“ネオ・プラネッツ”時空震動の影響で地球とは異なった星々が存在する宙域。クエント星や様々な文明を持つ星々が存在するその宙域の奥深くに、バジュラの母星が存在していた。
知性も理性も持たず、人類に対して敵対行動をとり続けてきたバジュラ。次元の壁を越えてまで出現する超時空生命体に人類は追い詰められる事になったのだが……フロンティア船団に属するとある人物の報告により、事態は好転する事になる。
レオン=三島。マクロス・フロンティア新統合政府の重鎮で大統領政府の主席補佐官、フロンティア船団内で実質のNo.2である彼は、大統領にある情報を公開した。
“バジュラの母星”超時空生命体であるバジュラ達の母星を発見したと語る三島はそこに住まうバジュラの女王を討伐し、そこを船団の拠点にしようと提案。これまで旅を続けるしかなかった船団、その立場故に苦労を強いられてきた大統領は、三島のこの甘言に乗ることとなる。
バジュラの対抗策として用意されたシェリル=ノームの歌。バジュラ側に付いたとされるランカ=リーに対抗すべく戦場というステージに立つこととなる。
最初はシェリルの歌によってバジュラ達を混乱させる事に成功していたが、ランカの歌声が宇宙に響いた時、シェリルの歌はランカの歌に圧倒され、陣形を取り戻したバジュラの猛反撃により、統合軍は瞬く間に壊滅状態へと追い込まれてしまった。
そこへ現れるZEXIS達。今まで情報を集める為に世界各地を放浪していたオズマと合流した彼等は、その情報を元に三島を告発。バジュラと繋がりがあったギャラクシー船団、そしてそのギャラクシー船団と通じていた三島はその場で取り押さえられる事となり、戦いの影で現大統領を暗殺し、自分がフロンティア船団の代表に君臨しようと画策していた三島の野望は、この時呆気なく崩れ去ってしまうのだった。
遂に始まるZEXISとバジュラの決戦。度重なる激闘に疲弊の色が濃い彼等だが、持ち前の気力の強さで乗り切ろうと力を揮う。
だが、そんな彼等に横槍を入れてくる者達がいた。イノベイター───いや、イノベイド達の率いる傀儡達がZEXISに対し後ろから攻撃を仕掛けてきたのだ。超巨大航空艦“ソレスタルビーイング”と、無数のモビルスーツを引き連れた彼等の参入に、ZEXISは窮地に陥る事になる。
『クソッ! ランカ、待ってろよ。今助けに行くからな!』
ギャラクシー船団の旗艦“バトルギャラクシー”そこで幽閉されているランカを助けるべく宇宙を駆けるアルトだが、バジュラ達の放つ弾幕によって近付く事が出来ない。
『刹那、頼む。ルイスを助ける為に力を貸してくれ!』
『あぁ、そのつもりだ!』
『ぅぅぅぅぁああああっ!! サァァジィィィッ!!』
一方、アロウズの傘下に入り、今はイノベイド達の手先となってしまったルイス=ハレヴィ。彼女を止めるべく戦闘を続ける刹那だが、相手は新型のモビルアーマーに乗り込み、狂戦士となってしまった者だ。下手に手を出してしまえば此方が落とされてしまう。かといって全力で対処すれば今度はルイスを落としかねない。彼女の駆るモビルアーマー“レグナント”機体から発せられる曲がる粒子砲を避けるも、刹那は着実に追い込まれていた。
助ける者を助けるべく力を尽くそうとするZEXIS達。だが、そんな彼等の尽力する様をあざ笑うかの様にバジュラの母星、そしてソレスタルビーイング号から更なる増援が押し掛けてきた。
母星からは無数の戦艦と新種のバジュラが、ソレスタルビーイング号からは特攻兵器と思われる機動兵器がトランザムを用いてZEXISに襲い掛かる。
『オラオラァ! テメェがあの男の弟ならちったぁ楽しませろよぉ!』
『がっ、貴様!』
『艦長! プトレマイオスに特攻兵器が集中して押し寄せています!』
『我が艦を前に出せ! プトレマイオスの楯となり態勢を整えさせるぞ!』
押し寄せてくる軍勢、止まない弾幕、激戦の連続に疲弊していた所に容赦なく降り注げられる敵の攻撃……そして、ソレスタルビーイング号から放たれる極光により、ZEXISの置かれた状況は更に追い詰められる事になる。
『敵超大型艦からのエネルギー反応、来ます!』
『面舵一杯! 総員、対ショックに備えろ!』
ZEXISの陣形を崩す巨大な光。緋色に輝く光は射線上にいる味方すら厭わず、容赦なくZEXISに襲い掛かる。直撃こそしなかったものの衝撃によりダメージを負った機体は少なくはない。急いで各機体に一度艦に戻って修復作業を受けるよう指示を飛ばすが……敵は、そんな暇など与えないとばかりに攻め立てる。
