逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ!   作:アマノジャック

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リフレーミング…お疲れ様…種牡馬になれて良かったよ。キングヘイロー産駒がこれで全員引退か…血統はイクイノックスとピクシーナイトで繋がるやろけど、キタサンミカヅキとアイオライトとリフレーミングの3頭で何とか直系をつないで欲しいな。


トリックスターは語りたい15

『先頭はメロンスカイ!

メロンスカイがまだ粘っている…!

残り100m、後続との差は2バ身!』

 

「頑張れメロンちゃん!」

「いけーっ!!」

 

今日、メロンちゃんは日本ダービーへと出走している。トレセン学園に合格して入学、担当トレーナーを持ち本格化を迎えたのが去年のこと。さらにジュニア級でデイリー杯というG2レースを勝っており既に重賞ウマ娘でもあるのだ。

 

『メロンスカイだ!

メロンスカイ、奇襲の大逃げが決まった!

新たなるダービーウマ娘の誕生です!』

 

…そして今、私の取り逃したクラシックレースを勝ち…G1ウマ娘となったのだ。

 

「ママ、あたし…あたし…ママの走りで勝ったよ!うぇぇい↑」

 

メロンちゃんが泣いた笑顔で手を振ってくる。ここにはソラ君もドラちゃんもグレープちゃんもいるのに…母である私の名前を呼んでるのだ。

 

「お…おめでとう!メロンちゃん!!」

 

大歓声の響く観客席の中から私は精一杯の声で返事をした。

 

………

 

『メロンが…ダービーを勝ったのか!?』

「そうなのですよ…しかもまさかのぶっつけ本番の大逃げで…」

『えぇ!?今までしてた先行じゃなくて逃げてダービーを勝ったの!?凄いな…そっちに帰ったらメロンの好きなデザート作ってあげないとね。』

「最近出張の頻度多くないですか?『ウミ』ちゃんが生まれたばかりだというのに…」

『うっ…!本当にごめん…本格的にプロジェクトが動き始めてて…』

 

その日の夜、先月に生んだ赤ちゃんを抱きつつイブキさんへと連絡する私。現在、日本とアメリカを行き来している状況であり…トレセン学園が出してくれるとはいえ旅費がえげつないとのこと。

 

『今度こそは成功させないと…!』

「イブキさん…」

 

数年前、イブキさんはあるウマ娘とその担当トレーナーと共にアメリカのクラシックレースへと挑んだ。しかし、ケンタッキーダービーは末脚を伸ばすも6着(1位入線のウマ娘が降着したことで繰り上がったとのこと)。

 

その後はローテーションの短さからプリークネスステークスは回避し、クラシックレースの最終戦となるベルモントステークスへと出走した。結果は最後の直線で大外から鋭い末脚を発揮するも結果は5着。そして、芝のG1レースにも挑戦するも最下位に敗れ…その子のアメリカ遠征は終わった。

 

その子はアメリカのG1レースで掲示板に入れたことと後に日本で重賞レースを4度勝利したことを嬉しそうしていたらしいが…それを語っていた時のイブキさんはとても悔しそうな顔をしていたのだ。

 

『…セイ、これはまだ俺とメロンの担当トレーナーしか知らないことなんだけど…メロンにアメリカのレースで走ってもらおうと考えてる。』

「メロンちゃんを?」

『今年は日本で走って…来年からアメリカへの遠征を想定している。』

「それで何でメロンちゃんなのですか?本人の希望だけじゃないんですよね?」

『バ場の適性力の高さからだよ。アメリカへの遠征希望者のデータと取った時、メロンのアメリカ芝の適性が非常に高かった。だから…いや、まだ完全には決まってはない話だったね。』

「…」

 

メロンちゃんが海外へ行く…父でありアメリカに慣れているイブキさんがいるので普通に考えれば安心なのだけど、それでも私としては不安や怖さが勝って喜んで同意が出来ないのだ。

 

『…セイ、俺が日本に帰ったら…俺とメロンとの3人で出掛けないか?』

「ピーチちゃんとグレープちゃんが許してくれますかね?」

『何とか埋め合わす…頼む。』

「分かりましたよ。」

 

