逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
…オニャンコポン、それはないだろ…進路妨害だろコレ。はぁ…残念です。
「た、ただいま~」
「Zzz…」
ソラ君が生まれ1年半、夜泣きもしなくなりある程度落ち着いてきたので私はレンタカーを借りて週末に実家へと帰ってきていた。
『お帰り~。』
早速じいちゃんとお母さんとお父さんとイブキさんが出迎えてくれ………ん?
「イ、イブキさん?何でここに?」
「今日帰るって聞いたから半休取って君より先に来たんだよ。ソラは君が連れてくるだろうしね。帰りは君と同じ車で帰るから。ちなみに明日はトレーニングは休みだから大丈夫だよ。」
「へー…じゃなくて!?」
どうしよう…逆ぴょいによる出産という経緯が経緯だけに父親であるイブキさんについて何も話せていない。もし、イブキさんが既婚者だと知れば大惨事に…
「じゃあ、早速ご飯にしましょうか。スカイ、イブキさんがクッキーを焼いてくれたわ。早く手を洗ってきなさい。」
「ソラ…って名前だったな。スカイ、じいちゃんにその子をだっこさせてくれないか?大丈夫だ、起こさないように気を付けるから…いやー、ひ孫がみれると思うと嬉しいねぇ。」
「Zzz…」
「お父さん、次は僕の番ですよ。」
「俺は机を運んできますね。」
あれよあれよという間に目の前にご飯が並ぶ…実家だというのにぜんぜん落ち着かない。
「いただきます。」
「イブキさん、お口に合うかしら?」
「はい。とっても美味しいです。」もぐもぐ
「じいじですよ~」
「Zzz…」
「うーん、起きて欲しいような…このままでいいような…」
箸が震えている……イブキさん緊張してるな。お父さんはソラ君に夢中である。
「ビールも飲んで飲んで。」
「そ、その…アルコールは…」ちらっ
ほぼ食べ終わるもコップに入った飲み物は減っていなかった。トラウマから助けを求めるように私(*元凶)へと視線を送るイブキさん。しょうがない。
「待っ…」
「若いのが遠慮なんてするな!するな!」グイッ
「…あ。ありゅがとごじゃいましゅ…」ごくっ
「イブキさん!?」
止めようとするもじいちゃんによりビールを飲んでしまうイブキさん。顔がもう赤い。ビール1口飲んでこうなるんだ…。
「…」ぽけー
「…あれ?もう回ってる?」
「みたいだな。こんなに弱かったとは…」
「そうだよ!イブキさんにアルコールはダメなんだよ!イブキさん、これ!お水です。」
「ありぎゃど、シェイ…」ごくっ
慌ててコップに水を入れて渡すとイブキさんは一気に飲みきった。
「そうだったか…すまないな。彼は俺が向こうの部屋で休ませてくる…スカイ、ゆっくり食べるんだぞ。」
じいちゃんはイブキさんを連れて、リビングを後にした…あれ?気付けばお父さんとソラ君もいないし。残っているのは私と…笑顔の怖いお母さんの2人。
「じゃあスカイ…お母さんとお話しようか?」
「………はい。」
その笑顔はカレンを思い出させる。そういえば、もうすぐ赤ちゃんが生まれるのだとか…何故か生むカレンよりもアイリちゃんが1番張り切ってるらしいけど。…おっと、現実逃避はここまで。
「イブキさん…何人ものウマ娘にG1を勝たせてきた凄いトレーナーさんよね。」
「そうだね。」
「カッコいいし、礼儀正しいし、お菓子作りも上手…女の子にもさぞ人気よね。」
「そ…うだね。」
「スカイ………これってどういうことかしら?」
「…!?」
お母さんの持った雑誌にはピーチちゃんの記事があった。勝負服を着たピーチちゃんの写真と『G1・6勝ラウンドピーチ、レース完全に引退。その今後とは…』と大きく書かれており、詳細を読むとトレーナーになることと………担当トレーナーと結婚することが書かれていた。
「何でピンポイントってこんな雑誌を持ってるの?」
「はぁ…分かるでしょスカイ。あなたの記事を追ってそういうのは全部買ってるのよ。まぁ、まさか自分の娘が
「…」つつー
嫌な感じの汗が身体中に流れる。この雑誌って1年くらい前の筈だけど…何でこういう情報は知ってるのかな。何を言えばいいか分からない…自業自得だけど、ただ、怖い。
「彼ね、スカイが赤ちゃんを生む前…具体的にはあなたが妊娠を教えてくれた後にね、家に来たの。あなたがチームへ移籍した時の話とか、ドリームトロフィーでの活躍とか、卒業後もよく遊びに来ていた話とか…これまでの経緯を全部話してくれて、『責任もって幸せにするから娘さんの一生をください』って土下座してきたわ。」
「………え?」
イブキさんが…家に?私…それ…知らない…。
「まぁ、スカイとシた原因は話さなかったから…お父さんがお酒飲まして全部吐かせたけどね。」
「じいちゃん…」
さっきの知ってて飲ませたということか。
「あの人は『スカイが訴えられないか』ってビクビクしてたけど…お父さんは『こんな大物に針を付けるとは俺の孫は大したものだ』って大笑いしてたわね。」
「…」
「2人ともこのクッキーを気に入ってたわよ。…私もだけど。野菜が練り込まれててさ、プロの味って感じ…」ぽりぽりっ
「…その…お母さん。全部知ってるようなので…私からはシンプルに……親不孝な娘でごめんなさい!けど、私は彼が好きだから…良くない関係だけど…今、幸せだから……彼と一生一緒にいたい!!」
「…あなたが幸せなら言うことは無いわ。またいつでも来なさい。」
「お母さん…ありがとう…」
「いい人に会えたわねスカイ。ふふっ…あなたならサッカーチームが出来るくらい子供が生みそうね。」
「いや、それはあり得ないから…」
この時の私はそう思っていました…んん!とりあえず…実家には報告出来たということで!