「銅鑼権?」
聞きなれない言葉に龍臣が返す。
「はい。近頃九龍街で勢力を伸ばしている半グレ集団です」
「実害は?」
「奴等はヤクを売りさばいています。それと女を誘拐して暴行も。
うちの女性キャストも被害にあっています」
「放置はできないな。諜報部門に調べさせろ。それと情報屋も使え。
アジトが分かり次第粛清する」
「誰を連れて行きますか?」
「衣、阿久津、佐川、加藤だ」
ここに出てきた佐川とは、鶴嘴佐川の通称で呼ばれ、
相手の頭に鶴嘴をぶっ刺す狂人だ。
加藤はのこぎり加藤と呼ばれ、のこぎりで相手を切り裂くこれまた狂人だ。
というより、衣、阿久津も狂人と言ってよく、
桐生組の誇る殺戮集団の一部だ。
真田は相手が可哀想になった。
上記四人に龍臣が加わるのだ。現場は凄惨なものになるだろう。
「流石に戦力過剰では?」
真田がやんわり注意するが、龍臣は首を横に振る。
「いいか。これは桐生組の恐ろしさを示す必要もあるのだ。
急いで奴等のアジトを調べろ」
かくして銅鑼権の粛清が決定された。
龍臣が家の廊下を歩いていると、鶴嘴をもった男が現れた。
「へへ。若。次は半グレ集団狩りだそうで。奴等の頭勝ち割ってやりますよ」
「ふ。牙を充分に研いでおけよ佐川」
「わかってまさあ」
龍臣がそう言って歩いていると、今度はのこぎりをもった男が現れた。
「若。俺に任せて下さい。のこぎりで奴等を切ってやりますよ」
「頼りにしているぞ加藤」
龍臣はそう言って自室に戻った。
自室にしばらくいると、真田が部屋を訪ねてきた。
「若。奴等のアジトがわかりました」
「案内しろ」
「少し待ってください。奴等女達を攫いました」
「何?」
「数は五人。敵は三十人います。いかがいたしましょう?」
「……衣、阿久津、佐川、加藤は出せるか?」
「問題なく」
「俺を含めた五人で奴等を粛清する。真田は後から増援を連れて来てくれ」
「承知しました」
廃工場。ここに少女達は閉じ込められていた。
「ごめんなさいみんな。私が脅されなければ…………」
「いや、美波は悪くないよ。あの人数じゃね」
「私達これからどうなるのかな凛ちゃん?」
「最悪は暴行されて、殺されるかな。どうみてもヤバい人達だったし」
「逃げることはできませんか?」
「アーニャ、私も考えたけどここがどこだかわからないと」
その時扉が開いて複数人が入ってきた。
「へへ、大人しくしてるみたいだな」
「これは犯罪だよ! 返してよ!」
「楽しんだら返してやるよ。上玉揃いだしな」
「くっ!」
やっぱり暴行する気だ。
抵抗しようにも睨みつけるので精一杯だ。
その時扉を盛大に蹴破る音が聞こえた。
皆がそちらを見ると、五人の人影があった。
そのうちの一人は見覚えがあった。
「…………桐生さん?」
奈緒の担当の桐生さんだ。その桐生さんが刀を持っている。
他の人もアーミーナイフ、拳銃、鶴嘴、のこぎりと武器を持っていた。
「銅鑼権諸君。桐生組のシマで好き勝手やってくれたな。とりあえず死ね」
戦争が始まった。
「ヒャッハー!」
佐川が鶴嘴で半グレの一人の頭を勝ち割る
「オラー!」
加藤はのこぎりで頸動脈を断ち切る。
衣、阿久津も各々の武器を振るう。
「シャーッ! ダルマになれや!」
龍臣も次々とダルマを量産する。
美波達は直視していられなかった。
まさに虐殺に等しい状態だったからだ。
(粗方片付いたか。これで……)
そう龍臣が思っていた時だった。
鋭い斬撃が龍臣を襲った。
龍臣は紙一重で躱す。
「……何者だ?」
「人喰い木村と言えばわかるかな?」
「人を斬ること五十人以上。あの人喰い木村か……用心棒か?」
「ああ。互いに人斬り同士。一騎討ちといこうじゃないか」
「いいだろう。皆手出し無用だ」
双方共に刀を構える。
仕掛けたのは木村。
唐竹割で攻撃してきた。
(速い! が……)
龍臣はそれを紙一重で躱す。
「そこだ!」
木村は今度は逆袈裟で攻撃してきた。
それも龍臣は紙一重で躱す。
「終わりだ」
凛達は何が起きたかわからなかった。
斬ったのに見えなかったのだ。
首と胴体が別れた結果のみがわかった。
これがこの戦争の決着となった。
「それで桐生さんは何者?」
凛の問いに龍臣はため息を吐く。
まさか誘拐されたのが凛達だとは。
隠し立ても意味ないと判断し正直に言う。
「桐生組次期組長桐生龍臣」
「つまりヤクザ?」
「そういうことになるな」
その言葉に皆が驚く
「奈緒は知ってるの?」
「ああ。知ってる」
「そっか…………」
「皆には内緒にしてくれ。皆に迷惑がいく」
「言わないよ。助けてもらったんだし。未央も黙ってなよ」
「ちょっと! そりゃ私だって黙るよ!」
「若。片づけ終わりました」
「ご苦労。例の工場へ」
「例の工場?」
「死体の処理さ。知らなくていいことだ」
「怖!」
「桐生さん。色々教えてもらうよ」
面倒なことになったなと龍臣は思った。