『G』の日記   作:アゴン

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今回で再世篇は終了となります。


その71

 

火星での決戦を終えて早数日。破界事変から続く動乱の爪痕は未だ癒えることはないが、それでも地球では穏やかな日々を過ごしていた。

 

平穏の時。長らく人々が待ち望んでいた平和の時間、その中で世界は…緩やかに廻っていた。

 

そして、今回の動乱を収めた地球最強の部隊ZEXISの面々も、各々の場所で平和を享受していた。

 

傷付いた街の復興作業の手伝いや食料の足りない地域への配給。相変わらず彼等の取り巻く環境は目まぐるしいが、それでも戦いが終わった事により彼等の顔付きは穏やかなモノだった。

 

そして、そんな地球の為に戦ってきた彼等も……遂に、解散の時を迎えようとしていた。“ZEUTH”嘗て時空振動で異世界から転移してきた彼等はZEXISに協力し、共に戦ってきたが、“アビス”が閉じるのはもう間もないという事により、急遽解散会を開く事となった。

 

“アビス”というのはネオ・プラネッツより少し離れた宙域にある時空の穴の名称であり、その穴を通っていけばZEUTHは元の世界に帰れるのだという。

 

流石に一日二日で閉じる事はないが、いつまた時空振動が起きてアビスが閉じるか分からない。故にクラッシャー隊の長官兼ZEXISの後見人である大塚茂氏は、日本にある基地を貸し切っての催し会を開くこととなった。

 

「しっかし、これでZEXISも解散かぁ。何だか寂しくなるな」

 

「チームDの皆さんは本来の職業に戻られるんですよね?」

 

「そうね。私はモデルの仕事もあるし、くららは刑事、ジョニーはエイーダと一緒に芸能界に復帰するのよね?」

 

「そうですね。前の時と同じ僕はエイーダと一緒に頑張っていくつもりですよ」

 

「ヘェヘェ、良いですなぁリアルが充実している人は、もういいですっての。御馳走様だっつーの!」

 

「僻まないの朔哉、みっともないわよ。……で、正太郎の方もやっぱりICPOに?」

 

「はい。大塚長官からは暫く休むよう言われているんですが、それが終わり次第戻りたいと思います」

 

「そう。じゃあもしどこかの現場ではち合わせたら、その時は宜しくね」

 

「はい。その時は是非」

 

「太郎は凄いなー、小学校の宿題をやりながらICPOの仕事もこなしちゃうんだもんなー」

 

「ワッ太だって小学生をしながら社長を頑張ってるじゃないか」

 

「それはほら、俺には専務や砂原ちゃんがいるから……」

 

「ほほほ、嬉しいこと言ってくれますね」

 

「フフ、それなら明日の三時のオヤツは奮発して、ホットケーキにでもしましょうか。蜂蜜をたっぷりかけた甘~いヤツを」

 

「そうですそうです! 折角大塚長官から特別手当が出ましたのですから、パーッとやりましょパーッと!」

 

これまでの事、これからの事。それぞれ思い思いの話に華を咲かせている各々。激戦に次ぐ激戦を経験し、張り詰めていた糸を漸く緩める事が出来た彼等は、その表情に笑顔を浮かべていた。

 

ほんの一部を除いて……。

 

「………」

 

「あー……カレン?」

 

会場の隅でチビチビとジュースを啜るカレン。明らかに不満タラタラ不機嫌オーラ全開の彼女だが、そんな彼女にアルトが勇気を持って話しかける。カレンはジト目で見るだけで何も言いはしなかったが、流石に祝いの席で自分だけふてくされるのは拙いと思ったのか、カレンは溜息を吐くと首を横に振り、話しかけたアルトに謝罪した。

 

「……ゴメン。ちょっとカリカリしてた」

 

「あぁ、まぁ……分かってくれたなら別にいいんだ。折角の催しだからな、皆で楽しんだ方がお前も気も紛れるだろ?」

 

「………」

 

「……やっぱ、アイツの事か?」

 

「………うん」

 

“シュウジ=シラカワ”破界事変から今回の争乱までZEXISが表立って戦っている合間、蒼のカリスマとして裏で一人、様々な陰謀と戦ってきた者。

 

