この時スザク君は弱さを捨てたとか言っていたけれど、それに少しおかしいと思った自分はまたこの時余計な事を言ってしまった。

 

けれどそのお陰か、スザク君は思い詰めた表情が和らぎ、少し気が楽になったと口にした。他の面々も自分の事をやたらと褒めてくるが、自分は思った事をただ口にしただけなので内心凄く恥ずかしかった。

 

ともあれ、自分達の思いは決まった。後はシュナイゼルを止めるために大軍勢を前に決戦に挑むだけ。

 

ジェレミアさんの機体も今の所は順調だ。アヴァロンのデータに保存されていた機体設計図をそのまま組み合わせただけなので機体バランスの調整が必要だが……まぁ、向こうにはち合わせるまでには間に合うだろう。

 

以前、中華連邦でシュナイゼルは自分を友人と言ってくれた。ならば、自分も友人として奴の前に立とうと思う。友達を止めるのは友達の役目、嘗てゼロに対するスザク君がそうであったように。

 

今の二人はギクシャクする所はあるけれど、それでも今は共に戦う仲間として認め合っている。自分もシュナイゼルとはそういう関係でいたいとおもう。……凄く腹黒いけど。

 

一週間後、自分達はエリア11でシュナイゼルの軍勢に対して決戦を挑む。その場所は……富士周辺、旧日本を象徴とする場所。そこで自分達は衝突する事になる。それまでに自分もやる事はやっておこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太平洋海上・ダモクレス内にある居住区の一室。

 

「カノン。先程の指示通り、フジ周辺の近隣住民の避難は済んでいるかい?」

 

「はっ、既に近隣の住民は県外、もしくは外国に避難させております。その後の報せでは特に残った住民はおらず、フジ周辺に人一人いないとの事です」

 

「そうか、ありがとうカノン。下がってくれて構わないよ」

 

「……あの、その前に一つ聞いても宜しいですか? 何故ワザワザフジ周辺なのです? 現在世界中の軍隊は先の戦いで大いに疲弊し、戦力が乏しいと聞いております。対して我が軍は“彼等”の助力もあって戦力も充実しており、この大軍を前にしてはどの勢力も手出ししにくい状況かと。なのにフジ周辺に人払いを済ませて戦の準備をなさるなんて………いったいそこで何が待っているというのです?」

 

「……カノン。今この世界で最も強い部隊はどこか知っているかい?」

 

「それは……やはりZEXISなのではないでしょうか? あの部隊には多種多様の機体が揃っていますし、数々の脅威を退けた実績もあります。先の陰月での戦いでも彼等の登場によって戦況は大きく変わったと聞きます───もしかして、殿下は彼等が来るとお思いで?」

 

「……そうだね。そう思ってくれても構わないよ。どちらにしても答えは一週間後、そこに訪れた時にはっきりするからね」

 

「分かりました。では殿下、お休みなさいませ」

 

シュナイゼルに一通りの報告を済ませたカノンは部屋を後にする。残されたシュナイゼルは手元に置いてあるチェスの白いキングの駒を取り、一人ほくそ笑む。

 

「さて、果たして私は魔神に勝てるのだろうか。不安は尽きないが……なに、やれることはやっておこう。フフフ、私をこんな気持ちにさせるとは君はつくづく面白い人間だ」

 

シュナイゼルの前にあるテーブルとそこに置いてあるチェスの盤。その盤の上には無数の白い駒が並び立っており、それらに相対するのは黒い駒──ではなく、特注で作られた蒼いキングの駒。

 

「さぁ、始めるとしよう蒼のカリスマ。いや、シュウジ=シラカワ。私が初めて挑む強者よ、私は全力でもって君に相対しよう」

 

蒼のキングに微笑みかけ、シュナイゼルは蒼いキングに白のキングを置く。白と蒼、王と魔神。二つの存在がエリア11でぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 




次回はifルートの52話をやる予定。ここで色々決着が着きます。主にアイムとかアイムとかアイムとか。

所で皆さんは次の第三次にはどんなロボットが出てきて欲しいですか?

自分はコレ、つ“ダイミダラー”

個人的にはペンギンさん達が仲間枠だと予想。


では次回もまた見てボッチ!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。