『G』の日記   作:アゴン

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いやー、閃の軌跡Ⅱ面白いですね。

皆さんはもうプレイしました?



その64

Z月β日

 

“サイデリアル”エルガン=ローディックが自分宛に送ってきた最期のメッセージ。ZEXISがソレスタルビーイングから離れた時に見計らって送られたそのメッセージ、タイミングから察するに、どうやらこのメッセージはZEXISにはまだ伏せておくべきものだろうと自分は解釈する。

 

聞けばエルガン=ローディック氏は思慮の深い人物のようで、意味の無い行動はしないとされている。となれば、自分にしか届けられていないこの“サイデリアル”という単語も、なにかしらの意味があることは明白だ。

 

組織の名前なのか、それとも兵器の類なのか。今の所は分からない事が多いが、故人が最期に……しかも自分に対してのみ伝えてきた内容である為、この事は自分の胸中に深く刻み込んで置くことにする。

 

さて、そんなこんなで亡くなったエルガン氏に黙祷を捧げる一方で、自分達はこれからZEXISに合流し、今後の事を話し合うこととなっている。

 

正直気は進まないが、ルルーシュ君達も呼んでいるとあれば無視する訳にもいかない。向こうも自分の愛機であるグランゾンに対して色々聞きたい事があるだろうし、その事に関する誤魔化しも考えなければならない。

 

……やっぱ、テンションに任せてネオになるもんじゃあないな。これから自分に降りかかる質問責めに対し、俺は憂鬱な気分が拭えない。

 

まぁ、後悔はしてないんだけどね。

 

 

 

 

 

Z月γ日

 

そろそろ、この戦いも終わりに近付いてきているのかもしれない。昨日のインベーダーとの決戦を終えた後、自分達とZEXISの前に、インサラウムの王であるユーサーが自ら最後の決戦を宣告してきた。

 

場所は火星。指定してきた場所こそは意外なものだったが、そこに巨大なZONEが建設されている以上無視は出来ない。そこで待っているとされる連中との決着を付ける為に自分もZEXISと合流し、火星に向かう事を決意した。

 

無論、ルルーシュ君やスザク君も了承済みだ。他にもインベーダー戦で目覚ましい活躍を見せたジノ君やアーニャちゃんも参戦する事を強く望んでいるんだし、ロイドさんとセシルさんもここまで来たら最後まで付き合うと腹を括ってくれた。

 

当然、自分もやる気満々である。リモネシアでの因縁を終わらせる為にも本気でもって奴と戦うつもりだ。傷も癒えて来た事だし、今度は最初からネオで戦ってもいいのかもしれない。

 

決戦の日は三日後、その頃には体も万全となっているだろうし、その時が来るのを今から待ち遠しい位だ。

 

───忘れていたが、ネオ・グランゾンについての説明は先のインベーダーの襲来により阻まれた事もあり、ZEXISの人達には上手い具合に誤魔化す事が出来た。

 

説明するのも面倒なのでそれはそれで嬉しい事なのだが、後で追求されるのも困るのでジェフリー艦長だけには、ネオ・グランゾンは自分の切り札であるとだけ通信で伝えておいた。

 

蒼のカリスマとして振る舞っていた為か、向こうからはそれ以上追及される事はなかった。ただ、一番危惧していたヨーコちゃんとカレンちゃんによる二人の追及が無かった事が意外で少し戸惑ったが、流石に戦闘中に考え事をしている余裕はないのか、インベーダー戦以降も自分に説明を要求してくることはなかった。

 

そうそう、インベーダー戦でのジノ君とアーニャちゃんの活躍もそうだけれど、ルルーシュ君とスザク君の遣り取りも前と比べて大分角が取れてきた様に思えてきた。

 

元々二人の間にあった溝は、互いの隠し事や些細なすれ違いから生まれたものである為、GN粒子に触れて互いの気持ちを知る事が出来た今、二人はお互いに分かり合い、今後は以前の様な関係に戻れるよう努力する事だろう。

 

ユーフェミア皇女殿下を殺したこと、ナイトオブラウンズとして数々の非情な行いをしてきた事、お互い許されない事をしてきた二人だけれど、自分は応援していきたいと思う。

 

そんな訳で和解した二人、保護者気分で見守っていた自分だが、ここへ来て手痛いしっぺ返しを受ける事になる。

 

ルルーシュ君からのネオ・グランゾンに関する質問責め、アレは何だと聞いてくる彼に対し、俺は笑って誤魔化す事しか出来なかった。まさかZEXISからではなく身内から質問責めされるとは思わなかったが……おっかしいな、俺言わなかったっけ?

