クソ、ブラック企業め!   作:白痴の蝸牛

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 息抜き会になります。普通に下ネタ注意なのでお気をつけて。あとオリオペがもう1人出てきます、創作カプ苦手な方はご注意を。(クソ今更)


番外編・とあるロドスの一室にて

 やあ、私はロドスで戦術指揮官を務めている者だ。諸事情により自分の名前は思い出せないが、みんなにはドクターと呼ばれている。

 唐突だが人の集まりを組織と呼称する場合、それは往々にして一枚岩にはなり得ない。ロドスはその体現といえるだろう。ロドスの思想に同調する者、協定を結ぶ他社から派遣されている者、レユニオンからの離脱者、または単純な鉱石病患者。テラの大地広しと言えどここまで多様性が集まる組織は存在し得ないと断言できる。

 

 そういった組織では運営方針や意思決定のために会議をする。実は私はそういった会議が好きだったりする。舵取りというものが性に合っているのだろうか。そしてただいま私はその会議を開こうとしている。招集をかけたのは私を除き3名。

 

「ドクター様、吾輩たちはなぜ集められたのでありますか?」

 

「もう少し待ってくれジョシュア。あと一名が到着していない」

 

 彼の名前はジョシュア。一言で彼を表すとしたら天才という言葉が相応しいだろう。弱冠17歳で医師免許を取得し、今年で20歳ながら医療オペレーターとして艦内、戦場と場所を問わずその腕を振るって貰っている。ワルファリンをして彼が居ればロドス医療部の未来は明るいと言わしめ、あのケルシーすら段々飛ばしに才能を開かせるジョシュアの姿を見て喜びと期待のあまり微笑を浮かべるというのだから驚きだ。

 

「あと1人の方は僕やジョシュアさんと共通性を持つ人物ですか?……というか僕とジョシュアさんの共通点がわからないんですけど」

 

 見た目から予想できる年とは不相応に落ち着いた様子の彼の名はバイソン。大企業フェンツ運輸の御曹子であり、今は社会経験の一環としてペンギン輸送、そしてその協定先のロドスでオペレーターとして席を置いている優秀なトランスポーターだ。

 

「確かに。吾輩とバイソン君はそこまで関わりのある方ではないのでありますが」

 

「その内分かるさ。彼が到着すれば君達も納得する筈だ」

 

「うむ……バイソン君はなにか思い当たる節などありますか?」

 

「……いえ、これといった共通点はありませんよね?種族も僕はフォルテでジョシュアさんはドゥリン族、オペレーターとしての所属も医療と重装。あまりプライベートでの関わりはないので趣味などはわかりませんけど……」

 

「いや、趣味では無いね。ヒントを言うなら環境かな?」

 

「……バイソン君。今あまり良くない予想ができたのですけども言ってもよろしいかな?ああでも……」

 

「すごく気になる言い方ですね。僕は見当もつかないので大丈夫ですよ」

 

「いやぁ、当たってほしく無いのだけども。ここでカクヨウ様が来られたら吾輩たちには女難っていう共通点が「おーっす。遅れてすまん!シャイニング口説いてたらニアールにぶっ殺されそうになってな!」ある、ことに、なるん……ですけど……も……」

 

「ああ……」

 

 うーん、実に素晴らしい思考力だね。流石はケルシーとワルファリンが認める天才だ。多面的な物の見方ができて悪い予感が当たるっていうことは指揮官としての才能があるってことだね。

 バイソンも納得したのか死んだ魚みたいな目をしている。強く生きような少年。

 そう、今回集まったこの4人の共通点。何を隠そうロドスの誇るチーム『女難』の秘密会議なのだ。

 

 

ーーー

 

 

 

「んで何?女難?別にんなこたぁねぇだろバイソン以外。ジョシュアもドクターもモテるが女難ってほどではなくね?」

 

「さらっと僕だけ女難なのは確定なんですか。ていうかカクヨウさんも大概僕と変わりませんよ、断言できます」

 

「同意であります」

 

「右に同じ」

 

 ロドスのキング・オブ・女難ことカクヨウ。またの名をヒモに引っかかる女製造機(ただ今命名)。彼が起こす問題の7割は女性絡みで残り3割は設備の破壊だ。

 

「俺のどこが女難だってんだ。この前のバレンタイン、チョコひとつも貰えなかったぞ。ひとつも。ひとっつも」

 

「どれだけ引きずるんですかそれ……代わりにエク姉がアップルパイ焼いてたじゃないですか」

 

「あれはいつも通りに作っただけだろ?その前の日もそのまた前の日も食わされたぞアップルパイ」

 

「エク姉……『こっちの方がカクヨウ意識してくれるでしょ!』って言ってたのに……普段から振る舞いすぎて逆効果だよ……」

 

「サリア主任からも何か貰っておりませんでしたか?珍しく可愛らしい包装がされた小包みを持っていらしたので目を惹かれたのを覚えております」

 

「あれな、中身なんだったと思う?よくわからん形したカルシウムの塊だったんだわ。意味不明すぎて本人に聞いたら顔真っ赤にして『私の角の一部だ、指輪状に加工してあるから身につけてくれ』って言われてびっくりしたね。ヴィーヴル流の親愛表現だったりするのか?」

