逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ!   作:アマノジャック

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感動をありがとうイクイノックス。ディープボンドもお疲れ様。次の活躍も期待します。


異次元の英雄とお祭り愛バ8

場所は東京レース場…僕とアップルは今日、正真正銘の最強の称号を手に入れる。

 

「アップル、そろそろ時間だ。」

「…うん。それにしてもここに来るのは『オークス』以来だね。」

「そしてトゥインクルシリーズのラストランだ…これまで本当によく頑張ってくれた。」

「何々?急にどうしたの?」

「ここまで来たんだ…勝つことよりもレースを楽しんで欲しい。」

「んー、それは無理かな。」

「え?」

「そんな余裕無いの…見てよこの足。武者震いじゃない…みんなの期待が…宝塚の時と比較にならないくらいで…ただ怖くて震えてるの。アメリカではそんなこと無かったのに…」プルプルプルッ

 

言われて下を見ると…アップルの白く細長い足が小刻みに震えていた。よし…

 

チュゥ

 

アップルの前に跪いてその足へと軽く唇を当てる。

 

「ソ!ソソソ…ソラ兄!?」

「…大丈夫だ。いつも通りに走ってこい。」

「う、うん…その…今度は私の唇にも…」もじもじ

「そりゃダメだ………よし、震えはもうないな。」

「あれ…本当だ!…うん!絶対に勝ってくるから!」

 

アップルはそういうとパドックへと向かった。よし、僕も観客せ…

 

コンコンッ

 

…アップルが戻ってきた?忘れ物かな?いや、ノックしてるし…

 

「どうぞ。」

「久しぶりねソラさん。」

「キングさん!うまぴょいしましょう!」

「…第一声がそれ?コホン…さっきすれ違ったけどアップルさんの調子は良さそうね。」

「えぇ、正直に言いますと中2週で走らせるのは不安でした。」

「念のために聞くけど…帰国後はちゃんと休ませた?」

「もちろんです。いつもより多く休みを取ってフォームが崩れていないかなど最低限確認しつつ全体的に軽いメニューにしました…ベストタイムが出ましたけど。」

「それは本当に軽いトレーニングだったの?…まぁ、いいわ。さっきまで会っていたノックスさんもボンドさんも完璧な仕上がりだった…素晴らしいレースを期待するわ。」

「はい!」

 

あぁ、これ以上にない嬉しい言葉だ…そうだ!

 

「キングさん、このまま一緒にレースを見ませんか?」

「…ごめんなさいソラさん。先約があって今回はその権利をあげれそうに無いわ。」

「そうですか…キングさんも忙しいですしね…」

「こらっ!顔を上げなさい!代わりという訳じゃないけど…来週の土曜日の夜、予定はあるかしら?」

「今のところは何もありません。何かご用が?」

「…とある一流のホテルでディナーを予約したの。迎えにいくから一流のタキシードを着て待ってなさい。」

「…はい!恥ずかしくないのを用意します!」

 

キングさんとディナーか…あれ?そういうのって普通、男側の僕が調べて予約するような…うーん…でも、テーブルマナー以前にレストランとか全然分からないし…

 

「そろそろ行くわ。…お互いに積もる話はたくさんあるでしょうけど…来週に全部聞いてあげるから。それじゃ。」

「あ、はい。ではまた来週…」

 

あぁ…もう行っちゃったか…うぅ、あんまり話せなかったな。でも、来週まで待てばいい話だ。さてパドック…いや、観客席に直行かな。

 

ーーー

 

「待たせたわね…スペさん。」

「ううん、全然待ってないよ。…ごめんね、無理を言って。」

「何言ってるの。…ほら、早く行きましょう。グラスさんにエルさん、ツルマルさん、ファレノさんが待ってるわよ。」

「…うん。」

 

ーーー

 

ようやく始まるジャパンCなのだが…今は俺の身体は凄く凄いことになっている。オーダーメイド品なだけあってアレが目立つとか、痛いという訳ではないだが…椅子に座ったり、寝るのが辛い。やっぱり1番の理由はやっぱり…寝る前に飲まされるドリンク。凄く凄い身体が熱くなる。もう俺も若くは無いのに…今の俺って全盛期以上になってるんじゃね、と感じている。…自業自得なんだけど。

 

「ふしゅぅぅぅ~…」

「あのー、トレーナーさん?大丈夫ですか?ここ最近ずっと目が据わってるといいますか…」

「大丈夫だよ。その質問、もう50回は答えてるだろ。それにしても…今日もいい身体だなイクイノックス…うまぴょいしたい。」

「本当に大丈夫ですか!?ついにセクハラを発言しましたよ!ついにむっつりが口から漏れて始めてますよ!」

 

…マジかよ。さっきキングヘイローが来た時は普通に接していた筈なのに…クソッ!今日さえ…今日さえ乗り越えれれば…

 

「……すまない。今日で全て解決するから安心して走ってくれダイワスカーレット。」

「全く違うウマ娘の名前出してるじゃないですか!?今の貴方の担当は私だけですよ!?しっかりしてください!」

「うぅ…!と、とりあえず…行ってこい。…んで、いつも通りに勝ってこい。」

「今のトレーナーさんを見てるとそれどころじゃないのですが…」

「力が抜けた、って考えてもらえれば。うぅ…」

「…全く…大事なレースだというのに。トレーナーさんらしいですけど…行ってきます!」

 

イクイノックスは部屋を後にした。……今回はここで1人レースを見よう。人の多いところで醜態を晒すわけにはいかないし…ん?ノック音?誰だ?

