逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
「よぉ、イクイノックス!」
「ドウデュース……ドウデュース!?何でここに…」
「アタシもこのレースを走るからに決まってんだろ?」
「…有マ記念はどうした?いや…そもそもアンタはまだトゥインクルシリーズでしょ?」
「引退したよ………お前のインタビューをみてな。」
───
『イクイノックスさん、まだドリームトロフィーに入ってまだ1年も経ってないですが…次のレースでレース人生を引退とはどういうことでしょうか?どこかケガを?』
『…メンタルの問題です。燃え尽きたと言うのでしょうか。走ることに集中出来なくなってきまして…』
『今後のことは考えいるのですか?』
『それはこれからトレーナーさんとじっくり考えて行こうと思います。』
『であるなら引退ではなく無期限休養でも良かったのではないでしょうか?』
『現在無敗の私がそのような半端な決断をするわけにはいけません。ですので…次のレースで引退と宣言させていただきたく思います。』
───
「ふざけるなよイクイノックス!アタシの天皇賞(秋)とジャパンCを見てくれただろ!お前に勝つから待てって宣言しただろ!それなのに…それはねぇだろ!」
「…それはアンタの都合。私には私の都合がある…だからこう言うわ。知るかこの大バカ娘!」
「なっ…!」
「天皇賞とジャパンC勝ったから何?私の背中を追いかけてきただけでしょ?」
「なら今日のレースを勝って…お前を超えたことを証明してやるよ!…覚悟しろ!」
「はいはい…勝てるといいわね。」
「んだとコラァ!?」
「…ふん、不快だなドウデュース。あやつの目にはあの
「あら…王ともあろう者がお忘れかしら?」
「…貴様の言いたいことくらい余でも理解している。…おい!」
「…」さっ
「私の背中に隠れないの…オルフェーヴル、少し待ってくれる?大丈夫だよリア。お姉ちゃんが付いてるから…」
「…」
「ようやく来たか…
「…暴君様がわたしに何の用?」
「何、あの煩いのを黙らせるには同期の貴様が行けば良いと思ったまでよ。
「誰のせいだと………はぁ。はいはい、行ってきますよ。」
「おほほほ。素直ですこと…それで雑音は晴れまして?」
「貴様…余へのアレを理解したうえでまだそれを言うか。」
「同じ王でしょ?仲良くすればよいのでは?」
「アレは王では無い。姉上の言葉を使うなら…
「『キングマンゴー』…甘そうなのは名前だけね。実力だけなら今も私たちの中でも頭1つ抜けてるわ…さて、今回こそ私が勝利の座をいただきますけど。」
「オルフェーヴル…今日も綺麗な毛色…♡今回も勝とうっと。」
「マンゴー姉、真面目にやって。」
「ねぇ、ドウデュース。いつまで私に粘着する気?私、心に決めた人がいるのだけど?」
「お前がレース引退を撤回するまでだ!」
「…おドウ、ノックス。ちょっと五月蝿いよ。」
「「キングリア。」」
「まっ…わたしもおドウに同意だけどね。ノックスって担当トレーナーへの色ボケで引退するんでしょ?」
「…」
「……色ボケ?」
「担当とうまぴょいしたんでしょ?」
「…」
「イクイノックス…お前…!」
「…今のノックスにわたしは負けないから…無様に負けて引退しな、って挑発しとく。それじゃ。」
「…勝手に言ってろ。ドウデュース、もう一度言うわ。勝てるといいわね。」
「あぁ、勝つよ!」
───
『さぁ、夢の舞台ドリームトロフィーシリーズにて今年を締め括りとなるウインタートロフィーの中距離部門が今、行われようとしています。
舞台は東京レース場の2400。
バ場状態は良。
このレースに選ばれたウマ娘たちが姿を見せます…さぁ、皆さん!
自身の目で確かめてください!
いくつもの思い出が積み重なり…見る筈のない光景が…ターフへと浮かびます!』
ざわざわざわざわ…
会場のざわめきと共に…出走する各ウマ娘たちが姿を現す。………嘘だろ?俺の予想を超えたウマ娘が1人いた。
『1番、タイトルホルダー!
