北条悟史のカケラ紀行 作:三和
朝ご飯を食べ終わり取り敢えず冷静さを取り戻す……そうそう僕は羽入に会って……つまりここがカケラの世界…?
『悟史……』
「…えっ?」
声が聞こえ後ろに振り向くと羽入が立っていた……
「…羽に『シー。』え?」
「にーにー?どうしたんですの?」
「…えっ、いや、ここにはに…!いや…何でもないよ。」
彼女は口元に人差し指を当て次いで首を横に振った。……どうやら沙都子たちには今の羽入は見えないみたいだ……
「なら急いで下さいまし!遅刻してしまいますわ!」
「みぃ。ボクたちはもう支度が済んでいるのですよ。」
「ごめん。鞄取ってくるから。」
さっき所定の位置に鞄があるのは確認した……昨日のうちに用意は済んでいる事になっているらしい……
「…ふぅ。それで羽入?どういう事なの?」
『ここがカケラの世界なのです。ここに来る前の事を覚えてますか?』
「…さっきまで少し混乱してたけど……今は、うん、覚えてるよ。」
『…そうですか。取り敢えず学校へ行った方が良いですね、詳しい話は後で。……今、私は他の人には見えないので気を付けて下さい。』
「ごめん、羽入……」
周りに誰も居ない寂しさは僕には良く分かる……増してや今の羽入は周りに人が居ても誰にも姿が見えないのだ……
『…大丈夫です。慣れていますから……さっ、早く。』
「…にーにー何してるんですの!?先に行きますわよ!」
「ごめん!今行くから!本当にごめん、羽入……」
『…大丈夫です……でも学校にはボクも行きますから……』
「うん。誰も居ない時は話しかけるよ。」
『…ありがとう、悟史……』
僕は鞄を掴み家を出る……
二人が話すのに合わせ僕は相槌を打つ。
……沙都子が僕の目の前で笑ってる……その事実が改めてただただ嬉しかった……
「悟史君、沙都子ちゃん、梨花ちゃん、おはよう!」
レナの姿が見えて来た……彼女は良くこうやって僕や沙都子を待ってくれていることが多かった……
「レナさん、おはようございますですわ!」
「レナ、おはようなのです。」
「おはよう、レナ」
「はぅー!沙都子ちゃんと梨花ちゃん今日もかぁいいよー!」
「ひぃ!にーにー助けて下さいまし!」
「みぃ!?悟史助けて欲しいのです!」
レナが二人を抱き抱え頬擦りし始めた……むぅ…久しぶりに見たけどやっぱり強烈な光景だなぁ…
「ほらレナ、急がないと遅刻するから。それに魅音が待ってるし……」
時計を見れば正直ギリギリだ。……というかこのままだともう一人の待ち合わせ相手である魅音を待たせる事になる……
「あっ!そうだね!魅ぃちゃんを待たせちゃいけないよね?よね?」
「……」
「……」
レナの頬擦りですっかり静かになった二人を連れ魅音の所へ向かう……