 

「イクイノックス?」

「…」

「違うのか?はいはい、どちら様……!?」

 

返事がなく、扉を開けた次の瞬間…俺の視界が真っ黒になった。

 

ーーー

 

観客席に着くとピーチさんが慌てて僕の元へと駆け寄ってきた。

 

「ソラ君、イブキ見てない?」

「親父?見てないが…確かにいないな。」

「もう始まるというのに…どこにいるのだろ…」

 

親父がここに来ていないことは気になるけど…いない以上はどうしようもない。…ファンファーレが聞こえ始めた。

 

『さぁ、始まりました『ジャパンC』。

今年も豪華なメンバーが揃っています…さぁ、最後に18番のブラックアップルがゲートに入りまして…スタートしました!

タイトルホルダー、いいスタート!

しかしパンサラッサが軽快に飛ばし先頭へ立った!

2番争いはタイトルホルダーと…大外から一気にきたブラックアップル!!

イクイノックスは4番手!

その後ろにスターズオンアースとリバティアイランドが続いて最初のコーナーをカーブした!』

 

「いけっ!ブラックアップル!!」

「イクイノックス、そのままマークだ!!」

 

アップルはタイトルホルダーをかわして、2番手の位置へといった。親父のイクイノックスは先行で来ている…スタートを決められたか。宝塚記念のような展開にはならなかったか…

 

『向正面に入り…パンサラッサがリードを大きく取っている!

2番目からブラックアップル、タイトルホルダー、イクイノックス、さらに4,5バ身後ろにリバティアイランドとスターズオンアースと上位人気のウマ娘が揃っています!

去年の覇者キングリアはこの位置!

その後ろにドウデュース、ディープボンド、ショウナンバシットが続く。

先頭のパンサラッサが1000mを通過…56.6!

そして、スタッドリーと今年唯一の海外ウマ娘、フランスのイレジンも続く!

そして、ダノンベルーガとヴェラアズールが並ぶ!

そして、フォアードアゲン、トラストケンシン、地方のチェスナットコート、…最後方にインプレス!

さぁ第4コーナーカーブ…ここでパンサラッサをブラックアップルがとらえた!?』

 

「なぁ、これって…」

「ブラックアップルの必勝パターンじゃ…」

「まだだ!頑張れー!パンサラッサッー!!」

 

…完璧だ!後は…このまま逃げ切ってくれアップル!!

 

『先頭はブラックアップル、このまま逃げ切れるか!?

後続からイクイノックスが迫ってくる!

さらにリバティアイランドとスターズオンアース、キングリア、ドウデュースが続く!

残り400…先頭のブラックアップルが粘る粘る!

それにイクイノックスが迫る!

完全にこの2人のマッチレースだ!!

残り100!

差は縮まっているが…ブラックアップルのリードはまだ十分にあるぞ!』

 

「そのまま粘れブラックアップル!」

「差せイクイノックス!!」

 

「はあぁぁぁ!!」

「やああぁぁ!!」

 

『粘るブラックアップル!

それを追うイクイノックス!

後少し!

ゴール前………2人並んでゴールイン!!

これは…これは…どっち何だ!?』

 

ワアァァァーーッ!!

 

「イクイノックスだ!差しきったに違いない!」

「いや、ブラックアップルが逃げ切った筈だ!」

「同着もあり得るかもしれない…」

 

アップルとイクイノックスが並んでゴールした。これはイクイノックスに差され…いや、まだ結果は分からない。

 

「…」

「うーん、リアちゃんは5着でボンドちゃんは10着か…ずっと囲まれてたからな…ソラ君、1着はどっちだと思う?」

「…アップルに決まってます。世界最強だから…絶対にアップルが勝って…」

「判定が出たみたいよ。」

 

写真判定と共に掲示板が灯る…結果はハナ差の2着だった。こうして、アップルのトゥインクルシリーズは終わったのだ。

 

ピピピ…

 

「…ん?キタちゃんから?…もしも…イブキ!?何でキタ…今からノックスちゃんを私に預ける!?急に何を…おい、切るな!かけ直し…ちっ!圏外になった!」

「ピーチさん?」

「全く、ソラ君。私はもう行くわ。ウイニングライブまでに3人分のケアをしないといけないから!」

 

ピーチさんはそのまま控え室の方へと戻っていった。

 

「…何があったんだよ親父。」

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