2番、デアリングタクト!
3番、ドウデュース!
4番、エフフォーリア!
5番、キングリア!
6番、コントレイル!
7番、イクイノックス!
8番、ディープインパクト!
9番、エピファネイア!
10番、アーモンドアイ!
11番、キングマンゴー!
12番、ブラックアップル!
13番、クロノジェネシス!
14番、メロンスカイ!
15番、ジェンティルドンナ!
16番、スペシャルオレンジ!
17番、オルフェーヴル!
18番、リスグラシュー!
以上の18名によるレースとなります!
誰がこのレースの勝者となるのでしょうか?』
「ドウデュース…だと!?」
俺の知る限りでは…彼女は有マ記念に出走だった筈だ。ドリームに来たとも耳にしていない。
「急遽、決まったらしいよな?」
「まっ…勝つのはどうせキングマンゴーだろ?マイル勝った後とは思えないし。」
キングマンゴーはマイル部門も走ってた?そのまま中距離部門も走るって…どんな怪物だよ!?…いや、それでも勝つのは俺のイクイノックスだ!
『まずはトゥインクルシリーズの有馬記念を見ていくとしましょう!』
───
『えーと、こちらは中山レース場…1番人気ドウデュースの姿はありませんが凄い盛り上りを見せております。
代わって1番人気は菊花賞2着のアーバンシック。
菊花賞で競り合い、香港ヴァース勝利したキングジョンの後を追いたいところ。
2番人気は今年のダービーウマ娘ダノンデサイル。
今回はどのような走りを見せてくれるのでしょうか…各ウマ娘たちが次々ゲートへと収まっていきます。
さぁ有マ記念が今、スタートしました!!』
………
『最終コーナーを過ぎて…先頭はダノンデサイル!
ベラジオオペラとディープボンド、ハヤヤッコだ!
内からダノンデサイルとペラジオオペラが抜け出した!
外からシャフリヤール!
シャフリヤールが前へと迫る!
内からレガレイラ!
レガレイラとシャフリヤールが内の2人をかわした!
レガレイラかシャフリヤールか…どっちだーっ!!』
『1着はレガレイラ!
クラシック級のティアラウマ娘初の有マ記念制覇です!!』
ワァーーーッ!!
『では、ドリームトロフィーシリーズのウインターカップ中距離部門を引き続きお楽しみください!』
───
『続いてウインターカップ中距離部門、各ウマ娘たちがゲートへと収まります。
最後にリスグラシューが収まり…スタートしました!
メロンスカイ、好スタート!
さぁ、最初の先頭争いは…やはりタイトルホルダーとメロンスカイ!
今年のサマートロフィーの勝者、イクイノックスはそれに続く3番手!』
よし、先行集団の前に付けれた!これはいいポジション!後は後続が上手くペースを崩してくれることを祈るのみ。
『4番手にクロノジェネシス。
ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、ブラックアップルとティアラ3冠ウマ娘たちが並んで追走。
同じくティアラ3冠のデアリングタクトはそれらの1バ身後ろ。
スペシャルオレンジ、キングマンゴー、エピファネイアはこの位置。
先頭はメロンスカイで第1コーナーをカーブ!』
メロン…やはりハナを取ってきたか!大丈夫だイクイノックス…その位置をキープだ。
『後続集団は…エフフォーリアが前を走っておりそれをマークするようにコントレイル。
キングリア、リスグラシューが並ぶ。
ドウデュースとオルフェーヴルも後方からじっとくりと足を溜めている。
最後方はディープインパクト!
さぁ、向こう正面にはいります!
先頭と後方までの差は20バ身を超える縦長な展開!
だがメロンスカイはまだまだペースを上げてくる!』
「やあぁぁあ!!」
『同じく逃げるタイトルホルダーとの差は10バ身以上!
そのまま1000mを通過…タイムは58.5!?
ハイペースでいっている!
2番手タイトルホルダー、2バ身後ろにイクイノックス…これは去年のジャパンカップの並び!
ジェンティルドンナをそれをマークするように外へと並ぶ。
内からブラックアップルと…キングマンゴーだ!
