逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
1年程時が過ぎる。ゴアはサブトレーナーから卒業、『ハタンキョウノメ』というウマ娘を担当することが決まり、来年デビューするらしい。アイリはカレンチャンを追いかけるためにトレーナーを退職したため、セイがうちのチームに入ってきた。…もう引退してなかったっけ君?そしてキタサンがシニア期に入り…俺は引退したピーチと結婚した。しかし、新居を建てたのにピーチは中央トレセンのトレーナーになると張り切って研修寮で暮らしており、正直なところ生活は結婚前と変わらない。セイやゴアがよく遊びに来るから寂しくはないけど…近いんだよなあの2人。とくにセイは油断してはならない。
ーーー
コホン、キタサンは菊花賞、天皇賞(春)を取ったものの宝塚記念と京都大賞典にてスペシャルオレンジに敗北。有マ記念での逆転を狙いたいところだが…まずは目の前のジャパンCだ!
「うぅ…初めての1番人気だ。緊張するなぁ…」
「その人気に答えないとな!大丈夫!君なら勝てる!」
「うん!そうだね!ダイヤちゃんだけじゃなく、オレンジちゃんも有マ記念で待ってるんだ!よし、行ってくる!」
「あぁ!」
………
「あら?スペシャルオレンジちゃん?キタサンブラックさんの応援ですか?」
「グラスワンダーさん。いえ、今回は妹の応援です!2番です!」
「あの娘ですね…おや?どうやら私、あの娘に運命的なものを感じました!私も応援させてもらいますね~」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「えーと『グラスベリー』ちゃんですか。私と同じ『グラス』が入ってますね…」
「皆からはベリーちゃんと呼ばれてます!」
「では私もそう呼ばせていただきます~」
………
『最後の直線!
立ちはだかるのは高低差200mの坂!
先頭はキタサンブラックが逃げている!
ここでグラスベリーがあがってきた!
キタサンブラックへ迫る!
逃げるキタサンブラック、追いかけるグラスベリー!
差が縮まるが…キタサンブラックだ!
キタサンブラックが逃げきった!
1番人気にキタサンブラックが答えた!』
(ワアァァァ!)
「トレーナーさん!」
「キタサン…よくやった!」
「ありがとう!トレーナーさんのお陰で勝てたよ!」ダキッ
「ちょっ!キタ…苦し…」ギチギチ
「あ!ごめんなさい!」
「ケホ、ケホ…改めて本当によくやった!」なでなで
「トレーナーさん…うん!これからも勝っていくからよろしくね!」
(ワアァァァ!)
………
「ベリー、お疲れ様。」
「オレンジ姉ちゃん!オレンジ姉ちゃんって本当にあの娘に…キタサンブラックに勝ったんだよね?」
「ベリー、お前も出てただろ?」
「そうなんだけど…信じれなくて…菊花賞取ってるウマ娘はすごいね!サトノダイヤモンドじゃなくて私が菊花賞を取れてたらオレンジ姉ちゃんに勝てるのかな?」
「私も菊花賞ではあの娘に負けたから分からないね…だがそれも次の有マ記念で決まる。それが私のトゥインクル最後のレースだから…全力で来なさい!」
「うん!ユズ姉ちゃんやマンゴー姉ちゃんみたいに勝つから!」
「ベリー、その名前を出してはダメ!もし私以外の誰かがいたらどうするの?分かってる?」
「分かってるよ!」
「あの…私がいるのですが?」
「グラスワンダーさん!?いえ、その…」
「ユーズトップガンさんやキングマンゴーさんがお姉さんだということが知られると注目が集まるからですよね?大丈夫です、秘密にしておきますから…それよりベリーさん。」
「はい!何でしょうか?」
「ウイニングライブはいいのですか?」
「あ!ごめん、オレンジ姉ちゃん!行ってくる!」
「衣装間違えないようにね!」
「オレンジちゃんはこの後は空いてますか?」
「はい、空いてますが…」
「お茶でもしましょうか~。いちご大福が美味しいお店があるんですよ。」
「本当ですか!行きます!行きます!」
「フフフ…」
ーーー
酒は飲んでも飲まれるな…社会人なら誰もが聞いたことの言葉であるが大体の人が頭の片隅にあるか酒を全く飲まないから忘れてる状態であろう…俺か?俺は…後者だな。何故こんな話をしてるかって?
