逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
「ふっふふ~ん♪」
「イブキ、きげんいいな。なんかあった?」
「あぁ、ジャックか。これを見てくれ。」
12月に入り、家で俺はとある果物を切っていた。
「なんだこのにおい?ドリアン?」
「…そこまでは臭くないだろ?パラミツっていうフルーツだよ。」
「パラミツ?」
「ジャックフルーツとも言う。」
「おれといっしょのなまえだ!」
「今の日本では輸入禁止だからとってもレアなフルーツでもあるよ。」
「…なら、どうやっててにいれた?」
「さっきにメジロ家にスイーツを作りに行ったらメジロマックイーンが1つくれたんだよ。それも完熟したやつ。」
缶詰で見たことはあったけど…実物を見れる日がくるとは思わなかったな。
「きりかたわかるのか?」
「メジロマックイーンのスイーツ作る時にシェフに教えてもらった。せっかくだからみんなで食べようか。」
「おう!」
「多分、俺の部屋のベッドの下にイクイノックスがいると思うから…呼んできてもらってもいい?」
「え…こわ…」
「部屋の前で『服着て、玄関に回れってイブキが言ってた』、でもいいから。」
「うぅ…イブキみるイクイノックスっておれをみるスカーレットみたいでこわいんだよな…」
「ジャック、その話後で詳しく教えてね。」
まさか、一線超えてないよね?スカーレットにも鉄の檻を付けるべきかもしれない…いや、あの子の場合は顔を覆う鉄仮面の方がいいかも…とりあえず、ジャックにイクイノックスを呼んでもらおう。
ピンポーン
…早くない?まぁ、イクイノックスだし…ジャックに出てもら…あれ?ピーチが出てる?
「久しぶり!ロブロイちゃん、プリンちゃん!」
「こんにちは…」
「お久しぶりですわ!お姉さま!」
ロブロイとカワカミだった。ちょくちょく外で会ってはいたけど…大体は仕事着。私服で会ったことで気づいた…2人とも更なるナイスバディに成長しとるやんけ。
「…あ、イブキ。帰ってたんだ…えーと、ロブロイちゃんもプリンちゃんもトウキチを見に来たの。」
「トレーナーさん!お久しぶりです…お忙しいところ、すみません。ある程度見ましたらすぐに帰りますので…」
「トレーナーの家で会うのは何気に初でしたわね。実は何度も来ていまして…前はキタさんの双子を見に来ていましたの。」
「わりと最近だった!?俺、その時はまだ忙しくなかった筈だが…入れ違いか。」
「違うわよ…あえてずらしてたの!…あんた、2人がフリーって知ったら手を出すでしょ?」
「出さねぇからな!?」
「今年、新たに関係を持った人数は?」
「………3人です。」
「よし、奥に引っ込め。」
「はい…」
ピーチの指示に従おうとすると…
ピンポーン
「ん?誰かしら?はーい………ノックスちゃん!?」
「はい。トレーナーさんが珍しいフルーツを手に入れたから一緒に食べようとのことでして…ついでに今日の香港ヴァースと阪神JF、香港スプリントを一緒に見ていこうかと。」
よくもまぁ、そんな嘘をベラベラと喋れる…
「ほほほ…本物のイクイノックスさんががが目の前ににに!!」
「おぉ!トレーナーが担当してたとは聞きましたが…ものすんごいオーラを感じますわ!」
「…2人とも落ち着いて。この娘……すでにイブキが食べちゃってるから。」グイッ
「きゃっ!?」
「「──!?」」
ピーチがイクイノックスのスカートを引っ張ると……鉄の檻が露呈した。…下着を付けろよイクイノックスぅ。
───
「ぱぱ、これでわたしの分は終わり?」
「残りはオグリがおかわりする分だから…」
「じゃあ、もうちょっと貰おうっと…」
「スダチ!?イブキ、私も分も早く!」
「はいはい…」
「お父さん、あ~ん!」
「あ、あーん……うん、美味しい。ありがとうマロン。」
「えへへへ………ふんっ!」どやぁ
「いやマロンさんよ。そんなんじゃ、イブキさんのハートは独り占め出来ませんよ?大人の女はこうして…はむっ!イブキさん、あーん…」
「はい、あーん……うん、美味しいよネイチャ。」
「顔近っ………きゅぅ。」バタッ
「お母さん!?わ、わたしだって口移しくらい………はぅ。」かあっ
「マロン、無理にお母さんの真似しなくていいからね?…キスの時に電気消せってこうなるからか。」
「………キス?」
「何でも無いよ。」
「…初めて食べたけど…これ、美味しい!ありがとう、お父さん!」
「だっ!」
「ウミが喜んでくれて良かった。…キウイにはまだ早いかな。それはそうと、メジロマックイーンにお礼を言わないとね。」
「とか言いつつマッイーンまでパックイーンしちゃいませんよね~?」
「したらトレセンどころか日本にいられなくなるわ!セイ、君をパックイーンしてやろうか?」
「いつもしてるじゃないですか~」
「それはそうだけど…」
「下品は話はやめてくれない?これ以上義理のお母さんが増えるとか普通に嫌だからね?」
