逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
「イブキさん、起きてください!アップルちゃんのレースが始まりますよ!」
「ーー!キタサンか。」
「起きましたね。ではレースを見ていきましょう!」
目が覚めるとサンタアニタパークのコースが映る。アメリカでの研修以来見るサンガブリエル山脈…やっぱりここのレース場は絶景だ。そう考えていると、全員のゲートインが完了して…『BCクラシック』が始まった。
『スタートしました!
アレイビアンナイト、デルマソトガケといいスタートです!
先頭は外から一気に内へと来たアレイビアンナイト!
2番手にサウジクラウン、それにデルマソトガケとホワイトアバリオが続き…ブラックアップルは5番手!
ゼンダンとプロクシーが中団に並ぶ!
ウシュバテソーロは最後方か、第1コーナーをカーブ!』
…アップルは先行グループに入ったか。前走同様にアレイビアンナイトをマークしたようだ。
「デルマソトガケはいいスタートを切れたね。」
「ブラックアップルもいいポジションだ。」
「ウシュバテソーロは…かなり後ろか。」
「『サウジクラウン、先頭を譲るなよ!』」
「『ホワイトアバリオ、足を溜めろ!』」
『向こう正面に入りましてアレイビアンナイトが先頭、1バ身離れサウジクラウンとホワイトアバリオ!
さらに日本のブラックアップルとデルマソトガケが並び…それにゼンダンが続く!
3バ身離れプロクシーとミストザカット…ウシュバテソーロだ!
ウシュバテソーロ、ここまであがってきている!
ドリームライク、セニョールバスカド、クラプトンが続く。
ブライトフューチャが最後方!』
…ウシュバテソーロがもう仕掛けてきたか?いや…ペースを上げてるだけだな。アップル…よしよし、落ち着いているな。
「『アレイビアンナイト、このままいけっ!』」
「いいぞウシュバ!しっかりポジション取れよ!!」
『最終コーナーカーブ!
先頭はアレイビアンナイト…をかわしてホワイトアバリオ!
ブラックアップル、デルマソトガケ…さらにウシュバテソーロが大外をとった!』
…いいポジションだ。そろそろかな、すぅ…
「行けぇぇ!アップルゥ!!」
「…言われなくても…ここだねっ!!」
ダンッ
「『ーーまだ伸びるのか!?』」
「アップルさん…私も行きますっ!」
ダンッ
『ブラックアップルとデルマソトガケ仕掛けきた!
2人がアレイビアンナイトをかわす!
ウシュバテソーロは…伸びてこない!?
大外からプロクシーが追い込んでくる!
先頭はホワイトアバリオ、しかし…ブラックアップルの伸びが凄い!
ブラックアップルが差しきってゴォォォルイィン!
日本から…日本からついにこのレースを制するウマ娘が現れた!
2着にホワイトアバリオ、3着にデルマソトガケ!
4着に追い込んできたプロクシー、5着にウシュバテソーロ…ああ!?
日本ウマ娘全員が掲示板へと入っているっ!!』
パチパチパチパチ
「はぁ…はぁ…はぁ…うっ!」ガクッ
「アップルさん!?」
「…」ガシッ
「ウシュバさん…」
「…ケガとかではないな。…なら、ライブまで終わるまでは倒れちゃダメ。」
「ありがとう…ウイニングランに行ってくる…また、後で…」
「これだけ言わせて…おめでとう。」
「おめでとうございますアップルさん。」
「…ありがとう。」
フラフラになりながらもアップルは観客席に手を振っていた…本当におめでとう。
ーーー
ウイニングライブが終わり…アップルが戻ってくる。ブラックさんを始め、家族全員が囲むようにアップルの側へと集まる。
「お疲れ様アップルちゃん。」
「ママ…」
「…本当によく頑張った。」
「パパ…」
「お疲れ様だ。」
「お疲れ。」
「カッコ良かったよ!」
「ドラ姉、メロン姉、グレープ姉…」
…トレーナーとして、僕も行かないとな。
「アップル、よくやった。」
「ソ、ソラ兄…私、私…」ポロポロ
「…まだ終わりじゃない。だけど…今はこの勝利を喜ぼう。」
「うん!」
とりあえず、身体を休ませないとな……ん?
「いや~、眩しいですな~。」
「家族としては嬉しいけど…トレーナーとしては悔しいな。今度こそは私が…」
「きゃっ!きゃっ!」
「キウイちゃんも喜んでるよ…来て良かったね。」
「…そうだピーチ。例の件だが…」
「あぁ、仕事でこっちにくる件だっけ?既にみんなには同居人が増えるって伝えているわよ。」
「…ピーチちゃん、それってイブキさんには言った?」
「………あ。」
ピーチさん、流石にそれはダメでしょ…また親父が泡を吹く未来が見える。はぁ…キングさんに会いたいな…
ーーー
『ノーボールズだ!
内から伸びたノーボールズがゴールイン!
ビッグインベージョンが2着。
ジャスパークローネはバ群へと沈んでしまいました…』
ーーー
記者やカメラマンに囲まれたソラとアップルから離れて俺はイクイノックスを探す…見つけた。見つけたものの…『宝塚記念』と同様に黙ったまま下に向いていた。
「…」
「イクイノックス、今いいか?」
「トレーナーさん?ブラックアップルさんの所にいなくていいのですか?」
「アップルのレースを見た今の君の感想が聞きたくて…まぁ、無理に今じゃなくても…」
「彼女…このまま『ジャパンC』でも走るのですよね?」
「へ?あ、あぁ、そうらしいな。」
「フ、フフフ…とても楽しみになりました!」
「楽しみ?」
「はい!」
イクイノックスの目が赤く輝く…ちょっと怖い。
「世界最強となった彼女と対決ですよ。当然、心が踊ります。」
「君も世界最強だからな。気合いは十分のようだが、今週のトレーニングは緩めに行うように。」
「えぇ…」
「体が資本な。無理してケガすれば出走すら出来ないのだから。」
「そうですけど…」
「…俺はゼンノロブロイを担当していんだ。これ以上の根拠は必要か?」
「えぇ!?そうだったのですか!?」
「…知らなかったの?」
こうして今年の『ブリーダーズカップ』は幕を閉じた。…ソラ、アップル、次は『ジャパンC』だろ?俺とイクイノックスはそこで君たちと戦うことになる…そこで最強の決着をつけよう。
▼ブラックアップルのデータが更新されました。