すぐに反対しなかった私はイブキさん並にチョロくなったのかもしれない。

 

───

 

「パパとママの3人でお出掛けって何か新鮮♪」

「そうだな!」

「それで…メロンちゃんはどこに行きたい?」

「ん~…とりまカラオケいこいこ!あたしの歌ガチ聞いて~、んでんでママの歌も超聞きてぇわ~♡」

「え?私もう10年くらいは歌ってないのだけど…」

「大丈夫大丈夫~!雰囲気だけでイケイケだし!」

「近くのカラオケ店を予約しておくな。」

 

年末になり、日本へと帰国したイブキさんと外出許可を貰ったメロンちゃんの2人に合流する。ウミちゃんはピーチちゃんが引き受けてくれた。

 

クリスマスが終わってるといえ人はそこそこいる街中だけど…メロンちゃんの希望通りに動こうとのことでノープランである。最初に行ったのはカラオケ…そういえば学園を卒業してからは行くことはなかったな。

 

………

 

久しぶりのカラオケに私の喉は早々に疲れてリタイア。イブキさんとメロンちゃんの点数勝負になっており…何気にイブキさんがアメリカのウイニングライブの曲を歌いながらメロンちゃんへと発音とダンスを教えていた。

 

カラオケが終わるとショッピングなのだけど…

 

「ママ、ママ!これ、めっちゃ良くね?マジやばたにえん!」

「いやいやいや、中学生には早すぎるない!?」

「えぇ~、トレトレをメロメロにして~、らびゅらびゅ全開にしたいのに~」

「まず見せることないでしょ。もう…誰に似たのやら…」

「ママじゃね?てか、これママが超似合う!ママしか勝たん!パパのハロン棒が尻尾上がり確定案件じゃね?」

「…色だけ替えさせて。」

「にしし…あたしも買う買う~!ママの奢りで確定~♪」

「…もう。」

 

何故か私のも買うことになった。背伸びしたい年頃なのは分かるけど…うん。さ、早速明日にでも着けてみるとしますか…。

 

───

 

「コースは決まってるから待つだけ……ん?電話か…」

「パパ出なよ。あたしのことでしょ?」

「…少しだけ席を外す。そこまで時間はかからないと思うけど…最初の温野菜が来たら俺は気にせず温かいうちに食べてね。」

 

最後に来たのは高そうなレストラン。イブキさんが予約していたようでスムーズに個室へと案内され…戸惑うメロンちゃんを何とか座らせる。そういえば、ファミレスは何度かあったけど…こういう所へ連れていったことなかったな。

 

そんなことを考えてるとイブキさんが部屋から離れてしまった。ガチガチなメロンちゃん…少しほぐしてあげないと。

 

「メロンちゃんはその…今の担当トレーナーが好きなの?」

「ん~、もち当然!しゅーきしゅきしゅーしゅきできゅんきゅんきゅんよ♡」

「まさかもうメロンちゃんが男を知るとは…」

「…へ?あたしのトレトレは女の人だけど…?」

「んん?」

 

緊張は一瞬でとけ…私の中で謎が1つ増えた。メロンちゃんの担当トレーナーって女の人なの?

 

「てかトレトレが好きなのはパパだし~。パパってばモテモテでヤバたに…「メロンちゃん。」ママっ!?急に怖っ…!?」

「いいから詳しく聞かせてくれる?」

「ふぇ~!?」

 

メロンちゃんとの関係が気になったけど…この瞬間どうでもよくなった。イブキさんに手を出すのなら…誰であれ許すわけにはいかない。

 

「セイ?メロンに何をしてるの?」

 

早いな…もう電話は終わったんだ。

 

「パパ!?何かトレトレのこと話したら急にママが怖モードになって…ぴえんぴえん~!」

「…あぁ、なるほど。実はねメロン、セイは君がアメリカに行くことが心配みたいで…」

「トレトレは関係なくね!?」

「『ヨコテ』トレーナーのこと?大丈夫だよセイ…あの人は超ベテランだからさ…てか、会ったことあるでしょ?サクラローレルやゴールドシップを担当してたし…」

「…あ!」

 

思い出した。ヨコテさん…アイリちゃんが最初にサブトレーナーをしてたチーム『アルレシア』のチームトレーナー。毎年1人は重賞を勝利している名門チームのトレーナーで、私の指導中もたまに来てはアイリちゃんにアドバイスしてて…というか、それからもう10年以上は経つけどまだ担当トレーナーをしていたんだ!?

