「うん。レッスン終了。明日は休んでライブに向けて備えるんだ」
「わかった。うー、緊張してきた」
「奈緒は充分にレッスンを積んださ。
後は本番で実力を発揮すればいいさ」
「そうなんだけど明日どうやって過ごすかなあ」
「それじゃ俺とでも出かけるか?」
「桐生さんと?」
「家にじっとこもってるよりいいだろ。
それとも俺と出かけるのは嫌か?」
「い、嫌じゃないから!」
「それじゃ明日○○駅に10時な」
「わ、わかった」
「それじゃ帰るか」
「う、うん」
(これってデートだよね。別の意味で緊張する)
そして、翌日。
(うー、緊張する。服変じゃないかな)
奈緒が待ち合わせ場所に向かうと、すでに龍臣が来ていた。
「おはよう。早いな」
「桐生さんもう来てたんだ」
「まあな」
(うーん、大人な格好で格好いい)
「それじゃ行こうか。映画館で大丈夫か?」
「う、うん」
「それじゃ行こう」
「あ……」
龍臣は奈緒の手を繋いだ。
「さっ、映画が始まるぞ」
龍臣は奈緒の手を引っ張った。
龍臣の選んだ映画は恋愛映画だった。
(なんか意外だな。桐生さんならヤクザ映画とか選ぶと思ってた)
奈緒は隣の龍臣を見る。
(真剣だな……)
奈緒がそう思っていると、こちらを向いた龍臣と目が合った。
思わず目を逸らす奈緒。
(目が合っちゃたよ。何か恥ずかしい!)
恋愛映画も相まって、奈緒は顔が赤くなるのを感じた。
「面白かったな」
「う、うん」
映画館を出ながら感想を言う龍臣。
奈緒は映画の内容を思い返していた。
お互いの障害を乗り越えながら、
最後は幸せに結ばれるラブロマンス。
古典的といえば古典的だがそれを現代風にアレンジしてあり、
前評判通りの良い映画だった。
奈緒は龍臣を見た。
(桐生さんは映画を見てどう思ったんだろう?)
桐生さんは大人の男性だし、家のことを除けばいい男だと思う。
もう家同士で決まった人なんているのだろうか?
「?。どうした奈緒?」
「桐生さんは付き合ってる人っているの?」
「全く。渡世に身を置いているからな。何でそんなことを?」
「いや、水商売の女とか桐生さんなら選び放題じゃん」
「そういう考えで選びたくはないな」
「そっか……」
「次はアウトレットへ行こうか?」
「うん」
二人はアウトレットへ向かった。
「へえ。色々あるな」
奈緒は色々な物に目移りする。
「買いたい物があれば言えよ。買うから」
「はは。そうそう買いたい物が出るわけ……」
奈緒がそう言った時、一着の服が目に入った。
「あ……」
かわいいと思った。
思わず手に取ってみる。
手に取ってみると、欲しいと思ってしまった。
値段を見る。10万円。
値段を見て服を元に戻す。
手持ちのお金じゃ買えないし、龍臣にも頼めない。
(凄く気に入ったのにな……)
奈緒は落胆した。
「それが欲しいのか?」
奈緒が気が付くと、龍臣がさっきの服を手に取っていた。
「き、桐生さん! いいよ! そんな高いの!」
「でも気に入ったんだろ?」
「そうだけど……!」
「ここは男に恰好つけさせろ」
龍臣はそう言ってレジへ向かった。
「ほれ。買って来たぞ」
「あ、ありがとう。でも何で買ったの?」
「奈緒が欲しそうだったからだ。それに……」
一呼吸置いて告げる。
「それを着た奈緒を俺が見たかったじゃダメか?」
「…………!」
それを聞いて奈緒は真っ赤になった。
「な、何言ってんだよ!」
「俺の心からの本心なんだけどな」
龍臣は面白そうに笑った。
「うわあ」
二人はショッピングモールを見た後、水族館に向かった。
水族館は色とりどりの魚で綺麗だった。
「綺麗だな」
「うん。来てよかった」
二人は水族館を楽しんだ。
「もう帰らないとな」
「ん……」
二人は駅に来ていた。
「奈緒。楽しかったか?」
「うん!」
奈緒が笑顔で応じる。
「それは良かった。俺も緊張していたんだぞ?」
「そうなの!?」
「そりゃこういうのは初めてだからな。
明日は頑張れるか?」
「うん! それじゃ明日!」
「また明日な」
二人はそこで別れた。