『アッハハ、逃がしはしないよ!』
『お前はここで落とす!』
陣形が崩れた所にアロウズのモビルスーツ、ガラッゾとガデッサが無数の特攻兵器を従えてダブルオーライザーへ攻撃を仕掛けてきた。
『クッ、こんな時に!』
『刹那!』
多勢に無勢な状況に陥ってしまう刹那にガンダムチームの各機は援護に向かおうとするが、バジュラと特攻兵器、二つの脅威によって阻まれてしまう。
『ランカの邪魔はさせない。貴様は死ね』
『お前は、ブレラだと!?』
『消え失せろ!』
『ぐぁっ! クソォォ、ランカァァァッ!!』
更なる敵の増援、止まらない攻撃。ここが正念場だと分かっていても、度重なる戦闘による疲労がパイロット達の肩に重くのし掛かる。このままでは取り返しの付かない状況にまで陥ってしまう。下手をすれば全滅もあり得る状況に誰もが焦り始めたとき、“彼等”は突然現れた。
『刹那、沙慈、無事か!?』
『……え? これって』
『ランスロット=アルビオン、枢木スザクか!』
『おっと、動くなよ。外れるからな』
『C.C.!? アンタまで!?』
『と、言うことは……』
『無論、私もいるぞ。───相転移砲、発射!』
襲い掛かるイノベイド達を払いのける白い機影、続くピンク色のランスロットが紅蓮に押し寄せてくる敵を撃ち抜き、蜃気楼の広範囲攻撃がバジュラと特攻兵器をまとめて吹き飛ばす。
────そして。
『さぁ、舞台は整いましたよ。いい加減に出て来たらどうですか? グレイス=オコナー』
戦場のど真ん中に降り立つ蒼き魔神“グランゾン”バジュラの母星を前に現れた最強の魔神の登場に敵味方問わず、全ての人間は息を呑んだ。
◇
蒼き魔神“グランゾン”現在の地球圏で最も強力な機動兵器の登場に、これまで爆発と轟音で溢れていた戦場が一瞬にして静まりかえっていた。
地球の全戦力の半分を破壊した魔神。敵じゃないと分かっていながらも、ZEXISの面々は緊張で体が震えていた。
敵であるイノベイド達もそうだ。たった一機に一方的に蹂躙され、何もできないままやられた彼等の記憶は、屈辱以外の何ものでもなかった。
だが、それ以上に深く刻まれた恐怖の記憶がイノベイド達を攻撃に移させない。手を出した瞬間やられると理解した彼等は、仕掛けようとも動けずにいた。
だが、バジュラだけは別だった。魔神の登場に畏れ、体が竦んで動けなくなったイノベイド達とは対照的に彼等はまるで飼い主に待ったを言われた猟犬の様に大人しくなっている。あれだけ猛威を揮っていたバトルギャラクシーも、今は嘘のように黙している。
───一体、何がどうなっている? 誰もが疑問を抱くが、シュウジ───いや、蒼のカリスマはZEXIS達には目もくれず、バジュラの母星を睨みつける。
バトルギャラクシーをまるで眼中にしていない。目の前に存在する巨大な人型兵器を前に全く動揺を見せない彼は、バトルギャラクシーの更に奥にいるであろう黒幕を呼び掛けた次の瞬間───星が震えた。
『……ウフフフ、アハハハハハ!』
甲高い笑い声と共にバジュラの母星から現れるソレ。バトルギャラクシーよりも遙かに巨大なソレはバジュラの女王と呼ばれる存在だった。
『あらあら、誰かと思えばいつぞやのうっかり仮面じゃない。私達に何かご用かな?』
『その節は大変お世話になりました。今回貴方をお伺いしたのは他でもありません。いつぞやの借りを返す為に……グレイス=オコナー、貴方を消しに来ました』
これまでとはまるで違う。敵意剥き出しで今にも攻撃しそうなグランゾンと蒼のカリスマの態度に、ZEXIS達は戦慄する。だが、そんな彼等とは対照的に女王に寄生するグレイス=オコナーはその余裕な態度は崩さない。
『ウフフフ、果たしてお前如きに出来るのかしら。バジュラの女王と融合した事で神にも等しい力を手に入れたこの私に!』
時空を越え、次元の壁を破ることすら可能なバジュラ達を女王と融合する事によって支配する事に成功したグレイス=オコナー。最早歌など必要ない、この力で銀河全てを支配してやろうと意気込む彼女に……魔人はつまらなそうに吐き捨てる。
『神……ですか。星一つを手にしただけで全てを掌握出来るほど、世界は甘くありませんよ』
『ほざきなさい。魔人と呼ばれていようがお前は所詮人間に毛が生えた程度の存在、その程度の器では私には疎か“彼”にすら届きはしないわ』