 

「主任……重い、重すぎます……」

 

……『ヴィーヴルが角を他人に触らせるのは滅多にある事ではなく、自身の肉親にすら触らせようとしない者も少なくは無い。そんなヴィーヴルの誇りの象徴である角の一部を相手に贈るという意味は重く、一生を添い遂げると決めた相手へのヴィーヴル流のプロポーズに当たる。

 男性のヴイーヴルが新陳代謝で抜け落ちた角の一部を加工してアクセサリーを作り、それを女性のヴィーヴルが受け取って身につけることでプロポーズが成立する。

 この間お互いに口を交わすのは閨に誘う時のみであり、アクセサリーをつけるか返却するまでは会話をしてはならない』だったか。

 

 記憶を失った直後、空いた知識を補填するためにロドスの蔵書を読み漁った際にヴィーヴルの文化・歴史が纏められた論文にそう言う記載がされていたのを思い出した。……サリアのためにこれは黙っておこう。

 

「ちなみにカクヨウ、その指輪はどうしてるんだい?見た感じ今は付けていないみたいだけど」

 

「あー、サリアには悪いけど部屋に置いてありますね。付けてみようと思ったけど不思議なことに左手の薬指以外サイズが合わなかったんですわ、俺の流派だと剣を握るときに左手の薬指と小指が握りの要になるもんで全力で剣を握ると指輪自体が壊れちまう可能性あるから怖くて付けられないんですよ」

 

……カクヨウにしては殊勝な心遣いだが、それサリアからすればプロポーズの失敗になっていないか?たしかサリアが3日間の休みを緊急で取った日があったとケルシーから報告されたけどアレってもしかしてプロポーズが失敗して塞ぎこんでしまっていたのでは?……いや、やめよう。あまりに失礼な邪推だ。

 

 思考を変えよう。そもそもどうやってカクヨウの左薬指のサイズを把握したんだ?……いや、これも怖いからやめておこう。まずい、サリアが怖くなってきた。何を考えても闇に通じているじゃないか。

 

「それで今日がホワイトデーになる訳だが、お返しはしたのか?」

 

「一応さっきニアールから逃げながら渡してきましたよ。グムちゃんと一緒に焼いてたチョコクッキーがあったんでそれ渡しました」

 

 何をしているんだ一体。サリアからすれば奇行も良いところだ。……ん?いや?今クッキーを渡したって言ったのか?

 

「主任……!どうか……!どうか誤解なきよう……!カクヨウ様は絶対そんな意味があるなんて知りませんから……!」

 

「サリアさん……」

 

 ジョシュアとバイソンが両手で顔を覆って嘆いている。しかし『ホワイトデーにクッキーをお返しに選ぶ』という意味を知る者であれば今までの話の流れからその罪深さがわかる筈だ。

 

 ホワイトデーのお返しとしてクッキーが持つ意味は『友達のままで居ましょう』。

 決死の覚悟でプロポーズした挙句そんな遠回しに気を使うように拒絶されたらどうなる?私がアーミヤやケルシーに同じことをされたら首を括るだろう。

 

……いや、まだサリアがお返しに込められる意味を知らない可能性がある。バレンタインにチョコではなく体の一部を渡すほど妙なところが抜けているんだ、そっちの方が可能性が高ーー

 

 テロリン。

 

 この時間にPRTSからの通知?差出人は…ケルシーか。なになに…『いましがたサリアが1週間の休暇を申請してきたのだが、あまりにも精神面での衰弱が激しい様子だったので許可を出した。近いうちの作戦行動は小規模なものばかりなので極力彼女を編成に入れないようにしてくれ』……

 

………よし、見なかったことにしよう。

 

「?チョコクッキーはダメなのか?すまんすまん、あんまり詳しくなくてな。一点ものに釣り合うようなお返しなんて考え付かなかったんだわ。……あー!そういえば良いチョコが部屋にあったな。あとで指輪返しながら渡すか」

 

「あなた様はサリア主任のことが嫌いなのですか!?」

 

「え!?チョコもダメなのか!?……あとはもうマシュマロぐらいしか部屋に無いぞ?」

 

「いえ。もうなにもしないで下さいカクヨウさん。ちなみにマシュマロが一番ダメです。間違っても渡さないで下さい。サリアさん死んじゃいますよ」

 

「死ぬ!?マジで!?……ああなるほど!チョコとマシュマロはヴィーヴルが食中毒起こすのか!ペッローとか種族によってはチョコを一気に食うと腹下すもんな!確かにサリアとかリスカムがチョコ食ってるとこ見たことないわ!危ない危ない、毒渡すとこだったのか!」

 

「………」

 

「………」

 

 それは単に甘いものが好きかどうかの個人的趣向……ああもう、ダメだこいつ。

 

 

ーーー

 

 

 

「……もうカクヨウ様のことは良いので今回の議題を話してもらってもよろしいでしょうかドクター」

 

「……そうですね、僕も疲れてきたので早く帰りたいです」

 

「……そうだね。予想外の疲労だ」

 

 楽しみにしていた会議のはずが危うく裏で自殺者出るかもしれないという心労で一気に疲れがきた。ケルシーにはサリアの自室にイフリータを向かわせるように指示しておいたから多分大丈夫。恐らく。maybe。