「だっ!」
「そうだな…増やすのは下の兄弟だよな。セイ…♡」
「イブキさん…♡」
「だから!ここで盛るな!この色ボケ不倫カップル!」
「だっ!」
「はぁ~ん!美味しいです~!」
「食感は他のフルーツで言いますと…パイナップルに近いでしょうか?」
「ノックスちゃんの言う通りだけど…味はバナナな気も…」
「俺も初めて食べた時はビックリしたよ…」
「ところで最初にクッキーを食べるよう渡してきたのは?」
「空腹時に食べるのは良くないんだって…」
「キタサンブラックさん。たくさん栄養を付けて、その子たちにもミルクで味合わせてください。」
「いや、何を食べても母乳も味は変わらないから…」
「流石はトレーナーさん、説得力が違いますね。」
「うるさいよ…」
「私のミルクも早く…」
「言わせないよ!」
「…スカーレットな、ファミレスでいっぱいごはんたべさせてくれた。で、しょくごのうんどーにちかくのこーえんでバスケした。1on1だけど、スカーレットはやい。ボールなみのデカむねなのにはやいうごき…ダンクはいっかいしかきめれなかった。」
「スカーレット、ジャックに近づき過ぎじゃない?どうするゴア?処す?処す?」
「はいはい、あんたはまず落ち着きな。それにしてもスカーレットちゃん相手にダンクに決めれたのか…すごいよジャック。」
「…それで、変な所に連れていかれてないな?トイレとか茂みとか…」
「あんたじゃないんだから…」
「いや、俺でも一般の公園ではしねぇよ!アレはちゃんと青X用のメジロの施設でだな…」
「へー、そういう施設だったんだ。」
「マム?あおか…」
「よしジャック、今の言葉は忘れろ!お前にはまだ早い!怖い目に会いたくなかった絶対にスカーレットの前では言うなよ?それとは関係なしに怖い目に会ったら俺がスカーレットをもっと怖い目を見せるから安心しろ。」
「…それを聞いたジャックに何を安心しろと?」
「…とりあえず、イブキがおれをたいせつにおもってることはわかった。」
「んー、何だろ?何か色んな果物が混ざったような…」
「あの、今更ですが私たちもいただいて良かったのでしょうか?」
「すっごく貴重なフルーツですわよね?」
「タイミングが良かった。それだけの話だよ。…何か遠くない?」
「私たちは気にしていないのですけど…」
「ピーチお姉さまが離れておけと…」
「…別にここじゃなくても時々会ってるのにな。最新トレーニングの本を買いにいった時とか…定時での帰り道とか…」
「確かに私の店の常連ですし…」
「私も今住んでる所の関係か帰宅中によく姿を見ますわね。この前はコーヒー、ごちそうさまでした!」
「…私の目の前で話してるとXX関係を持つかもと不安になるのよ。」
「そうなのですか!?」
「まぁ、現状が現状ですし…お姉さまの言いたいことも分かりますわよ。」
「…とりあえず、ゆっくりしていって。俺はイクイノックスたちとレース見てくるから。ピーチたちはここで見ていくといいよ…ドラが現地にいるからさ。」
───
家族全員へとパラミツを配った訳で…香港の国際競走をみていくとしよう。部屋にはマロン、スダチ、ウミ、イクイノックスがおり、俺を取り囲むように座った。膝の上にマロン、右側にイクイノックス、左側にウミ、背後にはスダチといった配置である。最初のレース『香港ヴァーズ』がいよいよ始まる。
「ジャパンカップ後に中1週でG1レースとか、正気じゃないですよね?」
「有マでチームメンバーを被らせたく無かったんだってさ…」
「勝利は勿論ですが…まずは完走を祈りましょう…」
『スタートしました!
派手な出遅れはありません…先頭争いはプラダリア、ラシティブランシェ、カインジェネレーションの3人。
エンスード、ルクセンブルク、ウィズアウトアファイトが並ぶ。
中団にドバイオナーとキングジョン。
その後ろにジアヴェロットとコンティニュアス。
ステインボッシュは後方から3番手辺りのまま第1コーナーへと入る!』
ドラが指導するキングジョン…前回のジャパンカップ後とは思えない、疲れを感じさせない走りだ。ポジションも悪くない。
『先頭は日本のプラダリア!
2番手はラシティブランシェにカインジェネレーションが続く。
4番手にウィズアウトアファイト。
ルクセンブルクにジアヴェロット、マルキザで……ここでルクセンブルクが少しペースを上げてきたか。
ファイブジーパッチとキングジョンが並んで…コンティニュアス、イレジン。
ステインボッシュは最後方となっています。
第3コーナーに入ります…ステインボッシュ、ここで一気にペースを上げてきた!!』
「いけっ!キングジョン!」
「この位置は…正直、厳しいと思いますが…」
「前が壁にさえならなければまだ…!」
『最後の直線、残り400!
先頭がプラダリアだが、ルクセンブルクとステインボッシュがここで並ぶ!
ステインボッシュが先頭へと変わる!
このまま押しきるか!
