ありったけの夢をかき集めて赤龍帝ドライグになっておっぱいを触りに行くのさ 作:むろふし
ココヤシ村から二人が旅立ってわずかな時間が経った…。
天気は快晴、順調な航海だと思っていたが船から見える景色はいつまで経っても海、海、海…。
ベルメールは退屈していた。
「おい暇だぞオリーシュ、何かやれよ」
「何かやれって言われても何も出来ないです…っていうか俺たち遭難してるだろこれ!?」
オリーシュの慌てっぷりを揶揄う様に笑うベルメール。
「遭難、これが遭難かぁー」
「遭難して何故笑っていられるんだ…俺たち何もかんも持ってないんだぞ!?ヤバいだろこれ!!」
パニック状態なオリーシュだがやはりベルメールは落ち着いていた。
「確かにヤバいな」
「おまっ…何でそこまで落ち着いてるんだよ!!最悪死ぬかもしれないんだぞ!?」
詰め寄るオリーシュに胸ぐらを掴まれるもベルメールは苦笑いを浮かべてこう言った。
「お前が何とかしてくれる、そう思ってるから落ち着いていられるんだ」
「えっ」
ベルメールの言葉に思わずキュン&ブチ切れしそうになったオリーシュ。
そして彼は気付いた。
手に当たるそこはかとない柔らかな感触、そうそれはおっぱい。
ベルメッパイである。
「出来らァこの野郎!なんとかしてやらァ!!ありがとうございますだオラァ!!!」
「おぅ、頼んだぞー」
幼馴染でいつもオリーシュと接しているベルメールは彼の扱いに慣れていた。
おっぱい好きのスケベ小僧であるオリーシュだがその実、女性に迫られると逃げるヘタレである事を彼女は知っていた。
軽くおっぱいをチラ見せしたり当ててやるだけでオリーシュはとんでもない馬力を発揮する事も把握済みだった。
「行くぜおっぱい!!!おりゃーーーーー!!!?」
オリーシュは海へ飛び込み、船を後ろから押そうとしたが…。
「あ」
「だっだずげで!!!だっずげでぇえええええーーーーー!!!」
オリーシュはカナヅチだった。
「ゲホッゲホッ…あ、ありがとベルメ…たすかった…あと、ごめ…パニックになって、掴んだりして…」
力尽きて倒れ伏すオリーシュの謝罪をベルメールは笑顔で許した。
「子分の世話をするのは親分の務めだからな。だが…か弱い乙女に乱暴するなんて酷い男だ、私を傷物にした責任は取ってくれるんだろうなぁ?」
オリーシュを揶揄う事が大好きなベルメールの言葉にオリーシュはうんざりするような顔でこう言った。
「俺はお前にその数万倍傷物にされてるけどなー……はっ!?」
100発殴られた。
「………」
黙っていれば打たれまい。
ボロボロになったオリーシュに座って海を眺めるベルメール。
「本当に海しか見えないなぁ……ん?あれは…」
何かを発見したのか立ち上がり、何かが見えた方向へと身を乗り出した。
「船だ…船だぞ!オリーシュ!大きな船がこっちへ向かってくるぞ!」
「やったー」
海で溺れベルメールに殴られ疲れ切ったオリーシュはそう答える事しか出来なかった。
「助かったぁ」
「ありがとう、ございます…」
二人を助けてくれたのは船首に犬の顔が付いた海軍の船で、船に乗せてくれた海軍将校のおじさんは何故か傷だらけで包帯を巻いていた。
「たった二人で船旅とは良い度胸だ、お前たち海兵にならんか?」
「「え?」」
いきなりの勧誘に驚いた二人だったがそれを冗談と捉えて笑い流す事にした。
「海軍の偉い人って想像してたよりも面白い人なんですねー、遭難して身も心も疲れた俺たちに軽い冗談で癒しを与えてくれるとはー、ねー親分?」
「そうだな子分、遭難疲れも吹き飛んじゃったなー」
あはははーっと笑う二人を何がおかしいのかと真顔で見つめる海軍将校のおじさん。
「で、海兵になるのか、ならんのか、どっちじゃ」
「「………」」
その目は冗談を言っている目ではなかった、真剣そのものだった。
「「…」」
強靭な肉体に鋭い眼光、目元には海賊に傷つけられたであろう傷痕。
首の太さはオリーシュの胴体くらいありそうだ…。
まさに歴戦の海兵とはこの人の事を言うのだろう。