 

「なんで三人とも疲れてんだ?悩みあるなら相談乗るぞ?」

 

 しばくぞ。

 

「まあ良い。……今回の会議は私たちの、ひいてはロドスの命運に直結するものと言っても過言ではない。心して聞いてくれ」

 

「ほう。了解致しました」

 

「………」

 

「へえ、楽しみだ」

 

 ジョシュアとカクヨウの目つきと纏う気迫が変わる。戦いを、命の取り合いを意識した目とオーラだ。ロドス屈指の戦闘力を誇るカクヨウ、戦場に在った期間こそカクヨウより短けれど何十という修羅場をくぐったジョシュア。実に頼もしい戦士2人が鋭利な牙を研ぎ始める。

 

「……このメンバーだと僕では役不足ではないですかね?」

 

「大丈夫だろバイソン。お前はお前が思ってる以上に有能だよ。そしてなによりもドクターがお前を選んだ。それで十分だろ」

 

「……恐縮です」

 

 少し自信がなさげなバイソンをカクヨウが激励する。バイソンも心なしか嬉しそうに口角を上げ、その目には闘志が宿る。

 カクヨウの将器は中々のものだ。虚を混ぜることのない演説で兵士の気概を一流のものに育てる、彼は確実に嫌がるだろうが私が教えれば素晴らしい指揮官になるだろう。……彼の戦地への情熱に負けていられないな。

 

「今回は猥談をしようと思う」

 

 

ーーー

 

「………」

 

「………」

 

「猥談ってアレか、スケベな話ってことか」

 

「そう。スケベな話だ」

 

 みんなの闘志が霧散した。肩の力を入れてする猥談なんて聞いたことがない。今ぐらいの脱力加減が良い頃だ、計算通りと言っておくか。

 

「………おいたわしやドクター様、理性が………」

 

「………」

 

 これがしたかった。だって考えてくれ、私らの周りは魅力的な女性ばかりだ。だがあまりにも女性に囲まれすぎている。この前"発散"したら直近のバイタルチェックでケルシーに『週2、3回ほどの頻度ですると体に良いぞ』とアドバイスされて自殺しかけたし、その1ヶ月後に耐えきれず自室のトイレで致そうとしていたらグラベルがノリノリで手伝おうとしてきて何もかも終わるところだったんだ。

 

 別の日には事が終わった後シラユキに『自分の他に見ていた人間は居なかったから大丈夫だ』と言われた時なんかモスティマから贈られた守護銃で自分の頭をぶち抜こうかと思ったほどだ。使い方がわからなくて事なきを得たが。

 

「わかってくれるだろう同志諸君。我々の周りには素敵な女性が多すぎる!ゆえにストレスと発散させるために会議を、性欲を発散させるために計画が必要だ!」

 

「……帰りましょうジョシュアさん。ケルシー先生にセクハラを受けたと報告しないといけませんので」

 

 軽蔑するような視線を向けて黙っていたバイソンがため息とともに立ち上がった。しかしジョシュアはというと、

 

「どこから話しますか?吾輩は一向に構いませぬ。最近だとガヴィルさんの水着が吾輩の股間に響「……なんでノリノリでウッキウキなんですか!?」……?どうしたのでありますか?バイソン君」

 

 これである。……やはり私の目に狂いはなかった。ジョシュアはスケベだ、間違いなく。それも割とエゲツない下ネタを笑顔で言えるタイプの。

 

「何故と言われましても。どうしようもない男のサガと言わざるを得ないでしょう?猥談が嫌いな男など話が通じるレユニオンより希少でしょうに」

 

「ええ……ジョシュアさんが、ええ……言葉遣いも丁寧だし、ドゥリン族特有の身長もあって…もっとなんかこう、潔癖でこの手の話なんて無理な人だと……」

 

「ふむ。清潔で品行方正と捉えられることに不快感はありはしませんが、独断と偏見は人を死に至らしめますよ。トランスポーターでも医師でもそれは同じ事でしょう」

 

「……なんで僕は下ネタ如きでここまで本気の説教をされているんですか……」

 

「所詮下ネタ、されど下ネタ、けれども下ネタ。性欲は人に備えられた欲求、切り離すなどできはしません。それにドクターのおっしゃる通り吾輩もなかなか『溜まる』ことが多いので。このような方法だろうと発散し損ねてうっかり医療部やライン生命の面々の前で不意に猥語を漏らしてみなさい。八つ裂きにされますよ。おっ勃てようものなら翌日からどんな顔で出勤すれば良いかわからないしお手つきしようものなら去勢間違いなし。はっきり言って生き地獄なのです」

 

「……やはり私が見込んだ通りだジョシュア。君の内包する性欲はなかなかのものとお見受けする。今ここでストレスとしてぶちまけてしまうと良い」

 

「このような場を作っていただき感謝が絶えませんドクター様。では不肖ジョシュア、最近のチンイラを吐き出させていただきます」

 

「(チンイラってなんだ……)」

 

「(チン○ンがイライラするって意味だよバイソン)」

 

「(!?脳内に語りかけてこないで下さい!)」

 

「スゥー……ロドス医療部は!なんであんなに!無自覚に性欲を煽る御仁が!多いのですか!」

 