しかし、内からジアヴェロット!
外からキングジョン!
ジアヴェロットとキングジョンが完全に抜け出した!
どちらも鋭い末脚!
先頭はややジアヴェロット!
どちらも譲らない!
内のジアヴェロットか、外のキングジョンか!
キングジョンだ!
キングジョンが差しきってゴールイン!』
「よっしゃ!!」
「…何て末脚!?ジャパンカップからこの短期間で立て直したというのですか!?」
「最後の直線で外に付けれたのと…ドラの指導のお陰だろう。これで自信に繋がればい言うこと無しだ。」
「私のウインタートロフィーを忘れないでくださいね?」
「分かってる…これも勝とうな!」
「はい!それが終わった暁には……ね?」
「…」
イクイノックスの目が赤く光る…スダチとウミが俺へと触れてる手に物凄く力を込めるのを感じた。そんな中、マロンが突然に俺の方へと顔を向けた。
「今勝ったのが、ドラお姉ちゃんが担当してる子なの?」
「そうだぞマロン~。帰ったらいっぱい褒めてあげような~。」
「うん!マロン、ドラお姉ちゃんを褒める!」
いい笑顔だ。これは永遠に守るべきだろう。今度は頭を掴まれ…スダチの顔が目の前に映る。
「…ねぇぱぱ。わたしも今から勉強したら…トレーナーになれる?」
「確かに学力も必要だが…こればっかりは適性も大きく出てくる。ハッキリと言って悪いスダチ、君は向いてないと思う。」
「…そう。」
「適性の高いと言われたドラでさえ3度も試験に落ちた…故に俺はオススメ出来ない。それでもなりたいと言うなら…俺やゴア、ピーチとソラとで出来る限り力を貸そう。」
「ありがとう。」
そう言うとスダチは俺の頭を解放した。最後に俺の耳に聞こえるくらいの声でぼそっとウミがドラを褒めた。
「…凄いよねドラ姉。」
「ウミはトレーナーになりたいとかある?」
「…無いかな。でもそろそろ進路は考えないと…」
「いっぱい悩んで…それでこれだとなることもある。これはウマ娘のスカイよりも俺の方が力になれるかもしれないな。」
「多分、大丈夫かな…」
「困ったら頼ってくれ。それじゃあ、そろそろ時間かな…」
その言葉を出すとイクイノックス以外の3人が俺から離れて部屋を出た。
「…イクイノックス、今日のところはここで解散だ。」
「まだレースはありますけど…」
「ここまでだ。」
「…分かりました。私も帰ります…パラミツ、ごちそうさまでした。また明日のトレーニングで。」
そう言うとイクイノックスも部屋から出た。俺も準備をしないとな。
………
「ピーチ、入るよ。」
「お姉さま!やりましたわね!」
「えぇ、本当に!オウゴンドラゴンさん、やりましたね!」
「…これならチームを任せれそうね。」
「え?お姉さま、まさかトレーナーをやめるつもりで?」
「違う違う。サブトレーナーを卒業かなって。」
さっきのレースを見ていたようだ。
「ピーチ、ちょっとだけいい?」
「…そろそろ行くのね。」
「あぁ、リクが帰ったらパラミツを冷蔵庫に入れてるって伝えてほしい。あとはトウキチをちょっと抱っこさせてくれる?」
「いいわよ…ほら。」
ピーチに渡されトウキチを抱っこする…赤ちゃんにしては目付きが鋭い気がする。目元はピーチに似たのかな?
「…ありがとう。それじゃあ…行ってくる。」
「えぇ、ちゃんと最後まで一緒にいてあげなさいよ。」
「勿論だよ。ピーチ、有マ記念に向けて明日からトレーナーに復帰するんだろ?担当ウマ娘のディープボンドの活躍…期待してるから。」
そう言うと俺は…そのまま家を出た。
「お姉さま?トレーナーはどちらへ?」
「病院…」
「病院?トレーナーは現在、何かの病気を患っていて?」
「まさか!?トレーナーさんのご両親か誰かが入院を…」
「違う違う。マヤノちゃんがもうすぐお母さんになるの。」
「そうでしたか…全く。父親は誰ですの?マヤノさんをトレーナーに任せるとは夫の風上にも…」
「イブキよ。」
「「はい?」」
「…私があんたたちを警戒する理由、分かった?」
───
「ただいまマヤノ。」
「遅いよイブキちゃん~!」
「ごめんね…」
寂しくも嬉しそうな顔を向けてくるマヤノ。…本当にごめんね。とりあえず、さっきのフルーツでも…
「マヤノ、このフルーツって何か知ってる?」
「え?んー、初めて見るけど…パラミツ?」
「何で分かるの…」
「えへへ…マヤは天才だからね!」
「知ってるけど…何も納得できないよ。ほら、あーん!」
「あむっ!んぐんぐ…美味しーっ!イブキちゃん!イブキちゃん!これ、どうやって手に入れたの?」
「メジロマックイーンにスイーツを作りに行った時にだな………」
俺は今日にあった出来事をマヤノへと話す…その日の就寝時間まで俺たちの会話が途切れることは無かった。