angels in the mirors〜電脳サンタの終末記〜   作:選ばれざるオタクⅡ

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 番外編なので初投稿です。

 魔法少女以外存在しないちょっと不思議な世界()で頑張る鈴音ちゃんと帆奈ちゃんのおはなし


朝ごはん

 

 闇

 

 ただ只管に闇が広がっている空間

 

 

 私は落ちる

 

 重力加速度に身体を委ねて、身体も心もどんどん堕ちてゆく

 

 

 光

 

 

 堕ちる先に小さな光が見える

 

 

 

 

 それは救済と解釈する事も出来るが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 より深くて不快な穴へと誘う疑似餌かもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いだっ

 

 

 

 闇の中で急に地面に叩きつけられた

 

 

 

 光はガラスの地面の更に下にあるが、頭から墜ちた私からドクドクと流れ出す鮮血によってあっという間に覆い隠されてしまう

 

 

 

 

 

 出口はどこ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新たな光が見える。

 

 

 

 

 

 

 ガラスの地面を歩いて、そちらに向かってみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして、また透明な壁にぶつかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新たな光。

 

 

 

 

 見えない壁。

 

 

 

 

 

 

 

 その繰り返し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うんざりしたから、私は飛んだ

 

 

 

 もう光なんて見たくない

 

 

 

 

 

 

 何も見えない闇が良い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、柔らかいナニカに包まれた

 

 

 

 

 

 

 緑青黄 そして紫

 

 

 その中で私は溶けて、灰になった

 

 

 

 

 

 灰は、緑と混ざり合い、機関車になって行ってしまった

 

 

 

 青はその機関車の車掌になった

 

 

 

 黄はその機関車の武装となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 灰が消えた、私は残った

 

 

 

 何故?

 

 

 私は溶けてなんかいなかった

 

 

 

 

 

 一緒にいて一緒じゃなかった

 

 

 

 

 

 気がついたらまた闇のなかを堕ちている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あんなにうんざりした光でも、今はなんだか懐かしい

 

 

 

 

 

 でも、どうせそこに『私』の場所は無いだろう

 

 

 

 

 

 

 

 あの光は『光』ではない紛い物

 

 

 

 

 

 

 

 

 せいぜい光り輝いて、勝手に燃え尽きてろ

 

 

 

 

 

 そんな呪詛を吐き散らす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、紅く染まった地面が見えてきた

 

 

 

 

 前に私が墜ちた場所だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別に死なないが

 

 

 

 

 

 

 痛いのは、嫌だなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからといって、何をすることもできない

 

 

 

 

 

 

 灰を失った私に飛ぶことはできない

 

 

 

 

 

 紅で塗りつぶされて見えないが、もう光は私の前に現れないだろう

 

 

 灰を失った私に利用価値は無いだろうから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだか何もかもがどうでも良くなってきた

 

 

 

 

 

 

 

 そして、再び私は地面に墜ちた。

 

 

 

 流れ出たのは青の液体

 

 

 

 キラキラと反射する青が、赤と混じり合って………

 

 

 

 


 

 

 

「ん……朝か。」

 

 

 開いた視界は赤みを帯びた紫髪でいっぱいだった。見慣れた光景だ。目覚めはいつもこうじゃないと。ついでに髪の中に顔を埋めて思いっきり空気を吸う。いつものルーティーン。濃厚な帆奈成分が摂取出来るのでコスパが良い。だいたい一日持つ。目も覚める。

 

 一通りチャージを終えた私は、寝袋のジッパーを開けて上体を起こして首をコキコキ鳴らした。なにか、恐ろしい夢を見ていた気がするけれど………残念ながら覚えていない。

 まぁそもそも私は織莉子じゃ無いし、今は予知の魔法をセットしているワケでも無いので予知夢という事は無い筈だから、ただただ単に疲れていただけだろう。

 

 テントの室内の動きを感知すると静かな稼働音を響かせながらテント内の気温を上げ始める。いつもどおりの反応は、不穏な夢なんかに振り回されそうになっていた自分が馬鹿らしく感じた。

 

「ふわぁ……」

 

