そして今回も日記要素は控えめ。
BGMにダークプリズンを聞きながら読むと盛り上がるかも?
×月O日
人生最大の汚点を晒したけれど、どうにか立ち上がる事が出来た自分は現在、とある場所に向けてグランゾンを海底で走らせている。
先日ZEXISの艦長二人と話をした結果、シュウ博士の存在こそ確認できなかったが、この世界における何人かの博士を紹介して貰える事に成功した。
まずはゲッター線の権威である早乙女博士、主な研究内容はゲッター線にまつわるものとゲッター線を狙うとされるインベーダーについてだ。
インベーダーは無造作に人間を襲ってきたりする割にその生体と目的が明らかにされていないモノだから、次元獣と並んで厄介な害獣とされている。
自分も何度か交戦した事があるから分かるが…‥いやーグロいね、奴らの溶解液を防ぐ為に歪曲フィールドを至近距離で展開してた為に目の前でグシャリとなったのを目の当たりにした時は、暫く肉系の食べ物は食べれなかった。
おかげでベジタリアンに目覚めるかと思ったよ全く。
次にコロニー側のガンダムを開発した各博士達だが…‥どうやら現在はどこかに身を隠したのか身元が分からず、連絡すら出来ないらしい。
そしてロボット学の権威とされ、あの兜十蔵博士の友人とされる三博士と光子力研究所で勤務している弓教授なのだが……遠巻きにもの凄く此方を睨んでくる甲児くんとさやかちゃんが怖くて聞くのを断念。
いや、怖がっている場合じゃないと言うのは分かるよ? けどさ、あの悪魔みたいに凄んでくる甲児君を前に弓教授の居場所とか聞けるわけないじゃん。
つかさり気なくさやかちゃんも甲児君にくっついてたし…………何? あの二人って既にそういう関係なの? 俺はまだ彼女どころかこの世界にきてマトモな友人いないのに?
……まぁ俺には黒の兄妹の皆がいるしぃ? 心の中にはカミナの兄貴がいるしぃ? 全っっ然羨ましくなんかないしぃぃ? ボッチじゃないしぃぃ?
────(以下ボッチの嫉み妬みのオンパレード)
落ち着いたのでもう一度執筆を続ける。今の所シュウ博士の事について有益な話が聞けそうなのはゲッター線の早乙女博士と、スコート・ラボという場所で研究しているトライア博士だ。
詳しい話はお二人が口を堅く閉ざした為に聞き出せなかったが、その辺りはグランゾンのネットワーク介入で調べ上げられるから良しとしておこう。
別れ際にちゃんとお礼も言ったし、そんなイヤなイメージは持たれなかったと思うけど……大丈夫かな? あの時の自分は色々混乱していて何をやらかしたのか全く覚えていないんだけど、なにか失礼な事していないかな?
既にいきなり呼び止めておいて一方的に話をするだけして切り上げた事が失礼以外のなにものでもない気がするが……うん、これ以上考えるのは止めよう。胃が痛くなってくる。
だからこの疲れを癒すためにリモネシアに行って観光を満喫しようと思う。これからの事について色々考えを纏めなきゃいけないし……それに、最近俺頑張ってたしこれくらいはいいよね?