火星での最終決戦、ガイオウとの最後の戦い以降行方を眩ませた彼は、再び世界から姿を消した。流石に死んではいないだろうが、何も言わずに姿を消した彼の事をカレンは少なからず不満に思っていた。

 

一言くらいあっても良いのに、そう愚痴をこぼす彼女に二人の歌姫が歩み寄ってきた。

 

「はぁーいカレン。楽しんでる?」

 

「シェリル、それにランカも」

 

「こんにちはカレンさん。……あの、どうかしたんですか? 表情が暗いみたいですけど」

 

「どうせ例の魔人さまに恋い焦がれてるんでしょ」

 

「なっ、別に恋い焦がれてなんか……!」

 

シェリルの挑発にまんまと乗せられたカレンはその顔を朱色に染めて狼狽する。からかうつもりが想像以上の反応を返してくるカレンに、シェリルは面白い玩具を見つけた様に頬を歪める。

 

女王様モード全開のシェリル、このままいけば壮大な弄りがカレンに押し寄せる事を経験から察したアルトは話題を変えた。

 

「そ、そういえばカレン。ゼロ達は来ていないのか? アイツ等も今日にこの会をやることは知ってるんだろ?」

 

「え? あ、うん……多分知ってると思う。けど来ないわ。アイツ自身ZEXISには負い目があるっぽいし、今頃どこかで息を潜めているんじゃない?」

 

「あら? 一緒に戦ってきた仲間に対してちょっと冷たいんじゃない?」

 

「知った事じゃないわよ。勝手に憎み合って勝手に和解して、……ホント、アイツ等も大概にして欲しいわ」

 

あ、これ地雷踏んだ。一人ブツブツと呪詛のように不満を垂れ流すカレンにアルトはやっちまったと後悔する。

 

ネオ・プラネッツで繰り広げたバジュラの軍勢とイノベイド達との決戦の際、刹那のダブルオーが放ったGN粒子の輝きにより心が繋がり、互いの本心を知り得たルルーシュとスザクは和解。もう一度自分達の関係をやり直そうと二人は約束した。

 

その様子を見ていたカレンは言い様がない疎外感を覚えた。本当なら自分も彼等に対して何かしら言いたい事があったのに、分かり合った彼等を見て……掛ける言葉を失ってしまった。

 

「ま、まぁ別にこれが今生の別れって訳じゃないんだ。どこかで会ったときその気持ちをぶつければいいんじゃないか?」

 

この男逃げおった。自分にカレンの気持ちが向かわないよう上手く標的を逸らしたアルトに、ランカとシェリルの冷ややかな視線が突き刺さる。

 

それもそうねと、一応の納得をしてくれたカレン。そんな彼女の下に赤いポニーテールが特徴的な大グレン団のメンバー、ヨーコが歩み寄ってきた。

 

「そうね。アルトの言うとおりよカレン。もしその胸の内に蟠りがあるのなら、次に会った時にぶつければいいのよ」

 

「ヨーコ……」

 

「私もぶつけるわ。次にアイツに会ったら背後から鉛玉をぶつけるつもりでね。……フフフ」

 

あ、この人もアカン。手にしたスナイパーライフルを前に不敵に微笑むヨーコを見て、アルトはどこかで生きている魔人の身を案じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────エリア11。ブリタニア帝国に支配され、植民地と化していた旧日本。十年以上に渡るブリタニア帝国からの支配を受けていたこの国が、世界が統合される事を機にその支配から解放されようとしていた。

 

そんな中、ここ旧日本にあるアッシュフォード学園に数名の男女が、今は誰もいない校門前で佇んでいた。

 

「ルルーシュ、本当にいいのかい? 僕達だけ皆の所に向かわなくて」

 

「行った所で歓迎されるとは思えないな。精々ヤツの居場所について質問されるだけだろ。俺はそんなのはゴメンだ。ヤツの不始末は奴自身の手で付けさせる。それが筋というものだろう」

 

隣に控えるスザクの問いにルルーシュはあっけらかんと応える。確かにそれも一因だが、ZEXISを抜けた今、自分は彼等に率先して関わる事はないと思い込んでいるのが最大の要因となっていた。