 のそのそと寝袋から這い出て入り口のジッパーを開ける。『起きたらすぐに周囲の敵影確認』いつの間にかこの身に染み付いていた、この世界を生き抜く防衛術の一つ………なんだけど、開かれたジッパーからは氷点下の冷気がテント内に侵入し、更に日光が積雪や周囲に散乱していた鏡に反射して私の寝ぼけ眼に突撃をしかけて来た。

 

「ゔぇ……」

 

 『寒さ』と『眩しさ』の不意打ち染みたダブルパンチを受けてしまい、思わずゲンナリとした声が漏れる。オマケにテントの周囲には使い魔の死骸と体液が散乱しており足の踏み場も無い有様。勿論、日光を反射した鏡も野生の『使い魔』の死体である。(勿論だがミラーズの使い魔では無い。ミラーズはウチの相棒の頭の中)

 朝っぱらからこんなものを見せられて喜ぶような人……いや、人間はもういないのか。喜ぶような魔法少女なんてのは単純に趣味が悪いのか、狂気に染まってしまう程に余裕が無いのか、はたまた唯の戦闘狂なのか……幸い私はどれにも当てはまらないので、気分が悪くなるだけだ。戦っている最中はどんなにグロいの見ても不快に感じないのにね。

 

↘ 不調 

やる気DOWN

やる気が下がった

賢さが5下がった

「偏頭痛」になってしまった

 

 脳内に浮かんだウマ娘風のメッセージにクスリと笑う。そもそも私は偏頭痛にはならない。『普遍的状態異常(筋肉痛や寝不足、風邪など)常時無効』のスキルのおかげ。

 

 ちなみに、他にも『精神攻撃耐性(弱)』とか『常時回復(弱)』等の便利スキルが魔王軍に所属すると無料で支給される。

 魔王様曰く「え?流石にこの程度の耐性は標準装備として支給するわよ。対して費用もかからないし、無駄なことで穢れを貯めてる余裕なんて無いし」とのこと。

 私も最初の頃は「いや、”魔女のくちづけ”の効果を完全に無効にするような耐性が(弱)ってどういうことなの……?」と宇宙猫状態なっていた。(華々莉の大馬鹿に貫通されて泣く泣く素材払って『精神攻撃任意無効』のスキルを取ったけど。)

 『常時無効』にすると精神が完全に凍って機械人形と化すのでおすすめはしない。

 

 いや本当、調整によるスキル編成にはいつも大変お世話になっている。特に最初に支給される『魔力変換(生命活動)』のスキルには何度命を助けられたことか……コレがあれば魔力がある限り、何も食べなくても、いくら眠らなくても、問題なく活動できるっていうんだから、もう本当にスキル様々である。

 

 あぁ〜…でも、昔は魔法少女が如何に『人間』とは別種の生命体であるかって事が嫌でも認識させられたなぁ。いや、別に『人間』自体には微塵も期待はしていなかったし、そもそももうこの世界にはもう(一部の例外を除いて)存在しないのだけれども。

 

 はぁ………だめだ。話が逸れた。いい加減寒いのでジッパーを閉めよう。

 

(ちなみに、このテントは雪原のど真ん中にある一本杉の足元に設営していた。この雪原は半径10キロ程度はなにもない雪原が広がっている。この雪原は昼間は周囲の森に使い魔スポーンが吸われてるから、ほぼ安全地帯だったことに気がついたのは随分と経ってからだった。私は無駄にテント内の気温と気分(やる気)を下げていたことになる。……何をやってるんだか。)

 

 未だに本調子では無い頭を起こすため、私は狭いテントの中でバッグから三脚とコッヘルを取り出す。三脚と言ってもキャンプ用の小さなモノで、コッヘルと地面の間に少し空間を空けられればソレでいい。もうひとり(ウチの相棒)がまだ入ってるせいで未だに片付けられない寝袋を隅に蹴っ飛ばして、十分なスペースを確保して三脚を展開する。

 

「ぐぇ」

 

 ………何か聞こえた気がするが無視だ無視。どうせいつもの寝たフリだろう。しばらく付き合ってあげないとヘソを曲げるが、昨日付き合ってあげたのでここしばらくは無視で大丈夫。そんな事よりも今は自分のメンタルが大事。

 

 

 

 さぁ、変身だ。

 

