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「お久しぶりです〇〇さん……いや、今は虹像さんでしたね」
「──―確かに久しぶりですね、女神様」
煌びやかな何だか既視感のある空間。そこで俺は全裸で立って居た。ってか井戸に飛び込んだ結果あの世へ着地しててワロス。
「いえ、此処はあの世ではありませんよ」
お、マジですか?
「はい、マジです」
やったぜ。まだ三途の川を渡る前でよかったぁ……ん? 待てよ、じゃあ何で俺ってばある日♪ 女神様と、出会った♪ してんだ?
「えぇっと……一体全体何ででしょうね?」
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コダ村を訪れ、あのドラゴンの事を教えたらまさかまさかの村を捨てての住人総出の大移動が開始された。その理由を村長に聞くとそれも分からなくもない、納得の言葉が帰って来た。
「一度でもエルフや人の味を覚えた炎龍はまた村や街を襲ってくるのだ、だからわしらも逃げなければならん」
っと。アレか、ドラゴンってファンタジー小説にありがちな理論と同じ両生類のワニみたいなもんか。
炎龍は見た目通りの肉食性怪物。なのでワニと同様一度でも人やエルフの血の味を覚えた個体は他の人間も襲い始める可能性が話を聞くに高いようだ。だけど炎龍はワニと違ってそう簡単に退治出来る相手でもない、だから逃げるしかないのか。まぁ銀座を襲った小型のドラゴンでさえ7.62mmNTO弾が豆鉄砲、12.7mmを使ってる
結局、その後は成り行きで逃避行するコダ村の住人達の護衛をしながらアルヌスへの帰路へ付いていた。その途中エムロイの神官、ローリー・マーキュリーと呼ばれるゴスロリ少女と出会ったりと色々とトラブルなどもあったが何とか順調に進んでいたんだけど……どうやら俺は運が悪いらしい。
奴は突然現れた。
最初に気付いたのは何となく車両の後続に続く馬車の列を見ていた時だ。太陽の登る方、そこに現れるは銀座事件やアルヌスの丘での戦闘時に嫌と言うほど見た小型のドラゴン。それだけなら
「怪獣と戦うのは自衛隊の伝統だけどよ、こんな場所でおっぱじめる事になるとはねッ!」
そしておやっさんの特撮好き魂にも火が入っちまった。多分アドレナリンの影響だと思うけど倉田を急かす声には多少たりとも喜声が混じってるから間違いないね。炎龍の足元にて動かなくなった村人に対し狙いを定めた炎龍は地上へ降りる。そこで俺達は待ってましたとばかりに火力を叩き込んだ。
「牽制射! 撃ち続けろ! キャリバーも叩き込め!!!」
並走する
「効果が無い、隊長! 全然効いてないっすよ!」
笹川からそんな悲鳴にも似た文句が飛んで来るが俺言われても困る、どうする事も出来ないからな。
「かまうな! 当て続けろ」
奴にとっては俺が今撃ってる7.62㎜も
こうやってやってれば俺達に気が集中して村人達へは向かないはずだ。だから撃つ意味はある!
「撃て撃て撃て!!!」
しかしこのままでは何時か弾切れや炎龍の放つブレスでなどでやられてしまうのもまた事実。あの二人が無駄使いをしてた
そんな時。
「オーノ!」
背後から知らない少女の声がして俺はふと振り返る。するとそこにはぱっと金糸のような鮮やかな髪が広がていた。
そしてその人物はその細い指で仕切りに「オーノ!」っと叫びながら自身の青色の瞳を指す。
「全員、目を狙えッ!」
それに俺はピンと来て全員に指示。全員の銃口が奴の目へと向けられ、火力が集中する。その効果は絶大らしく、先ほどまでほとんど無視をしていた炎龍は急に眼を庇うように動き出しあとずさり。
このまま行ける! と思ったその時、待たせたなぁ! と言わんばかりに
「すいませんそこの軍人さん。俺のイヤホン、返してもらいますよ」
再度俺へと声がかけられた。振り向くとそこにはエルフの少女と同じく目が覚めたであろう背中を大怪我している男性。
今度は声だけではなく腕まで伸ばされ、真っ直ぐにが俺の懐にしまってあったあの謎の物体を手にするとそれに向かってこう一言。
「艦長権限作動。イオナ、出番だ。寝坊助め、起きろ」
その時、俺達の目の前で不思議な事が起こる。地面から光が急速に強い光が漏れ始めると突如、真っ二つに割れたのだ。その事に俺達も、そして炎龍も気が取られるだが彼の言葉が続く。
「ワープドライブオンライン。重力子エンジンリミッター解除。機関最大、最大出力。さっさと来な、俺の船」
【────ガッテン】
突如、その割れ目から何か大きな物が飛び出してきた。その先には炎龍が存在し奴をぶっ飛ばすとちょうど勝本がやらかしたおかげで明後日の方向へと飛んで行っていた
それと同時だろう、現れた物が地面に接触。巨大な煙を上げて地面に落ちるが現れた謎の存在の攻撃はそれだけでは終わらない。
「全砲門フルブラスト!」
青い光の雨霰。そう表現していいほどの数多くの閃光がその現れた物から放たれた。その一つ一つが炎龍の鱗を溶かすほどの熱量を持っているようで炎龍は悲鳴にも似た咆哮を上げた後、その閃光を恐れて広大な空へと去ったのだった。
「対空警戒を厳に。イオナ、後頼んだ……」
「! ぐーぞー!!!」
そして、謎の男は再度気を失った。