逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
ある日…
「あれ?トレーナーいないじゃん…持っていくって言ったのに~」
「ん?セイウンスカイか?ここで何をしてる?」
「あっ!ピーチちゃんのトレーナーさん!」
セイウンスカイが自身のチームの部屋の前にいた。そしてこちらに背を向けた。
「何か見られたら不味いものでもあるのか?」
「やだな~、そんなものある訳無いじゃないですか~」
「いや、ずっと俺に対して背中を向けてる以上説得力は無いからな。」
尻尾が落ち着いてないし、絶対何か隠してる。
「いや、別に君が何を隠してようがいいんだけど…」
「だから、隠してないです!ほらっ!」くるっ
振り返ったセイウンスカイはマーベラスサンデーになっていた。ようするに丸くて大きな物を自分の服の中にに隠していた。
「あー、分かった分かった。本当に隠してないのね。俺は何も見てないから。」
「むぅ…、つまらない反応ですね。…イブキトレーナーなら見せてもいいですよ~」ピラッ
「やめなさい、はしたない!こんなところ誰かに見られ…」
「トレーナー?」ゴゴゴ
セイウンスカイがヘソを見せた瞬間に、俺の愛バ(ラウンドピーチ)が黒いオーラを纏い現れた。
「ほらー、タイミング悪くピーチが来たじゃん。」
「ふーん…まさか、セイちゃんが"私の"トレーナーを誘惑するなんてね…」
「誘惑だなんて…」
「ピーチ、"私の"をつけるな。」
「豊胸手術までして…レースよりも恋愛を選ぶの?」
「いや、どうみても偽物だよね?」
「む…!手術なんてしてないよ!成長期なだけだよ!それに恋愛でレースをやめたりしないよ!」
「イブキくん?セイちゃんと何かあった?」
セイウンスカイの担当トレーナーのアイリが現れた。彼女は俺の後輩がセイウンスカイを1人で担当しているのだが…うん、本当にどうしてこうなった?
「トレーナーさん!?これはその…」
「豊胸手術をして私のトレーナーを誘惑してた。」
「してないよ!?」
「…セイちゃん?そんなに元気があるなら今日の練習2倍くらいは出来るよね?」
「だから違うってば!」
セイウンスカイが不敏なのでそろそろ助け舟を出してやろう。
「アイリ、落ち着いて。セイウンスカイは何か君に持ってきただけみたいだよ。」
「持って…?あぁ!例の夕張メロンか!」
「何で言っちゃうの!?秘密にするんじゃなかったの?」
「いや、イブキくんに調理してもらう予定だったし…」
「アイリ、俺はそのことを聞いてないぞ?」
「今言った。ってことで何か作ってくれない?」
急に言うなよ…まぁ、今日は時間がある。運のいい女だ。
「分かったよ。そのかわりそのメロンで俺とピーチも含めた4人分作らせてもらうからな。」
「え?セイちゃんのそれって胸じゃないの?」
「ピーチ、君は君で気付こうね?」
レッツ、クッキングタイム!
ーーー
「って言ってもそのまま食べるのが一番美味しいと思うけど?」
「1玉はそうするわ。もう1玉はイブキくんに任せるね。」
「はいはい。」
「ピーチちゃんのトレーナーさん、私の胸に入っていたメロンはどんな感じですか?」
「セイちゃん?」ゴゴゴ
「体温によってメロンが傷まなくて良かった。」
「えぇ!そこはドキドキした、とかちょっと触るのに抵抗あった、とか言う所でしょ?」
「セイちゃん、イブキくんはこういう男よ。中央のトレーナーはこんなドライばっかりなの。」
アイリに散々なことを言われるが、実際にこれでドキドキしている(ことをバレる)ようではトレーナーになれないのも事実だ。ピーチ達がガールズトークに花を咲かせてる間にさっさと作ってこよう。
「でも期待した反応が無いのは何だかな…」
「セイちゃん?いい加減にしないとメロンサイズになるまで乳を引っ張るよ?」ゴゴゴ
「ピーチちゃん怖いよ?」
「ハッハッハッ!まぁ、これくらい積極的でなきゃ中央トレーナーは落とせないって話さ。最近だと…キバさんとトウカイテイオーが有名かな!」
「テイオーさんですか?急に引退したって聞きましたけど…」
「あー、ピーチちゃんは知らないの?」
「噂…いや、ほぼ確定してるけど…うまぴょい(できちゃった)婚らしいわ。」
「ぶー!」
「うわっ!」
「セイちゃんと全く同じ反応だね♪」
「わ、私は違うよ!こんな反応じゃなかったよ!」
「え?じゃあ、この前家に行った時にはもう出来てたってこと?でもお腹は膨らんで無かったし…」ブツブツ
「へー、家に行ってきてたんだ。何でもトウカイテイオーが積極的にキバさんにうまぴょいしようとしてたらしい。で、キバさんもそれで諦め…いや、決心が付い…」
「いえ!別にその詳細はいいです!」
「イブキくんはタバコ吸わないから清潔だし、仕事出来るし、責任感強いし、スイーツ美味しいし、でかなりモテるからね。ピーチちゃんは担当トレーナーになれただけでかなり幸運だよ。」