「「…ごくり…」」
歴戦の海兵の存在感に圧倒される二人だった…。
「ぐがぁ~~~~」
「「寝たァーーーーー!?」」
突然鼻提灯を膨らませ眠りこける歴戦の海兵っぽいおじさん。
「おぉっ!!!」
眠ったかと思えば急に目を覚まして二人の肩を掴んできた。
「そうか!なってくれるか海兵にッ!よっしゃー!これから一緒にこの海に蔓延る海賊共をぶちのめしに行こうッ!ぶわっはっはっはっはっは!!」
「「いやいやいやいや!!」」
このおじさん、とんでもない奴だ。
「なんじゃつまらんのー」
子供の様に頬を膨らませたおじさんに二人は改めて圧倒されていた。
「「えぇ…」」
このおじさん、色んな意味で凄い人だと二人は思った。
「まぁまぁ!そう簡単に答えを決めるな!この船はローグタウンへ向かっておる!到着するまでに海兵になるか海軍に入るか考えといてくれや!ワシはモンキー・D・ガープ、良い返事を期待しとるぞ!」
それだけ言うとおじさん、ガープは船の中へと戻っていった。
「豪快な人だったなぁ…モンキー・D・ガープ…ガープさんかぁ、どっかで聞いた事ある名前だな…お前はどうよ、聞き覚え……どうした?」
「……」
「おい、ベルメール」
「あっ、うん、そうだな…凄い人だ…」
「………」
何かを決意したようなベルメールを見てオリーシュは。
『あ、これ絶対海兵になるって言いだすパターンだ』と察した。
「部屋へ案内しよう」
気配もなく背後から声を掛けて来たのはおそらくガープの部下であろう海兵だった。
「おわっ! あ、はい、お願いします。親分、行こうぜ」
「あぁ」
心ここにあらずといった感じのベルメールを連れてオリーシュは海兵の後を付いて行った。
「ここだ」
その海兵に案内された部屋は倉庫の様な物置部屋だった。
案内してくれた海兵は役目は終わったとでもいう様に何も言わず去っていった。
「不愛想な人だったなぁ、ガープさんとは大違いだ……海兵って女の人はいないのかな?」
ガープといい先程の海兵といいこの船で見かけた海兵は男ばかり。
男ばっかりの船でちょっと嫌になってきたオリーシュだった。
「……」
「……」
部屋の中に沈黙が続く。
やがて意を決したようにベルメールは口を開いた。
「なぁ、オリーシュ」
いつもの揶揄う時の様な表情ではなく真剣だった。
それに応えるようにオリーシュは一言こういった。
「良いんじゃないか」
オリーシュの言葉にベルメールは驚いた。
「…まだ何も言ってないぞ?」
「お前の事だ、海兵になるって言うんだろ?」
ベルメールは唖然とした。
いつもおっぱいの事しか考えていないような男が自分の考えを言い当てたのだ。
たまにこういう事があるからオリーシュといるのは面白いと、小さな笑みを浮かべた。
「ふーん」
「そりゃ16年の付き合いだ、お前の事ならなんとなくわかる」
「へぇー」
「……」
「ほぉー」
「………」
「ふふふ」
「へ、へへへ」
ただ笑顔で見つめるベルメールにだんだん自分の言葉に自信を無くしていくオリーシュ。
「えっと、親分さん、海兵になるんだよね?」
「……」
素直に驚いたと思ったらこれだ。
「ち、違ってた?」
「違わないけどさー、16年の付き合いならそこはびしっと決めて欲しかったなー」
「お前が肯定も否定もせず怖い顔して見つめてくるからだろ、驚かせんなよなーまったくー」
一万発殴られた。
「ガープさんに海兵になるって伝えて来るからオリーシュはゆっくり休んでてね」
「ふぁ、ふぁひ」
ベルメールを正座で見送るオリーシュ。
彼女が出て行った事を確認するとそのままぱたりと横になった。
「海兵…海兵か…海兵ねぇ…」
天上を眺めながら海兵という言葉を何度もつぶやいた。
「海兵…」
自分がこれから海兵になるという実感がわかないようだ。
「女海兵いるといいなぁ…」
やっぱりオリーシュはオリーシュだった。
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