逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
「俺、明日の夜はマヤノと渋谷に行ってくるから。」
「あら?浮気宣言?それとも、クソ忙しい私への嫌がらせかしら?」
「だってフォローしようとしたら拒否されたし…」
「いるだけで担当のみんながアンタの指導を求めるから私の立場が無いのよ…」
「父よ、噂で聞いたぞ。来年からはイクイノックスの担当をしつつ、トレーナーの育成の方に回るのだろ?忙しくないのは今だけ…なら、私は好きに過ごして欲しいと思う。」
「いやいや、ドラちゃん。私の立場になって考えみて…イブキが他の女の尻を追いかけてるのよ?私、どんな気持ちだと思う?」
「逆に父が追いかけられているような…んん!『どれだけモテようとも…本妻は私だ。残念だったな愚民ども!』…って感じかな。」
「違うわよ!これ以上フラフラするな、私以外の女を見るな!そんな気持ちよ。」
「怒るな母よ…シワになるぞ。」
「うるさい!…イブキ、アレを付けなさい。それがマヤちゃんとのデートを許す条件よ…キタちゃん!」
「はいはーい!ではイブキさん、ちょっと失礼しますよ…」
ガチャン
拝啓マヤノ。これ…君の天才的な頭脳とウマ娘の力で取れませんか?もし、取れたら…ね?
───
何てことが昨日ありました。まぁ、マヤノならイブキさんを安心して任せられ…ん?電話?
『ネイチャちゃん!うぇ~い!』
「…マヤノ?どしたの?」
『イブキちゃんが…烏龍茶でテンション上がっちゃって……マヤも飲んだの☆この烏龍茶、喉が焼けそうで…でも、うぇーいって感じ~☆このままテイクオフしちゃうね~!』
「場所はどこ?すぐに向かうから!」
マヤノ…何をしてるの!?とりあえず、早く現場に行かないと!でも、マロンとシドウから離れるのは…うーん…
………
「どうしてこうなった。」
「まぁまぁ、いいじゃないですか~……抜けがけは許しませんよ。」
「抜けがけってスカイ、アンタは昨日も一昨日もイブキさんと過ごしていたでしょうが!」
「それはそれ、これはこれ。それに…1人より2人の方が早く見つけれますって~」
結局、子供たちはオグリさんとキタサン(酔っぱらい)に任せて外へと出ると…何故かスカイも付いてきていた。どれだけ好きなのよ…いや、アタシも人のことは言えないけど。流石は渋谷でのイベント、人がいっぱい…まずはマヤノと合流して…
「…あ。アナタたち…」
「クラウン…」
「ひ…久しぶり…仮装大会以来だね…」
キタサンの友達であるクラウンがそこにいた。…前回、逃げるように帰ったため正直気まずい。それはそうと、あの後のイブキさん…凄かったな…♡
「…別に警戒しなくていいわよ。全部キタサンから聞いたから…ベッドの使い心地はどう?」
「うん、すごく寝やすい。マットレスのメーカー…調べてみたけどアメリカのとんでもない1品だったのね。流石にイブキさんとヤる時は違うベッド使ってるけど…それでクラウンは何故ここに?」
「新しいイベントの企画に手詰まってて…何かアイデアの参考になるかなって。」
「仕事熱心だねクラウン、早速で悪いけどイブキさん見てない?」
「見てないわ。…何かあったの?」
「マヤノがイブキさんとトラブル起こす前に回収しようと。」
「不謹慎なのは分かっているけど面白そうね…折角だから私も協力するわ。」
「ありがとう、とりあえずマヤノと合流しよっか。えーと、場所はXXXっていうクラブか……クラブ?」
「多分、マヤノちゃんのプランだよね~、私たちはこういう所に入ったこと無いよ…。確かドレスコードとか必要だったけ?」
「見たところ服装はジャージとかじゃないし…とりあえず、身分証明書が大体の所はあれば入れるわ。持ってる?」
「まぁ、持ってるけど…」
「なら問題無し…行くわよ。」
クラウンに付いていくアタシたち。偶然とはいえ会えて良かった…何事もなければいいのだけど。
───
「回転する寿司♪隣の客に全て取られて食べれない~♪……寿司寿司♪好き好き♪ウマ娘♪HEY♪」
「ナイスだ!ふぅー!」
「よっ!歌詞は分からんがアンタの熱意は伝わった!」
「酔っ払いさん、普段はどこでライブしてるんだい?」
「ん?えーと…実は初めて。ノリでステージに立って、歌詞もマヤノのベース聴きながらその場で歌ったから…2度は歌えないかな。」
「アハハ…天才じゃねぇか!!」
「アンコール!アルコール!アルコール!」
「サンキュー!けど、今日は喉痛いからここまで…みんな、聞いてくれてありがとう!うぇーい!」
『うぇーーい!!』
「何かライブしてる!?」
「あちゃー、深酒モードに入っちゃってますね…まだ理性はあるみたいですけど。ちなみに1番の食べ頃です。」
「食べ…いやいや!お酒飲んでライブって…あの人いくつなの?」
「アッチの方もまだまだ現役ですよ~」
「スカイ!って、今はイブキさんを早く捕まえないと!」
クラブへ入ると…いきなりマイクを持ってステージに立っているイブキさんの姿が見えた。そして、隣にはマヤノが聖蹄祭でバンドを披露したネコの衣装を着ていて……背後にはサングラスをかけてDJをしているヘリオス。どんな状況なの!?