「おお………やはり彼女たちはうら若き青少年にとって些か刺激が強すぎるか」

 

「確かに医療部ってガキンチョの性癖捻じ曲げそうなやつらいっぱいいるよな。パッセンジャーだったか?あいつ代表だろ。何があったかは詳しく知らんけどこの前ケルシー以外で勃たないって相談されて大変だったぞ」

 

 私とカクヨウが拍手でジョシュアの叫びを迎え入れる。パッセンジャーの件は聞こえなかったことにしよう、主に彼の名誉のために。

 

「ケルシー様!なんですかそのスケスケの服と無防備な脚と肩出しは!ワルファリン女医!なぜ冬に水着を着て艦内を歩き回るのですか!だからといって普段着の際ど過ぎるあのミニスカも大変けしからん!あと血を飲ませてあげた時に首筋をばっかり選ぶくせに『んぅ…』と悩ましい声をあげる癖は治していただきたい!」

 

「ミス・サイレンス及びミス・フィリオプシス!『鉱石病の罹患症状の一部として夜行性気質のリーベリは睡眠周期が著しく乱れる』というのは報告で聞いています、が!だからといって肩に頭を置いて寝たり羽で抱き寄せて私を抱き枕にしたり膝を枕にしたり机の下に入り込んで寝ないで下さい!『ドゥリン族は小さくて柔らかいから抱き心地が良い』?言い訳は聞いておりません!この前嫉妬に狂ったイフリータ嬢に焼き殺されるところだったのですよ!」

 

「ミス・ガヴィル!戦場機動時の行動服が気に入ったからといってショートパンツニーハイにヘソ出しで仕事場に来ない!ミス・ブリーズ!なんですかその谷間だけまっっったく隠せていない服は!ミス・ススーロ!あなたのタイツと儚さを伴う屈託のない笑みは健全な少年の癖を捻じ曲げますよ!ハイビスカス嬢はまあ…うん」

 

 なぜだ。ハイビスカスは良い子だろう。…まあ彼女がスケベかどうかは議論が必要ではあるな。

 息を切らしながら声を整えるジョシュア。私どこか彼を侮っていたのだろう。ここまでの慟哭が出てくるとは思わなかった。

 またもや大きく深呼吸しながら彼は最後に魂の底から叫ぶ。

 

「そして!誰よりも君だフォリニック!なんなんだ最近やたらと体を押し付けてきて!アレは意識するなという方が酷だろう!たまに結ってくるポニーテール似合っているね可愛いよ!しかしそのうなじはけしからん!それに吾輩が少しでも誰かのお御脚や谷間に目を向けると割と本気で殴ってくるのはどうなんだい!?ウルサス人の血を引いているのだから加減してくれたまえ!頭が割れる!」

 

 やはりフォリニック、彼女か。ロドスの中でもジョシュアへの彼女の執着は語り草だ。ケルシーの講義が開かれる際は必ず彼の隣に座るし課題やレポートは絶対に彼と共有しようとする。食事さえ同じ時間に同じものを隣同士で摂ろうとするしジョシュアが執刀したオペは必ず記録映像を確認し、要点と使用された医療技術をまとめた概要書を作成する。そしてそれを食らいつくように読み込んでは論理体系を広げていく。その妄執とも言える『天才』への憧れは留まるところをしらない。

 

「ハア……ハア……ふぅ。久方ぶりの賢者の時間、と言ったところでしょうか」

 

「……素晴らしい、素晴らしいよジョシュア」

 

「……………」

 

「お前も苦労してんだな」

 

 三者三様、それぞれ魂の叫びを終えたジョシュアへ労いの言葉と拍手を送る。バイソンは相変わらず微妙な顔をしているが。

 

「……下世話な話になるがジョシュアは"発散"するときどうしているんだい?」

 

「吾輩は普通に自慰か時間があれば風俗へ行っていますね。前に行った店のフェリーンのお嬢さんは中々にテクニシャンでありました。今度皆様もどうです?」

 

「ふむ。では今度共にしようではないか。……自慰の方のオカズは?」

 

「そうですなあ、お察しとは思いますが医療部の面々が過半数を占めているかと。最近ではミス・ガヴィルの水着姿とミス・パフューマーの柔らかいお手々を想像して失礼することが多いですね。しかしワルファリン女医の黒を基調としたあの衣装の脚にぶっかけというのも捨てがたい。シコリティの高さで言えばシンプルにシャイニング様のボディも素晴らしいかと」

 

「ぶふぉ」

 

 バイソンが吹き出した。生々しい下ネタに耐えられなくなったのだろう。

 

「咳き込んでいるところすまないがバイソン、次は君の番だ」

 

「……本当にしなきゃダメなんですか?」

 

「強制はしないさ。今更だが苦手なら退室しても構わないよ」

 

「まあ言いふらそうってわけでもねぇし、ただストレスになってるなら吐き出せって言ってるだけだ。軍隊で禁欲拗らせてストレスで体壊しました、なんて目も当てられねーしな。ドクターの計らいって考えれば良いんだよ」

 

「…………」

 