「そういえば有望と見てたウマ娘にセイちゃんやファレちゃんもいたよね?クラシックの時はグラスちゃんもよく見てたし、もし私じゃない娘がスカウトされてたら…」ブツブツ
「まだセイちゃんは負けていない。最後に釣り上げれればいいんだ。まだ釣糸を垂らし始めた段階なんだから…」ブツブツ
「分かりやすい娘たちだね。レースでいうと今の所はセイちゃんが真ん中、ピーチちゃんが前の方、って感じだね。」
「私の脚質は逃げのはずなのに…」
「あれ?担当ウマ娘なのに私が先頭じゃないのですか?」
「今の先頭はイージーゴアさんだね。現状はどっちも無自覚って感じだけど。」
「トレーナーは狙わないの?」
「…去年に玉砕しました。」
………
完成っと…過程?んなもん毎回やりませんよ。とりあえず、焼き上げたデザートを持ってピーチたちの元へ運んだ。
「ほれ!完成だ!」
「うわぁ!美味しそう!」
「イブキくん、写真撮ってウマスタに上げていい?」
「どうぞどうぞ。」
「ありがとう!」カシャカシャ
「い、イブキさん!」
「む?どうしたセイウンスカイ?」
「長いのでこれからはセイ、でお願いします。えーと、これはピザですよね?」
その通り。ピッツァ(この発音重要)生地にメロン果汁を混ぜ、カスタードと共に焼き、アイスクリームと夕張メロンを乗せたデザートだ。ネットで見たから1度食べてみたかったんだよな。
「あぁ、それに近いな。カロリーは化け物級だが…まぁ、今日くらいはいいだろう。食べてみてくれ。」
『いただきます。』
「美味しい!」モグモグ
「トレーナーってデザートはプロ級だよね?」モグモグ
「イブキさん、手に入れたらまた作ってもらってもいいですか?」モグモグ
「いいぞ!」モグモグ
「あっ!カレンチャンからいいねがついてる!フフフ…絶対にスカウトして私の愛バにするんだから!」モグモグ
「ウマスタは食べた後で見なさい。」モグモグ
夕張メロンピッツァはみんなに好評のようだ。こうして俺たちは豪華なおやつタイムを楽しんだ。
ーーー
2008年6月1日/G1/東京優駿
「スタートしました!
バラついたスタート、注目の先行争い!
先頭はいきなり掛かり気味かメロンスカイ?
その後ろにアグネススターチ!
サクセスブロッケン、スマイルジャックがそれに続く。
1番人気ディープスカイはかなりの後方!」
………
「最後の直線!
先頭のメロンスカイはまだ頑張っている!
後ろの集団も上がってきた!
メロンスカイにムチが入る!
アグネススターチは後退か?
ブラックシェルがメロンスカイに迫る!
しかし、外からディープスカイ!
ディープスカイだ!
メロンスカイはまだ粘っているぞ!
ゴール直前、2つの空のぶつかり合い!
メロンスカイだ!
メロンスカイが逃げきった!
父と母の悲願を達成した!」
ーーー
メロンスカイについて
欧字表記:Melon Sky
品種:サラブレッド
性別:牡
毛色:芦毛
生誕:2005年4月26日
死没:???
父:セイウンスカイ
母:ラウンドピーチ
母父:イージーゴア
生国:日本
競走成績
13戦6勝
獲得賞金 3億6738万円+40万ドル
主な勝ち鞍
G1
・東京優駿(2008)
・ウッドフォードリザーブ・ターフクラシックS(*以下WRTCS)(2009)
G2
・デイリー杯2歳S(2007)
・オールカマー(2008)
G3
・イングルウッドH(2009)
出走レース
2歳新馬(6着)、2歳未勝利(1着)、デイリー杯2歳S(1着)、ホープフルS(3着)、皐月賞(7着)、東京優駿(1着)、オールカマー(1着)、天皇賞(秋)(4着)、ジャパンC(8着)、有馬記念(5着)、イングルウッドH(1着)、WRTCS(1着)、ジャパンC(5着)
セイウンスカイ産駒で初めてG1レースを勝利した牡馬で馬主が母ラウンドピーチと同じ。逃げで東京優駿を勝ち取ったことで父の2冠と母の2冠を加え『5冠の逃亡者』と呼ばれた。その後は半姉ユーズトップガンの因縁となったダイワスカーレットやウオッカに天皇賞(秋)で戦うも敗北。翌年アメリカへ遠征し、連勝馬アインシュタインを抑えG1勝利をあげる。帰国後のジャパンC出走後に引退した。引退後は兄のコンドルバナナとスダチキャップと同じ牧場に帰り、種牡馬として余生を過ごすこととなった。
・本来のレースの勝者(重賞レースのみ)
東京優駿…ディープスカイ
*ベンチャーナイン枠での出走
WRTCS…Einstein(アインシュタイン)
*Thorn Song(ソーンソング)枠での出走
デイリー2歳S…キャプテントゥーレ
*マイネルフェスタ枠での出走
オールカマー…マツリダゴッホ
*スクールボーイ枠での出走
イングルウッドH…Madeo(マデオ)
*1枠追加での出走
*ウラ話
ラウンドピーチの馬主はビワハヤヒデ、クロフネ、セイウンスカイを指名したところセイウンスカイが採用された。そして自分で落札し、ラウンドピーチ産駒内でも特に可愛がっていた。その後メロンスカイの半姉ユーズトップガンが亡くなり落ち込んでいたが、東京優駿での活躍をみて立ち直ったという。