「乙ぽよ、イブキっち!うぇーい!」
「うぇーい!何か即興でバンドしたけど…ここにいるみんなって優しいんだね!すごく、楽しめたよ~!」
「適当に演奏してといて何だけど~、イブキちゃん、よく歌えたね~。」
「あたり前田のクラッカー!誰が君にウイニングライブを叩き込んだと思っているの!」
「セナちゃんだけど~?」
「…そうだっけ?まぁ、トレーナーだからな…走りと歌とダンスくらいは出来ないとね!」
「イブキっち!とりま、烏龍茶飲む?」
「飲む飲む。ありが…」
「イブキさん、飲み過ぎです!…全員、酒臭っ!?」
イブキさんのいる所に着くと同時に、ヘリオスの持っていたグラスを取り上げた。しかも、これ…絶対に烏龍茶じゃないよね?
「ん?ネイチャか~?悪いなぁ、今日はマヤノの独占チケットの日で~…まだ、うまぴょいしてないから帰らないよ?」
「もぉ~、イブキちゃんのえっち~♡」
「てか、ネイチャじゃん!スカイとクラウンも!うぇーい!」
「うぇ…うぇーい?」
「ヘリオスさん、楽しそうね…」
「んー、ぱねぇイケおじがいんな、って思ったらイブキっちだった!んで、マヤノもいたから一緒に飲んで…ステージに上げてウチはDJしてた!」
「え?色々と何で?」
「ん~、ノリ?」
「そうよ、ノリよ、ノリ~!うぇーい!」
「うぇーい!」
「アイ、コピ~!」
イブキさんだけじゃなく、マヤノもヘリオスも出来上がっていた。…このままだとノリでヘリオスにまで手を出しかねない。
「…お酒って凄いのね。」
「いや…これはかなり極端な例な気もするけど。」
「今のイブキさんは『クソチョロ種男』状態ですからね~」
「なるほど…」
何かをメモするクラウン…いや、何が参考になったの?
「マヤノ~、そろそろホテル行くか~?」
「いいよ~!イブキちゃん、今夜は寝かせないよ!」
「ま?ウチも付いていっていい?」
「良い訳無いでしょうが!!」
本当にギリギリの状況だった!とりあえず、今日は何とか解散させないと…
「3人とも飲み過ぎよ…」
「ヘリオスさんは…パーマーさんに回収してもらうとしましょうか。ネイチャ、パーマーさんの連絡先持っている?」
「もう呼んでる…マヤノ、今日は帰ろ?ね?」
「ヤダヤダー!せっかくのイブキちゃんとのデートなのに…ママになったらこんなこと出来ないよ!!」
「そうだ!マヤノ、俺の所で暮らさないか?部屋ならまだ空きはあるしさ!」
「イブキさん、勝手に決めないの!またピーチから怒られるよ!」
「いやいやいや!何でまだ家の部屋に空きがあるの?アナタ、どんな豪邸に住んでるの!?」
「…あれ?まだ同棲してない系?アハハ…まじヤバ。ウチ、遊びにいってもいい?」
「いいよ~、防音室でバンドでもしようか~!」
「アイ~、コピ~!でもイブキちゃんの子供たちの迷惑になったらダメだからね。」
「……子供、たち?」
…あ、何かを察したヘリオスが急に大人しくなった。
「イブキっち、イブキっち。マヤノとの間に子供いるんだよね?」
「そうだよ~、来年産まれるよ~」
「イブキっちとマヤノって婚約してるんだよね?」
「マヤノとはしてないよ~、ノリでぴょいしたら出来ちゃった~。うぇーい!」
「うぇーい!」
「─!?」サァ…
ヘリオスの顔が青くなる。…クラウンが同情の目を向けてるけど…うん、アタシも同じ立場ならそうなるわ。
「イブキさん?その、今は何人子供がいるのですか?」
「ん?どうしたダイタクヘリオス?急に敬語か~?身籠っている子を含めて17人…セイだけで6人いるよ~!」
「あはは…」
「──!!?」サァ…
照れるスカイをみて、顔色が青を超えて紫になるヘリオス…酔いは冷めたみたい。
「え?え?じゃあ、ここにいるみんなって…」
「私は違うわよ!…他に4人いるらしいけど。」
「─!?う、ウチ…知らんかっただけ…です。軽い気持ちで…手を出そうとしただけで…マジで…いや、本当に…ごめんなさい。ウォッカ9:ウイスキー1の烏龍茶を飲ませただけで…まだ、手は出して無いです…」ガクガクガクッ
涙目になり、その場でガタガタ震えだすヘリオス。…アタシも過去に手を出しただけに…いたたまれない。いや、その前に酒+酒でお茶にならんだろ!?