“たまには現実から逃避したっていいじゃない! 人間だもの!” by蒼のカリスマ
……やっぱ、これはないよなぁ。“蒼の”って、“カリスマ”って…‥数日前の自分を殴り飛ばしてやりたい所だ。
今更だけど、このネーム変えたり出来ないかな。
◇
リモネシア付近の孤島で就寝し、珍しく寝過ごしてしまった俺は今度こそリモネシアに向かうべくグランゾンを発進、これからどう動こうか色々考えた時、それは起こった。
“時空震動”次元震よりも規模の大きい空間の揺れをリモネシアから観測した俺はイヤな予感を感じたままリモネシアに向かうと、信じられない光景に我が目を疑った。
「なんだ、これ? いったいどういう事だよ」
そこにあったのはリモネシアという小さな国ではなく、ただ巨大に広がったクレーターがあるだけだった。
町もなく、森もなく、青かった海も、澄んだ空も灰色に染まり、人の…‥否、生命の鼓動も感じさせられない死の世界だった。
あるのは疲弊した様子のスーパーロボット達とクレーターの中央付近で佇む人の形をした次元獣と騎士を連想させる二機のロボットと趣味の悪い機体……そして、今までに見たことのない次元獣達と巨大な戦艦だけだった。
何故こんな事になっている? 店長は? シオニーさんは? この国にいる人達は? そんな混乱の渦の真っ只中にいる自分にあのイヤな声をした男から音声通信が入ってきた。
『おや、まさか貴方まで此方に来るとは…‥いやはや、今日は色々と記念となる日のようですねぇ、魔神殿? いや、蒼のカリスマ殿?』
「……お前は」
『そうですね、お互いここは初対面ですので改めて名乗りましょう。私の名はアイム=ライアード、そして我が愛機アリエティスです。以後お見知り置きを』
胡散臭そうに、そして嫌味ったらしく自己紹介を垂れる男は、人の神経を逆撫でするように機体と一緒に頭を下げてくる。
「お前が、こんな事をしたのか?」
『私が? いえいえ、この惨状は全てあの御方が顕現した余波によって生まれたもの。そこに悪気もなければ悪意などある筈がありません』
操縦桿を握る手が震える。頭のそこからフツフツと沸き上がる感情の波に押し潰され掛けた時、今まで黙っていた人の形をした獣が宙に浮かんで俺の前にまで現れた。
『ほう? 今度は歯応えのありそうな奴が出てきたじゃねぇか? おいアイム、コイツは俺にやらせろ』
『落ち着き下さい我らが王よ、アナタはこの世界に顕現されてまだ日が浅い。我々と、そしてアナタ様の望みを叶えるため、ここは少しご自重下さい』
『コイツと戦えりゃそれだけで記憶が戻りそうな気もするが……良いだろう。折角上物の獲物候補が二つも現れたんだ。ここは見逃してやるよ』
まるで品定めの様な視線。自分を獲物と断ずる王と呼ばれる男の鼻で笑う様を見て、頭の中で急速に沸き立つ何かを覚えた。
そして次の瞬間、グランゾンのモニターが何かを捉えた。拡大して目の前に広げてみると───。
「………っ!?」
時空震動の衝撃でバラバラになった家屋、その付近には自分がついこの間まで働いていた店の看板と……
血塗れの店長が横たわっていた。
「────このやろぉぉぉぉっっっっっっ!!!!!!」
瞬時にワームホールを展開しグランワームソードを取り出す、目の前にいる存在を消し去る為に、殺意を乗せた一撃を化け物に向けて振り下ろす。
一瞬だけ驚きを見せる化け物だが、次の瞬間にはニタリと笑い、体を捻る事で俺の一撃をかわして見せた。
初めてだ。こんなにまで誰かを殺したいと思うのは、こんなにまで殺してやりたいと願うのは……。
『今のは良い一撃だ。殺意が乗ってやがる。あと一瞬速ければ俺を殺れたのになぁ……』
そういって僅かに掠め、出血した腕を舐めとりながらほくそ笑む化け物に俺は構わず二撃目を放とうとするが……。
『王よ、ここは私達にお任せ下され!』
『我らの王を狙う不躾者は、我らの手によって葬ります故』