 

ルルーシュ君は聞いていないと言うけれど、自分はそんな筈はないと思う。後でグランゾンの通信ログを見直した結果、最初辺りにそれらしい言葉が記されてあった。

 

『そろそろ本気だす』

 

………まぁ、嘘は言ってないよね。うん、言ってない。俺は悪くないとここに記しつつ、今回の日記を終了させてもらうとする。

 

PS.

 

最近C.C.さんから事ある度にボッチ呼ばわりされている。そろそろ怒ってもいいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────火星、インサラウム母艦内部。

 

華やかに彩られた皇室、その部屋にインサラウムの若き王“ユーサー=インサラウム”とファイヤバグの元リーダー、マリリン=キャットが一つのテーブルに座していた。

 

「ぐ、……ムゥゥ」

 

「殿下、大丈夫ですか?」

 

胸を抑え、苦悶の表情でうずくまる王にマリリンは背中に手を置き、身を寄せる。彼女の表情にあるのは焦り。王に忠誠を誓う彼女は、苦しむ王を前に無力な自分を内心で蔑んでいた。

 

やがてスフィアという力の苦しみに耐え抜いた王は額に大玉の汗を流し、呼吸を乱しながら顔を上げる。

 

“尽きぬ水瓶”と“偽りの黒羊”二つのスフィアを持つことにより凄まじい力を得た聖王機はまさに無敵。尽きぬ水瓶を完全な形で解放した事により聖王機の剣を引き抜いたとされる今ならば、あの悪鬼であるガイオウにすら打ち勝てるだろう。

 

事実、ガイオウは一度ユーサーの手によって討たれた。あれで終わりとは到底思えないが、それでも奴と互角以上に渡り合えた事は事実。数日後に迫るZEXISとの決戦でも大きな力となることだろう。

 

だが、その巨大な力は聖王機を通し、所有者であるユーサー自身を蝕んでいた。生身である人間の限界、あと何回も戦えるか分からない状態となった今、ユーサーは己の計画を成就させる為、手段は選ばないだろう。

 

そして、その手段を選んだ先には多くの命を巻き込む事になる。覚悟を決めた事とはいえ、戸惑ってしまうのは……それはユーサーがまだ優しさを失っていない証なのだろう。

 

ユーサーは自分の顔を心配そうな顔で覗き込むマリリンを見る。素顔と年齢の差が大きく異なる彼女だが、心配そうに此方を見るその表情は年端もいかぬ乙女に見えた。

 

故に、王は問う。本当に良かったのかと。

 

即、乙女は答える。当然であると。

 

その問答が全てだった。その問答を最後に二人から言葉は消え、ただ静かに寄り添っていた。

 

(三日後に全てが決まる。我が命とインサラウムの民の運命、余の全てを持ってして挑むことにしよう)

 

数々の難敵を打ち倒してきたZEXIS、そしてただ一機で世界と戦ってきた蒼き二つのマジン。それらを相手に三日後、火星にて見える。

 

最早小細工は不要、後は死力を尽くすのみ。己の役目を前にユーサーはマリリンの腕の中で静かに目を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

─────そして。

 

 

 

 

 

『さて、破界事変以来の戦だ。確かめさせて貰うぜ、シュウジ=シラカワ。テメェがオレの後を継ぐ“次元の将”に相応しいか否かをな』

 

 

 

 

 

 

遙か宇宙の彼方で、銀色の太陽はほくそ笑む。

 

 

 

 

 




そろそろこの再世篇も終わりが近くなってきました。
その前夜という事で今回は短め、次回からはいよいよ再世篇の最終決戦になりますのでどうか宜しくお願いします。



軌跡シリーズも遂に機動兵器が登場。

《機神》なんて凄いモノが出て来るのだからグランゾンくらい余裕だよね(錯乱)


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