『G』の日記   作:アゴン

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リアルが忙しくて中々更新出来ませんでした。




その63

Z月α日

 

────スッキリした。今日起きた出来事はまさにこの一言に尽きるだろう。破界事変の頃から続く因縁を自らの手で幕を下ろせたのだ。鬱憤を晴らせた事で自分の気分は最高潮に高まり、『トロピカルヤッホォーイ!』と奇声を挙げてしまう程に喜んでしまった。無論、その時は奇声を挙げる前に通信関係を一切切ってあったから誰かに聴かれる事もないし、変人呼ばわりもされることはないけどね。

 

しかし、リボンズ=アルマーク。彼も色んな意味で救われない男だったな。自らを神と称しておきながら、やり方や考え方は奴の言う“愚かな人類”と何一つ変わらないという事に最期まで気付かなかったのだから……。

 

グレイス=オコナーを屠った後、バジュラ達を奴らの支配から解放したZEXISは、シェリルさんとランカちゃん、そして熱気バサラによる歌声によって和解。その後も続く戦いに巻き込まれないよう、彼等は女王バジュラと共に母星へと帰って行った。

 

残されたのは超大型艦の“ソレスタルビーイング”とリボンズ=アルマークに従う連中だけ、ガガとかいう特攻兵器もグランゾンのワームスマッシャーやグラビトロンカノンで蹂躙し、イノベイド達も一通り片付け、勢いのまま全滅させてやろうかなと考えていると、デッカい機体通称“レグナント”と呼ばれるモビルアーマーが、自分とグランゾンに襲い掛かってきた。

 

曲がるビームという少々変わった攻撃を仕掛けて来たけれども、メメントモリと比べたら威力も大した事もなく、歪曲フィールドを頼りに押し切ろうとしたのだけれど、意外な人物がストップをかけてきた。

 

沙慈=クロスロード君と刹那=F=セイエイ君、彼等二人が言うにはレグナントには沙慈君のガールフレンドであるルイスちゃんが搭乗しており、現在リボンズ=アルマークに洗脳され、支配下に置かれてしまっていると言うのだ。

 

流石に拙いと思い手を止めたのだが、如何せんネオ・グランゾンの力は絶大で今の自分では手加減という細かいやり方が上手く出来ないでいる。その為、刹那君等が止めてくれなかったら今頃ルイスちゃんは、グレイス=オコナーと同じ結末を辿ることになっていただろう。

 

同じ学び舎にいたルルーシュ君とスザク君からも怒られてしまったし、自分の怒りメーターも急降下。それどころか、知り合いのガールフレンドを知らなかったとはいえ殺そうとしていた自分に、今更ながら自己嫌悪した。

 

けれど、リボンズ=アルマークの洗脳が余程強く働いているのか、動かないレグナントの中でルイスちゃんは暴れていた。このままではルイスちゃんの命が危ないと思ったその時、刹那君の駆るダブルオーライザーから翡翠色の鮮やかな光が溢れてきた。

 

ソレスタルビーイングを包み込む程の大きな光の奔流、その光はアムロ大尉曰く“刹那君の心の光”なのだという。暖かく慈しみのある光に触れていると、何だか気持ちが安らいで行くようだった。

 

後でルルーシュ君から聞いた話だと、あの光はどうやら人の心を繋ぐ特殊な量子の粒の集合体らしく、あの光に触れた人間は周囲の人間と誤解なく心で繋がる事が出来るらしい。その光に触れた事によりルルーシュ君はスザク君の事を理解し、スザク君もまたルルーシュ君の抱えてきた気持ちに触れる事が出来たようだ。

 

未だ確執が完全に拭い切れていない二人だけれど、コレを機にまた新しく関係を発展させる事が出来ればいいなと思う。

 

……けれど、何故だろう。アレだけ広範囲に量子が広がったと言うのに、何故か自分だけは誰かの心に触れる事はなかった。

 

え? もしかしてGN粒子って俺のこと避けてるの? 人なら兎も角粒子にまで避けられるとか、俺どうすればいいの?

 

………まぁ、それはさておいて、そんな刹那君の心の光によってリボンズ=アルマークの洗脳から解放されたルイスちゃんは、気絶はしたけれど無事ZEXISに保護された。大破状態のレグナントを抱えて一度艦に戻った後、刹那君は沙慈君を下ろして戦線に復帰、再び戦場を駆け抜けていった。

 

そんな彼の前に現れたリボンズ=アルマーク。自分の名前を付けたリボーンズガンダムなる機体に乗り、ZEXIS相手に吶喊してきた。

 

流石にイノベイドの親玉だけあって乗っている機体性能は高く、刹那君のダブルオーライザー同様ツインドライヴを搭載しており、トランザムを使用した攻撃はガンダム軍団を翻弄する迄に至っていた。

 

その最中、奴は自分こそが人類と地球圏を統括するに相応しい存在だとか、下等な人間風情がとかモノ凄い上から目線でそんな言葉を吐いていた為、思わず自分も口出ししていた。

 

口喧嘩……と、いうには少々大人気ないような気もするが、何せ奴はリモネシアを焼いた連中の親玉、その時の俺は遠慮なしに色々言い続けた。

 

その内容は……まぁ、えげつないのも含まれているので詳細には説明しないが、要は相手の矛盾点を徹底的に突けばいいのだ。ああいう手合いは色々小難しい事を言う割に沸点が低く、それでいて狼狽し易い。散々暴言を吐く奴に、俺はあくまで冷静に言葉の槍で奴を突き続けた。