 いつもと同じように指輪(ソウルジェム)に魔力を通す。

 すると、今現在着ている寝間着が魔力によって一時的にソウルジェム内のストレージに転送され、新たにまるで下着もかくやといわんばかりのインナーとホットパンツが装着され、ワンテンポ遅れて生成された灰色のコートが宙を舞ってから羽織られる。有り体に言えばいつもの魔法少女衣装である。もっとも、今は狭いテントの中なのでコートを羽織る変身プロセスはカットし、生成すらしていないが。

 

 何の変哲もないテントの中であぐらをかきながらだとしても、やはり変身すると心が引き締まる。

 

 

 こんな魔法少女だけのポストアポカリプスみたいな時代では、変身を解いて人間に擬態する意味もあまり無いし、むしろ四六時中変身している魔法少女の方が一般的なんだけれどもね。

 私達のような『外』に出て魔女や使い魔と戦うような………所謂(いわゆる)戦闘職に就いている魔法少女だと、特にそういった部分が杜撰になる()が多かったりする。

 そもそも魔法少女にとって魔法少女態の方が本物の身体というか本体というか……あぁ、でも本体はソウルジェムだからどっちも本当の身体では無いのか。

 まぁ、人間態でも魔法少女態でも魔力消費量とかに差は無いから、咄嗟の戦闘に対応できる魔法少女態の方がメリットは大きい。

 

 

 まぁ私が変身を解いて寝ているのはテントの中が狭いという事よりも、相棒(寝袋の中のねぼすけ)に合わせている部分が多い。あの衣装、確かに可愛いけど寝っ転がると金具部分がゴツゴツして痛かったりするから……私のコートみたいにパージ出来るものでも無いのでウチの相棒はリラックス時は人間態で生活してるからそれに引っ張られて………

 あとは私も相棒も『変身』という行程が好きなだけだったり

 

 

 ………ま、要するに深い意味はあんまり無いのだ。

 私達は基本的に不都合になる事()()は全て気分で決めている。

 何者にも縛られず、気ままに、やりたいように、自由に生きる、それが我らが魔王軍のモットーの一つだから。

 

 

 

 

 それは置いておいて、魔法少女に変身したのは朝ごはんを作るため。

 

 とりあえず虚空に手をかざして私の固有武器(赤い刀身のカッターブレード)を刃を展開せずに柄の部分だけ具現化させる。フォンという音と共にずっしりとした重みが掌に伝わってくる。あ゛〜カッコいい。(自画自賛)

 これ実は、持ち手に内蔵されているトリガーを引くと、この…剣の柄と言うには些か特徴的で無駄にしか思えない丸い装飾部分がCDプレイヤーのように開くギミックになっている。所謂魔改造武器、件、便利な調理道具でもある

 

 なんでこんな改造がされているのかとか、調理器具になるのかとか、そこらへんは私の固有魔法『倒した魔女の魔法少女時代の固有魔法をコピーする』能力が関係している。

 魔王軍に加わる前……と、いうか今の相棒の帆奈と出会う前まではこのコピー出来るストックは一つだけだったのだけれども、帆奈が勝手に私の魔法を上書きでコピーして、勝手に研究した結果『魔法少女の魂からコピーしている』事が発覚。その結果、魔法少女の魂を操れる今のリーダー(七海やちよ)と、安心と信頼のン我が魔王(暁美ほむら)による『暁美式科学魔術技術』とかいうオーバーテクノロジーによって当時の私が華々莉の大馬鹿に操られて殺してしまた魔法少女の魂を私の中に憑依させられ、一つの枠を複数の魂で使い回す……というなんとも訳の分からないトンチキ染みたエピソードの末にストック制限から開放された歴史がある。

 その後、一人で二人の探偵(藍家ひめな&ヒコ)の固有魔法を使う事で、私がコピーした固有魔法を他の物体に移すことが可能になり、魔王軍開発部にお願いして固有武器にこの『DISC機構』を付けてもらった。

 で、その後なんやかんやあって色々いじくり回した結果が、コレ。

 ちなみに、開発部担当のン我が魔王(暁美ほむら)分体からは『光る!鳴る!魔法円盤剣DXすずねカッター!!』と呼んでいる。

 たしかにDX玩具みたいだけどさぁ……モノホンなんだから|CSM《コンプリートセレクションモディフィケーション》でいいと思うんだけどなぁ。

 あぁ……いや、大きい武器はCSG(コンプリートセレクションギガンティック)だったっけ?

