北条悟史のカケラ紀行   作:三和

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そうして数日が過ぎ、圭一が帰って来た。

 

「よう!悟史!」

 

皆に挨拶して最後に僕にも声をかけてくる。

 

「おかえり、どうだった?久しぶりの都会は?」

 

「う~ん…やっぱり俺はこっちの方が良いな、何か向こうにいる間も落ち着かなくてよ。」

 

「…そっか。」

 

彼の言葉に嬉しさを感じると同時にやっぱり…という思いがあった…後で羽入と話そう。そのうち知恵先生がやって来たので僕は一旦考えるのを止めた。

 

 

 

授業中、僕はトイレに行くと知恵先生に伝えて廊下に出た。

 

「羽入。圭一の事、どう思った?」

 

『…悟史はどう思うのですか?』

 

僕がどう思うのか、か…この問題は先ず僕が答えを出さなきゃいけないって意味なのかな。

 

「…故郷に帰った筈なのに、感想を聞いたら妙に浮かない顔だったね…」

 

今の所根拠はこれしかないけど…

 

「羽入、圭一は雛見沢症候群を発症しているんだね?」

 

『……そうです。』

 

「発症原因は雛見沢から離れた事か…どうしようかな…」

 

『……』

 

「圭一が僕を信用してくれてる間は僕は大丈夫だろうけど…何とも言えないな…味方が僕だけだと判断したら僕以外を攻撃するかもしれない…」

 

『どうするのですか、悟史?』

 

「…今からどうしようか考えてもしょうがないかな…成り行きに任せるよ……鷹野さんの動きを封じられるのならそれで良いんだろうけと…」

 

接触してしまったらそれはどうしようも無い…僕も四六時中圭一に張り付いてる訳にもいかないからね、他の仲間を狙う可能性もあるし。……一番良いのは僕に接触してくれる事だけど。

 

「治療薬を投与されてる僕は現状発症しないからね…僕に接触してくれるのが一番話が早い。」

 

『でも、そうなると悟史は「どうなるかは分からないよ?でも、こうでもしないと今の僕は戦えないからね…仮に向こうの世界の圭一が知ったら止めるのかもしれないけど」悟史…』

 

「そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫だよ。僕に接触するかは分からないし、というか目下一番発症しそうなのは圭一なのは鷹野さんたちも気付いてると思う、なら圭一に接触して来る可能性が一番高い…でも、それなら対処のしようもある…」

 

『それは?』

 

「雛見沢症候群を発症した人は疑心暗鬼に囚われ、他人を簡単には信用出来無くなる…だから嘘を吐かず、ありのままを伝え、心の壁を破る勢いで拒絶されても全力でぶつかればこの病気を抑えられる…僕は、圭一たちにそう教わったんだ。」

 

『悟史、それはとても危険な事なのです…口で言う程、簡単じゃありません…本当に貴方に出来ますか?』

 

「……正直即答は出来無い…分かってるよ…僕は怖い…仲間に傷付けられるのが、そして傷付けることが…でも、僕は黙って見過ごすのは嫌なんだ…だから逃げないよ、羽入。」

 

『悟史、貴方がどういう選択をしようと私は最期まで見届けます…だから頑張って。』

 

「うん…ありがとう、羽入。」

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