 ナイスアシストだカクヨウ。バイソンは自身の下事情を曝け出すことを恥だと思っているようだ。ならば何かしら理由を作ってそれを正当化してしまえばいい。

 

 それにしても……カクヨウは私が知る限りの人心掌握と団体の士気の上げ方を知っている。これは昔の私の入れ知恵に他ならないだろう。随分と私は彼に執心だったようだ。ケルシーから聞いていた昔の私の在り方からして何か一つでも手の内をすべて晒すということに忌避感を示しそうなものだが。まあ今考えることではないか。

 

「……知っての通り僕はペンギン急便のメンバーと行動する時間が多いです。エク姉、テキ姉、クロ姉、ソラ姉。みんな魅力的な方たちです。でも正直、全員女性としては見れないというか……」

 

「……」

 

「……」

 

 あまりに衝撃的すぎる言葉に私とジョシュアは固まってしまった。あれだけの美人たちを?女性として見れない?

 

「……イ○ポか?」

 

 直球すぎる!やめろカクヨウ!失礼だし万が一そうだとしたらどうするんだ!

 

「違いますよ!ちゃんと勃ちます!……その、なんていうかみなさんクセが強すぎて……エク姉とクロ姉は……ちょっと女性への夢が壊れるからパスで。ソラ姉はアイドルだからそういうことの対象として見れないというか……テキ姉は女性として憧れるというか、なんていうかカリスマ?に憧れる側面が強いんです」

 

「あー、なんかわかるわ。俺もエクシアはそういう対象じゃなくて友達でいたいというか。あいつの遠慮のなさは友人関係だからこそ心地良い距離感だよな」

 

「確かにテキサスのカリスマ性は少年が憧れるに相応しいアダルティな余裕溢れるものだな。本人はあくまで何も考えていないだけだからと否定するが、友人として彼女の品格を損なうことがないように私も心掛けているな。……どうしたんだ2人とも、私とカクヨウの顔に何か?」

 

「「……………いえ、なにも。」」

 

 ジョシュアとバイソンが何か恐ろしく軽蔑した視線を私とカクヨウに交互に送ってくる。はて。まだ何か心構えが足りないとでもいうのだろうか。しかしカクヨウにも視線を送るということは……………わからん。まったくわからん。

 

「2人とも言いたいことがあるなら「コホン。気を取り直しまして。バイソン君は溜まったときなどどうしているのですか?」……………」

 

 まいった。自分で考えろとのことだ。……まあ後回しで良いか。バイソンの発散のが気になる。

 

「……溜まったとき、ですか」

 

「いくら彼女たちを女性として見れないといっても、過酷な環境へのトランスポーターの仕事であったりロドスでオペレーターとして戦闘行動を続けていれば性欲が溜まるというのが自然なもの。なにも魅力的な女性を見つけたときのみ溜まるものではありませんからね」

 

「……これ本当に言いふらしたりしないんですよね?」

 

「ええ。同じ男として貴方が抱く性癖を馬鹿にすることなど絶対にあり得ません」

 

「……本当ですか?」

 

「ああ。ロドス・アイランド最高責任者の1人としてここに誓おう」

 

 落ち着かない様子のバイソンが意を決したように深呼吸を挟んでから己の性癖を暴露する。

 

「……最近だとエフイーターさんで抜きました」

 

「実に王道!バイソン!やはり君をこの会に招待して正解だったッ!」

 

「(無言でフィンガースナップの後バイソンへグッドサインを送るジョシュア)」

 

「ああー、あのカンフーパンダ。たしかちょっと前まで龍門で女優やってたよな」

 

 ものすごく顔を赤らめて恥じらう彼はもはや芸術と言っても過言ではない。

 

「いや、何も恥ずかしいことではないよバイソン。龍門育ちの男子は10割が彼女で初めての勃起を経験し、その内7割が彼女で精通すると調査結果が出ている。ちなみに私は彼女の太ももを泣きが入るまで舐め回したい派だが君は?」

 

「あの……穴から……」

 

「穴?」

 

「……胸元の穴から挿入してパ○ズリしてもらいたいです……」

 

「ッッッ!やはりエフイーター様はあのおっぱい!話がわかりますなバイソン君!いやぁやはり君は吾輩の刎頸の友になれる!今度おすすめの店にご招待致します!」

 

「えっあの……ありがとうございます?」

 

「その日は帰る時に連絡くれ。食堂の米メニューを全部赤飯にしとく」

 

「それは恥ずかしいからやめてください!みんなにバレたら僕死んじゃいますって!」

 

「うーむ。バイソンのお陰で最高の盛り上がりを迎えたところで次は私の番といこうか。カクヨウは最後を飾ってくれ。……コホン。やはり私としては最近のオカズはスズラーー」

 

 ドスッ。どさっ。

 

……!?体が動かない……!針、投擲、この症状……毒か麻酔の類いか!それも全身に作用する物!天井で待機しているファントムを出し抜いて私に攻撃を加えることができ、フードで隠した私の首にこうも正確に針を打ち込む技術を持つ物はこのロドスには1人しかいない!

