龍と華   作:ヘルメス・トリスメギスタス

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鉄火場

 「しゃっ!」

視認できないほどのスピードで刀を振るう。

次々とダルマが作られる。

現在龍臣達はシマでクスリを売っていた半グレ集団を粛清中だ。

 

 「ふう。若。優雅さがないわね」

「衣。ならば例を見せてみろ」

「はーい」

暢気な声とは裏腹に、チャカの鋭い連射が響く。

妖艶な美貌にチャカの腕。衣の暗殺を防ぐのはほぼ不可能だろう。

 

 「こりゃ負けてらんねえな」

そう言った少年阿久津が二振りのナイフを振るう。

それはまるで死の舞踏。

次々と血しぶきが舞い、半グレが倒れてゆく。

ここにいるのは桐生組が誇る殺戮集団の一部である。

そうして各々が殺してゆき、残るはボス一人となった。

 

 「ば、化け物共め!」

「これでしまいだ」

龍臣は視認すらさせず、ボスの胴体を真っ二つに斬った。

「おい。例の工場へ運んで遺体を処理しろ」

龍臣は部下に遺体の処理を命じる。

ここでいう遺体の処理とは、

アスファルト生成工場で、

がれきと一緒に溶かして処理するということだ。

ここまですると、DNA鑑定も不可能になる。

 

 「…………」

「どうしたんすか若?」

「いや。……先に帰る」

「お疲れ様でした」

なんか若の様子がおかしいなと阿久津は思った。

 

 「ふう……」

「お疲れ様です若」

「家へ向かってくれ」

「へい」

車は家へ向かう。

車に揺られつつ、龍臣は皮肉な笑みを浮かべた。

人に笑顔を振りまくのを手伝う人間が、死を振りまく。

なんという皮肉か。

(奈緒が見ればきっと軽蔑するだろうな)

だが、家からは逃げられない。

渡世の人間として生きるしかない。

(まともには死ねないだろうな)

龍臣が考えつつも車は家に向かった。

 

 「ワンツー・ワンツー!」

「よっ、ほっ!」

現在奈緒はレッスンを受けていた。

それを龍臣が見守る。

しっかりと基礎レッスンをやっていたのだろう。

これならデビューも早いだろう。

「はい。一旦休憩です」

「はあ……はあ……」

「ほれ。タオルとスポーツドリンク」

「桐生さんありがとう」

奈緒が笑顔を見せる。

…………眩しいな。

龍臣はそう感じた。

「いい調子だったぞ。これならデビューもすぐだ」

「本当か! へへ、楽しみだぜ」

「ええ。トレーナーの目から見ても努力の跡がわかります。私も太鼓判を押します」

「まあ、気を緩めないようにな」

「へへ、わかってるって」

奈緒は笑顔を浮かべて喜んだ。

 

 レッスンが終わり、二人は一緒に帰っていた。

「送ってくれるんだな」

「奈緒が近道使わないように監視だ」

「あんな怖いこと言われてしないよ!」

その時正面から来た男が、懐に手を入れ銃を引き抜いた。

「桐生死ねアル!」

「遅えよトーシロが」

龍臣は拳銃を抜いて男の拳銃を破壊する。

「ぎゃあああああああ!」

「奈緒! こっちへ来い!」

龍臣は奈緒を抱き寄せ、別の道に入る。

「桐生さん! さっきのって……!」

「中国マフィアだ。あいつら人目があっても気にせず撃つからな!」

「コッチダ! 殺セ! 殺セ!」

「ちっ! 待ち伏せか!」

龍臣は電話をかける

「真田。俺だ! 中国マフィアの待ち伏せだ! 使える奴を寄越せ!」

「5分下さい! 場所はわかりました! すぐに向かいます!」

「急げ! 堅気も気にせず撃ってやがる!」

そう言いつつ、龍臣は拳銃を撃ち続ける。

「奈緒! 伏せてろ!」

「う、うん!」

 

 突然の鉄火場に奈緒は混乱していた。

なんで中国マフィアが?

なんで龍臣が銃をもっているのか?

そんなことは頭から吹き飛んでいた。

「ちっ! 弾が切れた!」

「ちょっ!? どうするの!?」

「こうするんだよ!」

龍臣は刀を抜くと敵に斬りかかった。

その剣速は最早神域。

恐ろしいまでの身のこなしと、神域の剣速で敵を屠っていく。

奈緒はそれを唖然と見守っていた。

そして同時に恐怖も感じた。

龍臣が人を殺すことにためらいが全くないことに。

 

 「若! お待たせしました!」

真田が増援を引き連れてきた。

その後中国マフィアは全滅した。

「死体は例の工場へ運べ。それと……」

龍臣は奈緒を見た。

「……奈緒。選択肢が二つある。一つは今の出来事を忘れるか。

もう一つは全てを知るか。……選んでくれ」

「……教えて。全てを知らないと納得できない。納得は全てに優先するよ」

奈緒の言葉に龍臣はため息を吐いた。

「わかった。全て話す。場所は俺の家だ」

奈緒を巻き込みたくなかった。

龍臣の顔はそう物語っていた。

 

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