 

 で、そんなロマンたっぷりのDISC機構内部には昨晩の戦闘時に使った基礎能力増強(ブースト)のDISCが入れっぱなしになっていた。今は使わないのでアリサのDISC(ブーストディスク)を外し、名も知らぬ魔女のDISC(水のディスク)を装填しよう。

 一通り体内で魔力を循環させてDISCを全体に馴染ませれば、後はいつも通りDISCに刻まれた固有魔法を起動して、水を生み出すだけ。

 

 すると柄から水だけで構成された刀身が形成される。所謂ウォーターカッターという名のアレだ。勿論、剣先からは水の流れを捻じ曲げて柄の方に戻るようにしているのでテントが切り裂かれるような悲劇は起こらない。(まぁこのテント、並の攻撃は弾き返すけど)

 そのため水の道筋がループするようになるので、武器として使う時は安定化させる為に道筋を(無限大マーク)のようにする。イメージとしてはゼル伝ムジュラの鬼神リンクの持つ両手剣が近いかな。

 

『液体系は加工の仕方が自由だから、発想次第で中々にカッコいい武器に仕上げることができるんだよねぇ〜』

 ウチの相棒(固有魔法研究家)の名言の一つ。

 

 ……でも、今回は水を出す為に発動させているので、そのままコッヘルへ水を注ぎ込む。

 今度見せてね。

 

 八分目程まで溜まったら魔法を止め、DISCの交換。使うのは、私が最も長く愛用してきた魔法……椿のDISC(魂の炎ディスク)だ。

 いつも通り手のひらに炎を宿すと、コッヘルの下にそっと置く。

 正直最初の頃は椿の魔法をガスバーナーとして使うなんてありえないと思っていたのだけれども……本人から許可された。むしろガスバーナーとしての使用を推奨された。

 

 しかし、相変わらずと言えば相変わらずだが、やはり終末後の世界はクソ寒い。

 椿の炎と魔力ヒーターのダブル熱源で耐えしのいでいるが、コレが無かったら普通の人間は凍死してしまう程度には低いと言えば、どれだけ一般人にとって過酷な環境なのか分かるだろう。

 ゆらゆらと揺れる椿の炎を見ていると、どうしても、昔の事を思いだしてしまう。

 まぁ能力のDISCが残っていた事だけでも十分ありがたい事なんだけれどもね。

 おかげで私達は今日も生き続ける事が出来たんだし。

 勿論、最大火力は本人がいた頃と比べれば落ちてしまっているけど……流石に水を沸かす程度の火力はお茶の子さいさい、朝飯前だ。(その朝飯を今作ってるんだよなぁ)

 

 

 ……なんとなく、ツバキのお守り(ライダーパス)を外して中に入っている白紙の紙(ブランクカード)を取り出してみる。

 

 私が犯してきた罪の証であり、かつての仲間との繋がりを示す証拠でもある。

 

 昔は私達に憑依していた皆の名前が書いてあった(姿が描かれていた)

 

 

「ツバキ、チサト、アリサ、ハルカ、マツリ………そして、カガリ」

 

 貴方達は今、何処にいますか?

 

 

 霊体のまま消えてないと良いんだけれども……

 

 


 

 

 あの日、たった一人の魔女によって、この世界は『終末』を迎えた。

 『大崩壊』

 私達はあの日の事をそう呼んでいる。

 ”アレ”はワルプルギスの夜とは比べ物にならない、規格外を超えた魔女だった。

 地球をまるごと魔女結界の中に取り込んだ魔女はン我が魔王(暁美ほむら)配下の魔法少女によって編成された魔王軍(見滝原・神浜マギアユニオン)による、ありとあらゆる犠牲を無視した猛攻によってなんとか討伐された。

 

 しかし、魔女は消滅の間際、最後の置き土産としてトンデモない事をしでかしていきやがった。

『地球の大気圏と、自らの魔女結界の融合による地球全体の魔女結界化』

魔女の周りにいた魔王軍の魔法少女(見滝原・神浜マギアユニオンの主戦力全員)の分断』

 この2つ。言葉にするとそれだけでも、世界に与えた影響はそれはもう凄まじいモノだった。

 

 

