逃げか?差しか?その判断こそが大きな隙だ! 作:アマノジャック
たまには過去の話をするとしましょう。その日の私は…いや、私たちは…
「海だー!」
「うんうん、いっぱい遊んでくるといいよ。」
海へと来ていた。…おっと、流石に情報が少な過ぎるか。5W1Hで説明すると…
When … カレンが卒業して私がイブキさんのチームへと移籍した年
Where … 合宿所近くの砂浜(海の家付き)
Who … イブキさんとその担当ウマ娘全員(ピーチちゃん含む)+ゴアさんとその担当ウマ娘
What … 各自様々、私はお昼寝と釣り
Why … リフレッシュするため
How … 合宿所から歩いて
といった具合である。さて…どんなことがあったか思い出していこうか。
───
サーフパンツにラッシュガードの決まったイブキさんの姿は、その場の全女性の注目を集めていた。そんな中、ピーチちゃんが日焼け止めクリームを持ってイブキさんの前へと移動する。カップルの理想なシチュエーションだけど…格好が学園の水着なのが何とも言えない。いや、私たち全員もそうなのだけど。
「ト、トレーナー…その…日焼け止めを塗ってくれないかしら?」もじもじ
「いいよ、ピーチも後で俺に塗ってね。」
「軽っ!?むぅ…何かあっさりした反応でつまらない!」
「って言われても高校時代から海行ったらよく頼まれていたし…オグリやマヤノにも頼まれて塗ったことあるぞ。」
「もう!今のアンタの彼女は私でしょ!」
「…え?別に彼女じゃなくても塗らない?」
「…アンタの倫理観どうなってるの?」
「まぁ、男女比は3:7で女の子の方が多かったけどね。」
「男にも塗ってたの!?」
ピーチちゃんの初々しさに、こっちまで顔が赤くなるも…何か一瞬でその空気は壊れた。うーん、イブキさんの学生時代についてもっと知りたいけど…あ、スカーレットちゃんとロブロイさんが自分も塗って欲しいと並んでいる。…私も並ぶとしますか。
………
「…イブキさん、本当に慣れた手つきだったね。」
「…はい、すごく上手いうえに早かったです。早すぎてこっちがドキドキする前に終わってしまうなんて…」
「背中と肩だけじゃなくて足と腕にも綺麗に塗ってくれましたけど…」
「おーい!ビーチフラッグしようぜ!」
ドキドキタイムは一瞬で終わる…具体的な時間はどれくらいだったのだろうか?今、イブキさんはゴアさんへと日焼け止めを塗りつつ、ピーチちゃんからかき氷を『あーん』して食べさせてもらっていた。それをバックに私、スカーレットちゃん、ロブロイさんは先ほどのことを考えながら海を眺める。そうしているとウオッカちゃんが勝負に誘ってきたので乗ることにした。
「アンタには負けないんだから!」
「へへっ!こっちの台詞だぜ!スカイさん、合図をお願いします!」
「了解~……スタート!」
「「はぁ!!」」だっ
ルールは1対1の総当たり。なお、私は全敗し、ロブロイさんは1勝、スカーレットちゃんとウオッカちゃんは2勝ずつ…要するにこれが最後の勝負である。
「…しゃっ!俺の勝ちだ!」
「うぐぐぐ…悔しい!もう1回よ!3本勝負よ!」
「いや、流石にもうキツいって…」
勝者はウオッカちゃん。スカーレットちゃんは悔しそうな顔になる。
「みんな、休憩にしようか。」
「その前にカフェちゃんとカワカミちゃんと…後、アイも呼んできてもらえる?」
「えへへ…トレーナーさん、こんなの作ってきてました!『プコサラダ』というフィリピンのデザートだそうです!」
そこへイブキさんとゴアさん、ブラックちゃんが現れ…全員、集まるように言われた。その前に3人を探すことになり…私、スカーレットちゃん&ウオッカちゃん、ピーチちゃん&ロブロイさんの3組で別れることとなった。
………
「あたしとぉ、一緒にあそぼっ♡」
「…ごめんなさい。」
アイちゃんを見つけたのだけど…1人でトレーニングをしていた。そんな様子を見てかチーム"アスケラ"のフサイチパンドラが遊びに誘うも振られたらしく、フサイチパンドラはその場に取り残された。
「ふええぇぇ~ん!なんなのアイちゃん!えらすぎんだって!夏くらいゆっくりして良くない~?」
うん、アイちゃんらしいといえばアイちゃんらしい。そしてその場で1人ワイワイと賑やかになるフサイチパンドラ。
「パンドラ、良かったら私とスイカ割…」
「ごめん、今無理。」
「─!?」がーん
「…ん?あそこにいる先輩って…アイちゃんのトレーナーがサブトレーナーしてたチームのメンバーじゃん!いいこと思いついたぁ♡」
隣にいたチームメイトのキングマンゴーも振られてがっかりしてるね。あれ?フサイチパンドラ…こっちに来てない?
