逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ!   作:アマノジャック

25 / 81
キングヘイローの高松宮記念(2000年)がYou Tubeに投稿されてましたね~。最後の直線で『キング!キングー!』で叫ぶ観客の声と植木アナウンサーの『キングヘイローがまとめて撫で切った!』の実況が最高のレースです!

今回の話も何と、高松宮記念が出てきます…では、どうぞ!


異次元の英雄とトリックスター2

ピーチたちの練習が休みのある日、俺はピーチたちの昔のレースの映像データを取りにトレーナー室へ向かっていると箱を持ったセイウンスカイが部屋の前にいた。

 

「お、セイか?どうした?」

「イブキさん、実は今度はブドウを手に入れまして…皮まで食べれるタイプです。ご一緒に食べませんか?」

「俺とでいいのか?」

「あなたとだからですよ~。この前作っていただいたのを参考にセイちゃんもちょっとしたものを作ってみまして…イブキさんの部屋で完成させたいのですよ~。よろしいでしょうか?」

「完成って何を使うんだ?」

「オーブンですよ。」パカッ

 

ブドウの乗ったピッツァがその箱に入っていた。この時点で美味しそうだ。

 

ーーー

 

セイの作ったブドウのピッツァは美味しかった。出来立てというのもあるのだろうが、ブドウとチーズが中々のベストマッチだった。というか、誰かに作ってもらった物を食べたのは何年ぶりだろうか?実家ではお袋までが俺に作れと言ってくるしな…あー、何か泣けてきた。

 

「ごちそうさま、美味しかったよ。」

「喜んでもらえて何よりです。」

「そういえば今さらだが君はどうしてあそこにいたんだ?今日は君も休みだっただろ?」

「釣りにでも行こうとしたら、イブキさんが外にいるのが見えたからですよ。もしかしたら、トレーナー室に来るかもと思い、昨日作ったピザを持って来たんですよね。」

 

ん?俺は真っ直ぐトレーナー室に向かってたはずだよな?俺の姿を見てから、部屋へ戻りピッツァを持って先回りなんて出来るのか?…まぁ、ウマ娘だし出来たのだろう。

 

「なるほどな。このピッツァはアイリかカレンチャンと食べなくて良かったのか?」

「2人とも自分の分は全部そのままで食べちゃいましたからね~、どちらにせよ明日には誰かと食べてたと思いますよ。まぁ、イブキさんと一番一緒に食べたかったのは事実ですが。」

「お、おう。光栄だな!」

 

セイがやたら積極的に来る。…いや、これくらいで動揺してどうする。味見とかそういう理由だろ?

 

ガチャ

 

「ん、セイ?鍵なんて閉めてどうした?」

「…こんなチャンスはもう無いよね。」ボソッ

 

鍵を閉めた瞬間にセイのオーラが変わる。これはピーチやテイオーが纏っていたものと同じ…嫌な汗が流れてきた。

 

「イブキさん…私のことどう思いますか?」

「どうってドリームに挑む実力のあるウマ娘で…」

「女としてどうですか?」ガシッ

 

腕を掴まれる。…離れない。どうやら…逃げられないようだ。

 

「そういう目では見ていない。」

「そうですか…セイちゃん悲しいです…」

「答えただろ。セイ、離せ。」

「…じゃあ、そうなるようにしましょうか。」

「離せ、頬をつねるぞ?」

「…」

「…くっ!動かねぇ…」ギチギチ

「わぁ…本当に人間はウマ娘に敵わないんですね…」

「離せ!」

「いただきます。」ペロ…

 

………

 

「ふっふふ~ん♪」

「…」

 

何があったかって?…聞かないでくれ。パンツだけは守ったんだ…断じてうまぴょいだけはしてないんだからね!ただのうまだっちなんだからね!………はぁ。

 

「イブキさん、ピーチちゃんたちには内緒にしてあげますけど…次こそは覚悟してくださいね?あ、これ(シャツ)は戦利品として貰って帰ります…ではでは!」

 

ガチャ

 

セイはその言葉を残し帰っていった。まさかセイが俺のことを…『人間はウマ娘に敵わない』。セイも例外ではなく力強く…柔らかかったな…は!いやいや、現役のウマ娘に、ましては担当でも無い娘にこんな…。コホン、とりあえずこの部屋を片付けよう。…出来るだけ部屋以外では一人にならないようにしよう。

 

………

 

