逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
さて…ブリーダーズカップが目の前ですね。前話で書きましたパシフィッククラシックSに出走した『ゴーロケットライド』が亡くなったと聞き少し悲しい気持ちです。
何はともあれ…頑張れ日本の馬たち!
『外からエースインパクト、さらにキングリアも一気に伸びてきた!
エースインパクトかキングリアか……キングリアだ!!
やりましたキングリア!
日本の悲願、凱旋門賞を勝利しました!!』
ピーチの担当してるキングリアが凱旋門賞を勝利した。日本初の偉業だ……早く、帰国してくれないかな。
………
『全てを蹴散らす天賦の才!
イクイノックス連覇です!
タイムは…レコードォ!?
信じられない速さっ!!
宝塚記念からの見事な復活です!』
さらに俺の担当しているイクイノックスが『天皇賞(秋)』を連覇した。それはトーセンジョーダンの日本レコード…さらには20年以上前に記録されたクリスタルハウスの世界レコードをも更新し、芝2000mの最速タイムを叩き出したのだ。
………
数日後にアメリカのサンタアニタパークのレース場で『ブリーダーズカップ』が行われる。それに合わせて飛行機に乗っている訳だが…
「何か飲まれますか?」
「その…エナドリを…」
「これのお代わりはあるか?」モグモグ
「…オグリ…まだ…食べる気か…」
「ご安心を…予約した人数までなら問題ありません。」
「そうか…では頼む。」
「畏まりました。」
「イブキ、お前もしっかり食べないと。…時間はまだまだあるからな。」ジュルリ
「ヒェ……」
何故かオグリと共に向かっていた。
ーーー
天皇賞(秋)が終わった夜、イクイノックスを寮まで送った俺は自宅へと帰ると家の前に誰かがいた…オグリだった。内心焦りながらも一緒に自宅へと入る。…マロンはもう寝ているためかいなく、代わりにピーチとセイが出迎えてくれた。
「あぁ、いらっしゃいオグリさん。」
「ピーチ、こうやって直接会うのは久しいな。」
「はい、お久しぶりです。」
「いやー、元気そうで何よりですね…ホッケでも食べますか?」
「いただこう…これはお土産だ。私と妹をモチーフにしているとのこと。」
ピーチたちは来ることを知っていたようだ。そんな中、オグリが取り出しのは地酒だった。…普通に美味しそう。
「後は…スダチ。」
「ん?笠松でも作っていたのか?珍しいな…!?」
「Zzz…」
オグリが出したの果物のスダチではなく…俺との娘の"スダチキャップ"だった。何でスーツケースから?…やべっ!寝ているとはいえ汗が止まらん…
「可愛い寝顔ですね~、というかよく入りましたね。」
「途中で寝てしまってな…食料のスペースが空いたからそこに入れた。」
「その…オグリ?どうしてここに…?」
「「「えっ!?」」」
3人が何で知らないのって顔を向けてくるのだけど…いや、マジで知らないし。
「今週って『ブリーダーズカップ』でアップルちゃんが出るでしょ?だから家族全員でアメリカまで応援に行くのよ。」
「何それ?初耳だけど?流石に今回はイクイノックスのレースが近いし中継で済まそうとしてたけど…ってかピーチも帰国直後だし、キングリアとディープボンドの方はいいのか?」
「何言ってるの。リアちゃんもボンドちゃんも……ノックスちゃんも応援に行くのよ。」
「…へ?」
どういうこと?応援に…行く?アメリカに行くってこと?てか何でそういうことを俺に知らせてくれないの?