「ねぇねぇ、スカイ先輩~♡可愛い後輩のぉ、お・ね・が・い…聞いて欲しいな~♡」
さて、面倒なことになりそうだ。
………
場所はエアコンの効いた海の家…といっても貸しきっているから私たち以外の一般客はいない。既にカフェさんもカワカミちゃんも戻ってきており、くばられたイブキさんのスイーツを味わうこととなった。
「サラダって聞いてたけどこれデザートだよね~♡めっちゃ美味し~♡あたしの分までありがとうございますぅ~♡」
「それは良かったよフサイチパンドラ。アーモンドアイ、君はどうかな?」
「…冷たくて美味しいわ。これならこの後のトレーニングも…」
「まだやるの!?うぅ…せっかくの自由時間って聞いたのにアイちゃん、ずっとトレーニングばっかだし…」
「…デビューが近いの。だから今ある問題点を出来るだけ無くておかないと。」
「だから!そうじゃないの!せっかくのリフレッシュタイムだよ!一緒に夏を満喫しよ!」
さらにそこには私が連れてきたフサイチパンドラの姿もあり…普通に混ざってスイーツを食べていた。
「うーん、私は自由にしていいよと言ったから強く言えないけど…身体は休めて欲しかったかな。イブキ、刺身おかわり。」ぐびっ
「君は君で気を抜きすぎだよゴア…生徒いるし、まだお昼だからね?」
「美味しいわよコレ。イブキも飲む?」
「ダメダメ!俺、お酒弱いから…」
へー、お酒弱いんだ。…今、ここにいる何人か(私も含む)の目が光った気がした。
「ん?みんな、どうかした?」
…やばっ。普段は鈍感なくせにこういう時は気付くんだ…今回は私が気をそらすとしよう。
「ゴアさんの食べてる刺身って何の魚かなーって。イカ…ではないですよね?」
「んふふふ…実はこれ、君が今も食べてるココナッツなんだよ!」
「へ?」
「わさび醤油で食べるのがいいんだって…とりあえず、追加を用意するよ。理事長がいっぱいくれたし。」
ゴアさんの食べてるココナッツとデザートに入ってるココナッツを見比べる…同じココナッツとは思えない。
「そろそろココナッツミルクが冷えて飲み頃になるけど…欲しかったら手を上げて。」
「はぁい♡あたしとアイちゃんの2人分で♡」
「ちょっとパンドラさん!?勝手に決めないでくれる!」
「…私もください。」
「私にもくださいな!お姉さまは?」
「かき氷食べたばっかりだから大丈夫~」
皆へと飲み物を渡すイブキさん…そして、今剥いたココナッツから新たに作ったココナッツミルクを入れ替えるように冷蔵庫に入れていた。おそろしく速い手際、私じゃなきゃ見逃しちゃうね。
「それ…やりたい。」
「ん?」
「アイ?」
気付けばアイちゃんがキラキラした目でイブキさんを見ていた。
………
「後は包丁の背でコンコンと当てて…」
「こうかしら?」
「そうそう!上手いねアーモンドアイ!最後にそこをくり貫いて…」
「で、出来たわ!!」
「おめでとう!このままストローで飲む?ココナッツミルクで飲みたい?」
「トレーナーにあげるわ!」
「だってさゴア。今回はヤングココナッツだけど、オールドココナッツだとまたやり方が違うから教えるよ。」
アイちゃんはすぐにマスターした。うん、分かっていたけどね。フサイチパンドラにお願いされていたトレーニング以外のことをした。つまり…
「…これで満足?」
「そんな訳ないでしょ!とりあえず、今から水着になって…海を満喫して…」
「貴女はトレーニングよ、パンドラさん!」
「ぎゃあ!?キング先輩!?」
キングの姿がそこにあった。
「キングちゃーん♡」だきっ
それに抱きつくピーチちゃん。
「うぉぉ!ピーチさん!!」だきっ
さらにそれへと抱きつくキングマンゴー…あぁ、もう滅茶苦茶だな。
続きはまたそのうち。