この世界に魔法という概念は存在しない、なら俺が作っても問題ないよね?   作:Senyo-ru 238

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 結局、俺が続けてきた十年間の努力は、全てが無駄だという事を思い知らされた。

 だというのに、俺は魔法使いという夢を見続けている。

 存在しないと否定されたのに、だ。

 

 呆れてものも言えないとは、多分この事なのだろう。

 漠然とした夢に、それに辿り着く道筋も、方法も未解明で不透明。

 先行きなんて、全く見えない。

 

 それでも、俺は――

 

◇◇◇◇

 

「ねぇ、アルク?」

 

「うん?」

 

「アルクは、これから――どうしていきたいの?」

 

 怒涛の展開が巻き起こった自己紹介を終えた後。

 俺は、ノルにすべてを打ち明けた。

 今までのこと、つい先ほどまでの事。

 そして、前世の記憶についても、嘘偽りなくすべて。

 

 話の最中、ノルは一言も口をはさむことは無く。

 時には楽し気に笑ったり、時には怒るように頬を膨らませたり、時には悲し気に目を伏せたりと、

 表情豊かに、俺の話を最後まで聞き届けた。

 

 それを真摯に受け止めようとする彼女だから、これからの事を聞いてきたのだろう。

 神秘的な光を放つ青紫色。

 そこには、肯定も否定も、同情も蔑みもない。

 真っ直ぐな光を放ち、呼びかけてくる。

 

〝求めるの?……それとも諦めるの?〟と。

 

「……わからない」

 

「……」

 

「判らないんだ。

 ここで止まるのか、それとも進むみたいのか。

 俺自身の答えが――正解が判らないんだ」

 

 だから、俺は嘘偽りのない本心を吐露した。

 俺のすべてを唯一知っている彼女なら、何か答えてくれる気がして。

 何かを見つけてくれる気がして、そう打ち明けた。

 

「……アルク」

 

「ふごっ!!にゃ、何を?」

 

「……それを、私に求めちゃ駄目だよ」

 

「っ!!」

 

 両頬を固定するように包み込んで、彼女は少し怒ったような瞳を覗かせる。

 なんで、と正直にそう思った。

 瞬間、絶望の波がまたも引き寄せてくる。

 君も、教えてはくれないのか、差し伸べてくれないのか。

 

「勘違いないで、アルク。

 アルクが出した答えを応援したいから。

 だから、アルク自身が求めだした答えを、私は知りたい」

 

 優しい笑みを浮かべ、ノルは包み込むように抱き寄せる。

 心地よい熱と鼓動に、早くなっていく動悸が、徐々に収まっていく。

 

「……道しるべもなく、明確な方法もない中。

 アルクは進んできた。

 長く辛い年月を、たった一人で」

 

「……」

 

「確かに、あのハンターは正しいのだと……私は思う。

 魔法なんてものはないし、言葉もない。

 でも、だから私は……それが何?って思ったよ」

 

「それは……どう、いう?」

 

「だって、そうじゃない。

 あの正しさは――ジークと呼ばれたハンターが。

 途方もない旅路の中、導き出した答えであって。

 貴方自身の答えじゃないわ」

 

 優しく語った彼女の言葉に、頭の中に覆われた霧が晴れていく。

 冷めかけていた熱が戻ってきたように、ある言葉が心の底から湧き上がった。

 だが、これは感情のコントロールを失ったがゆえに出てきた身勝手な思いだ、と言葉を押さえつける。

 

 この答えはきっと間違えてる。

 あれほど否定されたのに、追おうとするなんて馬鹿げている。

 必ず周りを傷つけ、自分にも傷をつける。

 なのに、だというのに……俺は。

 

「生き物、誰しも間違えを犯さない、なんてありえないわ。

 間違えがあるからこそ、知識と経験を得て、生きる活力を生み出す。

 だから間違えたっていい」

 

「……っ」

 

「堪えなくていいんだよ、アルク。

 夢を追いかけることに、間違いなんてないんだから」

 

「……っぐ!お、俺。は」

 

 口を開いた瞬間、情けないがせき止めていた熱が止めど無く溢れる。

 その間、ノルは優しく背中を擦ってくれた。

 抑え込まなくていいと、諦めなくていいんだよと、言葉にならない思いが体温を通して伝わってくる。

 

 その思いに、俺は答えを導き出す。

 どれだけ傷つこうと、どれだけの困難が待ち受けようと。

 

 この答えは――間違ってないはずだから。




ここまでお読み頂きありがとうございますm(_ _)m
これは、練習用で書いた作品ですので、
感想やご指摘などを書いて頂けたら嬉しいです。

改めて補正し直したものを、4月から本格的に投稿していこうかと考えておりますので。
どうぞ、よろしくお願いします«٩(*´ ꒳ `*)۶»
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