『その物言いは少々癪に障るな。グレイス=オコナー、君がその力を手に入れたのは半分は僕のお陰だと言うことを忘れないでもらいたいな』
背後にある大型艦からも聞こえてくる声、この声の主こそがイノベイド達の親玉であり、リモネシアにアロウズ達を向かわせた張本人なのだと、魔人はこの時悟る。
『それは失礼をしましたわ。ごめんなさい、お詫びとしてそこに転がっている魔神を手土産にしたいのだけれど?』
『……少し人間よりも高みに到達したからといって調子に乗らない方がいい。その機体はいずれ僕のモノにするつもりだったんだ。君の手を煩わせるつもりはないよ』
『あらそう? 無理しなくてもいいのよ?』
グランゾンを挟んで黒幕同士の罵り合い、端から見れば巨大な殺気同士をぶつけ合っている彼等に対し、ZEXISはいつ攻撃を再開してもいいようにそれぞれ機体を臨戦態勢に移らせる。
そんな中、魔人はイノベイドの親玉に問う。以前リモネシアを焼いたのはお前なのかと。
イノベイドは応えた。その通りだと、含み笑いで蒼のカリスマの問いに応え───。
『あぁ、もしかして君がここにきたのはアレかい? 復讐のつもりなのかな? 意外だよ。君はもう少し賢い人間だと思っていたのに……意外と俗世に染まっているんだね。まぁ、あのトレーズの友人なんてやっている人間だ。器の大きさなんてたかがしれてるか』
己の行動理由のみならず、世界の為に散っていたトレーズすらも罵倒する。その傍若無人な振る舞いにZEXISの面々は怒りを露わにするが、言われた蒼のカリスマは以前と無反応のままだ。
その無反応につまらなくなったのか、グレイス=オコナーとイノベイド達の首領であるリボンズ=アルマークは攻撃を開始させる。バジュラと特攻兵器が大挙と成して押し寄せてくる中、魔人は静かにそれを受け入れる。
特攻兵器の自爆とバジュラ達の攻撃、数の暴力に飲み込まれていくグランゾンを助け出そうとZEXISとルルーシュ達は動くが、
このままではいけない。カレンが機体を加速させてグランゾンの下に駆けつけようとするが、無数に湧き出てくるバジュラ達により包囲網から抜け出せずにいた。
無抵抗のまま攻撃を受けるグランゾン。早くそこから逃げろとカレンは叫ぶが、声が届いていないのか、魔神はその場から動こうとしない。
そして……。
『さぁ、受けなさい。神にも等しき我が一撃を!』
バジュラの女王から放たれる極大の光、虹色に輝くそれは宇宙の闇を切り裂き、射線上にいるバジュラ諸共グランゾンを呑み込んだ。
ソレスタルビーイング号の超荷電粒子砲と同等、或いはそれ以上の威力を誇る女王の一撃。その攻撃によりZEXISの陣形は総崩れとなり、後方に控えるフロンティア船団を掠める。
凄まじい一撃に再び沈黙する戦場、直撃したとされるグランゾンの姿は舞い上がる煙の中で未だ確認できていない。果たして彼は無事なのか……。
『そんな……グランゾンの反応、消失しました』
『嘘、そんな……嘘よ。嘘だと言ってよ……シュウジィィーーーッ!!』
機体の反応が無くなったと通信で告げてくるオペレーターにカレンの慟哭が響きわたる。余りにも呆気ない魔人の死に誰もが唖然とする中、女王に寄生するグレイスは高々と笑う。
『アハハハハハ! 見たか! コレが女王の力だ! 銀河を統べ、全ての生命体を支配する神の力だ! さぁZEXISよ、有象無象よ、我に従え! 我に怯え、敬うがいい!!』
宇宙に響きわたる女王の笑い。最早自分に敵はいないと、グレイスはそう確信した時───
“───オン・マケイシヴァラヤ・ソワカ”
煙の中から光が溢れる。消え行く煙の中から姿を現したのは……日輪を背負った魔神の姿だった。禍々しくも神々しく、その姿に誰もが言葉を失った。
グレイス=オコナーも息を呑んだ。これまでとは明らかに異質となった魔神に心の底から混乱し、畏怖を感じた。そしてそれは、大型艦ソレスタルビーイングに乗っているリボンズ=アルマークも同様だった。
誰もが言葉を失う中、魔人は口にする。
『これが、
仮面の奥底で、魔人シュウジ=シラカワは満面の笑みで微笑んでいた。
───さぁ、地獄の幕開けだ。
神を自称する者達よ、知るがいい。コレが神を殺す魔神の姿だ。
グレイス『ば、バカな、何者だ貴様は!?』
主人公『とっくにご存じなんだろう? 俺は地球育ちのボッチ人。穏やかな心を持ちながら激しい
主人公『スーパーボッチ人、シュウジ=シラカワだぁぁぁっ!!』
今回は大体こんなお話でした(笑)
次回もまた見てボッチ!