 

「…で、今のメロンはそのチームのエースウマ娘。」

「ぶい♪」

「…」

 

あー、何となく話が見えてきた気がする。

 

「パパ聞いて聞いて!トレトレがパパのことらびゅって話したらママがガチジェラってきてんの!」

「メロンちゃん!?」

「はぁ…大丈夫だよセイ。ヨコテトレーナーは結婚して子供が2人いる…どっちもトレセン学園のトレーナーだよ。それで次女の方は最近なったばかりだけど…婚活をしてるらしくて…有望なトレーナーにヨコテトレーナーが声をかけてるってだけの話だから。」

「え~、パパはトレトレ嫌い?」

「好きとか嫌いとかそんな話じゃなくてヨコテトレーナーの娘さんの話だから。それに俺は結婚してるから関係ないよ。」

「ママとは結婚してないしさ~。別にもう1人くらいママが増えてもよくね?トレトレがママになったら超イケイケじゃね?」

「だからヨコテさんの話じゃないし、何もよくないってば!ただでさえ家庭の現状が世間的によくないのに…人妻に手を出すとか絶対ダメ!」

「ちぇ~」

 

…メロンちゃんが口を尖らせているけど…ここまで倫理観が壊れてたっけ?育った環境も原因だろうけど…トレセン学園で何かあったのだろうか?

 

「ブロッコリーとキノコのソース和えでございます。」

 

「ありがとう…とりあえず、食べない?」

「さんせー!あたし、お腹ペコペコ…」

「そうですね…いただきます!」

 

…クリーミーで甘いソース…何が入ってるのだろ?今度調べて作ってみるとしますか。

 

………

 

「全部めっちゃ美味しかった!特にステーキがレベチで飛んだ!パパ、ガチであざまる397~♡」

「メインディッシュが口に合ったようで良かったよ。セイはどうだった?」

「んー、最初のサラダのソースが気に入りました。今度、みんなに作ってあげたいな。」

「いいなソレ。食べた感じブルーチーズと生クリームが入ってるのは分かったけど…」

 

コースメニューが全て届き、コーヒーを片手に食べた感想をいう私たち。そして、会話が1通り終わり…イブキさんの顔つきが変わる。

 

「さて…来年のメロンについてだけど…」

「…うん。」

「…」

 

メロンちゃんも真剣な顔になり、私にも緊張が走る。

 

「アメリカの前にヨコテトレーナーと共にドバイで走ってもらうことになる。」

「ドバイ…!?トレトレも一緒なの!?」

「そうだよ。」

「待って待って!トレトレにドバイは…」

「本人が行くと言ってるんだ…大丈夫。」

 

「…あ。」

 

ヨコテトレーナーは多くの担当ウマ娘を持っているものの海外のレースへと出走させたことは非常に少ない…。その少ない原因の一因は初めて海外へと行った時、出走させたウマ娘が競争中止になってしまったことだ。しかもその場所がドバイとなればいくら私といえど心配になる。

 

「…俺がフォローする!ウオッカと4度も挑戦したんだ…今度こそ絶対に勝たせてやる!」

「パパ…」

「イブキさん…」

 

イブキさんの経験を語られてもウオッカちゃん1人だけであるためにその説得は弱い。ピーチちゃんのアメリカ、カフェさんのフランス、ロブロイちゃんのイギリス、と海外経験はあるのだからその事を話せばいいのに…肝心のメロンちゃんは不安そうな顔。もうアメリカ以前にドバイの段階で脳がどう止めるように言うか考え始めている。

 

「…安心できないか。これは現段階で言いたくなかったことだけど…」

 

まだ私たちを説得する材料があるようだけど何が…

 

「遠征の間はたづなさんも同行して全力でサポートしてくれるそうだ。」

 

「「じゃあ、安心案件じゃね?」」

 

…あ、何かセリフが被った。とはいえメロンちゃんの海外遠征が決まったのでした。

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