「イブキさん、トレセン学園の学生は希望すれば理事長の手配した飛行機に乗って現地で観戦出来るのですよ。…メロンちゃんたちから聞いてません?」
「…はい、初耳です。」
「聞いてないの!?」
「…天皇賞(秋)に向けて忙しかった、って所ですかね?でも割りと家には帰ってたような。」
帰る度に酔ったキタサンに貪られてたからそれどころじゃなかったんだよな…。ネイチャはネイチャでマロンに現場を見せまいと引き離すだけだったし。
「アップルちゃんは今、世界の注目の的よ。」
「世界レコードを記録したイクイノックスに勝利したウマ娘だ…当然、注目は集まる。だから直接見たい生徒も多くなる。」
「イブキって時々抜けているよね…」
「ハハハ…今回は否定出来ねぇな。」
「ふー、やっとマロンちゃん眠ったわ。梅酒…じゃなくて、水でも貰……お?」
ネイチャも合流してきた…膨らんだお腹を丸出しで。
ーーー
「いやー、お恥ずかしい所を見せてしまい、すいませんね。」
「私もよくなっているから気にする必要はない。」
「え?まさかスダチちゃん以外にも子供…」
「違うからな!オグリの食後は大体こうなってたってことを言ってるだけだからな!」
「ということは…それはイブキとの子供か?」
「オグリ…何でそういう所は鋭いかな…」
「たはは…半年程前に色々とありまして…」
「襲って食べただけでしょ?」
「…ピーチの仰る通りで。」
「まだまだ現役のようだな…」ジュルリ
「勘弁してくれ…」
最近はキタサンが仕事でのストレスのせいか激しくて毎回死にかけてるんだよな…俺が。
「…それで何時出発するんだ?有給届けを出さないと…」
「あんたのを含めて提出済み。出発は明日よ。」
「…俺、明日はメジロマックイーンのデザートデイ何だけど?」
「ずらして貰いなさい。」
「前にずらしてもらったからこれ以上は…」
「私も明日はイナリとクリークに会うのだが?」
「…分かった。イブキ、オグリさんは明後日ね。飛行機の予約取れるかな…」
「それについては問題ない。予約済みだ…イブキ1人くらいなら何とかなるだろう。」
「そう?ならお願いするわ…イブキのこと好きにしていいから。本妻の私が許可します。」
「許可しないで…」
「では遠慮なく。」
「遠慮して…」
ーーー
翌日、メジロ家にてフルーツタルトをほほ張るメジロマックイーンの姿があった。引退後の彼女は身長が大きく伸びつつも美しく成長しており優雅で…そして、いい食べっぷりだった。
「ご馳走さま…今回も美味しゅうございました。その…イクイノックスさんのレース見ましたわ。彼女は…大丈夫でしょうか?」
「流石に疲れたのかちょっと食欲は落ちてるかな。ジャパンCまではのんびりと休ませる予定だったのだけど…」
「ブラックアップルさんを見にアメリカへと行くのですね。フフフ…素晴らしい心がけかと。」
「トレーナーとしては日本でゆっくりして欲しいけどね。…さて、もう行くよ。」
「んだよ、もう行くのか?」
「ゴールドシップ?」
「何故あなたは当たり前のようにここにいるのですか…」
「細かいことは気にするんなって!これ、ナイスネイチャの診断書の英語版!もしかしたら帰りは日本語版だとダメかもしれないからな!んじゃ、ゴルシちゃんはキュートに去るぜ!」
「…診断書?産婦人科のゴールドシップがネイチャさんのをあなたに…何故?」
「あー、俺は帰るわ。」
「お待ちを。詳しい話をお聞かせていただけます?」ゴゴゴ
「…ヒィ!」
その後、メジロマックイーンに全てを吐いた。彼女にゴミを見る目で見られたものの…スイーツをもう1つ作ることで道端の石を見る目までには回復した。…恨むぞゴールドシップ。
ーーー
翌日、空港にて…
「あのオグリ…この便って人が少ないのか?俺ら以外に乗客が少ないような…というか俺と君だけなのにCAが近くに10人くらいいるのだけど?」
「あぁ、ファーストクラスの席を全座席予約した…貸し切りだ。」
「全て!?しかもファーストクラスを!?何でそんなことを…」
「すまない…全員少しを席を外してもらえるか?1時間くらいしたら戻ってきて欲しい。」
『かしこまりました。』
オグリの一声でCA全員が部屋を出る。
「お前を食べるためだ。」
ここから逃げる術は…無い。