 

自分の言葉に徐々に追い詰められていき、奴は言った。自分の有用性は絶対であると、純粋種となった刹那君に勝利する事で、その立場を揺るぎないモノにする事が目的なのだと。

 

そんな彼の叫びにも自分は答えた。お前のコレまでの選択がお前自身を追い込んだのだと。

 

リボンズ=アルマークはイノベイド達の中でも飛び抜けて優秀だ。ヴェーダを掌握し、世界を地球連邦という形で統一し、アロウズという自治軍隊を設立させた。やり方はどうであれ、その優秀さは誰もが認める程だ。

 

なのに、彼は道から外れてしまった。自分のやる事が全て正しいと信じ、疑わず、己の選択肢で世界を操る。それが奴自身が言った愚かな人類と何ら変わりない事だと知らずに……。

 

もし、本当に自らの有用性を認めて欲しいのならば、奴はZEXISと敵対する必要はなかった。陰月落下事件の時、インベーダーやアンチスパイラルの軍勢が迫った時は、傍観せずに人類の為に行動を起こすべきだった。

 

奴がここまで追い詰められたのはZEXISでもなければ自分でもない。ここまで選択を間違えて省みる事の無かった己自身なのだと、自分は止めにそう呟いた。

 

そんな自分の言葉を聞いたリボンズは半ば発狂し、嘘だと連呼しながら自分に攻撃を仕掛けてきた。が、立ちはだかる刹那君のダブルオーライザーによりリボーンズガンダムは撃墜、リボンズ=アルマークは絶望に満ちた声で機体と共に宇宙に消えていった。

 

自分の存在を否定され、その原因となったのが自分自身なのだと、最期までそれを認める事が出来ずにこの世を去った。

 

───現在、ZEXISはソレスタルビーイングに乗り込み、監禁されているとされているエルガン=ローディックなる人の所へ向かっている。彼は破界事変以降ずっとリボンズ=アルマークに捕まっていたらしく、ソレスタルビーイングに潜入したティエリア君が発見。既に彼は銃で撃たれて虫の息の状態のようだ。

 

どうやら追い詰められたリボンズが逆上し、諭そうとしたエルガンに八つ当たり気味に発砲したらしい。……最後までムカつく奴だと、ここに書いておく。

 

俺も一度くらい顔を合わせたいのだが、面識が殆どない自分が向かっても彼を困らせるだけだろう。彼の残した言葉はZEXISから聞き出す事にして、今回の日記は終了したいと思う。

 

自分もまだ付けられた傷が完全に癒えていない状態だ。セシルさんの言いつけを守る為にも今日は早めに眠る事にしよう。

 

………ネオ・グランゾン、アレについても皆色々聞きたいだろうしね。なんて説明すればいいのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んーー、と。こんな所かな」

 

────アヴァロン内にある部屋。割り当てられた部屋で本日の日記を書き終えたシュウジは部屋のベッドに横たわる。自分の目的も終え、己の体を万全にする為、シュウジは休みながら今後の事を思案する。

 

「はぁ、結局あの後ルルーシュ君達だけおいて先に帰っちゃったし、皆怒ってるよなぁ。一応スザク君には先に戻ってるって言っておいたけれど……ジノ君とアーニャ君は留守番は退屈だと文句言ってきてるし、ホントリーダー役って面倒だよなぁ」

 

巻き込んだ以上しょうがないなと諦めながらも、どこか腑に落ちないでいるシュウジはブツブツと文句を零し続ける。シュナイゼルとの戦いを経験に本陣であるアヴァロンを手薄にするのは得策ではないと判断したシュウジは、戦闘宙域から離れた位置にアヴァロンを置き、ナイトオブラウンズだったジノとアーニャを艦の護衛に残した。

 

前と違い奇襲される事はなかったが、かえってそれが二人を不満にさせる原因にもなった。これが若さかと元気ハツラツな二人を思いだし、やれやれと溜息をこぼすと……部屋にある通信機に光が灯る。

 

通信機の音に体を起こすシュウジ。何だと思い通信回線を開いた瞬間、そこに書かれたある一文にシュウジは目を丸くさせる事になる。

 

送られた一通のメッセージ、そこに書かれた内容は────。

 

 

 

 

 

“サイデリアル に 気を付けろ”

 

 

 

 

発信源はソレスタルビーイング、発信者はエルガン=ローディック。ZEXISの面々がソレスタルビーイングから離れた直後の出来事だった。

 

 

 

 

 




今回の後書きは主人公の出身世界が明らかになります。

興味があり、尚且つシリアス成分を保ちたい方は覚悟を持って呼んで下さい。






“もしも主人公も皆と分かり合えたら”。


────(皆の命が消えていく、そんな、そんな事……っ!)

「させるかぁぁぁぁぁっ!!」


刹那の叫びにダブルオーが応える。眩い光と共に広がっていくGN粒子は全宙域にいる生命体との意識が広がり、溶け合っていく。

これがイオリア=シュヘンベルグが提唱した人類の相互理解なのか、刹那が……いや、ZEXISがどこか感慨深い気持ちになった────その時。







『にっこにっこにー♪ アナタのハートににこにこニー♪ 笑顔一杯やざわにこにこー♪ ニコニーって呼んでloveニコ♪』



瞬間、その場にいる敵味方問わず一名を除いた全ての人間の腹筋が……崩壊した。


(そういば、u’sってあの後どうなってんのかな?)


主人公のいた世界にはスクールアイドルが存在しているの巻(白目)


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