 

そんな強情なルルーシュにスザクは苦笑う。相変わらず頑固な友達だと、それがルルーシュなりの彼に対する気配りなのだと知りつつも、それが嬉しく思えた。

 

「そもそも、あの戦いの後何も言わずに去ったのが元々の原因だ。アレの所為で俺達はZEXISに捕まり、余計な労力を消費されたんだ。寧ろ報いを受けるべきだ」

 

「それはいい。その時はあの魔人を徹底的に虐めてやろうじゃないか。手を貸すぞルルーシュ」

 

「C.C.、君も煽らないの」

 

二人を窘めるも、魔王と魔女の二人は魔人を貶める計画に夢中となり、全くスザクの話を聞こうとしない。似た者同士の二人に嘆息すると、学園の方から見知った女子がアッシュフォードの制服を着て此方にやってきた。

 

「何の悪巧みをしているのかな? この捻くれ者は」

 

「……シャーリー?」

 

「どうして、君が?」

 

目の前の元クラスメイトにスザクとルルーシュが面食らう。何故彼女がここにいるのか、休校状態のアッシュフォード学園を前にルルーシュが僅かに動揺しながらシャーリーが目の前にいる要因を模索していると。

 

「私が呼んだのだよ」

 

「お久しぶりです。シャーリーさん」

 

「「っ!?」」

 

動揺していたルルーシュの耳に聞き慣れた声が届いた事により、彼の思考は混乱のどん底に落とされる。持ち合わせのゼロの仮面を慌てた様子で被ったルルーシュは恐る恐ると後ろに振り返ると……。

 

「ナナリー!? それに……」

 

「シュナイゼルだと!? 何故アナタがここにいる!?」

 

本当なら国連本部にいるはずの二人、そんな彼等が揃って目の前にいる事実に、ルルーシュは半分キレながら問いただした。

 

「なに、今回は偶然だよ。ナナリーはもうすぐ国連に身を置く事になる。そうなれば一人で簡単に動く事は出来なくなってしまう。見納めという意味を込めて彼女と学舎に足を運んでみたら───」

 

「偶々ルル達がいたって訳」

 

何だかもの凄く納得がいかない気がするが、今はそんな話をしている場合じゃない。ルルーシュは仮面のまま暫し考え事をしていると、割り切った様に溜息を零し、シャーリーに向き直った。

 

「……シャーリー、遅れてしまって申し訳ないが、ここで改めて礼を言わせて欲しい」

 

「え?」

 

「君が奴を……蒼のカリスマに話を通してくれたお陰で私は道を間違えたまま終わらずに済んだ。ありがとう」

 

「うぅん。そんな事気にしなくていいよ。私はただあの人に必死にお願いをしただけだもの。まさか聞いてくれるとは思わなかったけど」

 

「それでも、私は君のお陰で生きながらえた。大切な人達をこの手で奪ってきた私だが、これからはその償いをしながら生きていこうと思う」

 

償いという言葉を聞いてナナリーの顔が僅かに曇る。ゼロ……ルルーシュはこれまで数え切れない罪を重ねてきた。ギアスで人の意志をねじ曲げ、殺し、奪ってきた。ユーフェミアを始めとした多くの人々の命を……その目で命じ、実行してきた。

 

故に、最早人並みの幸せなんて望まない。自身の罪がもうそんなモノを許さないまでに大きくなってしまっている。だから、この学園に来たのも偏に自分の気持ちに区切りをつけるためだった。

 

幸せだった日々をここに置いていく事に、その決意をする為に───。

 

けれど。

 

「ん、そっか。なら私は待ってるよ。アナタが自分を赦せる時が来るまで、私はずっと待ってる」

 

「……シャーリー」

 

「だから、絶対ここに帰ってきなさい。私の言いたい事は……それだけだから」

 

微笑みを浮かべながら自分の帰りを待っていてくれると口にするシャーリーに、ルルーシュは何も言えなかった。

 

やはり彼女は強い。こんな自分を最期まで待ち続けると言ってくれた彼女に対し……。

 

「あり……がとう」

 