 まず、魔女結界が強引に地球の境界である大気圏と融合された事により、元地球の残骸である『街』と元魔女結界の『外』という2つの概念が誕生

 『外』とは様々な種類の魔女や使い魔が魔女結界の力によって復活し闊歩する魔境で、今の地球は大部分がこの『外』に置き換わってしまっている。

 『街』とは魔女や使い魔が復活しない安全圏……なのだけれども、せいぜいが半径数km程度の広さしか無く、また他のどの『街』とも数十km以上は離れている場合が殆ど。

 いや、便宜上『街』と呼んではいるが、その実態はほとんどが人っ子一人住んでいないゴーストタウンだ。

 元々住んでいた一般人や、他の街の弱い(調整を受けていない)魔法少女は融合時の急激な環境の変化に耐えきれず死亡したと考えられる。

 そして、私達魔王軍(ユニオン)の魔法少女は数人ずつに分けられて世界中の『街』にワープさせられたという訳だ。

 

 

 

 要するに、現実がRPGゲームのような世界になった。

 ………いや、普通の現実世界から魔界へ急転落下とか、メガテンかよ。

 流石に笑うしか無い。私たちは嘲笑った。

 そういえば、『大崩壊』やら『終末』なんて言葉はメガテンから名付けたんだったか……

 元は新西区だった『街』にいつもの5人(チームみかづき荘)でワープさせられた私達は運が良かったが、知らない街に、あまり組んだことの無い組み合わせで飛ばされた魔法少女達もいる。

 そして、なんとも厄介な事にどの街の魔法少女達も(少なくとも私達が出会ってきた魔法少女は)魔王軍本部(ピュエラ・マギ・ホーリー・デクテット)と連絡をとる手段を持っていなかった。

 それは実質的な上層部の崩壊を意味する。

 魔王軍は、全体の最終的な決定権をほぼ全てン我が魔王(暁美ほむら)に任せていたが故に*1

 分断されてしまった以上、統率が取れずに空中分解……

 

 

 

 

なんて事にならないのが、我らが魔王軍(ユニオン)だ。

 

 と、いうかそもそも。

 魔王軍はその名の通り『見滝原・神浜魔法少女(マギア)連合(ユニオン)』なのだ。

 その前身は見滝原を治めていた『ピュエラ・マギ・ホーリー・デクテット』と、神浜を治めていた『西』と『東』と『中央』なので当時の指揮系統の名残はそのまま残っているし、

 ()()ン我が魔王(暁美ほむら)がこういった対策を施していないハズが無い。

 そもそも美国織莉子の『予知』によって、この未来は()()()()()()()()として周知されていた。(オリコサンスゴーイヤッター‼)

 

 その為、分断された魔王軍はパニックになる事もなく、各々が自分に出来ることを着々と熟していったのだ。

 

 ある者は街の周辺に湧く使い魔や魔女を討伐しグリーフシードを集め、

 ある者はゴーストタウンとなった街を発展させ、

 ある者は他の街との交通インフラを整え、

 またある者は食料を生産し、

 またまたある者はこれまでと変わらず魔法少女達の娯楽(ニコニコ動画・pixiv・ハーメルン等など)を作り続けた。

 

 そして私達二人は魔王軍の中で最も重要な任務に就いている。

 『ン我が魔王(暁美ほむら)魔王軍本部(ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット)の捜索』である。

 ついでに、途中で見つけた未発見の『街』に通信インフラを届けるのも私達の仕事……というかあまりにもン我が魔王(暁美ほむら)達が見つからなさ過ぎて、ほぼコッチがメインだったりする。

 あの、私達から見てもバケモノ集団のことだから、こんなにも見つからないとすると意図的に隠れているのだろうけど……何があったんだろうね?