『あぁ? 手ぇ出してんじゃねぇよ。コイツは俺の獲物だと言った筈だぜ?』
化け物の凄みを含めた物言いに味方すら震えているが、アイムだけはやれやれと肩を竦めてガイオウに進言するように背後にアリエティスを近付ける。
『良いではありませんか王よ、そこの魔神はアナタ様が認められた者、であるならばいずれアナタの前に立つのは当然、収穫というのは時に待つことも重要だと思いますが?』
『……チッ、まぁいい。だがやるなら徹底的にやれよ。鉄ってのは熱い時に打っておかねぇと意味ねぇからな』
『お任せ下さい王よ! 魔神の頚は勝利と共に持ち帰りましょうぞ! 往くぞマルグリット!』
『………はっ!』
何処かへ行こうとする化け物を追撃しようとするが、目の前に立ち塞がる二機のロボットに行く手を遮られてしまう。
邪魔だ。そう思って剣をデカい方の奴に振り下ろすが……簡単に防がれてしまった。
『ぬぅっ! これほどまでに重い一撃とは……流石魔神と言った所か、しかぁぁし!』
「っ!」
『このシュバル=レプテールとエメラルダンを相手にするには踏み込みが足りんわぁぁぁっ!』
デカブツの持った槍に振り払われ、強制的に後ろに下がらされると、上空に複数の紅い宝石が浮かんでおり──。
『往け! 小さき射手達よ!』
細くも鋭い光の矢が、一斉に降りかかってきた。
歪曲フィールドで防ぐが、デカブツと白い奴。両者の連携された猛撃に徐々に圧され始めていた。
それだけでは終わらず、あの化け物が残したとされる新たな次元獣達までもがグランゾンと自分を押し潰そうと襲いかかってきた。
────視界がクリアになる。あれほどまでに荒れ狂っていた思考は穏やかな水面の様に静かになり、あれほどまでに荒かった剣捌きが目の前のマシンと打ち合う度に洗練されていく。
次第に今度は相手の動きまで読みとれる様になっていく、相手の動きを真似て今度は自分の動きへと昇華させていく。
コピーでもなく複製でもない。一度見た技を自分のモノにしていく。一体いつ自分にはこれほどまでに操縦技術が備わったのだろう? そんな疑問を感じる一方で、今度は先程ファンネルもどきを撃ってきた白い奴にお返しとばかりにワームスマッシャーを叩き込んだ。
『きゃぁぁぁぁっ!?』
『マルグリット!? ……おのれぇ、まさかこの乱戦の最中こうまで此方に狙いを付けてくるとは、奴は本物の魔神か!?』
受ける。避けるのではなく相手の動きの流れを読んで受けて次の瞬間別の方向に受け流し、同時に隙を突いて相手の懐に返し刀で突き破る。
徐々に体に馴染んできた新しい近接戦闘の操縦技術と倒れ伏して消えていく次元獣を横目に、この場を離脱しようとする奴らが見えた。
その判断は正しい。彼等の目的が足止めだとするのならば既に十分にその役目は果たされた。化け物の姿は何処にもなく、あの巨大戦艦も余程高度な技術を使われているのか、グランゾンの索敵にも掛からない。
既にこの場での戦闘は終わった。───だが。
「ククク……まさかそちらから仕掛けておいて逃げるという話はないだろう?」
グランゾンに命じてある武装の使用を解除する。目の前に現れる複数のワームホール。それを逃げていく彼等に狙いを合わせる様に向ける。
「この武器は空間と時間、全てを歪曲し、破壊する。……さぁ、覚悟はできたか?」
口角がつり上がる。頭の中は怒りと殺意で満ちていながら、それをどこかで嘲笑う自分がいる。
「“ディストリオン……ブレイク”!」
怒りを乗せて、殺意を乗せて放った光はリモネシアの大地を喰らい、海を割り、空を切り裂いた。
そこにいた次元獣の全てを呑み込みながら突き進む閃光は、やがて光の爆発となって海上で天を衝く柱となった。
『やれやれ、手の掛かる男ですね。アナタも』
どこかであの人の呆れた声が聞こえた気がした。
既に原作(?)の跡形もない気がするが……細かい事は気にしなーい!
あ、次回は今度こそ日記形式にする予定です。