ピーチの指導しているが…セイのことが頭から離れない。忘れようとすればするほどセイが現れる。

 

「トレーナー、どうしたの?大丈夫?」

「な、何でも無いぞ。」プイッ

 

ダメだ。ピーチの顔がまとも見れない。

 

「?トレーナー、首のところ赤いけど虫刺され?」

「あー、やっぱり風邪かもしれないな。…悪いが今日は自主トレーニングをしてくれ。メニューはこれで頼む、じゃあな。」

「あ、うん。お大事に…」

 

結局、俺は3日ほど有休を取り(理事長やたづなさんに驚かれた)、煩悩を祓うために滝に当たり続けた。ピーチたちのレースが近くなくて良かった。

 

ーーー

 

「フフフ…イブキさん。これで私を意識せざるを得ませんね~。一気にではなく、少しずつ少しずつ…最後に全部が私のになればいいのですから~」

 

ーーー

2014年3月30日/G1/高松宮記念

 

「スタートしました!

ハクサンムーンが少し出遅れたか?

先行争いはレディオブオペラ、エーシントップ、グレープスカイの3頭。

マジンプロスパー、コパノリチャードがこれに続く。」

 

………

 

「最終コーナーカーブ、残り400!

先頭はグレープスカイ、全力で坂を上がっていく!

2番は4馬身離れエーシントップ。

更に3馬身離れ3番はコパノリチャード!

残り200!

ここでコパノリチャードが仕掛けてきた!

エーシントップをとらえた!

グレープスカイもとらえに迫る!

大外からスノードラゴン追い込んできたが届かないか?

コパノリチャードが加速する!

しかし、先頭はグレープスカイ…コパノリチャードはとらえきれない!

逃げきったゴールイン!

グレープスカイ、最後の最後でG1初勝利!」

 

ーーー

グレープスカイについて

 

欧字表記:Grape Sky

品種:サラブレッド

性別:牡

毛色:芦毛

生誕:2009年5月5日

死没:???

父:セイウンスカイ

母:ラウンドピーチ

母父:イージーゴア

生国:日本

 

競走成績

30戦7勝

 

獲得賞金 4億3094万円

 

主な勝ち鞍

G1

・高松宮記念(2014)

G2

・阪神C(2013)

G3

・CBC賞(2012)

・北九州記念(2013)

 

主な出走レース

・2012年

3歳新馬(1着)、3歳500万以下(1着)、アリートンC(2着)、橘S(1着)、NHKマイル(5着)、東京優駿(10着)、函館スプリントC(3着)、CBC賞(1着)、キーンランドC(7着)、スプリンターズS(9着)、スワンS(6着)、阪神C(4着)

 

・2013年(ここからは新規及び入賞のみ)

シルクロードS(6着)、阪急杯(4着)、高松宮記念(13着)、マイラーズC(16着)、京王杯スプリングC(2着)、CBC賞(2着)、北九州記念(1着)、セントウルS(3着)、スプリンターズS(3着)、阪神C(1着)

 

・2014年

シルクロードS(3着)、阪急杯(2着)、高松宮記念(1着)

 

 

2頭目のラウンドピーチとセイウンスカイの産駒で馬主は母ラウンドピーチと同じ。全兄メロンスカイを超えるべく重賞レースに積極的に出るが勝利出来ずにいた。人懐っこいものの気性難でレース中のコントロールが効かず、東京優駿後に全力で走りきるためにスプリント路線へ変更、その年のCBC賞で自身の初重賞を勝ち取った。それでもG1は取れず、引退を決めた2014年の高松宮記念で初のG1を取り引退した。引退後は馬主の牧場で全兄メロンスカイと同じ種牡馬になるも兄ほどの人気はなかった。じっとするのが苦手でレースで遠方へ移動する時は不機嫌になっていた。




・本来のレースの勝者(重賞レースのみ)

高松宮記念…コパノリチャード
*レッドオーヴァル枠での出走

阪神C…リアルインパクト
*ニンジャ枠での出走

CBC賞…マジンプロスパー
*イセノスバル枠での出走

北九州記念…ツルマルレオン
*テイエムタイホー枠での出走


*ウラ話
ラウンドピーチの馬主はラウンドピーチとクロフネを2回交配されたが受胎せず、メロンスカイの活躍をみて、セイウンスカイを再指名し出産後再び自分で落札した。結果、生まれたのが気性難な競走馬だったためアメリカ遠征をあきらめた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。