 分からないので、今日も私達は地図の無い『外』を彷徨っているのだ。

 

 ゲームに例えると「DEATH STRANDING」

 国道復旧頑張るぞー。

 

 

 まぁ、ここまで『如何に魔王軍がこの状況に対応しているか』っていう感じで語ったけど、こんな一番重要な任務に駆り出されているのが()()()()()()っていう時点で、実は魔王軍もギリッギリだって事だったりする。

 

 いや、本当に人手が足りなくて困る。

 まぁ未だに合流出来た魔法少女が少ないってだけなんだけども

 

 

 

 

 

 

 

「………熱っ」

 と、グチグチ文句を言っていたらお湯が湧いていた。

 

 マグカップにインスタントコーヒーの粉を入れてお湯を注ぐ。

 コーヒーが好きな人は豆から挽いたりするのだろうけど、私は良し悪しが分からないので市販品。

 悪かったな、貧乏舌で。

 

 

 

 

 コーヒーで一息ついたら、ホットサンドメーカーを取り出す。

 某リロ氏(某の意味が無い……)が毎日動画にして投稿していたように、HSM(ホットサンドメーカー)には無限の可能性が秘められている。当然、上層部がどっぷりネットの海に浸かっていた魔王軍(ユニオン)では、加入時に初期装備として配布される。使い方動画として某リロ氏の動画と共に。そのため、魔王軍の魔法少女の大半はHSMを愛用しているのだ。

 

 しかし……残念ながらリロ氏はこの終末のせいで死んでしまっただろうな。

 リロ氏がTSしてロリ氏になっていて、大崩壊の日の前までに魔法少女になっていて、かつ、どこかしらで調整を受けて魔王軍と同じぐらい強くなっていたのならば、生きているかも知れないけど……まぁ、かなりあり得ない話だろう。

 大崩壊によってネット文化を彩ったレジェンドの一般人が大勢死んでしまったのは非常に悲しい。

 

 これも全て”アレ”を生み出したマギウスって奴の仕業なんだ。

 おのれマギウスゥゥッ!!

 ゆ゛る゛さ゛ん゛!゛!゛!゛

 (責任転嫁の豪華三本立て)

 

 だがしかし、寝起きにあんなカロリーのバケモンを食べれるはずもないし、作る気も無いので、

 普通に片面で目玉焼きを作って

 もう片面ではパンを軽く焼いて

 そしてセットしていた速攻魔法超融合を発動!!

 あっという間に目玉焼きサンドの完成。

 仕上げはマキシマム。HSM同様、初期支給品。

 

 いや、本当にお手軽すぎて困るんだコレが。

 朝の新聞配達時代にコレを知っていたらもう少し楽だったんだけど……

 

 

 

 朝ごはんを食べながら、スマホを起動。*2

 

 む、夜の間にニコニコ動画の動画投稿通知が届いていたが、無視して魔王軍(ユニオン)掲示板を開く。

 

 この終末では、電波なんて飛んでいないが、代わりに魔力波はビンビンに飛び回っている。

 『街』から一定範囲内なら『街』の拠点から放たれている連絡用魔力波(通称、魔力インターネット)を受信出来るが、範囲外に出てしまうと圏外になってしまう。そして、魔力波インターネットに繋がっていない『街』に送受信用の機械を届ければその街を中継地点にして魔力波の範囲を増やす事が出来る……

 

 ………このシステム、本格的にデススト染みてて初見時はみんなで笑った。

 

 あれ?みんなで笑った記憶ばっかりだな?

 嫌な記憶よりはよっぽどマシじゃ。

 そうだね。うん。

 

 

 

 で、この魔王軍掲示板はその魔力波インターネットが通っている地域の魔法少女が書き込む掲示板だ。

 どうでも良いような暇つぶしスレもあれば、仕事の受注、依頼、報告等を掲示板上で行う場合もある。

 ちなみに、掲示板もあればTwitterもあるのだが、こっちはあんまり真面目な内容は少ない。

 どっちかっていうと趣味の話をするのがTwitterの役割になっている。あと、動画とか作ったゲームとかの宣伝。

 

 さて、目玉焼きサンドをMGMGしながら流し読んだ感じ、あまり報酬の良い依頼は無かった。

 ため息と共に魔王軍掲示板を落とし、ソシャゲのデイリーボーナスとデイリーミッションを回る。

(当然、既存のゲーム会社の社員も全滅していたので、魔王軍が勝手に入ってサーバーやらなんやらを復旧した結果、前と変わらずにプレイ出来るようになった。運営が魔法少女になったおかげでお金を回収する必要性が薄くなり、ガチャ石が前よりも豪勢に配られたりしている。問題は予定として形になっていたアプデを終えてしまうと続きが無いということ。現在、掲示板やTwitterではコレをどうするかで絶賛議論中。)