ルルーシュは涙混じりの言葉を紡ぐだけで精一杯だった。

 

(やれやれ、この分だと私のお守りはそう遠くない内に必要なくなるかもしれんな)

 

そんな彼女たちを見て、翡翠の魔女は微笑む。

 

(王の力は人を孤独にする……か、今回は随分と違う形となったが、ま、別にいいだろう。こんな結末も偶には悪くない)

 

(さて、例のボッチ様はどこで何をしているのやら……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────リモネシア。破界事変と今回の争乱、二度に渡って傷つけられ世界から見放された国。誰もいない筈の国、世界から除外されるのを待つばかりのこの国で……今、少しずつ変化が起きようとしていた。

 

「シオ先生ー! こっちこっちー!」

 

「早く行かないと遅刻しちゃうよー!」

 

「はーい。今行くわ」

 

波打ち際の先を歩く数人の子供達、彼等の笑みに先生と呼ばれた女性も吊られて笑顔で応える。

 

……未だ、この国につけられた傷痕は深い。完全に以前と同じ姿を取り戻すのは、まだまだ時間が掛かるだろう。

 

しかしそれを知りながらも、この国の人達は絶望してはいなかった。“生きる”事の尊さと難しさ、それを破界事変から続く争乱を生き抜き、学んできた彼らにはもう簡単な事では諦めないという強い想いが息づいていたから。

 

壊れた建物も施設も、また一から作り直せばいい。喩え世界から見放されても、ここにいる皆で頑張ればいい。そんな思いの積み重ねで、今のリモネシアは最低限人が住める程度の環境まで整える事が出来た。

 

ラトロワを始めとしたジャール大隊の子供達、ガモンを中心とした老人グループ、皆それぞれ出来ることをやり続け、一歩ずつ前と同じリモネシアに戻ろうとしている。

 

まだまだ時間は掛かるだろうけど、それでもリモネシアに生きる人々の目には希望の灯火が力強く宿っている。

 

いつか、ここにはいない誰かを迎える為に……今日も彼女達はこの世界で生きていく。

 

(シュウジ、私達ずっと待ってるから。アナタが帰ってきてくれるその日を……ずっと)

 

優しい面持ちで空を見上げるシオ。風が彼女の髪を揺らした時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遙か青空の彼方を───蒼き魔神が飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

第二次スーパーロボット大戦Z~再世篇~

 

 

完結。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で再世篇は終了。

次回は時獄篇に……いけるといいなぁ。

一応話しの流れは考えていますので、少しずつ書いていこうと思います。

では、またいつかノシ






時獄篇~予告~(嘘)



破界事変と再世戦争。二つの動乱を生き抜き、戦い抜いた主人公。

しかし、新たな戦乱の幕開けはすぐそこまで迫っていた。

シャア「やはり、生きていたか。蒼のカリスマ……いや、シュウジ=シラカワ」

主人公「前置きは結構、それで? 話しとは何です? シャア=アズナブル」

融合された世界で巻き起こる新たな戦乱と新たな侵略者達。超常の力を持つ彼等に鋼の戦士達は絶望に屈してしまうのか!?

ヒビキ「それでも俺は諦めたくない。諦めたく……ないんだ!」

スズネ「ヒビキ君!」

主人公「いいでしょう。ならばその力、私に見せてください」

渦巻く陰謀と野望。戦いの虚しさと尊さを学んだ筈の人類は再び戦いを起こしてしまう。

マリーメイア「父、トレーズは敗者になることで世界を一つにしようとし、そして失敗しました。故に私は勝者と成ることで世界を一つにしてみます」

リリーナ「止めなさい、マリーメイア!」

どうして、人は戦ってしまうのか。終わらない円舞(ロンド)に果たして終止符は討てるのか!?


そして……。

反螺旋族「貴様達が時代の守護者になるというのなら我々を敗北(納得)させてみろ!」

???「シュウジ=シラカワ、聞かせて貰おう。我々に属するか否かを」

迫られる選択の時、果たして鋼の戦士達と孤高(ボッチ)の魔神の行方は!?


次回、第三次スーパーロボット大戦Z~時獄篇~

時の牢獄を───突貫せよ。



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