北条悟史のカケラ紀行 作:三和
「…それで羽入?この世界では何が起こるの…?」
『…あぅあぅ…ごめんなさい悟史…実はボクにも分からないのです。』
あの後魅音と合流し、思いの外時間が押していたので挨拶もそこそこに学校まで全力疾走する事に…今はこの世界の事を認識してるから良いけど…当初の寝起き感覚だったらさすがにヤバかった…今は一時間目の授業が終わり僕は一人トイレに行くふりをして営林署側の廊下に来ていた。ここには生徒は来ないから内緒話には持って来いだ。
「…分からない…?」
『…カケラの世界は無数にパターンが存在します…ボクにも全てを把握する事は出来ません…最終的にどうなるのかは判断出来ます。…ですが、それは今この場で言ってしまうと…』
「僕の為にならない…って所かな?分かった。頑張ってみる。」
…と、そうだこれは一応聞いておこうかな?
「羽入?無理なら良いんだけどもう一つ聞いていい?」
『何ですか?』
「…詩音がいないのは何となく分かるけど、圭一は?」
『…圭一は今、親戚に不幸があってここを離れていますです…。』
「そうなのか…あれ?でも、それって…」
僕は意識のはっきりしてから監督に説明された事を思い出していた…。
『鋭いですね…そうです…圭一は発症する可能性があります…。』
「そうか…なら僕は圭一の事を気にしていた方が良さそうだね。ありがとう、羽入。」
この世界での目的を決めた僕は教室に戻った…。
「…にーにー?聞いていますの?」
「!…ごめん、聞いてなかった…何?」
考え事をしていたら何時の間にか沙都子が僕の顔を覗き込んでいた…
「…本当に大丈夫ですのにーにー?今日は朝から可笑しいですわよ?」
「本当に大丈夫だから…」
これは…僕の問題だ…誰にも話せない…。
「…なら宜しいのですけど…具合が悪いなら言ってくださいましね?」
「うん。分かってる…」
「…もうお昼ですわ。早くご飯を食べましょう。」
「うん…」
そうか…もうそんな時間なのか…正直あんまり食べられる気がしないけど…こういう時こそ食べておかないとね…。
皆と席をくっ付けて座る…圭一がいない以上僕以外は女子しかいないんだけど…昔からそうだからもう慣れちゃったな…。
羽入の心配そうに僕を見る姿を視界の端に捉えながら箸を使い口に沙都子と梨花ちゃんの作ってくれた弁当箱の中身を口に運んで行く…味なんて分からない…時折皆が話しかけて来る…どうも僕を心配してくれているみたいだけど僕には相槌を打つことしか出来ない…。機械的に食べているうちに昼食の時間は終わってしまった…。