「知らない天井だ…」ムクッ
どうやら酔い潰れてどこかに運ばれたようだ。…頭痛はないな。何か色々とスッキリしてるし…とりあえず、昨日のことを思い出してみよう…。俺はキタサンのジャパンCでの勝利が嬉しく、キタサンを寮へ送った後にセナやアイリ、キバさん(首輪つき)を誘い飲んだ。酒の名前なんて知らないが目についた物から頼んでいき、話の内容も思い出話や最近の出来事についてなど話題が尽きなかった。中でもキバさんの子供はウマ娘ではなかったものの、テイオーの教育でどんどん人離れしているという話が1番印象に残った。しかし…覚えてるのはここまでだ。
「うーん…」
じっとしてもしょうがないので水でも飲むか。起きあがって、服を着てから…ん?服を着る?
「!!!」バサッ
俺すっぽんぽんやんけ!え?どういうこと?寝てる間に脱ぐ癖でもついた?…いや、状況的にそういうこと?俺結婚してるんだよ?……!隣に誰かいる!まさかセナかアイリか?セナは結婚してるしアイリもカレンチャンがいるし…いや!ワンチャンでピーチかもしれない!ピーチなら何も問題ない!ピーチであってくれ!いや、絶対ピーチだ!
「…」ファサ
「…ん?おはようございますイブキさん、腰は痛くありませんか?昨日はちょっと派手に動き過ぎまして…」
「セ、セイかよぉぉぉぉ!」
布団をめくると俺と同じくすっぽんぽんのセイ。周りには何かのゴミに脱ぎ捨てられた服たち…そしてセイについた唇型の赤い痕と股間から垂れる白い液体…完全にうまぴょい(アウト)だ。
拝啓
ラウンドピーチ様
うまぴょい(浮気)をしてしまいました。腹を…いや、首を切ったら許してくれますか?
ーーー
2018年3月11日/G2/金鯱賞
「スタートしました!
アクションスターが出遅れたか?
先頭はサトノノブレス。
スワーヴリチャードは3番手。
サトノダイヤモンドは集団のまん中。
グラスベリーは後方からスタートです。」
………
「最後の直線!
先頭はサトノノブレス、坂を上がってくる!
その横にスワーヴリチャードが並んだ!
スワーヴリチャードがサトノノブレスをかわした!
外からサトノダイヤモンド、大外からグラスベリーが追い込んできた!
グラスベリーがサトノダイヤモンドをかわす!
グラスベリー、前2頭を差せるか?
差せるか…差しきったゴールイン!
グラスベリー、G2で4勝め!」
ーーー
グラスベリーについて
欧字表記:Grass Berry
品種:サラブレッド
性別:牡
毛色:栗毛
生誕:2013年2月16日
死没:???
父:グラスワンダー
母:ラウンドピーチ
母父:イージーゴア
生国:日本
競走成績
18戦7勝
獲得賞金 7億6322万円
主な勝ち鞍
G2
・目黒記念(2017)
・京都大賞典(2017)
・アルゼンチン共和国杯(2017)
・金鯱賞(2018)
G3
・ダイヤモンドS(2017)
出走レース
2歳新馬(1着)、萩S(1着)、ホープフルS(4着)、皐月賞(4着)、NHKマイル(5着)、東京優駿(3着)、京都大賞典(8着)、菊花賞(2着)、ジャパンC(2着)、有馬記念(7着)、ダイヤモンドS(1着)、阪神大賞典(2着)、天皇賞(春)(3着)、目黒記念(1着)、京都大賞典(1着)、アルゼンチン共和国杯(1着)、有馬記念(2着)、金鯱賞(1着)
ラウンドピーチ産駒最後の出走競走馬。数々のG1レースに出るも勝利は出来ず、ダイヤモンドS勝利をきっかけにステイヤー路線を進むことになった。しかし、サトノダイヤモンドに阪神大賞典、キタサンブラックに天皇賞(春)は敗れる。その後グラスベリー陣営は有馬記念に狙いを絞り、距離のあるG2レースを3連勝。万全の状態で有馬記念にてキタサンブラックと再戦するも敗北。キタサンブラック引退後の大阪杯での勝利を目指す。サトノダイヤモンドへのリベンジも含めた金鯱賞にて勝利。しかし、そのレースの後で故障し引退することになった。引退後はラウンドピーチの馬主の牧場で種牡馬として過ごしている。
・本来のレースの勝者(重賞レースのみ)
目黒記念…フェイムゲーム
*ムスカテール枠での出走
京都大賞典…スマートレイアー
*プロレタリアト枠での出走
アルゼンチン共和国杯…スワーヴリチャード
*カムフィー枠での出走
金鯱賞…スワーヴリチャード
*デニムアンドルビー枠での出走
ダイヤモンドS…アルバート
*フェスティヴイェル枠での出走
*ウラ話
ラウンドピーチの馬主がゴールドシップの種付けの交渉でスペシャルオレンジを連れてきた時にグラスワンダーといつの間にか交配しており『スペシャルワンダー』という競走馬が生まれた。