 

「……!?敵襲でありますか!?」

 

「っ!?ジョシュアさん、支援の準備を!カクヨウさん臨戦体制をお願いします!」

 

「……いや、必要ねーよ」

 

「え?それはどういう……」

 

 バイソンが盾を構えて動けなくなった私を護るように注射器が飛んできた方向に向き合った。緊張と混乱が走り警戒するバイソンとジョシュアをよそにカクヨウは椅子に座ったままだ。恐らく彼もこれを投げた犯人がわかっているのだろう。

 

 無機質な艦内をカツカツとヒールで歩く音が響いている。あえて雰囲気のために暗くしていた廊下と部屋の境にある闇から襲撃犯はその姿を露わにした。

 

「……驚かせたのなら謝ろう。君たちの話を少し聞かせてもらった結果、早急な治療が必要だと判断したものでな」

 

「ケ、ケルシー先生!?」

 

「なんと、ケルシー様がドクター様を!?」

 

 やはり君か、ケルシー!

 

ーーー

 

「カクヨウ、情報提供感謝する」

 

 はあ、しょーもな。茶番だ茶番。

 

「いえいえ、いつも通りでしょ。ドクター理性がゼロになったらすぐ中学生みたいなテンションでバカやろうとするんだから。俺を会議に呼ぶ時点でろくでもないこと話すんだろうなーって思ってたんですよ」

 

 いちオペレーターを会議に、それも俺を呼ぶってことはこういうこったな。前に理性が無くなった時はLancet-2、THRM-EX、Castle-3に合体機能を付けて爆発する装甲を自己修復しながら敵を殲滅するロボットオペレーターを作るとか言ってたな。しかもそれをミーボよろしくラジコン操作でドクターが操るとかなんとか。アホか。勝ち戦で死体蹴りすんな。

 

 さらにその前はラテラーノで出土する守護銃と俺の刀を解析してロドスの一般オペレーターの主力装備にするとか。

 さてはお前ロドスが製薬会社っての忘れてるだろ?ちなみに俺は普通に殴ったしイグゼキュターからは凄い目で見られてた。ヴァルカンは賛成してたけど。

 

「カクヨウ!君が伏兵だったのかッ!いつからだ!?いつから気づいていた!」

 

「最初っからだよアホ。この茶番の前にケルシーセンセに会って信号借りてたんだわ」

 

「何!?だ、だって君はシャイニングを口説いてニアールに追いかけ回されていたって……」

 

「ああ、それ嘘だよ。いくら俺でも戦うことを嫌がる奴に立ち会えって言わねーよバーカ。……まったく、理性が尽きたらこの程度の策にも引っかかるくせに毎度毎度の会議場所は変えるっていう姑息さは残しやがって。お陰で普通に探したらぜってぇ見つけられねえんだから腹立つぜほんと」

 

……まあ一回実際に果し状を送ってニアールに本気のゲンコツ落とされたことはあったが。シャイニングが剣の達人って風の噂で聞いたんだけどどうも裏が取れねぇんだよな。……まあそれは置いといて。

 

「よくも、よくもぉぉぉぉ!許さん、許さんぞカクヨウ!私の夢を!理想の一歩を!ロドスは、テラはもっとあらゆる性癖に理解を示すべきだ!わかるだろう!?私たちは分かり合えるはずだ!なぜそれを拒否する!」

 

「うるせーよ、お前の癖を理解してたまるか性癖キメラ野郎。覚えてねぇだろうけどだいぶ前に面倒だからそのまま理性ゼロでほっといたらあんたロスモンティス襲うとか言ってたよな?あのときばかりは本当に殺してやろうかと思ったんだからな」

 

「仕方がないだろう可憐な少女を見ると勝手に勃つんだから!無垢でいたいけな頑張り屋の少女に救いの手を差し伸べるのはそんなに許されないことか!?」

 

「あんたの場合手を差し伸べるんじゃなくてチ○コ差し向けようとしてんだろうが。どうせこれもセンセの治療受けたら忘れてんだろうけど一応言っとくけど手ぇ出したらマジで殺すぞ」

 

「……私とドクターはこれで失礼する。見ての通りこの馬鹿の理性を一刻も早く回復しなければならないのでな」

 

「うっす。キツめに絞ってやってくださいな」

 

「くそ!離してくれケルシー!私はこの大地を変える使命があるんだ!あ❤️ケルシーもっと優しく❤️あっ❤️あっ❤️」

 

「……その気色わりぃのとっとと連れてってください。手が滑って斬り殺しそうだ」

 

 こうして実は理性ゼロで暴走していただけだったドクターはケルシーセンセに連れていかれましたとさ。めでたしめでたし。

 

「………」

 

「………」

 

「ああ、お前らもこんな茶番に付き合わせて悪かったな。飯奢るから食堂行こうぜ」

 

 話に取り残された2人はすげー表情で固まってる。前にドクターが暴走したとき呼ばれてた奴らもネタバラシしたときこんな顔してたな。おもろ。

 

「カクヨウ様は最初からお気づきに……?」

 

「まあな。最近新しいオペレーター来たろ?サイラッハだっけか。今日二回目の昇進受けたって本人から聞いたんだがドクターから聞いてた昇進時期とだいぶずれててな。気になって製造所のログ確認したらやっぱ理性抽出してSoC作ってたわ」

 

「だからあの超人なドクターが理性を切らすなんて珍事が起きてるんですね……」

 