「どうしたダイタクヘリオス?テン下げか?顔色が悪いぞ~?うぇーい!俺が何とかアゲてみるよ☆」
「うぇーい☆イブキちゃん、イブキちゃん~!もう1回ステージに立つ?それなら、マヤはまた誰かからベース借りてくるよ~?」
「喉痛いからそれはちょっと…」
「はいはい。2人は水でも飲んでね~…スカイ、クラウン、ヘリオスのことお願いしていい?」
「分っかりました~」
「分かったわ…合流してくるパーマーさんに任せたらいいのね?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「ヘリオス、あんまり気にしなくていいから…」
「そうですよ~……本気じゃなかったのでしょ?なら、私たちからは何もありません。でも、もし本気だったなら……ねぇ?」
「ひぃ!」
「スカイさん、あんまり怖がらせないの。ヘリオスさん、大丈夫ですから…行きましょ。」
スカイとクラウンに運ばれヘリオスはクラブをあとにした。さてと、アタシは…
「マヤノ、明日は早い?」
「んー?午前は有休取ってるよ?ネイチャちゃんも混ざる?」
「あー、そうするそうするー。とりあえず、ここを出よっかー。イブキさんもそれでいい?」
「「うぇーい☆アイ・コピー☆」」
この酔っ払い共をお持ち帰りするとしますか。
───
「頭と喉が痛い…」
「トレーナーさん、またバカやったんですか?」
トレーナー室にてイクイノックスの冷たい目線が俺に刺さる。
「いや…昨日マヤノと渋谷にいって…ダイタクヘリオスに会って…クラブに入って…烏龍茶を渡されて…それを飲んだ所までは覚えてるのだけど…」
「思いっきりお酒の臭いがしますけど?お酒飲んでバカなことをしたのでしょ?」
「あんまりバカバカ言わないでくれる?本当にお酒は飲んで無い筈だけど……痛た、これが今日のトレーニングメニュー。今日はスタミナ中心の……ごめん、ちょっと電話。先にプールにいって柔軟しながら待っててくれる?」
「分かりました。」
「はい、イブキです。」ピッ
「指令。直ぐに理事長室に来い。」
「え…?」
理事長が一言そういうと電話が切れた。…何か怒ってるような…え?どうしたのだろう?
………
『みんな、ありがとう!うぇーい!』
『うぇーい!』
画面にはテンション高く変な歌を歌う俺が映っていた…え?全く覚えが無いのだけど?何か、マヤノとダイタクヘリオスがステージの上にいるし…え?
「…何ですかコレ?」
「困惑!此方のセリフだ!トレーナーともあろう君が…何故バンドをしているんだ!君はただでさえ、女性関係のトラブルが多い…いくら、一流のトレーナーであろうとわたしも庇いきれなくなる!すぐに解散したまえ!」
「解散も何も組んでないですし…状況が分からないのですけど?」
「クラブにいた者がSNSに投稿しており…君ではないかと大量の連絡が来た。この前の仮装大会の件といい、君は目立ち過ぎている。引きこもれとは言わないが…もう少し控えたまえ。」
「すみません…痛た。」
「む?2日酔いか?…健康には気をつけたまえよ。それで用件だが…」
「今のが用件では無かったのですか?」
「それもあるが最後まで話を聞いて欲しい。URAから君に依頼が来た。」
「…はい?」
………
「それで…私とトレーナーさんとでMVを撮ることになったと…」
「…ごめんねイクイノックス。元々の話、世界一の君で何か広告しようとしてたんだって。それがこういう形になったらしい。今度のチートデーにカフェの喫茶店でコーヒーやスイーツを好きなだけ奢るから…」
「いえ、別に怒ってないです…ただちょっと、新鮮な気分なだけです。トレーナーとウマ娘が一緒になって歌って踊るなんて今までありませんでしたし。」
「ダンスシーンは少しだけで基本的にはトレーニングシーンがメインにはなるけど…全トレーナーがパフォーム出来る訳じゃないからね。それに俺も年齢的にもう出来なくなっても不思議じゃないし。」
「まだ産まれる子供がいるアナタがそれをいいますか?」じー
「と…とりあえず、担当者が来るまでにダンスシーンだけでもマスターしておこうか。」
「はい!早めに撮って、トレーニングに集中しましょう!!」
なお、イクイノックスの飲み込みが早く、俺たちのシーンの撮影はたった1日で終わった。後は、URAにより編集されたものがウマtubeの公式チャンネルで公開されるとのこと…うん、ケガの巧妙ってことで。だからキタサン、これ…外してください。え?鍵は今、ネイチャが持ってる?ネイチャって昨日からマロンとシドウを連れて実家に帰省中だったよね。………。キタサン、予備の鍵とかは…無いか、そうですか。ネイチャ、俺、今からそっちに行くから。