最強キングマンゴー、ここで少しずつペースを上げてきているぞ!
それを追うようにエピファネイア。
さらにはコントレイル、キングリアもここでペースを上げ…バ郡が固まり始めてきた。
しかし、先頭のメロンスカイはすでに第3コーナーへと入ってきているぞ!
これを捕らえることは出来るのか?』
「…」
…イクイノックスの目が赤く光る…スイッチが入ったようだ。……ドウデュースも捲るべく仕掛けてきたか…だが、ここはドリームトロフィーのレース。仕掛けるタイミングを間違えたなら…
『イクイノックス、タイトルホルダーをかわして…先頭のメロンスカイへと迫る!
後続の次々仕掛けてきているが…やはり、キングマンゴー!
外からキングマンゴーがまとめてかわして前の方へと躍り出る!
後続からはキングリアとオルフェーヴル。
さらにディープインパクトに合わせるようにリスグラシューが仕掛けてくるが……ドウデュースはどうした!?』
…もう言うまでないだろう。さぁ、イクイノックス…そのまま勝て!
『メロンスカイのリードはまだ5バ身…だが、イクイノックスが徐々に差を詰めてくる!
3番はジェンティルドンナ!
ここでキングマンゴーが並ぶ!
外からオルフェーヴル!
大外からはリスグラシュー!
リスグラシューが末脚を伸ばす!
ここでイクイノックスかわした!
イクイノックス先頭!
だが、キングマンゴーとの差は1バ身。
ここでジェンティルドンナも盛り返す!
先頭はイクイノックス、キングマンゴーが並びにかかる!
外からリスグラシューも伸びてくるが…前の2人がもつれ合ったままゴールイン!
3番争いはジェンティルドンナかリスグラシューか……今年も素晴らしいレースでした!
写真判定をお待ちください!』
…イクイノックス…俺やっぱり、君のは引退は早いと思う。
『1着はイクイノックス!
やりました!
この最強たるメンバーの中で…見事にラストランを飾りました!』
───
ウイニングライブが終わり、そのままホテルへと入る俺とイクイノックス。鉄の檻はレース前に外している…この部屋が俺の檻みたいものだ。さて…最後に大事なことを聞いておこう。
「イクイノックス…本当にその選択でいいのか?」
「トレーナーさん。私は貴方の愛を選びます…来てください。これ以上は…自分を抑えれそうにありません。」
「…分かった。」
………
……
…
30分後、息も絶え絶えにだらしない顔でベッドに横たわるイクイノックス…10秒で終わる彼女にしては頑張った。XX禁ブーストもあったから…ここまで長く保ったのだろう。1分経った時点で気絶した時は心配したが…何とかなるものだ。そろそろ、美浦寮に送るとしよう…この時間であれば寮長に渡せばいい。
「えへへ…赤ちゃんの名前は…」
「『ゴールデンアップル』、でしょ?」
「覚えていただけてましたか…あ、はは…」
「それじゃあ、今日は帰ろうか。」
「…はい。不束者ですが…よろしくお願いいたします…」
「…君を不幸にさせない。それだけは約束する。」
「…ありがとうございます。」
───
場所は病院…マヤノいる所へと足を運ぶ。
「マヤノ、ただいま。」
「イブキちゃん!?…マヤの想像より何時間も早いのだけど…後2時間くらいは遅いと思ってた。その…ノックスちゃんとシたんだよね?」
「………あぁ。」
この会話の時点で突っ込み所が多いが…気にしたらダメだ。素直に答えるとしよう。
「もしかして、30分くらいで終わったの?」
「…何で分かるんだよ。」
「マヤは天才だからね~……それで?ホテルでの話をしてくれるの?」
「その前に有マ記念とかウインタートロフィーの話をさせてくれない?歴代でも屈指のメンバーが集まってたんだからさ…」
「しょうがないな~。マヤもさっきまで来てたテイオーちゃんとのお話聞かせてあげるね。」
その後も消灯時間まで俺とマヤノの会話が尽きることがなく…マヤノの手を握り目を閉じた。