「割とあるぞ?あの人が理性切らすの。上級SoCが必要な奴の育成してるときは特にな。切らした側から理性回復剤キメてるから大概はなんとかなるんだが確か昨日に回復剤を切らしたって呟いてたからそういうこったな」

 

「……だいぶ重篤な薬物依存の症状に見られますね。ドクター様の場合は昇進を最大の幸福と脳が認識している可能性が大きい。更生プログラムを組んでケルシー様に打診してみましょうか。……フォリニックから食事のデータを共有して貰おうか。……ふむ……やはり運動を……」

 

「ジョシュアさんの目が一気に医者になりましたね」

 

「ホントワーカホリックしかいねーんだから。……まあどんだけ言ってもドクターは理性回復剤は辞めないから無駄だとは思うけどな。チェルノボーグから帰ってきて仕事に慣れてないときとか純正源石を粉にして鼻から吸ってたぞ、センセに本気で泣かれてからそっちは辞めたみたいだが」

 

「そんなタバコみたいな……」

 

「CEOにも……あ、すみません。職業病が出てしまいました」

 

「……お前も大概だぞジョシュア。勤勉はいいことだがケルシーみたいにはなるなよ?あの人もドクターとそんな変わらんぞ。三徹して外科手術とか正気の沙汰とは思えねーよ」

 

「皆様そうは言いますが吾輩にはあれこそケルシー様が持つ口に出されない慈愛と慈悲の具現だと思いますがねぇ」

 

「ちょっと何言ってるかわからないです」

 

「それな」

 

「……まあこう言われるのは知っておりました。いや、そんなことより。カクヨウ様はどうやって性欲を発散しているのですか。我々だけ発表しておいて言わないのは不公平でありますよ!」

 

「俺?」

 

「僕も気になります。誰にお手つきしようと違う誰かに問答無用で殺されるこんな環境でどうやって生き延びてるんですか?」

 

「聞いても面白くないぞ?」

 

「いえいえ滅相もない。他人の性事情は客観的に見れば絶対面白いものでありますから。ささ、早く早く」

 

「いやー、まあ溜まるってか、

             

 そもそも俺チ○コないし性欲湧かねーんだよな」

 

「………はい?」

 

「………え?」

 

「いや、だから性ーー「ちょ、ちょっとまって下さい!頭を整理させて下さい!しかもそこじゃありません!」

 

 そんな驚くか?

 

「無……い……?嘘……でありますよね?」

 

「いや、本当だが。ホラ。」

 

 青ざめているジョシュアの手首を掴んで股間に誘導する。

 

「ーーああ」

 

 骨盤と筋肉以外何も感触がないことを理解したジョシュアの手がおもっくそ脱力する。ついでにジョシュア本体も床に崩れ落ちる。

 

「ジョ、ジョシュアさん!?本当ですか!?本当にないんですか!?」

 

「あ、あああああ……………」

 

「……なんで理性ゼロになってんだジョシュア」

 

 人のチ○コ触っといて正気を失うんじゃねぇ。

 

「ない……!ないのでありますバイソン君……!なんで、どうして!ああ!ああ!窓に!窓に!あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

 

 ドゥリン族なのに深きものどもと交信すんな。

 

「なんでって……まあ邪魔だったから?」

 

「邪魔だった!?邪魔だったからなくなったんですか!?どこでなくしたんですか!僕取ってきます!」

 

 なんでお前も理性ゼロやねん。

 

「どっからだよ。自生してんのか?……なくしたってか普通に自分で切り落としたけど」

 

「あ"あ"あ"あ"あ"!!!☆%$¥♪%#|〆々!!!」

 

 理解したくないのか想像したくないのか、キャパオーバーでバイソンも壊れた。

 

「……………え?どうすんのこれ」

 

 泡を吹いて喉が裂けんばかりに叫び続けるドゥリン族と、奇声を上げながら血が出そうな勢いで顔中を掻きむしるフォルテ。そして2人の間に立ってる俺。

 スカジとグレイディーアに見せたらすっ飛んできそうな闇深い状況が完成していた。

 

……え?これ俺が悪いの?

 

 ちなみに2人ともグーで殴ったら直った。ただし数時間分の記憶は飛んだ。

 

 

 おまけ

 

『ジョシュアへの執着の理由…ですか?』

 

『ああ。言いたくないのであれば忘れてくれても良い』

 

『特に理由はありませんよ。…というより執着ってなんのことですか?』

 

『これは驚いた。執着している自覚は無いのかい?』

 

『ええ。私は単純に彼の才能に憧れているだけです。自身より優れた知見と技術を持つ者から学ぶ、何よりも成長を促すことだと思いますが』

 

『ふむ。私としては何か確固とした目標として彼を見据えているのだと思っていたので少々驚きだ』

 

『確かに他人から見た私は何か理由を持って彼の後ろについてまわっていると思っても不思議では無いですね。私自身ジョシュアを追いかけている自覚自体は持っていますから。それでも私の到達点はあくまでケルシー先生です。彼じゃない。……でも』

 

『……でも?』

 