 

 で、それら全てが終わる頃にはもう目玉焼きサンドは胃の中に収まっていた。

 

 

 さて、やることが無くなってしまった。

 いや本当はやらなきゃいけない事なんて腐るほどあるんだけど、ただでさえ昨晩の悪魔の如き連戦で疲れ切っているのだから……魔女達がスポーンしてくる夜まではまだたっぷり時間はあるのでゴロゴロしていたい。

 

 何度吐いたかわからないため息をつき、変身を解いて寝間着に戻る。先程隅に蹴っ飛ばした寝袋からは、見慣れた紫髪がはみ出ている。私が起きてから優に一時間は経っているハズなんだけど……

 暇を持て余した私は寝袋を元の位置に戻して再び潜り込んだ。

 

 

 XLサイズの寝袋といっても、流石に二人で入ると狭い。

 故に、私は目の前のねぼすけ(帆奈)懐炉(カイロ)呼ばわりしていたりするのだけれども……

 

「しかし……この子は何時になったら起きるのか。」

 

 こっちは暇すぎて仕方がないのだ。いや、別にこのまま二度寝でもいいんだけど…

 このねぼすけ懐炉(更紗帆奈)の頬をむにーっと引っ張る。

 いい加減起きなさいよ。

 

 そんで、私に構え。

 

 歪に開かれた口の端から帆奈の唾液が零れ落ちる。

 特に何も考えず私はソレを舐め取った。美味い。

 

 

 

 さっき椿達の事を思い出してしまってから、どうにも心に穴が空いている。

 いや、この穴はずっと空いていた。ただ単に、見ないようにしていただけ。

 

 

 ……寒い。

 

 ヒーターはしっかりとテント内を過ごしやすい温度に保ってくれてはいる。

 でも、寒い。

 

 寒いから、私は、このでかい懐炉(可愛すぎる私の帆奈)に抱きつく。

 これじゃあ懐炉じゃなくて抱きまくらだな……少しずつ、寒さが和らいでいくような……

 

「ッッ……!!!」

 

 やわらかな双丘をふにふにしてると、懐炉が懐炉らしく真っ赤になった。まったく、なんでこんなに育ってるんだコイツ。私よりも大きくて興ふ………じゃなかった、腹が立つ。

 そんなふにふに懐炉は私から逃げるように身じろぎをするけれども、せっかくの懐炉だ。絶対に逃してやるものか。

 

「っ……あ〜の〜さ〜ぁ〜ッ!」

 

 耐えきれなくなって、帆奈(獲物)が私の方を向いた。顔と顔の距離、数センチ。

 

 ハイ。捕 ま え た ♡

 

 

 

 

〜二時間後〜

 

「で?今日は何時間前から起きてたの?」

 

「…すっ、鈴音(すじゅね)が…、起きる……?…ッ2時…間くらい…前……?」

 

 この懐炉は、懐炉のクセして私よりも早起きなのである。正直、そんなショートスリーパーで体が休まっているのか甚だ疑問だが……ま、それはそれとして、私は何回もコイツのイタズラの餌食になってるのだ。

 

 襲うのは襲われる覚悟があるやつだけって事で…

 

 いやぁ、朝っぱらから致すのは流石に疲れるけど、効果バツグンみたいで、いやぁよかったよかった。

 

 

「よぐなぁい!!」

 

 

 ぐちょぐちょになった顔で悲鳴をあげる帆奈は可愛いなぁ……

 

 

*1
なお、その決定権を持つン我が魔王(暁美ほむら)は数え切れない程の分体を保有しており、随時分体で起こったことは本体が把握していたので、組織としての動きはむしろ早かった

*2
当然、普通のスマホは『外』で使える訳が無いので魔力で動く『暁美式科学魔術技術』産のバケモンスマホ。大きさ自由自在だし、どんなにアプリ入れて並行して実行させてても一切重くならない異次元のストレージを持つ。




 ボクのTwitterをフォローしている人なら、「☆ちょこっとアリナレコード★」がついたツイートによって大体設定を知っていると思うのですが、
 初見さんや、作者のTwitterなんて知らねぇよ!!っていう人の為に
 近いうちに設定集みたいなモノを投稿する予定です。
 現在進捗67%


 気長に待っててくださいね
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