『彼が持つ才能、人に好かれる人格、激情に走らず落ち着いて周りを見る力。どれか一つでも私に備わっていたら、なんて考えることは少なくありません。

 私が合格に足ると実力と判断されるのに2年を要したケルシー先生のカリキュラムを彼は半年で終わらせました。健康になりたいと相談に来る患者を相手に彼は個人のペースに合った1日のルーチンワーク表を作り出しました。価値観の相違で治療を拒否する感染者にもお互いの妥協点を探ることでできる範囲の治療を施しました。

 私だったらどちらの患者でも胸ぐらを掴んで説教をしていたでしょうね。そして何よりもーー私はケルシー先生に微笑まれながら将来を期待されたことなんて一度もなかった』

 

『……それは』

 

『わかっています。表情に出さないだけでケルシー先生は私にも期待してくれていることを。でも、彼は私の全て上を行ってしまう。医者として、弟子として師にできる全てを。私には無かったケルシー先生を笑わせるほどのその才能がーー羨ましくて仕方がないときがあります。……そしてその羨望以上に、私は彼を大切に思っています。私が家族と呼べる数少ない人ですから』

 

ーーある昼下がり、とある一室での会話

 

 

 

『……なんて嘘が下手な女。我ながら滑稽ね。

 

 どれか一つでも?馬鹿言いなさい、彼の全てが欲しくて仕方がないくせに。彼になりたくてしょうがないくせに。

 

 貴女はただ彼に本性を見られて幻滅されるのを怖がってるだけよ。

 

 好きよ、ジョシュア。愛してる。前に進もうと醜く足掻く私も、ウルサスを憎むことしかできない弱い私も、己の未熟さに焦って他人に強く当たってしまう私も全て笑顔で受け入れてくれる貴方が好き。

 

 私は貴方の才能が欲しい。人に愛される貴方の性格が欲しい。いつも冷静な判断ができるその頭が欲しい。一ミリの狂いもなく貴方になってしまいたい。だって私は一体何を持ってるというの?私ができることは努力を続けることだけ。誰にでもできることしかできないの。続けることは一種の才能、なんて言う人がいる。その人は本当の高みにいる人を見たことがないだけよ。

 

 本当の天才は努力は前提のものであり、することが当然と考える。世界の何もかもを理解できるから努力の必要性に早い段階で気づける。努力ができるできないのレベルなんて、浅瀬も良いところの凡人が集まる世界に他ならないわ。

 

……馬鹿みたい。本当は薄々気づいてるわ。私はケルシー先生や貴方みたいになれはしないことを。私が理解に5分を要する項目を貴方は1分、ケルシー先生は10秒で理解できるでしょう。医療とは知識と経験の積み重ね。数分の思考力の違いが数年後のその人の腕を大きく左右するものということは痛いほど知っているわ。

 

 だけど、才能を理由に私は諦めたりしない。凡才を言い訳に逃げたりしない。凡人のまま貴方に食らいつく。凡人のままケルシー先生のような医者になってみせる。

 

 果てしなく遠い道なのでしょうね。今でさえ擦り減るような焦燥感に包まれているのに、また明日にはこの焦りは強まるでしょう。その次の日も、そのまた次の日も私は貴方たちのようにはなれないという事実に苦しめられて生きていく。

 

 ええ、当然そんなことは諦める理由にはならない。事実と結果はどうあれ私はこの足を止めることはもうできないの。

 

 止めてしまったら、家族と呼んでくれた貴方たちとの最後の繋がりが切れてしまいそうで怖い。

 

 怖い、怖いよ。貴方たちの想いに報えないことが怖い。心が折れて貴方たちに向き合えなくなることが怖い。貴方たちがいつの日か私には失望するのが怖い。もう嫌よ。安息なんてどこにもない。でも逃げていい訳がない。もう家族を失いたくない。

 私は、どうすればよかったの?』

 

ーーーある日のフォリニックの日記、殴り書きされた1ページ




ドクター
・上級SoCを作るとき絶対に時間を待てない勢。最近だと噂のゲルに理性を持っていかれる。確率は論理の天敵。

ジョシュア
・オリオペ2号。天才合法ショタっ子好きだろ?なあ、好きって言えよ。
口調や一人称でキャラ分けしようとしてキャラが立つように工夫したらケ○ロ軍曹みたいな喋り方になった。体格と顔で許されているがとてつもないスケベ。大体のラッキースケベを心から楽しんでいる。

バイソン
・理想の女性はエフイーターだが、付き合うとしたらクロワッサンも良いなと最近思い始めた。

カクヨウ
・オリオペ1号。玉無し竿無し。理由は邪魔だったからともう1つ……?

ケルシー
・理性が尽きたドクターを介護する担当。ちなみにドクターはその後医務室ではなくケルシーの私室に連れていかれる。ナニをしているかはご想像にお任せします。

フォリニック
・激重崇拝フェリーンガール。当人は苦悩しまくっているがケルシーは言葉にしないだけでめちゃくちゃ親バカだしジョシュアは『今日のフォリニックのうなじスケベだなぁ』ぐらいの思考なのでほぼただの杞憂。ちなみにジョシュアが困っていると性的に興奮するが自覚はない。


 息抜き回(曇らせが無いとは言っていない)。

 この小説を読んでる兄貴たちは当然ホワイトデーに渡していいお菓子のマナー、知ってるよなぁ?
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